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ノルンとふしぎなものがたりたち

ノルンとふしぎなゆめの花

掲載日:2024/01/08

 ノルンは、お花が大すきな女の子。

 赤いお花も、黄色のお花も。

 白いお花だって。

 クンクン、いいにおい。

 お花にかこまれると、おひめさまになったきぶん。


 おともだちのジャックと、学校から帰るとき。


「ジャック、あっちにきれいなお花があるわ!」

「ノルン、こっちにもあるよ!」


 ふたりはより道ばかり。

 ジャックが走れば、ノルンも走ります。


「まって、ジャック!」


 ジャックは、学校で一番足がはやいので、おいつくのがたいへん。


「ほら! こんなにきれいなお花がいっぱい!」

「ほんとだぁ!」

「マイヤーおばさんにあげたらどうかな?」


 マイヤーおばさんは、ノルンといっしょに住んでいます。

 ノルンは、マイヤーおばさんのことが大すき。


「うん!」


 ノルンは、一本だけ、つみました。


「もうちょっと、はやく帰ってきなさい、ノルン」


 いつもはやさしいマイヤーおばさん。

 でも、帰りがおそいと、やっぱり心配のようです。


「ごめんなさい。でも、ほら」

「まあ! かわいいお花」

「おばさんに」

「ノルン、ありがとう」


 えがおのマイヤーおばさんに、ノルンもにっこりとわらいました。



 ある夜。


「ノルン、おやすみ」

「うん。おやすみなさい、マイヤーおばさん」


 ノルンは、お星さまにおねがいします。


「ゆめの中でも、いっぱいのお花が見られますように」


 ベッドにもぐりこみ、ノルンは目をとじました。


「あれ?」


 ノルンが目をあければ。


「うわぁ!」


 まわりには、お花がいっぱい。

 赤、黄色、白。

 青に、むらさき。

 見たことのないお花もあります。


「すごぉい!」


 ノルンはお花畑を走りました。

 すると、小さなかげがとびだしました。


「わぁ!」

「きゃっ!」


 ノルンと小さなかげは、ごっつんこ。


「いたたぁ……」

「ご、ごめんなさい! だいじょうぶ?」


 ノルンは、小さなかげに手をさしだしました。


「こちらこそ、ごめんね。あら? あなた、見たことないわね」

「うん、はじめてここにきたの。わたしは、ノルン」

「ノルン、はじめまして。わたしは、エメ。ここを守るようせいなの」

「えっ⁉ ようせいさん!」


 エメは、キラキラとノルンのまわりをとんで見せました。


「ノルンは、お花がすきなの?」

「大すき! いいにおいがするし、かわいいもの」

「じゃあ、わたしがここをあんないしてあげる!」

「ほんと⁉ エメ、ありがとう!」



 どこまでもつづく、お花畑。

 あまいかおりが、ふわりとまって。

 キラキラ花びらが光っています。


「ずっとここにいたいなぁ」


 ノルンが、お花畑にごろんとねっころがったとき。


「あれ?」


 とおくのお空が、くらくなっていることに気づきました。


「エメ……なんか、へんだよ?」

「ときどき、あの黒いくもが見えるの……」

「なんだか、こっちに近づいて来ているよ」

「ほんとだ……!」


 ふたりがお空を見ていると、黒いくもがぐるぐると。

 まっ黒なオバケとなって、お花畑におりてきました。


「ワハハハッ! ここもオレさまのものにしてやる!」


 まっ黒なオバケが、ふぅっと息をはくと。

 お花の色が、まっ黒になってしまいました。


「なんてことするの!」


 エメがおこると、まっ黒なオバケはこわい顔。


「オレさまは、きれいなお花が大きらいなんだ! おまえも、こうしてやる!」

「きゃあ!」

「エメ!」


 エメは、まっ黒オバケの息で、まっ黒になってしましました。


「にげないと!」


 ノルンは、エメを手のひらにのせます。

 そして、まっ黒オバケにせなかをむけて、走りました。


「まてぇ! おまえもまっ黒にしてやる!」


 おそろしい声が、きこえます。

 ノルンは、いっしょうけんめいにげました。



 やっとまっ黒オバケが見えなくなって。

 ノルンは、エメをお花の上におろしました。


「だいじょうぶ? エメ……」


 エメはまっ黒のまま。


「ノルン……にじ色のお花をさがしましょう」

「にじ色のお花?」

「うん……にじ色のお花なら、また色をとりもどしてくれるわ。でも、それがどこにあるのか……わたしにも、わからないの」


 ノルンは、エメに葉っぱのおふとんをかけてあげました。


「エメは、ここでまっていて。にじ色のお花は、わたしがさがしてくる!」

「ノルン……ありがとう……!」



 お花畑は、どんどんと黒くなっていきました。

 まっ黒オバケの息が、ビュゥビュゥ。


「はやくしないと、お花がぜんぶまっ黒になっちゃう……」


 ノルンは、まっ黒オバケに見つからないように、そろり、そろり。

 お花にかくれながら、にじ色のお花をさがしました。


「どこにあるのかしら?」


 下を向いて、にじ色のお花をさがしていると。

 またまた、ごっつんこ。


「きゃッ!」

「いだッ」


 ノルンは、しりもちをつきました。


「ごめんなさい……! 前を見てなかったから……」

「ううん、ボクも……」

「えっ⁉ ジャック!」


 顔を上げたノルンは、ビックリ。

 そこには、おともだちのジャックがいたのですから。


「ジャック? ちがうよ? ボクは、ジェック」

「……ジェック?」


 顔はよくにていましたが、どうやらジャックではないようです。


「わ、わたしは、ノルン」

「ノルン、よろしく」


 ジェックは、ノルンをおこしてくれました。


「ここは、どうなってしまったんだ? どんどんまっ黒になってしまって……」

「まっ黒オバケが、お花の色を黒くしちゃったの」


 ノルンは、ジェックににじ色のお花のことを話しました。


「ボクもいっしょにさがすよ!」

「いいの?」

「ひとりより、ふたりでさがした方が、見つかるって!」

「ジェック、ありがとう!」


 ふたりは、またそろり、そろり。

 まっ黒オバケに、見つからないように、にじ色のお花をさがします。

 ビュゥ、ビュゥ。

 どんどんお花が黒くなっていきました。

 すると。


「ジェック、あそこを見て」


 お花畑の中で、少しだけ、高くなっているところ。

 そこが、キラキラ、キラキラと。

 にじ色に、かがやいているではありませんか。


「きっとあそこだわ!」

「じゃあ、ボクがまっ黒オバケをひきつけるよ!」

「えっ⁉ あぶないわ!」

「ボクは足がはやいから、だいじょうぶさ」


 ジェックは、走りました。


「やい! まっ黒オバケ! ボクをまっ黒にしてみろ!」

「んん? なまいきなヤツだ!」


 ビュゥビュゥ!

 まっ黒オバケの息が、さっきよりもつよく。

 ビュゥ!


「へへっ! 当たらないよ!」

「ぐぬぬぅ! これならどうだ!」


 ビュゥビュゥ!

 まっ黒オバケは、ノルンに気づきません。


「今のうちに、にじ色のお花を……!」


 ノルンも、まっ黒お花畑を走ります。

 少し高くなったところへ向かって。


「にじ色のお花! 見つけた!」


 キラキラしているところの、ちょうどまん中。

 にじ色のお花は、さらにキラキラと光っていました。


「にじ色のお花さん、おねがい! このお花畑をもとにもどして!」


 ノルンのことばに、にじ色のお花からたくさん色がとび出しました。


「なんだッ⁉ うわぁ……わああああ!」


 赤、黄色、青。

 オレンジ色、みどり。

 白に、むらさき。

 いろいろな色が、まっ黒オバケをつつみました。


「おぉ……オレさまの色が……」


 まっ黒はあっという間に、にじ色。


「ノルン! ありがとう!」

「エメ!」


 とおくから、もとのすがたにもどったエメが、とんで来ました。


「あっ、あなたは!」

「エメ? どうしたの?」


 にじ色のかんむりをかぶって、にじ色のお洋服。

 りっぱな白いひげをたくわえたおじいさんが、まわりを見まわしています。


「わしは……いったい……」

「ゆめの王さま!」


 そう。

 まっ黒オバケのしょうたいは、ゆめの国の王さまだったのです。


「えぇ⁉ 王さま!」

「なんで王さまが、まっ黒オバケに?」


 ノルンとジェックは、顔を見あわせました。


「あぁ……わしは、たのしいゆめをわすれてしまっていたのだ……」


 王さまは、自分の手を見て、話します。


「みな、ゆめの中でも、こわいことや、くるしいことばかり。それを、たのしいゆめにかえることが、わしのやく目だったのに……もうしわけない……」


 エメは、王さまの大きな手に、のりました。


「もうだいじょうぶですよ、王さま。にじ色のお花が、たのしいゆめを、思い出させてくれました。このお花畑のように、キラキラしたゆめを、みんなにとどけましょう」

「あぁ、ああ、そうじゃな」

「ボクもおてつだいしますよ!」

「それは心づよい」


 ノルンも、手をあげようとしたときです。


「あれれ?」


 シャボン玉のような光が、ふわふわ。

 ノルンのまわりをとびはじめました。


「ノルン、ここはゆめのせかい」


 エメが、にっこりとわらっています。


「ありがとう。ノルンは、ここのゆうしゃよ」


 ノルンが、みんなに手をのばすと。

 みんなの手が、ノルンにふれました。



 あたたかな光が、ノルンをつつみます。


「ノルン、おきなさい」

「んん……」


 目をあけると、マイヤーおばさんがほほえみました。


「おはよう、ノルン」

「おはよう、マイヤーおばさん」

「どんなゆめを見ていたの?」


 マイヤーおばさんがたずねます。


「お花がいっぱいさいている夢! そこで、わたし、ゆうしゃになったのよ!」

「あら、おひめさまじゃなくて」


 クスッとわらったマイヤーおばさんは、ノルンをだきしめてくれました。

 ノルンも、マイヤーおばさんにだきつこうと手をひらいたとき。


「たね?」

「まあ、小さなゆうしゃさんへのお礼かしらね」


 ノルンは、ゆめのたねを、にわにうえました。

 どんなお花がさいてくれるのでしょう。


「また、みんなに会えますように」


 今日も、ノルンは、たねに水をあげます。

 そこには、いつも小さなにじが、かかっているのでした。




 ~おわり~

お読みいただき、ありがとうございます。

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よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「冬の童話祭」から参りました。 色とりどりのたくさんの花が咲いているなんて素敵な夢ですね。 突然現れたオバケで大変なことになってしまいましたが、虹色の花を見つけて、回復してよかったです。…
[一言] 可愛らしいタイトルだなぁと思っていたら、 お話も可愛らしかったです。 ノルン、頑張りましたね!
2024/01/20 15:58 退会済み
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