女神様と天使の僕。
どーも、僕天使です。
愛と平和の女神様の専属天使やってます。
まぁ、女神様って言っても思念体だから、実際は性別なんて無いんだけどね。
たまーに人と会う時に女性の姿だから女神様っていう事になってる。
実はこの度魔王復活が確認されたから、勇者が誕生したんだよね。
これは戦いの神様が選んでるからうちの女神様の出番は加護を与えるくらいなんだけど、いかんせんアホ…じゃなくてそそっかしい方なので、使途不明の加護とか間違えてあげちゃう。
過去には「花畑創造」「もらい泣き」なんていうのもあった。
花畑を見たらみんなが癒されるから。
人の感情に寄り添うことが出来るのは人として大切だから。
っていう事らしくて、確かにうちの女神様っぽい加護だよね。
でもさ、それって勇者に必要かい?
というより、与えた割にすっごく焦ってたのを僕は知っている。
なので、僕の一番大事な仕事は変な加護を与えない様に見張ること。
それ以外にもこの人色々と問題起こすから、ホント疲れる。
主に精神的に。
「加護って何あげたら喜ばれるのかしら?」
なんて、さっきからずーっと考え込んでた女神様が聞いてきた。
「そうですね、過去に加護を与えた勇者様方のさけ…願いを総合すると、とにかく強いもの、もしくは、誰からも愛されるものが良いのではないでしょうか?」
思わず叫びっていってしまうところだったよ、危ない危ない。
「やっぱりそうよねぇ。そうだわ!考えても選べないからルーレットで決めれば良いのよ!」
「止めて下さい」
食い気味で止めるよ!流石に勇者可哀想だし!また変な加護とかになったら流石にフォローしきれないし!
ダメかしら?って、そんなこと言われてもダメに決まってるよ!
こういう時女神様が思念体で良かったと心から思う。上目遣いで言われたらうっかり許可してしまう自信があるからね!
うちの女神様美人さんだから!
そんなやりとりが3時間ばかし続いたところで、他の神様達からさっさと決めろ!との御言葉を、いつもの事ながら僕がいただいてしまったので、さくっと決めていただきたい。
というのをオブラートに幾重にも重ねて伝えてみた。
「んー、決めたわ!博愛、白の奇跡、この2つにするわ!」
おー、女神様にしてはとてもまとも!
『博愛』は偏見や差別に問わられない心をもてるっていう微妙な加護だけど、『白の奇跡』は荒れ果ててしまった地や、魔にとらわれてアンデットになってしまった人を浄化出来る、とても強い加護なんだよね!
さすがうちの女神様、やれば出来るって信じてた!
と思ってた5分前の僕を振りかぶって殴りたい。
えぇ、やってくれましたよ、加護を与えるその瞬間に!
「此度の勇者よ、私が貴方に与える加護は『白の奇跡』『花畑創造』の2つ。この先、とても辛い旅路になると思います。しかし、この世界は貴方にかかっているのです。よろしくお願いします」
だってさ!白の奇跡残したのは素晴らしい選択だけど、また花畑だよ!
どんだけ花畑好きなんだよ!
最後まで気を抜いたらいけないって事忘れてた!
人間相手によろしくお願いしますって言える謙虚さは自慢出来るけど、浄化した地を花畑にしたら綺麗かなって思って、じゃないからね!
使い道限られ過ぎだよ!
「素敵な加護ですね、ありがとうございます」
とか笑顔で言えちゃう勇者、かっこよすぎる。
僕の精神は尋常じゃないくらい疲れたけど、勇者が喜んでくれてるから良いよね。
最後に一礼をして神の間から出て行った勇者を見送って、儀式は終了。
この先は僕ら天使はもちろん、神様達も一切手助けが出来ないから、見守るだけ。
僕としては、強大な力を手に入れた勇者が道を踏み外さないのを祈るばかりだ。
過去に何人かいたしね。
さて、女神様、そろそろ戻りましょうか?
貴女の大好きな花に囲まれた僕たちの世界に。
って、何年で魔王討伐するかなんて賭け始めないで!!!
この後勇者には花畑を作りまくってほしい。