ステップ5
「おはようございます。
ご気分はいかがですか?」
お世話をして下さる女性が、優しく声をかけて起こしてくれる。
「おはようございます。
声の調子も、戻ってきたような気がします」
「それは、よろしゅうございました」
「ところで、あの…」
自分が、まだ、相手の名前すら知らないことを
とても恥ずかしく思い、勇気を出して尋ねてみた。
「あなたのお名前を教えていただいてもいいですか?」
「これは、失礼いたしました!
わたくしは、グレーゼと申します」
そして、優雅にお辞儀をする。
ふと、夕べ言われたことを思い出した。
ーそんなに悪い人にはみえないのだけれど…
わたしには、とても親切にしてくださるのですもの
「よろしくお願いいたします、グレーゼさん」
そうして、ペコリとお辞儀をする。
「まあ、後丁寧にありがとう存じます。
でもわたくしはご主人さまにお仕えする身、
呼び捨てにしてくださいませ」
「でも…」
「いいえ、いけません。
これから、この国を統べる存在とおなりになるのですから、
堂々としていだかなくては!」
「この国の?統べる?」
わけが分からなくて、首をかしげていると、
はっきり告げられた。
「エスファルディア国の女王となられるのですよ!」