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第7話「お家デート(?)」

「おはよ!」


 朝登校すると校門の前で後ろから声がした。


 昨日は結局全然寝れなかったせいか頭が働いてなかった。


 というかそもそも自分に声をかけられたと思っていなかった。


 だって女子の声だったから。


 だからそのまま進んで玄関に行こうとした。


「むむっ、なんで無視するのー?」


 挨拶無視するなんて、そんな酷いやついるんだな。


「おーい、そこの君ー?ねぇ裕涼のことだよ?」


 呼ばれると思っていなかった自分の名前が呼ばれ咄嗟に振り返る。


「え、僕……?」

「当たり前じゃん、この状況で裕涼って君だけだよ」


 そこにいた僕に挨拶をしてくれた人は、天音だった。


「確かに…天音おはよう」


 朝早く登校しているせいか周りには人はまばらだ。


 それを見て僕は少し安堵する。


 声をかけてくれたのは素直に嬉しい。


 でも、天音と僕の今後のためにも意を決して口を開く。


「あのさ、出来ればだけど学校ではあんまり話しかけないで欲しいかも」


 変な噂立てられて天音に迷惑かけても困るしな。


 そう思って言った言葉だったが完全に言葉足らずで天音はショックを受けた表情をした。


「あ、いや天音のことが嫌いとかそういう訳じゃなくてもし学校で僕みたいな陰キャに話しかけて変な噂立てられて天音に迷惑かけたら困るからって意味で…!」

「……そっか、良かった」


 すると天音は安心した表情を浮かべた。


「でもそれなら天音は全然構わないけど」

「いやいや、それでも迷惑かけたら困るから…それは僕の良心が許さないというか…」


 天音はふふっ、と笑って言う。


「じゃあそこまで言うなら学校では(、、、、)極力話しかけないようにするね」


 でも、と言って続ける。


「学校以外ならいいよね…?」


 それはもちろん断る理由もないため僕は首を縦に振る。


「もちろん」

「じゃあさ!私一人暮らしで寂しいから今日家来てくれたり……する?」

「い…いえっ!?!?」


 家はさすがにハードルが高すぎるのでは……?てか昨日深く関わってみたらって言ったのは僕だけどこんな急に距離詰めてくるとは思わなかったな……。


 でも一人暮らしって……いやいや、たとえ親がいなくても女の子の家にずかずか入り込んでくのは違う気がする!


 これは断るべ……き……。


 その時目の前でこちらを伺うような心配そうな表情を浮かべた天音が目に入ってしまった。


「ち…ちょっとだけなら」


 天音のそういった表情を見てしまって断れる訳もなく僕は了承した。


「ほんと!?」


 すると先程までの表情とは一転、天音の顔に花が咲いた。


「ふふっ、やった!これで今日の授業頑張れる〜!」


 じゃあまた放課後、と言い残して天音は足取り軽く玄関へと向かっていった。


「ま、じか……」


 いくら天音が僕のことを気になってることを知っていると言ってもまさかこんなことになるとは思ってなかった。


 天音、そして僕の今後の学校生活のためにも学校のやつらには気づかれないようにしないとな。


 そう心に誓って僕も教室に向かった。


 一旦切り替えて授業を真面目に受けよう!と思った……が、こんな状態で授業に集中出来るはずもなくあっという間に放課後が訪れてしまった。

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