表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冤罪で異界に流刑されたのでスローライフを目指してみた  作者: 灰銀猫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/87

グリーンドラゴンの正体

 リューンとステラが食事の準備をすると言って天幕を出て行ってガルアと二人だけになった。念のため防音の結界を張る。


「ルーク、どうして倒れたんだ?」

「それがなぁ……」


 俺はグリーンドラゴンに襲われたところからの顛末を話した。これはドラゴンだったガルアにしか話せないからな。まぁ、ネイトさんやデル、ラーならいいんだけど。


「グリーンドラゴンだと?」

「ああ、ルダーと名乗っていたな」

「ルダーだと?」


 ガルアの表情が変わった。あれ、もしかして知り合いなのか?


「ルダーは……面識がある。最初にあった時もいきなり攻撃を仕掛けて来て、三日三晩やり合ったことがある」


 何だよ、そんな好戦的な奴だったのか。って三日三晩も? ああ、俺は魔術があるから直ぐに拘束して終わったんだっけ。もしかしてあの攻撃、挨拶代わりだったりして……


「あ奴はブレスを挨拶がわりに放つ物騒な奴だからな。他のドラゴンからも嫌われていた」


 本当に挨拶代わりだったのか。ああ、俺もそんな知り合い、いらねぇわ。心配してやる価値なかったかも。


「だが、奴は我よりも長生きしておる。ゾンビのことも知っているかもしれんな」

「そうか……」


 じゃ、一度森に行かないとなぁ。体調は……まぁ、行くだけなら何とかなるか。


「ところであのハンターの攻撃ってなんか特殊なのか? 直撃はしていないけど頭の中すげー揺れたんだけど」

「ああ、ドラゴンにだけ効く効果があるらしいな。昔出会ったドラゴンに聞いたことがある。我は受けたことがないから詳しくはわからぬが」

「そうか……」


 これはルゼかディオにそれとなく聞いてみた方がよさそうだな。近くにいても影響出るなら考えなきゃいけないし。


「ルーク、ルダーに会いたい」


 やっぱりそうなるよな。


「わかった。でも今すぐは無理だ。明日でいいか?」

「ああ」


 とにかく一晩寝ればこの怠さも治るか? 湖には地点登録してあるから魔道具で行けるだろう。とにかく体調を戻すのが先だな。





 翌朝になると、体の怠さは消えていた。すっきり目が覚めたとは言い難いけれど、昨日に比べたら随分マシだし、これならルダーに会いに行くのも問題ないだろう。


「ステラ、ガルアと森に行ってくるから留守を頼む」

「森に? 大丈夫なの?」

「ああ、心配だからガルアを連れて行くんだ。頼んだよ」


 念のための付き添いと言う形で連れ出した。こうでも言わないとリューンと離れたがらないガルアは外に出ないんだよな。どれだけ執着心が強いんだか。まぁ、ステラも結界は張れるし攻撃魔術も使えるから大丈夫だろう。


 湖近くに登録した地点にガルアと飛んだ。今日も天気がいい。ルダーは雨に当たらなかったのは幸いか。ルダーが転がっていた辺りに来ると、木々が軒並み倒されていた。木が倒れた先を追うと、程なくしてあの緑の巨体が現れた。


「おい、ルダー! 生きておるか?!」


 動かないのは寝ているからか死んでいるからか。声をかけたら僅かに巨体が動いた。


「……人間か? 何用だ?!」


 空気がビリビリ裂けそうな声は相当怒っているのだろう。やべぇ、これは協力なんて無理かもしれない。


「ルダー! 我じゃ、ガルアじゃ!!」


 拘束されて横たわるルダーの顔の前にガルアが飛び出したけど、その瞬間尻尾が襲って来た。物理攻撃除けの結界で当たることはなかったけど、戦意剥き出しだった。


「人間に知り合いなどおらんわ!!」

「今は人間だが昔はブルードラゴンだった。ロゼレ谷のガルアだ!!」

「ロゼレ谷……ガルア、だと……」


 ルダーの目がまじまじとガルアを見つけた。




「まさか本当に人間になっておったとは……!」


 あれからガルアとルダーの問答が続いた。内容は……実にしょうもない、子供の喧嘩レベルになったので割愛しておく。ドラゴンって脳筋だけど精神年齢も低いのかもしれない。まぁ、人語を解するとはいってもドラゴンも獣だし、こんなものなのかもしれないけど。俺が人化を解いてドラゴン姿になったことと過去話からルダーがガルアと認識したためか、ルダーの機嫌まであっさり直った。それでも暴れそうなので拘束はしたままだけど。結局あの後散々拘束を解こうとしたけれど無理で、疲れてそのまま寝ていたらしい。無事で何よりだ。


「それで、どうしてお主がこんなところまで?」


 ルダーは高い山の樹海に住んでいて、こんな下にまで降りることは滅多にないらしい。


「それが……」


 ルダーが言葉に詰まった。そんなに言い難いことなんだろうか。


「お主、グネルを知っておるか?」

「グネル? あれか? ケバルの山に住んでいるとかいう……」

「ああ、そのグネルだ。俺が昔から世話になった……」


 表情は変わらないけど、声には痛ましさが感じられた。仲がいい相手ってことか。もしかしてそれがゾンビの正体なのか?


「ゾンビ化したのはそのグネルだ」

「馬鹿な!! あのものは人を襲うような奴ではなかっただろうが」


 ルダーの話を聞いたガルアが身体を揺らした。顔は驚愕に染まって傷のある顔が一層険悪に見えた。俺の顔、こんな表情にもなるんだなと明後日な感想が出てしまった。


「そうだ。そんなことは俺も知っている。だけど……あれはグネルなんだ」


 驚きで興奮したガルアの声をルダーは力なく否定した。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ