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少年(?)山田の胃が痛い日々  作者: 夏澄
プロローグ
3/95

3・体育館裏で

ベタです。

体育館裏って、ベタだよね。


今日の最後の授業は体育だった。

授業が終わりジャージに着替えに行く途中で、体育教師から

「体育委員が欠席してるから、代わりに片付けをして」

と言いつけられたわたしは体育館裏の用具室へと向かった。

ちゃっちゃと片付けを終え、用具室から出て行こうとしたところで、外から誰かの声が耳に入ってきた。


「本当にごめんなさい」

泣き声混じりの謝罪の声。


あぁ、この声は聞き覚えがある。

放課後の体育館裏、よくあるお断りのセリフ。

ベタなシチュエーションだな、と用具室からそっと外を伺うと

「やっぱり」

そこには目に涙を溜めた桃姫と項垂れる男子生徒がいた。

桃姫は授業後、すぐに着替えたらしく制服姿に戻っている。

きっと帰り途中に呼び出しをくらったのだろう。


確か彼はサッカー部のエース松本君。

爽やかイケメンの彼も例に漏れず桃姫に好意を寄せていたようだ。

「そっか。何となくそんな気がしてたんだ。悪かったな」

そう言って去っていく彼は、後ろ姿も爽やかだった。


さてどうするか。

松本君は去っていったが、桃姫はまだ涙が乾かないのか、しばらくこの場を去りそうにない。

今日は放課後に生徒会の仕事はないし、読みたかった本の新刊が出ているはずなので

帰りに駅前の本屋にも寄りたい。


(でもこのまま出て行くのも気まずいし。正直、関わりたくないし。さっさと帰ってくんないかな。)


ふと気を抜いたのがまずかったのか、その時扉が軋んでカタッと音が鳴ってしまった。

振り返った桃姫と目が合う。

「・・・山田さん。ごめんね、変なとこ見られちゃった」

赤い目をコシコシこすって照れ笑いする様子も可愛いらしい。


こういう仕草一つとっても、わたしとは人種が違うと感じさせる。

きっとわたしが泣きながら目をこすったところで、「どうしたの?目にゴミでも入った?」

と言われるのが落ちだろう。


関わりたくなかったが、目が合ってしまったのでは仕方ない。

わたしは渋々といった空気を彼女に感じさせないように、用具室から外へ出た。

「わたしの方こそ。覗き見するつもりはなかったんだけど、大丈夫?」

いい加減、告白慣れしても良いだろうに、毎回申し訳なさそうに涙する彼女は、

真剣に相手の想いを受け取れる人なんだと感じて好感が持てる。

こういうところがまた、男心をくすぐるのだろう。


「ありがとう山田さん。もう大丈夫だから」

わたしの登場にビックリしたのか、彼女の涙はいつの間にか止まっていた。

これなら大丈夫だろう、と挨拶を交わして帰ろうとした時・・・・・




突然の浮遊感がわたし達2人を襲った。

例えるなら、急降下するフリーフォール状態。

桃姫は「きゃあっ。」と可愛らしい叫び声をあげ、わたしは「うぎゃっ。」と可愛げのない叫び声をあげていた。





気が付くと、わたしは桃姫の下敷きになって石畳の上に転がっていた。


(だから関わりたくなかったのに)




ベタですみません。文才欲しい。

次回からファンタジーへ移行です。

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