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推しの恋路応援前線!  作者: 赤いシャチホコ
第二章『夏』
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70/160

61 かき氷

61話です!

よろしくお願いします!

「いや〜まさか舜太と直紀が彩陽さんと知り合いだなんてな」

「それはこっちのセリフだよ。香山と佑達が仲良いなんて知らなかった」


 彩陽さんの後ろから顔を覗かせた二人を見て俺が一言漏らすと、舜太がそれに応じる。


 話によると、舜太、直紀、彩陽さんの三人は中学二年の時に同じクラスになり、一緒に学級役員をやっていてかなり良好な関係を築いていたらしい。

 そんな繋がりがある状態で同じ高校に進学したにも関わらず、舜太と直紀は彩陽さんがどこのクラスなのか、何の部活に入っているかなどの情報を全く持っていなかったと言うのだから頭を抱えたくなる。彩陽さんの方は友達から話を聞くなどして二人の情報をしっかり入手していたと言うのに。


 そして現在、その二人の視線は一人の少女に注がれている。

 ミディアムヘアに可愛らしいピンクの浴衣の少女───杏実さんに。

 舜太と直紀の目は完全にうっとりとしたものに変わっていて、『可愛い』という感情一色に染まっている。いやあ、分かるよ。超可愛いよな、杏実さん。

 しばらく二人の様子を微笑ましく見ていると、途中で我に返ったように俺達(主に杏実さん)に向かって一つの提案をする。


「知り合いが美味しいふわふわのかき氷の屋台やってるんだけど、来ない?」


 それを聞いた瞬間、真っ先に杏実さんの方を見ると、予想通り目をキラキラと輝かせていた。


「た、佑君、時間まだ大丈夫だよね……!?」


 興奮した様子で杏実さんが俺に尋ねる。ちらと腕時計に目を落とすと、時刻は午後六時を少し回ったところ。花火の打ち上げ開始は確か七時半だったか。移動時間を含めても余裕があるな。


「うん、大丈夫。まだ余裕あるよ」


 そう返した途端、杏実さんが浴衣にも関わらず軽く駆け出す。


「じゃあ行こう! 舜太君、直紀君、案内して!!」


 急に駆け寄られた二人は少し慌てながらも少し言葉を交わしてから歩き出した。その時、二人が腰の下で小さくガッツポーズをしていたのを俺は見逃さなかった。




 みんなでかき氷の屋台に向かう最中、先頭での杏実さんの先導から離れて直紀がこちらに近づいてきた。


「おい、聞いたぞ。……杏実さんとプール行ったんだってな! 抜け駆けだぞ……!」


 ああ、行ったなぁ。楽しかったよ、なんて言葉は軽々しく吐けない。なにせ、隣からかなり強い羨望の眼差しが突き刺してきている。

 とは言え、直紀のこの発言もただ羨ましいってだけの話だからそこまで深刻に受け止めるものではないだろう。多分冗談みたいなものだろう……多分。


「『応援前線』なんて言いながら二人を誘わなかったのは悪いとは思ってるけど、あれは男女比の関係とか色々あったんだよ……。次なんかあったらなるべく誘うからさ」


 そう言うと、直紀は急に態度を軟化させる。


「言ったな、佑。言質取ったり!」


 そしてこの一言である。どうやら俺は言葉を引き出されたらしい。さっきまでの妙にプレッシャーをかけてくるような態度もそのためか。

 してやられた……とは思うもののそこまで大きい話では無いし、なんなら杏実さんの助けになるかもしれないから良いか。そう思うことにして、しばらく無言で歩いて行くと前を歩いていた杏実さん達が足を止める。どうやら目的地に着いたようだ。




 そのかき氷の屋台は特筆すべき所がないごく普通の屋台だった。一つ言う事があるとすれば客の数。明らかに周りの屋台よりも少ない。楽しみよりも不安が大きくなり、俺は思わず尋ねてしまう。


「えーーーと、舜太。この屋台で本当に合ってる? お客さん少なくて正直不安なんだけど」

「合ってるし、心配いらない。味は保証するよ。あの人、客引き下手過ぎて人が来ないだけだから」

「屋台経営者でそれはどうなんだよ……。致命的じゃね?」


 そんな会話を聞いていた千波や碧が後ろでくすくすと笑い、最後のお客さんにかき氷を渡し終えた屋台の人がその笑い声を聞いてこちらを向く。


「おっ、舜太! 来てくれたのか! 後ろの子達は友達か?」

「うん、そうだよ。おっちゃん、いきなりで悪いけど、かき氷頼んでいい?」


 もちろんだ、という元気な笑い声を受け、舜太がこちらを向き直す。


「この中にいちご無理って人いる? ここのかき氷、いちご味しか無いんだよね」


 また一つこの屋台が不人気な理由が分かった気がする……。そんなことを思いながら大丈夫、と舜太に返すと、他の人達も大丈夫、問題無い、一番好きだからむしろ大歓迎、と口々に返す。


「じゃあ、かき氷七つで!」

「了解! すぐに作るから待ってろ! あ、舜太、作ってる間に集金しといてくれ。一つ三百円だからな」


 知り合いとは言え、客に集金させるのかよ……。と内心で苦笑しつつ財布からお金を取り出して渡す。

 そして、少し待つとかき氷が屋台から一つずつ出てくる。俺達はそれぞれそれを受け取ると、ストローから作られたスプーンを突き刺して口に運ぶ。するとその瞬間、衝撃に襲われる。

 うわ、ほんっとに超ふわふわだ! 口に入れた瞬間に溶けて消える! お祭りの屋台でこのクオリティはすごい!

 周りからも、美味っ!、溶ける〜!、これすごい!、などの感嘆が上がっている。

 少しでも疑ってごめん、屋台のおじさん。

 でももうちょっと味のバリエーション増やそうよ。それだけで売り上げ大分変わるよ?!

読んでいただきありがとうございました!


彩陽の苗字を記述する時が少なすぎて設定メモを見返したのは内緒です

あと、今日の昼くらいか明日のこの時間くらいにもう一話(今話からはみ出た次の導入)出ると思うのでよろしくお願いします!


読んでみて少しでもいいなと思ってくれたら、感想やブックマーク、評価などいただけると嬉しいです!励みになります!

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