表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

フラスコ瓶の中の世界 〜短編集〜

幸福

作者: Mozu9

 その少年は、今朝もいつもと同じ時間に起き、いつもと同じように、歯を磨き、朝食を済ませ、身支度をして工場に出勤した。

 そしていつものように仕事をし、1日の3分の1を無駄にした様な気分で帰路につく途中、少年は1人で呟いていた。

「自分は今幸せなのだろうか、幸せじゃないのなら、何が足りないんだろうか?」

 そして少年は、ある事を思いついた。

「よし! 皆んなに幸せについて聴けばいいか!」 

 少年は、すぐ行動に取り掛かった。

 まず、少年は、近所の花屋の店主に質問してみた。

「すみません、少し質問していいですか? あなたにとって幸せってなんですか?」

 すると、花屋の店主は、少し悩んでこう答えた。

「そうだねぇ…… 道端なんかで、ふいに綺麗な花を

見つけた時は、心が和んで幸せと感じるなぁ……」

 少年は少し感心した。

「なるほどなぁ…… 綺麗な物を見つければいいのかぁ……」

  そして次に少年は、隣に住んでいる大学生に、同じ質問をした。

  大学生はすぐ答えてくれた。

「僕は最近ゲームにはまってて、特にRPGなんかが好きでね、キャラクターが成長した時なんかは、すごい達成感で幸せだと思うね!」

 少年はまたまた感心した。

 そして少年は、たまたま会った、いとこのOLのお姉さんにも質問してみた。

「ごめん、ちょっといい? 今、幸せについて聴いてるんだけど、幸せって思うのはどんな時?」

  いとこのお姉さんは、突然の質問に少し驚きながらも、答えてくれた。

「えぇ?! うーーんとそうねぇ……最近は、家庭菜園なんかをしててね、これがね家の中で出来ちゃうの、ものすごく簡単で、育てた後には、自分なりに調理して食べるの!」

「なるほどなぁ…… 最後には食べるのかぁ……」

  少年は、いろんな考え方を聴いて、頭の中でそれを整理しながら歩いていると、ふいにそこに、小学生か中学生くらいの、綺麗で可愛らしい少女がいた。

 そこで少年ははっと、ある考えを閃いた。そして少年はそれをすぐ行動に移した。 素早く少女を抱き抱え、家に連れて帰った。

 家に帰った後、少女は何が起こったかわからず唖然としていた。少年はそんなこと気にもせず、冷蔵庫からたくさんの料理を出してきた。

「ほら、食べろ」

 そして少女は、恐怖で言われるがまま従った。

 数日後、少女が少し肥えたのを見計らって、少年はどう調理して食べるかを考えていた。

 すると突然、大きな音とともに、何人もの大柄な男が部屋に入ってきた。

「警察だ! 大人しくしろ!」

 少年は捕まり、牢屋に入れられた。そこで少年はあることを考えていた。

「自分は、幸せのために行動していただけなのに、なんで悪いことなんだ?」

 そこで少年はある事を思った。

「もしかして、誰かが幸せになるためには、誰かが不幸にならなくちゃいけないのかなぁ……」

 そして少年は最後に、そこにいた看守に、今までと同じ質問をした。

 すると看守は皮肉たっぷりにこう答えた。

「お前みたいな極悪人を、捕まえた時は幸せだよ!」

 よかったぁ、不幸でも幸せになれるのかぁと、少年は、頭の中で呟いて、そして真底安心して、少しの幸福を感じた……。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ