表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
187/345

185.兄妹? 姉妹? デート

「あ、お姉ちゃん見て見て。めっちゃデカい綿飴売ってるよ? ああ言うのってオシャレな街で食べるからいいんだけど……やっぱりちょっと惹かれるよね」

「……ん……」

「……お姉ちゃん?」

「……ふわぁ……」

「……お兄ちゃんっ」

「うわぁ!? 急に耳元で囁くなよ!?」

「だってお兄ちゃん全然反応しないんだもん! せっかく私が話しかけてるのにさっ!」

 腰に手を当てながら、頬を思いっきり膨らませながら、頭上に怒りマークを浮かべながら。怒っているアピールをするサラ。

 物凄く不機嫌そうな顔で、彼女はじっとずっと僕を睨みつける。

「しょうがないだろ……お姉ちゃん呼び慣れてないんだから」

「だ! と! し! て! も! 私が今話しかける人なんてお兄ちゃ──お姉ちゃんしかいないじゃん!」

「……やめれー……」

 相変わらず僕を睨みつけながら、サラは僕の頬を人差し指でプニプニと押してくる。

 結構強い力で押されているからか、頬の肉が歯と歯の間に押し込まれる感覚がして、若干気持ち悪い。

「……そういえばサラ。何か買い物がしたくてここに来たんじゃないか?」

 と。僕はサラの機嫌を戻そうと、頬を突かれるのを止めようと話題を振る。

 すると目論見通り。サラは少しキョトンとした顔をして、僕の頬からゆっくりと人差し指を離した。

「あ……あはは……! そうそうそうだよ! 買い物したかったの! お姉ちゃんに付き合ってもらおーって思って誘ったんだったね!」

 何故かどこか慌てた様子で、思い出したとジェスチャーするように両手をパンっと合わせ、サラは作り笑顔を僕に見せる。

 そして一瞬だけ辺りを見回し、一拍置いて彼女は、ビシッと少し遠くにあるお店を指差した。

「あそこ! さぁさぁ行こうお兄ちゃ──じゃなくてお姉ちゃん!」

「お前もお姉ちゃん呼び慣れてないじゃないか……」

「う……うるさいバカお兄ちゃん!」

「ほら、またお兄ちゃんって──」

「むぅぅ……! はーん? いいんだー? そう言うこと言うなら私! 才色兼備でとっても可憐な銀髪赤眼美少女が私のお兄ちゃん、愛作エイジその人だってここで言いふらしちゃうんだから!」

「……すみませんでした。サラさん」

「うむ! それでよろしい! それじゃあ行こっ! お兄ちゃ──お姉ちゃん!」

(……ここでまたツッコんだら、めっちゃ怒られるんだろうな)


 *


「……流されるがままここまで来たが、冷静に考えたらおかしいだろ……」

 立ち鏡と睨めっこをしながら、僕はサラに持たされたフリフリのドレスを一瞥してから、そう呟いた。

 僕の持っているドレスはまるで雪のような白さで、たくさん付いているフリフリがどこか儚さを感じさせる。どう考えても僕に不釣り合いなドレスだ。

 服には全く詳しくないが、そんな素人な僕でも一度触れただけでわかる程に、高級な感じがするドレス。正直、こうして手に持ち触れているだけで震えてくる。少しでも傷つけたらどうしよう、雑に扱ってしまったらどうしよう、と。

「おに──お姉ちゃーん? 着替え終わったー?」

 と。サラが僕を呼ぶと同時に、予告もなしにカーテンを勢いよく開けた。

「うわバカ! 覗くなよ!」

 僕は思わずドレスをぎゅっと握りながら、それで体を隠すようにして後退りをしてしまう。

 そんな僕をサラは、どこか呆れたような目つきで見ていた。

「別に女の子同士だからいいじゃん……ってか、お姉ちゃんまだ脱いですらいないし。何してんの?」

 首を傾げながらそう呟くサラ。すると彼女はさも当然かのように、試着室へと入ってきた。

「バカお前……! 入ってくるなよ……!」

「お姉ちゃんどうせその服の着方わからないでしょ? ふふんっ……私が手伝ったげる!」

 サラはニヤニヤとしながら、手をワキワキとさせながら、ゆっくりと僕に近づいてくる。

 そんな彼女から逃れようと僕は彼女に背を向けるが、サラは変わらずニヤニヤしながらむかってくる。

 鏡越しに見るサラの姿は、銀髪赤眼美少女を襲おうとする変質者そのものだった。

「……っ! ちょ……! 触るな……!」

「んー……? は……? もしかしてお姉ちゃんノーブラ? ありえないんだけど……渡したよねワンピースと一緒に」

「うるせぇバカ……届かないから諦めたんだよ……着けるの……」

「言ってくれればいいじゃん! 私じゃなくてもリシアお姉ちゃんも居たし、クティラちゃんもティアラちゃんも居るのに!」

「……恥ずかしくて言えるか」

「そういえばお姉ちゃんの下着も買わなきゃだよねー……よしよし……服見終わったらランジェろうねお姉ちゃん! 私がとびっきり可愛いの見つけたげる……♡」

「マジで勘弁してくれ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ