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冤罪で異界に流刑されたのでスローライフを目指してみた  作者: 灰銀猫


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ゾンビの正体?

 俺を襲ったグリーンドラゴンはルダーといい、ルゼたちが追っているドラゴンゾンビはこのルダーの知り合いのグネルと言うグリーンドラゴンだった。ついでにガルアも会ったことはないが名前は知っていたらしい。ドラゴンにはドラゴンの情報網があるようだ。


「しかし……では、どうしてグネルはゾンビになどなったのだ? そもそもゾンビになどなれるものなのか? 聞いたこともないが……」


 ガルアは眉間に皴を深く刻んでルダーに詰め寄った。体格差があり過ぎるがガルアの気迫にルダーが押されているようにも見える。気のせいかもしれないけれど。


「俺だって知らぬ。じゃが、身体が腐り崩れ落ちそうな姿を俺も見たが、あの魔力や臭いはグネルに間違いない……」

「そう、か……」


 ガルアが納得したのかさっきまでの勢いが一瞬で消えた。でも、魔力はともかく臭いって何だ? ゾンビ化したら臭いなんて変わっちまうんじゃないのか?


「ガルア、ドラゴンは魔力で相手を見分けられるのか? それに臭いって……ゾンビ化したら臭いなんて変わってしまうんじゃ……」

「そんなことはないぞ、ルークとやら。魔力は少しずつ違うし、臭いも僅かだが残るんじゃ。あれはグネルで間違いない!」

「そうじゃな。ルダーの言う通りだ」


 ガルアにまでそう言われてしまったらそうなんだと受け入れるしかないか。よくわからないけれど。魔力が一人一人違うのはわかるからそうなんだろう。


 それから俺はルダーにハンターが追っていること、グネル討伐に協力してくれるドラゴンがいるならお願いしたいと言っていることを伝えた。


「ハンターじゃと? あんな奴ら信じられるか!!」


 一蹴されてしまった。まぁその気持ちは理解する。俺もいきなり攻撃されたし。あんな出会いだったら俺も信用なんて出来ないだろう。今だって信用していないけど。ただ、元が人間だったのもあってか彼らの事情も分からなくはないんだよな。


「わかった、それなら協力は頼まないよ。その気持ちもわからなくはないからな」

「物分かりがいいのう、お主は」

「まぁ、元は人間だしな。どっちも言い分も理解出来る」

「そう言えばそうじゃったな。だったらそろそろこれを解いてくれ」


 そう言えば拘束したままだった。面倒だからこのままじゃダメかなぁ……ダメだよな。恨まれて人間を襲うようになっても困るし。


「じゃ人間は襲うなよ。あんまり下に下りて来ない方がいい。今はハンターもいる」


 人間を襲うのは見逃せないからな。


「そういう訳にはいかん。俺はグネルを何とかしてやりたいのじゃ」

「何とかって、何を?」

「グネルは気のいい奴じゃった。陽気で威張ったりもせず物知りで。俺も散々世話になったんだ。あんな生きたまま身体が朽ちていくなどどれほど苦しいか。俺はグネルを死なせてやりたいんじゃ」


 ルダーは本気でグネルを案じているらしい。ドラゴンは単純だから本気でそう思っているのだろう。だが……


「死なせるって、どうするんだ?」


 ゾンビって死んでいるからゾンビって言うんじゃないのか? ルダーの言う死は消滅させるって感じか? どんな状態なのか実際見ていないからわからないけれど、ただ消滅させるだけなら魔術で出来るんじゃないだろうか? ゾンビなら闇属性か? だったら光か聖の魔術に弱そうだけど……この辺はデルが詳しいかもしれない。一度話を聞きに行った方がいいだろうか……


「それは俺にもわからん。だがその前にグネルに会いたい」

「会いたい? 会ってどうする? 話が出来るのか?」

「それはわからん。けど、もしかしたら話が通じるかもしれん。そうしたらどうしてゾンビになったのかもわかるかもしれないだろう?」


 正論だけど、ゾンビ化した相手と話が通じるのか? あまり期待できそうにないんだけど……でも、試してみる価値は……あるかもしれない。


「そうだな。だったらまずはグネルを探すところからだけど……心当たりはあるのか?」


 ルゼたちも追っていると言っていた。でも空を飛べないハンターでは森に潜んだドラゴンを探すのは至難の業だろう。


「ない」

「ない?」


 おい、あっさり言い切ったぞ。だったら何でここに来たんだ?


「ああ、最後の痕跡はここからヒルル山の方に向かって三日ほど飛んだ辺りだ」

「ヒルル山か……」


 ヒルル山はここから北西にある高い山だ。三日飛んだってことはヒルル山の向こうってことだよな。ヒルル山までは飛べば一日かからないし。


「確証はないがグネルはこっちの方に向かっているように思う。だがゾンビになったせいか空を飛ばん。歩いて移動しているんだ。そのせいで見つけるのは簡単ではない」


 だろうなぁ……場所によるけど、異界は森や山が圧倒的に広い。平地はあっても森が殆どで街とか畑とかは圧倒的に少ないんだよな。そんな中ではいくらでかいドラゴンでも歩いて移動されると探すのは難しい。ルゼたちがここに現れたってことはこっちに来ている可能性があるってことだろうか。だったらルダーの見立ても間違っちゃいないんだよな、多分。


「わかった。そのグネルの居場所はハンターも追っているから話を聞いてみる。ルダーも協力はしなくてもいいからハンターの邪魔はするなよ。足の引っ張り合いをしたってグネルを救えないからな」

「…………わかった」


 物凄く嫌そうに同意されたけど、これはこれでよしとするしかないか。下手に喧嘩になって共倒れされても困るし。

 ルダーの拘束を解いて、街には近づかないように頼んだ。まぁ、街には結界は張ってあるから攻撃されても大丈夫だろうけど。でも街の人にドラゴンに恐怖心を持たれると困るんだよな。万が一俺の正体が知れたら二度と近づけなくなるし。





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