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第16話「空き教室、女の子と二人きりで」

『ごめん、裕涼とは一緒には行けないかな』


 そっか、そうだよな……


 陰キャの僕が学年一の美少女の七海天音を夏祭りに誘うなんて無理だったんだ。


 思い上がった自分が馬鹿みたいだった。


『そうだよね…ごめん』


 それだけ返すと僕はスマホを閉じて机に突っ伏した。


「はぁあ……」

「どうしたんだよ、そんなでかいため息ついて」


 すると前の席の柊優が話しかけてくれた。


「まぁな、いろいろあって」

「ふーん?何事にも興味なさそうで無愛想な裕涼に悩み事なんて珍しいじゃん」

「それ馬鹿にしてる?」


 少しだけ顔を上げてジト目を向ける。


 そして後悔する。


「やっぱ今は柊優の顔見たくないかも」

「何でだよ」


 僕の言葉に柊優がツッこんできた。


「イケメンってずるいって思って」

「なんだなんだー?もしかして恋のお悩みかぁ?」


 しまった、柊優にこんなこと言うんじゃなかった。


 ニヤニヤしてる顔がイラつく。


 いや実際顔を見てるわけじゃないんだけど分かってしまう。


 絶対今ニヤついてる。


「ニヤつくな」

「何でわかるんだよ、裕涼今俺の顔見てないだろ」


 やっぱり……、まぁこういう所で包み隠さないところが柊優のいいところで好きな所でもあるんだけどな。


「相談、乗ってくれるか?」

「任せろ!口は堅いぞー」

「自分で言うあたり逆に心配なんだけど……」


 まあ柊優のことだから本当に口は堅いんだろうけどな。


「じゃあ昼休み話聞いて欲しい」


 柊優になら言ってもいい、全て曝け出してしまっても大丈夫、そんな気がしたから。


「りょーかい」


 そんな会話の区切りと同時に担任が教室に入ってきて朝のホームルームを始めた。


♢♢♢


「なぁ更科、ちょっといいか?」


 1時間目の授業が終わり机に突っ伏していると誰かに声をかけられた。


 顔を上げるとそこにいたのは、天音の親友の志乃だった。


高宮たかみやさん…、どうかした?」


 すると志乃は廊下の方を親指で指差し、ついてくるよう促してきた。


 大人しく志乃について行くと、案内された場所は誰もいない空き教室だった。


「こんなとこまで連れてきて、どうしたの…?」

「ちょっと気になったことがあってね」


 僕の顔をじっと見つめながら話し始めた。


「何かな?」


 すると志乃は一歩ずつ僕との距離を縮めてきた。


 僕は何か嫌な予感がして後ろに後ずさる。


 だが時すでに遅し、壁に追い詰められた僕は志乃に壁ドンでもされてるかのような距離にいた。


「うん、やっぱりそうだね」


 僕の顔をじっと見つめた志乃はそう呟いた。


「何が…?」


 すると一呼吸置いてから志乃は告げる。


「君、天音の彼氏でしょ?」

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