8話 主と夜叉(3)
ス「さて今回は遠足編最後だぜ。」
エ「ついにあの2人しちゃったね。」
ス「さすがにビビった。」
エ「じゃあ今回は説明が多いけど、分からないとこがあったらごめんなさい。感想で質問してくれたら答えますよ。では、見てください!」
「さがっていろ。」
そう言うレビィの目は、獲物を狩る獣のような目付きになっていた。
「レ、レビィ…?」
シャインが困惑する。
「ガアァァァァ!」
そこにナルガクルガが襲いかかってきた。
「危ねぇ!」
スノウ達がヘルプに入ろうとするが、もう間に合わない。するとレビィがおもむろに刀を抜く。
「夜刀、[無月]!!」
目に見えないスピードで、ナルガクルガを切りつけた。そして、刀を鞘に納めた瞬間、ナルガクルガが真っ二つになり、消滅した。
「つ、強い…」
シャインが驚きを隠せない。
レビィはシャインに近付き、膝をつき、頭を下げた。
「無事でなによりです、我が主。」
「どうしたんだよレビィ…?」
シャインが不振に思う。
「頭を上げないレビィ。事情が分からないシャインにそんなことをしてもパニックになるだけよ。」
サナが間に入る。レビィが頭を上げ、立ち上がる。そこにあとの3人も集合する。
「事情ってどういうことだ?」
シャインが聞く。
「ちゃんと説明するわ。」
サナが説明を始めた。
「まず夜叉族について説明するわね。夜叉族は大昔にいた戦闘種族で、その圧倒的な力でほかの民族を支配していたんだけど、ある弱点があったの。」
「弱点?」
エアルが首を傾げる。
「主という存在がなければ我々夜叉族は本来の力を使うことができないのだ。」
レビィが代わりに答える。
「なんで?」
「我々夜叉族は主を守るのが使命なんだ。そしてその主と契り、つまりキスをすることで力が引き出せるのだ。」
「ふ~ん…」
エアルが頷く。
「待て!じゃあ俺はレビィと…その…キ、キスしたから俺はレビィの主になった、てことか?」
少し顔を赤らめてシャインが聞く。
「そう言うことだ。」
レビィが頷く。
「うわ~同級生が主って変な感じだね。」
エアルが苦笑いする。
「主になるためには3つの条件が必要なんだ。 1つ:自分が男なら女、女なら男と契る。2つ:主が魔法が使える。3つ:その主は自分が認めた男、女である。 の3つだ。」
レビィが説明する。
「待て、1つ目と2つ目の意味は分かるが3つ目ってどういう意味だ?」
シャインが尋ねる。
「つまり『好きな』人間であるということだ。」
レビィの言葉に、
「つまり…」
「レビィは…」
「シャインのことが…」
「好きだったってこと!」
サナ、ヒューズ、スノウ、エアルの順に驚いていく。
「マ、マジかよレビィ…」
シャインが顔を真っ赤にしていると、
「知らんわ、私ではない。」
レビィがそっぽ向く。すると、今のレビィの言い方にエアルが疑問に思った。
「さっきからずっと気になっていたんだけど、今のレビィといつものレビィって、性格どころか人そのものが違うよね?」
「どういう意味だ?」
レビィが首を傾げる。
「だって今『私ではない』って言ったじゃん。ということは今のレビィといつものレビィが別人だって言ってるもんじゃない。」
「まあな、今この会話はお前達が知っているレビィには聞こえてはいない。」
レビィが答える。
「つまり、私達が知っているレビィとあんたは体だけ一緒であとの思考や能力は全くの別人ってことね?」
サナの言葉にレビィが頷く。
「なんかややこしいね。話している時、いつものレビィや今のレビィって分けなきゃいけないし。」
エアルが言う。
「だが、レビィはレビィだ。レビィと呼べばいいんでないか?」
レビィの提案に、
「でも全くの別人なんでしょ?」
エアルが否定する。
「ではどうするんだ?」
「名前変えるってのはどうだ?」
シャインが突然提案する。
「それいいね!」
エアルが賛成する。
「では私達が知っているレビィはレビィでいいと思いますが、今の状態のレビィは何と呼ぶんですか?」
ヒューズがシャインに尋ねる。
「う~ん………………… ! 『ナイト』ってのはどうだ?」
「騎士という意味か?」
レビィが尋ねる。
「ちげぇよ。『夜叉』→『夜』→『night』→『ナイト』っていう意味だ。」
シャインが説明する。
「いいねそれ!それにしよ!」
エアルがノリノリだ。
「まあ、別に私はなんでもいいが。」
レビィが承諾する。
「じゃあ決定ね。」
こうして夜叉モードの時のレビィはナイトと呼ぶことになった。
「話が少し脱線したけど分かった?」
サナが4人に尋ねる。
「夜叉族は自分で主を見つけ、その主に仕え、守るのが使命。」
「そしてその主と契り、つまりキスをすることにより自分の力を解放できる。」
「そして主の条件は自分が好きな人。」
「そしてその主というのが、この俺…」
スノウ、ヒューズ、エアル、シャインの順にまとめていく。
「そう。」
サナが頷く。
「もう驚かないのシャイン?」
エアルが尋ねる。
「驚いてもなんもなんないだろ。」
シャインが頭をポリポリかく。
「じゃあ主になること受け入れんのね?」
サナが尋ねる。
「なっちまったのはしゃーないからな。」
シャインが承諾する。
「実はキスしたことまんざらでもなかったんだろ?」
スノウが茶化す。
「べ、別にそんなんじゃなねぇよ。」
シャインが必死に言い訳する。
「さて、そろそろ魔力が切れそうだ。サファイアの方に戻るから説明しといてくれ。」
「消えちまうのか?」
「違う。心に戻るだけだ。」
そう言ってレビィはパタッと気を失い、髪が黒から紺に戻った。
「う、う~ん…何がどうなったの?」
レビィが気が付き目を開けると、瞳も赤から青に戻っていた。
「とりやえず説明するわ。」
サナは何がなんだか分かっていないレビィにさっきまでの出来事を説明した。
「わ、私とシャインがキ、キスをして主と夜叉で…」
レビィは完全パニック状態になった。
「落ち着けよレビィ。」
シャインがおさめる。
「だ、だって私とシャインは主と夜叉の関係になったのよ。ギクシャクしちゃうじゃない。」
レビィがモジモジする。そんなレビィにシャインが手を差し出す。
「主と夜叉の関係になっても俺は俺、お前はお前のままだろ?それでいいんじゃないか?」
「う、うん!」
レビィが差し出された手を握る。
「さて、いろいろありましたが、今日で終了らしいですね。」
ヒューズがそう言いながら洞窟の外を見る。あとの5人も見ると、森の奥から先生達がこちらに向かって来ていた。
「みんな無事ですかー!」
その中からナナリー先生が叫ぶ。
そして6人は先生達に保護され、無事に龍空高校に帰ることができた。
次の日、レビィは何事もなかったように自分の席に座って、エアルとサナと話していた。
「たく、好きな人がいるなら気を付けろって言ったのに。」
サナが怒る。
「そういう意味だったんだね。」
レビィが登山をしている時にサナに言われた言葉の意味を知って納得する。すると、
「だが私には早く契れと言ったではないか?」
突然レビィの人格が変わった。
「ナイト、学校では出てきちゃダメでしょ。」
エアルが注意する。
「少し気になっただけだ。聞いたら帰る。」
「いや、最初は面倒になりそうだなと思ったんだけけど、後々考えれば契った方が強くなれるかなって思っただけ。」
サナが理由を答えると、
「そうか。」
そう言ってサファイアに戻った。
「また勝手に出てきたのね…」
レビィが呆れる。
「で、実際どうなの?」
ズイッとエアルがレビィの顔に近付ける。
「な、何が?」
「シャインのことだよ。好きなの?」
エアルの目がキラキラと輝いている。
「べ、別に好きって訳じゃなくて、あの、その…」
顔を真っ赤にしてレビィが言い訳する。
「でも好きじゃなきゃ、契った時に力なんか解放しないわよね。」
サナに言われ、レビィが諦める。
「でもホントに好きって訳じゃないのよ。何て言うか…守りたい人って感じ?」
レビィが最後の言い訳を言う。
「なにそれ~」
3人が笑っていると、
「朝っぱから元気だな。」
シャインが登校してきた。
「シャ、シャイン!あ、あの~お、おはよう。」
レビィが照れながら挨拶する。
「ああ。おはよう。」
シャインはいつもと変わらない感じで挨拶し、自分の席に座り、2秒で寝た。
「こ、こいつ学校に何しにきてんねよ…」
サナが呆れる。
「なんだかんだで意識してんじゃん。」
エアルがツンツンとつつきながら茶化す。
「う、うるさーい!」
レビィが照れながら怒る。
レビィの高校生活は荒れていきそうです。
シ「……」
レ「……」
ス「何か喋れよ2人とも。」
エ「そうだよ。次回予告しなきゃ。」
シ「……」
レ「……」
ス「ダメだなこりゃ。」
エ「じゃあ私が代わりに、次回は迷子の子を助ける話だよ。」
ス「ガラッと話の感じが変わるな。」
エ「休憩話みたいなものだって。」
ス「ふ~ん…」
エ「では、次回もお楽しみに!」
シ「おっしゃー俺の勝ち!」
レ「ま、負けた…」
ス「て、お前らただテトリスしてただけかよ!」
エ(テトリスってそんな無口になる…?)