転生のきっかけ?
りいくんはにげていた。訳がわからなかったから。道行く人が自分を振り返る。ぶつかって、追いかけられて走って逃げて。人を軽く殺したり自害したりするやつがいるなんて恐すぎた。
街外れまでやって来て、枯れ木の下に座った。メニューウインドウからマップを開いたが、現在地はどこにもうつらなかった。
プレイヤーネーム リーオン 相川理苑は、男性だ。もう6年生にもなるのに、一人称がりいくんである。そのために小学校からいじめられてきたのだ。撃ち込んだのは勉強とゲームで、勉強はそこそこいいくらいなところであるが、げーむは廃人レベルだ。すでにカンスト…1200レベルまでいっており、反射神経だけは動物顔負けただ。
(ログアウト…出来な。。。。もーやだ)
地面に寝そべって空をみた。
あ、索敵に2つかかった。
先ほどの少年は街から離れたところにいた。枯れて、今にも倒れそうな機の横にねそべってて、あくびなんかしている。
「!!」
可愛いその動作の後ろに、獰猛な(ダークウルフ)が忍びよっていた。全く気づかない素振りの少年を見て、助太刀しようと宝剣をかまえたものの、やめた。
その少年の目こそ、真のケモノだったから。
ガザザ
狼の飛び掛かったところから、少年は後宙をしてよけた。とても小さな無駄のない動作は、恐ろしくも美しかった。少年は、そのまま狼の四角から一気に飛び掛かった。
(獲物も持たず、どうする? 素手か?)
その後の動作は予想外だった。少年は、口を開いて、はえそろった牙で噛みついた。
「ぼうぇいん[ドレイン]」
狼が動かなくなり、死んだ。
一時の沈黙の末…。
「ナイスファイト! 久しぶり、リーオ」
「まさか…! ライン?!」