2・わたしと彼女の関係
「知人以上友達未満」
それが私と彼女の関係である。
私と彼女の出会いは中学2年生の時のこと。
彼女は当時から可愛かった。クラスに1人はいるマドンナ的存在。それが彼女、相原 桃子だ。
時々、男子生徒に告白されたりはしていたようだが、このころはまだ今のように逆ハーレム状態ではなかった。
彼女の魅力は年々強さを増してきているように思う。
もっとも、中学の頃は恥ずかしくて告白に至らなかった男子が、高校生になり、今のように激しく求愛してくるようになったのもあるだろう。
同じクラスとはいえ、彼女とはあまり交流はなかった。
ただ単に、交友関係の輪が違ったのが原因だ。彼女は男友達が多く、わたしは半々だった。
彼女は元来明るい性格だから、男子だけでなく女子とも普通に仲良くしていたようだが。
まあ、モテるので、一部の女子からは多少のやっかみはあったようだ。
わたしは恋愛系のことにあまり関心がなかったので、最初彼女のことは「可愛くてモテる子」ぐらいの認識しかなかった。
むしろ、リアルで乙女ゲーの主人公を見ている気分になれて面白い、とさえ思っていた。
でもそれはあくまで自分が蚊帳の外にいる場合限定だ。自分に迷惑が被る状況になると、笑って見ている状況ではなくなる。
ある日、わたしの男友達Aが、桃姫に告白して玉砕した。
彼女曰く、「良いお友達でいて」とのこと。
その男友達Aは「良いお友達ってなんだよ!?」と泣いていた。
彼は相当入れ込んでいたらしく、復活するまでの一週間、毎晩電話で愚痴られた。あの時は寝不足になって小テストでミスを連発するわ、母親からは「あんた彼氏できたの?」と言われるわで精神的にきつかった。
ある時は、わたしの男友達Bが、桃姫に告白して玉砕した。
彼女曰く、「友達以上には見れない」とのこと。
その男友達Bは「恋愛対象に見られない俺ってダメな奴!?」と泣いていた。
彼は吹っ切れる手段として、「バカヤロー!!」と叫ぶためだけにわたしを誘って海へ行った。移動手段は自転車だった。(わたしの家から海へは自転車で3時間かかる。)
あの時は夏場で、危うく熱射病になりかけ、日焼けあとの皮がめくれて痛いわ、筋肉痛で2日は動けなくなるわで肉体的にきつかった。
似たような事がその後3回は続き、最後にはバカバカしくなって、振られた友達F以降は泣いているのを発見しても関わるのをやめた。
友達Fには「薄情者~!」と言われたが、無視しておいた。
思えばこの頃からわたしの胃は荒れていたように思う。
今あげたのは男友達の場合だが、女友達の場合もあった。
「好きな人が桃姫のことを好きになった」というパターンがほとんどで、
中には「彼氏が、桃姫が1番でお前は2番だと言ってきた」という酷いものもあった。
その度に、オールでカラオケ、ケーキバイキングのドカ食い、衝動買いの荷物持ち、等のフォロー役にまわった。
男友達のフォロー役は断っても、さすがに女友達はないがしろにできなかった。
(散々、引っ張りまわされましたとも。)
わたしは桃姫に直接、迷惑を被ったことはない。
(でも、火の粉がこっちに飛んでくるんです!)
わたしと彼女の関係は
「知人以上友達未満」
それだけで良い。
(ってか、頼むからこっちに火の粉が飛んでこないようにお願いします。)
火の粉か飛ばないように願うが、そうはいかない話。