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冤罪で異界に流刑されたのでスローライフを目指してみた  作者: 灰銀猫


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ドラゴンの弱点

 アシーレの街に戻るとリューンが待っていた。彼女も姉のことが心配だったのだろう。激しく言い合っていたのも姉妹という気安さのためだと思うし。普段のリューンはあんな強い物言いはしないからな。


「ルークさん、姉さんは……」

「ああ、大丈夫だって。フィンも時間が経てば冷静になるだろう。今までずっと探してきて駆け落ちだってわかったから拍子抜けしたんだと思うよ」

「そう、でしょうか……いえ、姉さんに心配かけたのは私ですよね。私、姉さんに謝らなきゃ……」


 今にも泣き出しそうなリューンをガルアが少し離れて見ていた。珍しい。こういう時は側にぴったりくっついているのに。少しは成長したのか?


「フィンはコルナガの教会に身を寄せていたんだ。そこにはシスターと身寄りのない老婦人と孤児たちがいた。彼らにアシーレに来ないかって誘ったんだ」

「ここに?」

「ああ。この街は人手が足りないだろう? 孤児もここでなら仕事もあるし、職人に弟子入りすれば手の職も付く。老婦人らも読み書き出来るから子どもらにって思って。あっちじゃ食うにも困ってる風だけど、ここならその心配はないしな」

「そう、ですか」


 リューンも急にそんなことを言われて戸惑っているようにも見えた。フィンはフィンで苦労していたんだよな。そういう意味では彼女が怒りを感じるのもわからなくはない。


「ま、フィンもわかっていると思うぞ。暫く待ってやれ。こういうことは時間が必要なんだよ」

「そうですね。私も、色々考えてみます」


 リューンの中にも何か変化があったらしい。ガルアもそうだが今回のフィンとの再会は二人に一石を投じたみたいだ。二人だけの世界で生きていたけれど、いつまでもそういう訳にはいかないだろう。ガルアはリューンを養うために働かなきゃいけないし、子どもが出来る……かはわからないけどそうなれば二人の関係も変わってくる。今のままでいるわけにもいかないだから。




 その日の夕刻、ハンターのリーダーディオがやって来た。彼らは街の宿屋を拠点にして森の哨戒をしたりこの辺の情報を集めたりしている。もっともこの街は新しいからこの周辺のことはよくわかっていない。街に来る商人たちの方がずっと詳しいんだよな。


「ルーク、この前言っていたドラゴンとは話が付いたか?」

「あ~協力してくれるかってやつ?」

「ああ。ハンターの俺が言うのも変な話だが、今回は人間にどうこう出来る話じゃないからな。ゾンビ化したドランゴンがどれほど強いのかもわからねぇし、正直に言っちまうと勝算が見えねぇ」


 そうだろうな、俺だってどうなるか見当もつかない。あのデルでさえそうなんだからお手上げだ。


「ブルードラゴンは大丈夫だ。協力してくれるって」

「そうか! 恩に着る!」

「他にもグリーンドラゴンにも声をかけてくれている。ただな、そいつはハンターが信じられないと言ってて……」


 ルダーは人間への不信感が強いんだよな。あれをひっくり返すのは難しいだろう。目的はグネルを救うことだけど、ああなると殺すのが掬いになるかもしれない。それをあいつが受け入れるかは別の話だし……


「そう、か。まぁ仕方ないな。俺たちハンターはドラゴンの天敵みたいなもんだし」

「ああ、すまない」

「いや、ルークが気にすることじゃないし。それよりもブルードラゴンが手伝ってくれるだけでも御の字だからな」


 にかっと邪気のない笑顔を浮かべた。ディオは陽気で楽天的で面倒見がいい。何かと突っ掛かってくるガエルも彼の言うことは大人しく従っているし。戦闘力も中々だし、上司にするならこういうタイプがいいと思う。昔の上司は正反対だった。ま、帝国じゃディオみたいなタイプは出世出来ないだろうけど。


「そう言えばルーク、体調はもういいのか?」

「え? あ、ああ。もう何ともないよ」


 気にかけてくれるとは思わなかった。でも体調に問題はない。この前動けなかったのはドラゴンのブレスを食らったせいだと思うし。幸いにもこの身体は頑丈なんだよな。ドラゴンキラーのあの酒さえ飲まなきゃ。そういえばドラゴンって他にも弱点はあるんだろうか。


「そう言えばディオ、ドラゴンってどんなものがダメなんだ?」

「何だ急に?」

「いや、ブルードラゴンの協力してもらうにしても、危険なものは避けたいと思って。下手に危ないものを渡したりしたら関係が悪化するだろう?」

「ああ、そういう意味か。そうだな、まずはマダだな。これで作った酒はドラゴンキラーと言われていてドラゴンには毒になる。他にはカミツとかハファの実だな。マダほどの毒性はないけれど量を食えば死ぬかもしれん」

「結構あるんだな」


 そんなにあるとは知らなかった。でもカミツとかハファなんて聞いたことがないぞ。


「カミツは高い山の山頂にしか成らないし、ハファはここからずっと南の暑いとこでしか育たない。この辺じゃ滅多に手に入らないな。だから気を付けるのはマダだな。その辺に成るからな」

「そうか」


 あのマダ酒の威力は酷かった。二度と口にするかと未だにトラウマレベルで記憶に残っている。でも、差し当たってあれにだけ警戒すればいいのならまだ楽だな。


「後は属性によるから一概には言えんな。ゾンビ化したドラゴンも属性がわかればそれが欠点になるかもしれない」

「そっか」


 グネルの属性か。元はグリーンドラゴンだったんだよな。だったら地属性だな。誰かいたっけ?





ストックが尽きたので今後は不定期更新になります。

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