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193.ほら、やっぱりそうじゃん

「よし任せておいてサラちゃん……私、あの人のやってる所何回も見てきたから獲れるよきっと。この百円で……この百円だけで!」

「若井先輩自信満々……! 頑張って! ファイト! それからえっと……がんばっ!」

「……あれ!? そんなバカな!? 確実に合わせたのに外した……!?」

「惜しかった……! 惜しかったです若井先輩……!」

 若井さんと咲畑さんと合流後。お互い時間が余っていたので、僕たちはゲームセンターに来ていた。

 サラと若井さんがどこか芝居がかったように喋りながらクレーンゲームを楽しむ様子を、僕と咲畑さんは少し離れた場所から後ろから見守っている。

「……二人とも仲良しだねー。嫉妬しちゃうなー……ねえ、クティラちゃん」

「え……あ、ああ! そうだな……!」

 口角を左だけ上げ、何かを察しているかのようにニヤニヤとしながら、咲畑さんが話しかけてくる。

 何もかも見透かされている感じがする。ただ、あくまでそんな感じがすると言うだけで、彼女は僕の正体を察している素振りを見せはしない。

 ドキドキと胸が高鳴る。深呼吸をしても、胸の辺りに手を添えても、それは全く落ち着かない。

 バレているのか否か、全くわからない。どこか隙を作ろうと自分は何もかもわかっているという雰囲気を出しているだけかもしれないし、実際何もかも察してしまったのかもしれない。曖昧すぎる状況が、こうだと言う明確明瞭な推測を作らせてくれず、余計に悩み苦しんでしまう。

 よくよく考えれば、咲畑さんは人間ではなくサキュバスなのだ。吸血鬼の使う魔法を彼女が知っていたしてもおかしくはない。ましてや、クティラの正体も察しているとなれば、余計に。

 彼女はどこまで知っているのだろうか。そういえば以前彼女は、自分の持つ情報量に自信を持っているかのような発言をしていた。だとしたら、もしかしたら、初めて接触してきた時から存外バレていたりして。僕が時折女の子になるという状況が。

「むうぅ……! 何これ全然獲れないんだけど……!」

「あの……これ以上入れると五百円超えちゃいますよ……?」

「うぅ……! だけど退けない諦められない! 私逃げたくないもん……! サラちゃんこれお願い!」

「千円……!? いいんですか……!?」

「戦場で弾は多いに越したことない……!」

「……わかりました。私もう止めません。手に入れましょう若井先輩……!」

「……ねえクティラちゃん。アムの挑戦長引きそうだしさ……二人で他、見に行かない?」

 と。若井さんとサラの小芝居を見終えたと同時に、咲畑さんがニコッと笑みを浮かべながら、僕の腹をツンっと突きながら、そう言った。

 僕は思わず助けを乞うように辺りを見回してしまう。けれど誰も助けてはくれないし、そもそもただ誘われただけなのに助けを求める意味がわからない。

 ので。僕はとりあえず頷いた。ここで断って、変に疑問を抱かれたりしたら面倒だから。

「じゃあ行こっか……♡ クティラちゃん」

 どこか雅な笑みを浮かべ、咲畑さんは僕の手を取る。

 柔らかく温かい女の子の手のひら。自分も持っているのに、普段それに触れる機会は無いから僕は思わずその感触に驚いてしまい、全身をビクつかせてしまった。

 危なかった。もしも今、銀髪赤眼美少女ではなく普段の愛作エイジだったら、女の子に手を握られただけでビクつくキモい男に見られる所だった。銀髪赤眼美少女であることに、この瞬間だけは感謝。

「……なーに? 恥ずかしがっちゃって……もしかしてクティラちゃんって、そっちの気があるのかな……♡」

「へ!? そ、そっちの気……!?」

「そう……そっちの気♡」

 ニヤニヤとしながら、何故か咲畑さんは僕に顔を近づけてくる。

 目の前にやってくるのは彼女の可愛らしく端正な顔、そして綺麗で大きな瞳。その瞳は僕の目をじっと見据えてくる。

 そして彼女は、空いている手をゆっくりと動かし、その手の指を僕の顎にそっと添え、クイッと持ち上げてきた。

「ふふ……女の子同士の全て、私が教えてあげようか? クティラちゃん……」

「い……いや……あえっと……! い、否だ……! 拒否する……!」

「あら、残念……♡」

 咲畑さんに顎を持ち上げられながら、僕が必死に首を振ると、彼女は残念そうにため息をつき、ゆっくりと顎から手を離した。

 そして、その触れていた指を今度は己の口元に添え、唇をそっと一回押すと。彼女は笑みを浮かべながら、妖艶な眼差しで僕を見つめながら言った。

「興味が湧いたらいつでも言ってよね……クティラちゃん……♡」

「……っ……う、うむ……興味が湧いたら、な」

「……顔真っ赤。そんなに手を繋ぐのが恥ずかしい……? 私たちもっと恥ずかしい事したのに……」

「え!? い、いやそれはだな!」

「私のあんなところやこんなところ、乱れた髪、艶やかな表情、火照る裸体……何もかも見せたのになぁ……んー……忘れちゃったのかな愛作くんはっ。 放課後密室二人っきり……♡」

「わ、忘れるわけ……!?」

 咲畑さんの揶揄いに応えると同時に、僕は脳裏にはてなマークを浮かべた。

 今、咲畑さんは僕のことを、何と呼んだ──?

「……あはっ♡ やっぱり愛作くんじゃんっ」

(バ、バババ……バレた!? なんで!?」

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