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215.こう……ドギャアとぶわぶわぶわーっ! ってしたらおりゃあ! からのてやぁ! そしてドンギャラズワー! ドガンドガンって感じ!

「てなわけでエイジちゃん! 早速早速超早速やってみようか! まずは全身に魔力を溜めてみ?」

 ニコニコ笑みを浮かべながら、くるくる箒を回しながら、子供を相手にするかのような声色で指導を始めるラルカ。

 僕は彼女の言う通りにやってみようと試みるが、何もできず喋れるず動けず、ただその場に佇んでしまう。

「……あの……ラルカ、実は──」

「ほらほら早く魔力溜めて! ハリー! ハリーハリーハリーハリーハリーハリーハリーハリーハリィィィイイイイッ!」

 大声で催促しながら、ビシッと僕を箒で差すラルカ。あまりの勢いに思わず、僕は後退りをしてしまう。

 そんな僕をラルカは箒でビシッと差したまま、ジッとドヤ顔で見つめてくる。

 恐ろしい目力、強すぎる威圧。僕は思わず彼女から顔を逸らしつつも、伝えなければならないことを伝えるため、一度咳払いをしてから、ゆっくりと口を開く。

「あの……さ、ラルカ。ちょっとその……言いづらいんだけど」

「……んー? なになにどうしたんさ?」

「……魔力って、何?」

「……おーまいがー」

 僕の言葉に疑問に驚いたのか、目を見開きながら小さく呟くラルカ。

 改めて考える必要がないほど浸透している常識。それを知らない人を見たかのような顔。多分僕が思っている数倍、ラルカは僕の質問に驚いているのだろう。

 でも仕方のないことだと思う。数週間前までただの高校生だった僕が、魔力とかそういう超常的な力を知らないのは当然なんだから。誰も悪くない、そう、この気まずい雰囲気は誰のせいでもない。

「うーん……魔力って何? かぁ……。あまりにも常識すぎて、改めて考えたことないなぁ。私、生まれた時から自然に使ってたからなぁ……」

「ねえねえエイジお兄ちゃんエイジお兄ちゃん」

 と。ラルカと僕が首を傾げていると、ティアラちゃんが後ろから僕の服の裾を、僕の名前を呼びながら引っ張ってきた。

 それに反応し振り返ると、ティアラちゃんはニコニコ笑顔で見上げるようにして、僕を見る。

「どりゃああああッ! って感じで力を入れてみて? それで多分大丈夫だと思う!」

「ど……どりゃああ?」

「うんっ! どりゃああああって! どりゃああああああって!」

 身振り手振りを交えながら、楽しそうにどりゃあああっと叫び続けるティアラちゃん。

 あまりにも感覚的すぎて訳がわからないが、とりあえず僕は、彼女の真似をしてどりゃああっと力を入れてみることにした。

 拳を握り、地面を踏み締め、目を見開き、全身が震えるほど、僕は力を込める。

「ど……りゃああああ……!」

「あ……おお! いいよいいよエイジちゃんいいよ! どんどん魔力溜まっていってる! あ、凄い! ってええ!? バ……バカな……まさか……ま……まだ上がり続けている……!?」

「流石エイジお兄ちゃん! さすおに!」

「……ふぅ」

 どうやら、僕は魔力を溜めることに成功したらしい。本当にどりゃあああという感じだった。それ以外の言葉で表せられないほど、どりゃああああと言う感じだった。

「うんうん……中々だね! まあティアラちゃんと私の千分の一ってところかな!」

「え、そんなに差あるの……?」

 先ほどのラルカの反応を見る限り、僕は結構凄い力を出していたと思ったのだが彼女曰く、ティアラちゃんとラルカの千分の一ほどしか僕の魔力は溜まっていないらしい。

 千分の一ってかなりの差があるような。ラルカが凄すぎるのか、僕がしょぼすぎるのか、どっちなんだろう。ティアラちゃんがラルカと同格というのが正しければ、恐らく前者だろうが。

「さて……じゃあその溜めた魔力を放ってみようか。全身に魔力を溜めて、それを一点から解き放つ! これが光線魔法の基本です! まあ私は面倒くさいから一々魔力を溜めずに、魔法陣作ってそこから放ってるんだけどねー。それもすっごい高度で精密な魔法陣をね!」

 余計な説明、もとい自慢を交えながら指導するラルカ。

 とりあえず僕は彼女に言われた通り、全身の魔力を放とうとする。

(……どうやって?)

 魔力が溜まった、溜まっているとは言われたものの、正直僕はそれを実感していない。魔力の存在を感じられていない。

 体に溜まっているはずの魔力を放出しなければならないのに、それを認識できていないから、何をどう放つのかが全くわからない。

 先ほどまで全身に込めていた力はすでに抜いてあるし、一体全体何を解き放てばいいんだろうか。

「ねえねえエイジお兄ちゃんエイジお兄ちゃん」

 と。僕が悩んでいると先ほどと同様に、ティアラちゃんが後ろから名前を呼びながら、服の裾を引っ張ってくる。

 ので、僕はそれに合わせてティアラちゃんの方へと振り返る。すると彼女はニコッと笑みを浮かべた後、僕をビシッと右の人差し指で差してきた。

「こんな感じだよ! ズガシャアアアアアアアアアって感じ! ズガシャアアアアアアア!」

 手振り身振りを交えながら、先ほど同様叫び始めるティアラちゃん。

 僕はそんなティアラちゃんに思わず困惑してしまうが、すぐにその考えを改めて、彼女の言う通りにしてみようと決心した。

 先の魔力溜めもティアラちゃんの言う通り、どりゃあああって感じだったし。ならばビームを放つのも彼女の言う通り、ズガシャアアアアアという感じなのだろう。

「えー……違うよ違うよ全然違うよティアラちゃん。ズガシャアアアアアじゃなくって、ズギャアアアアアアンッ! って感じだよ?」

 と。僕がズガシャアアアを実践しようとしたその瞬間、呆れ気味にラルカがティアラちゃんの指導を異議を唱えてきた。

 それを聞いたティアラちゃんはむすっと頬を膨らませ、どこか起こった様子で僕の前へとやってきて、睨みつけるようにラルカを見る。

「ううん! ズガシャアアアアアって感じだよ! 私それでずっとやってきたもん!」

「ふふーんだ! 私はビームのエキスパート、ラルカ・エメ・ジェメレンレカ・ジテム・ジタドール・ヴゼムジュビアン・ラフォリアムテージュ・アドレだよ!? 他の誰でもない、ティアラちゃんが紹介した絶対的ビーム王者ラルカ! そこら辺の素人キッズの感覚よりも、この天才ラルカ様の教えを乞うのが道理でなくて!?」

 胸に手を当てながら、クティラ顔負けの嫌なドヤ顔を披露するラルカ。

 あまりに大人気ない煽りに、ティアラちゃんはムカっとしたのか、割れてしまいそうなほどに頬を膨らませる。

「むぅぅううう……! 素人じゃないもん! ラルカお姉ちゃんの方が凄いかもだけど、素人じゃないもん!」

「あは……あははは! 小娘がぁ! ちゃんとわかってるじゃない力関係! 私の方が凄いかも? ノット! 私の方が……凄いッ!」

「むぅ……私だって凄いもん……ね! エイジお兄ちゃん! 私のおかげでエイジお兄ちゃん、魔力を溜められたもんね!」

 ぎゅっと抱きつきながら、僕を見上げながら叫ぶティアラちゃん。

 その迫力に気圧され、僕は思わず頷いてしまう。事実ではあるし。

「ラルカお姉ちゃん、エイジお兄ちゃんに魔力、溜めさせられなかったよね……?」

 と。自分の持つカードに気づいたのか、ティアラちゃんは僕にさらに力強く抱きつきながら、まるでクティラのようにドヤ顔を披露し、煽るような声色でラルカに言う。

 それを聞いたラルカは、自分がマウントを取られたことにイラっとしたのか、先程まで浮かべていたドヤ顔から一転、少し睨みつけるような表情で僕たちを見つめる。

「そこまで言うならティアラちゃん……どっちが上か決めようじゃない? この私、ラルカ・エメ・ジェメレンレカ・ジテム・ジタドール・ヴゼムジュビアン・ラフォリアムテージュ・アドレが最強か。もしくは貴方、ティアラ・ウェイト・ギルマン・マーシュ・エリオット・スマス・イン・ヤラ・イププトが正しいのか」

「臨むところだよラルカお姉ちゃん……! 私が凄いってところ! 見せてあげるんだから!」

「……ん? なんでこうなってる?」

 勢いとノリそのままに、しばらく二人の口喧嘩を見ていたが、僕は今になって急に、事態が変な方向に進んでいることに気づいた。

 確か僕がビームを放てるよう二人に指導してもらっていたのに、何故かいつの間にか二人が戦うことになっている。

「ちょ……二人とも辞めよう」

「やだ!」

「ノット!」

 今にも戦い始めそうな二人に辞めるよう言うと、ビシッと二人は同時に、僕へ手のひらを向けた。

 その直後、彼女たちは睨み合い始め──

「ティアラビームゥゥゥウウウ!」

「あは……っ! ラルカビームッッッ!」

 お互いの名を冠するビーム名を叫びながら、お互いに向けそれを勢いよく放ち始めた。

(やば……どうしよ……!)

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