旅は道連れ世は情け
綺麗な空。よく踏まれて汚れていろんな歴史を見続けてきた足元のレンガ。壁や塀と同じく、人を守り見守りただじっとしてきた。清々しい空気もそうだ。行き交う人々を守っている。
「おい、ちょっと来やがれ」
その中のちょっとしたトラブルのようなもの。黒髪黒目の少年が、憲兵に呼び止められていた。黒いTシャツに、黒い半ズボン右手にゲーム機を持っている。普通の格好だ。今が冬じゃなくて、ここが異世界でなければ!
「ついていってみっか」
通常、黒髪や銀髪、銀目、グレーの目などは魔族しかいない。少年は常識など知っているはずがない。万が一のときはたすけだすつもりだ。(なんとなく)
「ふ、キミは神に踊らされている操り人形なのさ…」
やっぱり助けない。
「嘘です嘘です」
おろおろとする神(ドジ媚売りくず)をスルーして、ぼくは[隠蔽]を使った。路地裏へと少年を引き連れていくメタリックブルーの髪の毛のオヤジ憲兵を後ろから追った。2、3回曲がり角を曲がった所で少年が、大きな丸い目を不安そうに右往左往させてぼくの方をむいてきた!
(み? みえてる?)
「おっさん、そこに誰かいますよ?」
「ば・カヤロー!!!!!」
さすがは憲兵。腐ってもオヤジ(んなことわざはない)とはこのこと。オヤジが投げた投剣は、ぼくの肺に突き刺さった。
ドス
[隠蔽]をといて、自らの心臓に投剣を刺しなおす。投剣には特殊な儀式の神聖力が込められており、精鋭な憲兵だということがわかった。
驚く2人の顔をみてニッと笑ったぼく。後ろに傾け倒れ、死亡。鮮血が噴水になった。
「[幻影」!」
死体をコピーし、幻として複製。魂になったぼくは、オヤジの真上で復活した。
「!!」
硬直しているオヤジを体術で押さえ込み、[創造]しすスタングレネードを[隠蔽]空間内で爆発させて気絶さした。
「色々といいたいことが、?」
寂しくて暗い路地裏に、少年はもういなかった。