表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冤罪で異界に流刑されたのでスローライフを目指してみた  作者: 灰銀猫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/87

ハンターの目的

 あれからルゼたちに運ばれて無事に街に戻った。幸いにもラーのお陰で水の被害者はいなかったけど、俺が担架で運ばれてきたことで街の皆にえらく心配をかけてしまった。


「もう! 暫くは魔石取りに行かないで下さいね!」


 ステラやマイラさんたちにこっぴどく叱られてしまった。そんなに怒ることはないだろうに……そう思うがそれだけ心配をかけてしまったわけで、そこまで心配してくれる存在がいるのが嬉しく思う自分がいた。

 いつの間にかこの街が家みたいになっていた。寿命がどれくらいかもわからないし、俺がいることで街が狙われる可能性が皆無とは言えないから、ある程度生活基盤が出来上がったら離れようと思っていたのに……関われば関わるほど愛着が湧くから困る……もう少ししたら旅に出るふりをして元のねぐらに戻った方がいいのかもしれない。


 街に戻ってリューンに治癒魔術をかけて貰ったら体分楽になった。何がどうなったのかはわからないけれど。ルゼの仲間の攻撃のせいなんだろうけど、下手に聞くと藪蛇になりそうだし……それはそれで困る。もしドラゴンだとばれたら街の皆を混乱させてしまう。せっかく信じて付いてきてくれたんだから裏切るようなことはしたくなかった。


 ルゼたちはマイラさんの宿屋に泊まることになった。この辺には街はないと思っていたから有難いと喜ばれた。

 ルゼと一緒にいた二人はドラゴンハンターだった。年長の茶髪に緑目の男はディオと言って、年は四十二でベテランのドラゴンハンター、ガエルと言う赤髪赤目の男はまだ若くてドラゴンハンターになったばかり、ディオの弟子だという。


 俺が家で休んでいたらルゼたちがやって来た。起き上がれるので客人らが来た時用の天幕で話を聞くことにした。同席したのはあの三人とガルア、ステラ、三人を連れて来てくれたアンザさんだ。リューンは聖属性が他に知られると面倒だしガルアが難色を示したから外して貰った。


「それで、どうして三人でこんな山奥に?」


 ルゼの性格からして単独行動を好みそうだから意外だったんだよな。それにフィンはどうしたんだ? もう復讐を諦めて一般人の暮らしに戻ったのならいいんだけど。


「あ~それは俺から話してもいいか?」


 声を上げたのはディオだった。年齢的にも彼がこの三人のリーダーだろうか。ルゼはリーダーするくらいなら一人で動きそうだもんな。


「俺たちはドラゴンゾンビを追っているんだ」


 ドラゴンゾンビ……? その言葉にガルアが息を呑むのが聞こえた。


「ドラゴンゾンビって……あんなの伝説級の与太話だったんじゃ……」


 この中では最も年長のアンザさんが眉を顰めた。アンザさんがいう通りそれって物語の世界にしかいないんじゃなかったっけ。


「俺らも始めは信じちゃいなかった。だが……見てしまえば、信じざるを得ない……」


 ドラゴンゾンビは強い恨みを持ったまま死んだドラゴンがその膨大な魔力で死んだ後も思念だけで生き続けると言われている。いや、ちょっと違うか。死んだ身体を恨みと魔力で動かし続けるというべきか……物語の中の話だからその辺の理屈は適当なんだけど、死んだ後も腐り続ける身体は周囲のものをも腐らせるとか、人や魔獣を襲って腐った身体の代替えにしようとするとか、まぁ、その辺は色々とある。


「もしかしてだけど……この近くにそのドラゴンゾンビが現れると?」


 あんまり聞きたくなかったけれど、これを聞かないわけにはいかない。街の皆の命がかかっているんだから。


「ああ」


 言い難そうにディオが答えた。ハンター以外が息を呑んだ。俺も俄かには信じ難かった。


「何のために?」

「それはわからん」

「だけど、何か目的らしいものがあるんじゃないのか? それともむやみやたらと暴れまわっているのか?」


 俺の問いにハンターたちは黙り込んだ。ということはこれといった傾向はみられないってことか? でも、強い恨みが死んだ後も残ったからゾンビになったんだよな。だったら何か目的がありそうなんだけど……


「ゾンビか……」


 ガルアが小さく呟いた。そう言えばここにドラゴンがいたな。後で詳しく話を聞くか。


「で、ドラゴンゾンビはもうこの近くに? 俺が大水に流されたのはそのせいか?」


 だったら直ぐ近くに来ているってことじゃないのか? だったら直ぐ避難を……って、どこに逃げるんだ? この近くには大きな街もない。騎士団や魔術師を派遣してもらうにも直ぐには来てくれないだろう。それにドラゴン相手じゃ騎士もあまり役に立たないかもしれない。


「ルークが流された時はブルードラゴンを狩っていたんだ。ドラゴンゾンビは自分の身体を補うためにドラゴンの身体を求めているように見える」

「だからドラゴンを狩ったと?」

「ああ」


 ああじゃねぇよ、ああじゃ! そんな不確かなことのために俺を攻撃したのかよ。って……え? じゃ、あのグリーンドラゴンは? あいつのことは気付いていない? ラッキー……なのか? いや、待てよ……あいつ、縛ったまま残してきたよな。それってゾンビに見つかったらマズいんじゃねぇの?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ