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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

なろうラジオ大賞3

近所の公園に現れた謎サーファーにちょっぴり恋をしてみたい

掲載日:2021/12/10

 近所の公園には池がある。

 大きさはだいたいテニスコート三つ分くらい。

 足の着く深さ。


 そんな池にサーファーが現れた。


 サーフボードに乗って池の上を漂うその人は、白いズボンに黒いシャツに白いチョッキと、冗談みたいな服装をしている。

 性別は女性……かな?


 ショートカットでボーイッシュな見た目なんだけど、遠めだと男女の区別がつきにくい。

 胸もあるし、おそらくは女性かと。


「ねぇ……由美子。またあの人見てるの?」

「うん」

「あんたも飽きないねぇ……」

「うん」


 公園に来ている私は、友達の理沙に呆れられる。


 彼女がこの公園に現れてからというもの、毎日のようにここへ足を運んでいるのだ。


 彼女は優雅に公園の池を操る。

 なぜか突然現れた波に乗って、あっちへこっちへ。


 不思議なことに波は池の縁にたどり着くと勝手に消える。


「あっ……こっち来た」

「え? マジ⁉」


 私が言うと、理沙は持っていたスマホを落としそうになる。


「ねぇ、良かったら一緒に乗らない?」


 彼女はそう言って耳元をかき上げて、ほほ笑む。

 私はすっかり虜になってしまった。


「……はい」

「ちょっと由美子⁉」


 理沙が止めるのも聞かず、私は彼女の元へ。


「あの……優しくしてください」

「なにか、変な勘違いしてない?

 まぁいいけど……。

 ほら……こっちへ」


 彼女が差し出した手を取ると、不思議なことに身体がふわっと浮く。

 そのままお姫様だっこされてしまった。


 サーフボードはまるで意思を持ったかのように動き、池に現れた波を制して勢いに乗る。

 私は彼女に抱きかかえられたまま、波のエネルギーを肌で感じた。


 飛び散るしぶきが私のほほに。

 なぜかちょっとしょっぱい。


 彼女は私を抱き替えながら、悠々と公園の池を遊覧する。

 波は進んだ先から次々に現れ、その都度、方向転換を迫られた。


 右へ、左へと翻弄されているうちに、私の視界はぐるぐるぐるぐる。

 気づいたら意識を失ってしまっていた。


「由美子! 起きなよ!」

「……はっ」

「あっ、気づいた?」


 理沙が言う。


「アンタ、ずっと寝てたよ。1時間くらい前から」

「そんなにぃ⁉」


 うっかり、私は転寝をしてしまっていたらしい。


 今日は学校が早く終わったので、理沙と二人で公園に遊びに来て、ベンチに座ってそのまま……。


「帰ろうか」

「ねぇ、どんな夢見てたの?」

「……秘密」


 そう言いながら立ち上がる。


 ふと、ほほにしずくが付いていることに気づく。

 なめてみるとちょっと塩辛かった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最後がシブいっすね。夢うつつな感じ。ほんの少しだけ夢に引き戻すこの感じ。なるほど。参考にさせて頂きます。たらこさんのラジオシリーズ、今あたらためて読破しましたあ。なんかもう勢いが止まりませ…
[一言] 夢の可能性を感じる短編でした。 思春期に芽生える今まで知らなかった自分を夢に見て、それを騒がずに自分の胸にそっとおさめる。 将来、恋人とのピロートークで使われたらかっこいいなぁと思いました。…
[良い点] 夢ってそういう突拍子もないことばかりですよね。 でもどこか、あるかもしれないっていう感じ。 その絶妙なラインで楽しめました。
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