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魔法学園  作者: 眼鏡 純
77/88

77話 男→女

眼鏡「皆さんこんにちは!今回は休憩回です。のんびりと見て下さい!では!本編をどうぞ!」


眼鏡「誤字、脱字等で読みにくい場合は申し訳ありません。」


 色んな事が起こったBOMから時は経ち、高校2年の夏休みはあっという間に終わり、二学期が始まる日。





───ちょっとした事件が起きた。






 


──ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ

──ミーンミンミンミンミンミンミンミンミン!

 目覚まし時計の音とまだまだ元気な蝉の鳴き声によって、布団の中で目を覚ましたシャイン。起きた直後に蝉を聞いたことにより少し不愉快な顔しながらも目覚まし時計を手にした。AM7:00とデジタルで表記されている。

(…そう言えば今日から学校か…面倒だ…。)

そう思いながらも布団から出て、顔を洗おうと洗面台に向かった。

(体ダルいなぁ〜…妙に胸が重いっつうか…)

黄緑と黒の髪をくしゃくしゃしながら洗面台に到着した。そして鏡を見た時だった。

「………あれ?」

思わず声が漏れた。それもそうだ。鏡には知らない人物が映っているのだから。しかも鏡に映っている人物は自分と同じ動作をするのだ。シャインという人物とは、肩くらいに伸びた髪は鮮やかな黄緑と黒が混じっており、瞳は黄緑である。そして現在鏡に映っている人物は、肩より少し長い髪はシャインと同じ色合いをしており、瞳も同じく黄緑であった。だがしかし、決定的に違うところがあった。シャインは『男』、鏡に映っている人物は……『女』なのである。鏡に映っている自分に似た女が自分と同じ動作をする。寝ていた脳が起きてきて、シャインは自分に起きている状況に薄々感付いてきた。

「ま…まさかな…」

シャインは恐る恐る自分の胸に両手をあてた。すると、ムニュッとした柔らかい感触があった。

「い…いやいや…有り得ないはずだ……」

認めたくない。だから最後の砦に託した。シャインは下半身の方に手をやった。


──なかった。男である象徴が。


「な、なんじゃこりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

可愛らしい叫び声が夏の空に響いた。








 場所は変わってサファイア家。

「行ってきまーす!」

そう言って家から出て来たのは、紺色ロングヘアーで、青色の瞳を持ったレビィである。

(はぁ~…まだまだ暑いな~。)

残暑の暑さに耐えながらも歩くこと数十分、龍空高校に到着した。校門から校舎までの間を歩いている途中、女子寮がある方向から、

「おっはよー!レビィ!」

オレンジのショートヘアーをうなじの後ろで少しだけ留めており、赤色の瞳を持ったエアルが挨拶しながら勢い良く抱き付いてきた。

「おはようエアル。まだ暑いのに元気ね。」

やんわりとエアルを自分から離すレビィ。

「暑いからってだらけたらダメだよ!逆にこの暑さを楽しまなきゃ!」

「うん…エアルの元気は残暑より暑いわ…。」

エアルの元気一杯にレビィが少しげんなりしていると、周囲の生徒達が校門の方を見ながら何かザワザワし始めた。2人も何だろうとクルッと校門の方に振り返った。するとそこには、男子生徒の制服を着た女子生徒がこちらに向かって歩いてきていたのだ。

「あの子何で男子の制服なんて着てるんだろ?」

エアルが首を傾げた。

「それよりもあの髪の色……絶対見たことあるよね。」

男装している女子生徒の髪の色は黄緑と黒。とても見慣れた色合いだ。そんな女子生徒がレビィとエアルに気が付いて2人に近付いてきた。

「………よう…。」

とてもテンションが低い挨拶。しかも男口調。だが声は可愛らしい。

「えっと…どちら様ですか?」

レビィが優しく尋ねる。

「オレだよオレ。」

ボクっ娘ならぬオレっ娘!?……というのは置いといて、どうやら知り合いのようだ。

「ねぇエアル、この子誰なの?」

レビィがエアルに囁く。

「知らないわよ。レビィの知り合いでしょ?」

エアルが囁き返す。

「知り合いだったらどちら様なんて聞かないわよ。」

最もな意見である。その時、レビィとエアルは女子性の腰にぶら下がっているある物を発見した。それは刀であった。しかもその刀はとても見たことがある。名前も知っている──『風砕牙』だ。風砕牙を所持している人間は『あの男』しか知らない。だが目の前にいるのは『女』だ。でも『あの男』しか持っていない刀を持っている──1つの答えが導き出された。しかし、こんな答えは有り得ない。有り得ないがレビィは恐る恐る尋ねた。

「ま…まさか…『シャイン』……じゃないわよね?」

すると女子生徒は少し目を逸らしながら、無言で頷いた。

「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」」

レビィとエアルの驚きの声が高校全体に響いた。







 『シャインが女になった』。この事は瞬く間に広まり、シャインがいる2年3組の教室の前の廊下には、女シャインを一目見ようと、他のクラスの生徒などが来てちょっとしたお祭り騒ぎである。


 「ぎゃはははははははははは!!!!」

一番窓側の列の一番後ろの席の近くの床を抱腹絶倒で転げ回るスノウ。その席には、現在動物園の動物のように見せ物状態の女シャインが不機嫌な顔で座っている。座り方は股を開いた男座りである。

「……笑いすぎだろ。」

シャインが怒るが、可愛らしい声のせいで迫力が欠けている。

「夏休み明けあるあるとして、背がめっちゃ伸びてるとか髪の色が違うとかはあるけど…まさか性別を変えてくるとは……!ぎゃはははははははははは!!!!」

スノウの笑いが止まらないので、流石にイライラしたシャインは、

「うるさい!」

転げ回るスノウの腹を思いっ切り踏み、強制的に止めた。踏まれたスノウはごふぁっ!という断末魔を叫ぶと、その場で仰向けに倒れ、気を失った。

「とにかく、女の子になっちゃった原因が分からないと戻す方法も分からないしね。だからシャイン、原因は何なの?」

エアルが机を挟んでシャインの真正面から尋ねる。

「……分からねぇ。」

可愛らしい声の男口調で答えるシャイン。

「BOMが終わってからこの日まで何か変わったことはなかった?」

エアルの隣にいるレビィが尋ねる。

「ん〜…覚えてねぇんだよな…。」

「そこが大事なんでしょうが…。」

エアルがため息をついた。そこに、緋色髪を三つ編みした少年アレンとサラサラ茶髪に眼鏡をかけたヒューズが現れた。

「シャインが女に目覚めたと聞いてやってきたのですが、想像以上の仕上がりですね。」

「真面目に言ってるならその眼鏡叩き割るぞ。」

ヒューズに対してシャインが素のトーンでツッコんだ。

「本当に女の人になったんだね。」

アレンが言う。

「ああ。朝目覚めたらな。」

シャインが大きくため息をついた。

「ねぇアレン、ヒューズ、性別を変える魔法なんてあったっけ?」

レビィが2人に尋ねる。

「私は知りませんね。」

即答のヒューズ。

「もうちょっと考えてよ…。」

レビィがげんなりする。

「う〜ん…一時的に性別を変えることが出来る魔法は知っていますが、こうも完璧に性別が逆転する魔法は知りませんね。」

アレンが首を横に振った。

「そっか〜…」

レビィが小さくため息をつく。気を失っているスノウ以外が思考していると、ヒューズが何の舞ぶれもなく

「しかし、えらく綺麗な女性になりましたね。」

と、椅子に座っている女シャインを下から上にスーッと見る。今のシャインは、髪と瞳の色は男と同じだが、髪は通常よりも少し長くなっており、女性特有の丸みのある体付きにCくらいの胸があり、眼の鋭ささえ目を(つむ)ればかなりの美人である。

「な、何言ってんだ…お、俺は男だぞ…。」

何だか恥ずかしくなったシャインが顔を赤らめた。

「なに顔を赤らめているんですか。気持ち悪い。」

真顔でヒューズが罵声をあびせる。

「うん…後で絶対眼鏡割ってやるからちゃんとスペア用意しておけ。」

シャインが破壊宣言をした時、チャイムが鳴った。

「おっと、チャイムが鳴ってしまいましたね。ではまた。」

そう言うと、ヒューズ達は自分の教室に戻って行った。

「はぁ~……て、お前は早く起きろ。」

シャインは大きくため息をついてから、床で倒れているスノウををゲシッと蹴った。スノウはぶへっ!と言って目を覚まし、状況を理解すると、自分の席に座りに行った。そしてチャイムから数分後、担任である黒のショートヘアーに眼鏡をかけたナナリーが教室に入ってきた。

「廊下の方に他のクラスの生徒が沢山いましたが、何かあったのですか?」

ナナリーが生徒達に尋ねると、生徒は一斉に視線をシャインに向けた。ナナリーは生徒達の視線に釣られ、同じくシャインの方を向き、驚愕した。

「シャ、シャイン君…?その姿は…?」

「……俺が知りたいくらいです。」


 シャインは昼休みに職員室へ行くことになった。


 昼休み。簡単に昼食を済ませた女シャインは職員室にいた。近くの席にはナナリーが座っている。

「シャイン君、この姿は一体どういうことですか?」

ナナリーが直球で尋ねた。

「だから、オレが聞きたいんですって。」

シャインがげんなりとした顔でため息をついた。

「俺が聞きたいって……性別が変わっているのに原因が分からないのですか?」

「そう言うことです。」

「……突然性別が変わるなんて有り得ません。何かしらの原因が必ずあるはずです。よく思い出して下さい。」

「よく思い出してって言われてもな~…」

そう言いながらも記憶を遡ってみるシャイン。

「何か変な魔法をかけられたり、変なものを食べてしまったり……」

「変なもの…」

シャインはその言葉である記憶を思い出した。

「何か思い当たる事があるの?」

ナナリーが尋ねる。

「確かあれは……」

シャインが記憶を遡りながら話し始めた。







───二学期が始まる少し前。久々に登場『メイビス』家。


 「パートナー?」

広い客室の豪華なソファーに座るシャインが首を傾げる。

「ええ、そうです。」

豪華な机を挟んで同じソファーに座る燕尾服を着た60代の執事、『フレデ』が頷く。

「明日『ミビラル家』で息子さんの誕生日パーティーがありまして、そのパーティーに『ティア』様がメイビス家代表としてご出席されるのです。そのパーティーの時、あなたにはパートナーとしてご出席してほしいのです。」

「……何でまた俺なんすか?別にフレデさんでいいんでは?」

「執事はパートナーとして認められないのです。」

「ふ〜ん…てか、何でパートナーが必要なんすか?」

「パーティーの催し物の中に社交ダンスがあるんです。その時のパートナー、と言ったところでしょうか。」

「……それこそ俺じゃなくてもいいんでは?」

シャインが尋ねると、フレデが真剣な顔になって答える。

「実はですね…『パートナー』というのはただの口実なんです。」

「…どういうことです?」

「あなたには『護衛』としてパーティーに出席してほしいのです。」

「……護衛?」

話の内容が少し固くなりそうだと察したシャインも真剣な顔になった。

「どうやら何者達がパーティーを襲うという情報を極秘のルートで手に入れたのです。」

「襲撃か…狙いは何なんだ?」

「ティア様の『魂察知』が狙いのようです。」

「魂察知か……」


『魂察知』とは、魔法察知の上位能力であり、相手の魂を見ることが出来る能力である。詳しい詳細は『49話』で読んで下さい。


「結論を言いますと、シャイン様にはティア様のパートナー且つ護衛をお願いしたいのです。」

「襲撃されるって分かってんなら、ティアをパーティーに行かさなければいいだけの話じゃねぇか?」

そうシャインが尋ねた時、客室のドアが開き、

「ねぇフレデ!こっちのドレスとこっちのドレス、どちらを着て行こうかしら!」

白の服を着て、両手に高そうなドレスを持ったクリーム色の髪の少女、『ティア』が入ってきた。ティアは6年前に病気にかかってしまい、それ以来両目が開けられない。

「そうですね…右手に持っている方がいいのではないでしょうか。」

フレデが優しい笑顔で答える。

「ですわよね!私もそうだろうと思っていたのです!ではこちらを明日着ていきます!」

満面の笑みでそう言って、ティアはメイドに連れられて自分の部屋に戻った。嵐が去った後の静けさのようになった客室。先に話したのはフレデであった。

「……ティア様はパーティーがお好きでして…ああなってしまっては止まらないのです…。」

フレデが説明する。

「なるほどね……」

シャインは苦笑いするしかなかった。

「ティア自身は知っているのか?自分が狙われていること。」

「あんなに楽しそうにしているティア様にシャイン様は言えるのですか?」

「……無理だな。」

シャインは大きくため息をついてから、少し考える素振りを見せてから、

「……しゃーねぇ…引き受けてやるよ。俺に拒否権とかなさそうだし。」

フレデからの申し込みを承諾した。




 次の日の夜。家と言うより館に近い大きさのミビラル家。その前に一台のリムジンが到着した。そこから現れたのは、スーツ姿のシャインと、白いドレスを着たティアであった。

「では私は車を止めに行きますので、お二人はお先に。それと、中に武器は当然持ち込みは不可なので、シャイン様の刀は預からしてもらいます。」

運転をしていたフレデはリムジンを駐車するべく駐車場に向かった。

「……そういえばお前、どうやってドレス選んだんだ?」

隣にいる盲目の女の子にシャインが言う。

「触れば形は分かりますし、色は人に言ってもらえば分かります。」

「へぇ〜…それで結局白のドレスを選ぶのがお前らしいな。」

「清潔感ある女性の方が、男の人も嬉しいでしょ?」

楽しそうにシャインの腕に抱き付くティア。

「へっ、13歳で色付きやがって。───ほら、行くぞ。」

シャインのエスコートの元、2人はミビラル家の館に入っていった。



 どんだけでけぇんだよ…と、思わず呟いてしまうほどの大きさのパーティー会場に案内されたシャインとティア。中は立食の状態になっており、既に大勢の人が集まっている。そして見る人見る人全員裕福な家庭だと一目で分かるほど、豪華な服を身に纏っている。

「1人の誕生日にどんだけ集まるんだよ…。」

人混みが苦手なシャインにとっては少し落ち着かない場所である。

「ミビラル家の人は派手好きで有名なんです。」

シャインの右腕に抱き付くティアが説明する。

「周りの人間はありがた迷惑だな。」

シャインが呆れる。

「この会場にいる人の大体はそう思っていますよ。ですがこういうもので交流を深めていた方が何かと得なんです。」

「へっ、大人だな。」

そんな話をしていると、会場の一番前に、このパーティーの主役であるミビラル家の息子と母親が現れ、何か話を始めた。興味ゼロのシャインは完全に上の空であったため、内容は覚えていない。数分の話の後、パーティー開始を合図を告げた。

「さぁ、楽しみましょうシャインさん!」

ニコッと笑うティア。

「……へっ、お前が楽しみたいだけだろ。」

そんな笑顔に口元だけ笑って答えたシャイン。そして2人は、色々な食べ物を食べたり、色々な場所で行っているショーを見るなどして楽しんだ。



 パーティー開始から数時間後。会場の中心で社交ダンスが始まった。ダンスに慣れた人達は優雅に踊り始める。

「……踊らなくていいのか?」

人があまりいない所に移動したシャインがグラス片手に尋ねる。勿論グラスの中身はジュースである。

「私は…いいんです…。何も見えないのにダンスなどは危ないですから…。」

「……祭り事が好きじゃなかったのかよ?」

「好きですよ!好きですけど…怪我などをしてしまったら意味がありません…。」

ドンドン落ち込んでいくティア。シャインはそんなティアを横目で見てからグラスに残っているジュースを一気に飲み干し、近くにあった机に置いた。そして、

「……よし、踊るか。」

と、軽く運動を始めた。

「では私はここにいますので、シャインさんは……」

「何言ってんだよ。お前以外パートナーはいねぇだろ。」

シャインがティアの言葉を遮り、そして続ける。

「要するに怪我しなきゃいいだけだろ?行こうぜ、俺がお前の目になってやる。」

シャインがティアの前に手に差し出した。

「……はい!」

ティアは嬉しそうにシャインの手を掴み、2人はダンスエリアに向かった。

「あの、私踊るのか初めてで…全然分からないのですが…。」

「安心しろ。俺も知らん。」

「ダメじゃないですか!」

ティアがツッコむ。

「まぁ任せろって…」

そう言うとシャインは周りで踊っている人達の動きを観察し始めた。そしてものの数秒で、

「よし、大体分かった。」

と、言ったのだ。

「えっ?もう分かったのですか?」

「ああ。お前は俺の動きだけ魂察知で見てろ。いいな?」

「は、はい。」

ティアは言われた通りシャインだけを魂察知で見るようにした。

「じゃ、行くぞ。」

そう言ってシャインはティアをリードしながらステップを踏み始めた。そのステップは初心者とは思えないほどの見事なステップであった。ティアも最初は不安げな表情を浮かばしていたが、どんどんと楽しげな表情へと変わっていき、満面な笑みでダンスを楽しんだ。


──だが、そんな楽しい時間がすぐに終わってしまった。


 突然、外からボール状の物が投げ込まれて、窓ガラスが割れたのだ。その時に起きた音が会場中に響き、パーティームードは一瞬にして消え去った。ざわざわとする会場。そして、追い撃ちをかけるようにボール状の物から白い煙が噴き出し、瞬く間に会場を覆った。

「な、何ですか!?」

動揺するティア。

「さて、来たようだな。」

真剣な眼差しで辺りを見渡すシャイン。

「どういうことですかシャインさん?」

ティアが自分の前にいるシャインに尋ねる。

「今から襲撃してくる奴等の狙いはお前だティア。」

周囲を警戒したまま答える。

「わ、私!?」

「お前の魂察知が狙いなんだと。───!」

シャインは白煙に紛れて急接近してくる殺気を感じた。方角は自分の前方、つまりティアの背後だ。瞬時にティアを引っ張り自分の背後に回した。そして白煙から飛び出してきた白色の忍者の服を着た男に対して、思いっ切り顎を蹴り上げ、一発でKOした。次に襲ってきたのは左右からだ。シャインは近くのテーブルに置いてあった二本の瓶を掴み、左右に投げた。投げられた瓶は寸分狂いなく白色忍者の顔にヒットし、忍者はその場に倒れた。

「行くぞ!」

シャインはティアの手を握り、会場から逃げるため攻撃を搔い潜りながら出入り口を目指した。そして出入り口に到着し、シャインが扉を開けようと手を伸ばした瞬間、白煙の中から鎖が飛び出してきて、手首に巻き付いたのだ。

「ちっ…!」

シャインが鎖を解く前に、グイッ!と引っ張られ、白煙の中に姿を消してしまった。

「シャインさん!」

ティアが叫んだその時、背後に影が出現した。



 「キャーーーー!」

「ティア!」

ティアの悲鳴を聴いたシャインは助けに行きたいが、手首の鎖がそれを許さなかった。

「おい…!調子に乗ってんじゃねぇぞこの三流誘拐犯共…!」

シャインが鎖を持つ白忍者を睨み付ける。

「貴様こそ邪魔をすると容赦はせんぞ。」

目以外を隠す布の下から籠もった声が聞こえる。

「それは……てめぇもだ!」

シャインは絡まっている鎖を左手で掴み、逆に白忍者を自分の方に引っ張った。だが、白忍者はそれを想定していたのだろう、引っ張られていた直後に仕込み刀を取り出し斬りかかってきた。

「想定内だ!」

シャインは刃を避けると、そのまま忍者の腹にパンチを喰らわした。だが手応えは人間の腹ではなく、鉄を殴ったようだった。

「てめぇ…!何か着てやがるな…!」

「チタン製のアーマーは固いだろう?」

布の下でほくそ笑む白忍者が刃を振ってきた。それをシャインがバックステップで回避した直後、白忍者は鎖を操り、シャインを振り回して壁に激突させた。

「いっ…て…!この野郎…!」

頭にきたシャインが魔法を放とうとした。だが、閃風魔法が発動しない。

「なっ!?」

シャインは前に同じ経験をしていたため、咄嗟に絡み付いている鎖を見た。すると鎖に解読が不能の赤い文字が浮かび上がってきた。

「『魔封呪(まふうじゅ)』か!」

「ほう、『グライトル』の対魔法者用技術、魔封呪を知っているのか。」

白忍者が少し驚く。

「……前に不良共が使ってきたんだ。」

「不良がだと……ということは裏のルートで売買されているのは本当だったのか…」

白忍者が小声で呟いた。


ちなみに『封魔呪』とは、『68話』で一度登場している、魔法が使える者が封魔呪の文字が刻まれた物を触れると魔法が使えなくなるというものである。


「……とにかく、まさか魔法を使えたとはな、備えあれば憂いなしというものだ。すまないが、貴様には消えてもらうぞ……小僧!」

白忍者が止めを刺すべく、仕込み刀を構えて迫ってきた。

(やべぇ…!)

打開策が思い付かないシャイン。万事休すかと思ったその時、

「シャイン様ー!」

フレデが自分を呼ぶ声が聞こえた。その方向を向くと、こちらに長細い何かが放物線を描いて飛んできているのが微かに見えた。シャインは直感でそれが何か理解した。何度とも見た物だから。

「サンキュー!フレデ!」

礼と共に飛んできた何かをキャッチすると、即座にその何かを構えた。そして、白忍者の刃が目前に迫った瞬間、


────パキーン!


金属物が割れる音が響き、白忍者の仕込み刀の刃が宙を舞って地面に突き刺さった。

「なっ…!?」

白忍者がシャインが持っている物を見て驚いた。シャインが持っていたのは愛刀の『風砕牙』である。

「小僧…!」

白忍者がまた仕込み刀を取り出したが──既に遅かった。シャインが風砕牙で白忍者が忍ばしていたチタン製防具を一瞬にして切り裂いたのである。

「な…に…!?」

白忍者が怯んでいる隙に、シャインは手首に絡み付いている封魔呪が刻まれた鎖を断ち切った。

「終わりだ![疾風斬]!」

魔法が戻ったと同時に、シャインは風を纏った俊足の一撃を喰らわした。

「がっ…は…!」

白忍者が血を吐きながら地面に仰向けに倒れた。

「……ふぅ…」

シャインは本当に倒したのか確かめるべく、白忍者に近付いた。その瞬間、白忍者の目が見開き、ガバッ!と体を起こした。そして驚くシャインの口を右手で掴んだその時、小さなカプセルを入れたのである。

「んぐっ…!」

シャインは入ってきたカプセルを反射的に飲んでしまった。シャインが飲んだことを確認した白忍者はニッと布の下で小さく笑うと、本当に力尽きて、地面に倒れた。

「ゲホッ…こいつ何を飲ましやがった……毒とかじゃねぇだろうな…。」

そんなことを思っていると、

「シャイン様!」

フレデがシャインと合流した。

「フレデ、グッドタイミングだったぜ。てか、良くこの煙の中で俺の位置が分かったな。」

「私は魂までは見えなくとも、魔力くらいは見えます。」

「魔力察知が使えたのか。」

「ええ、そうです。」

「ふ~ん…ま、お陰で助かったぜ。──てか、そんなことよりもティア!ティアはどこだ!」

シャインが辺りを見渡すが、真っ白で見えるはずはなかった。すると、フレデが報告する。

「ティア様の魔力が会場外から感じます。」

「やっぱ連れ去られていたか……フレデ、会場の事は任せる。俺はティアを助けてくる。」

「了解しました。ティア様のこと、よろしく頼みます。」

「おう!」

シャインはフレデに現在の位置を教えてもらい、その場所に向けて走り出した。




 綺麗な月空の下。屋根を上を飛び跳ねながら移動する白い3つの影。その内の1つは少女くらいの大きさの袋を担いでいる。

「多少犠牲はあったが、何とか任務は完遂出来そうだな。」

白忍者の1人がフラグを立てた。

「ガキの誘拐なんて俺達にかかれば朝飯前さ。」

バタバタと動く袋を担いでいる白忍者も見事にフラグを立てた。

「完全に終わるまで油断するな馬鹿共。」

この3人のリーダーらしき白忍者が2人を叱った。

「そんなピリピリするなって。もう誰も追い付けねぇよ。」

最初にフラグを立てた白忍者がまた見事にフラグを立てる。


──では、そろそろ回収をしてもらおう。


綺麗な月にポツッと1つ小さな影が出現した。白忍者達は誰も気が付いていない。影はどんどん大きくなっていき、最初にフラグを立てた白忍者に近付いている。そして次の瞬間、影が白忍者の右肩に刀を突き刺した。

「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!!」

刺された白忍者の悲鳴により、他の2人が悲鳴がした方向を見た。すると、黄緑一色の髪に、全身から同じく黄緑のオーラを放っている少年がこちらを見て不気味に笑っていた。少年は刀を引き抜くと、白忍者を踏み台にしてリーダー忍者に一瞬で近付いた。

[突龍尾(とつりゅうび)]!」

刀の頭でリーダー忍者を地面に突き飛ばした。

「貴様…!」

袋を担ぐ白忍者が少年に向けて攻撃をしようとしたが、少年の方が一手早く攻撃に移っていた。

「その袋の中のお嬢様を返してもらおうか。──[疾風斬]!」

少年が疾風の速さで白忍者を斬った。白忍者は斬られたダメージにより袋を手放した。それにより袋は地面へと真っ逆さまに落ちて行く。少年は地面ギリギリで袋をキャッチし、地面に優しく置いて袋を破いた。すると中からクリーム色の髪を持ったティアが現れた。

「悪い、怖い思いをさせちまったな。」

少年がティアに謝りながら、手足を縛る縄を切った。

「この魂…シャインさん!」

ティアは少年の名を叫びながら抱き付いた。

「…なんか、大丈夫っぽいな。」

シャインがフッと笑う。

「はい!シャインさんが絶対助けに来てくれると信じていましたから!」

ティアがニコッと笑う。

「……あ、そうですか。」

シャインも釣られて少し笑う。その時、耳がある音を聴いた。

「…ティア、ちょっとここで待ってろ。」

「えっ…?は、はい。」

ティアはシャインに連れられて物陰に隠れた。

「そんな所でかくれんぼしてないで出て来いよ。」

シャインがそう言うと、リーダーの白忍者が突如何もない所から現れた。

「よく俺がいると分かったな。」

「吐息が聴こえたんだ。忍ぶんだったらちゃんと意識しとけよ。耳が良い奴にはバレちまうぞ。」

シャインが自分の耳を触りながら挑発気味にニヤッと笑う。

「……まぁいい。俺達はその女を連れて行くのが任務なのだ。さっさと渡せ。」

「任務っつうことは誰から命令されて動いているってことだろ。誰からの命令だ?」

「…その女を渡せ。」

「会話がドッジボールだな……ティアを渡す気はゼロだ。さっさと帰ってくれ。」

「そうか……ならば消えろ!」

リーダー白忍者が刀を抜いてシャインに向かってきた。だが、既に目の前にシャインの姿はなかった。

「悪いが時間をかける気もさらさらねぇんで。──[疾風斬]!」

背後をとっていたシャインが一撃を喰らわした。

「ちょっと待て…俺…これで終わり…なの……?」

すまないが終了だリーダー白忍者。裏の話を少しすると、このちょっとした過去の話に時間をかける気はないのだ。

「やりましたねシャインさん。」

ティアが物陰から出て来た。

「そうだな。後は警察等が処理してくれるだろ。俺達は帰ろうぜ。」

「はい。あの、ダンスの続きしましょうね。」

「……しゃーねぇな。」


この事件は次の日の新聞にデカデカと書かれていたが、シャインが関わっていることは載っていなかった。







───時は戻り。龍空高校職員室。


 「………てまぁことがありましたね。」

女シャインが思い出した記憶を話し終えた。

「……あなた…あの事件に巻き込まれていたの…。しかもその事件のことを忘れるあなたの記憶力って…」

ナナリーがげんなりする。

「……事件に巻き込まれることに変に慣れてしまって記憶にあまり残らなくなったんだと思います。」

シャインが他人事のように言う。

「はぁ…とにかく、その事件の時に飲まされたカプセルが原因で間違いないと思うわ。放課後、ちゃんとした専門の人に調べてもらうからまた職員室に来てくれる?」

「あ〜、それなら知り合いにいるんで大丈夫です。」

「知り合い?」

「じゃ、次の授業が始まりますんでこの辺で。」

そう言って女シャインは職員室を後にした。




 放課後。いつものメンバーが屋上に集合していた。

「……という出来事を昼休みに思い出した。」

シャインがナナリーに話した事をレビィ達にも話し終えた。

「スゴい事忘れていたわね…。」

レビィが大きくため息をついた。

「と、とにかく!原因が分かったからこれで対処出来るんじゃない?」

エアルが言う。

「…つーわけなんだが…アレン、何か知らないか?」

シャインの言葉で、全員の視線がアレンに集まる。

「そうですね…魔法ではなく薬という方面であれば1つ思い当たります。」

「何なんだ?」

スノウが尋ねる。

「『カワルダケ』です。」

「「「カワルダケ?」」」

シャイン、スノウ、エアルが揃えて首を傾げる。

「私も聞いたことがないわ。」

レビィも知らないようだ。

「『科学国:グライトル』のみに生えるあのキノコのことですか?」

ヒューズが尋ねると、アレンは頷いた。

「はい、そのキノコです。カワルダケは食べた者の『ホルモン』を逆転させるという毒があるんです。」

「ホルモンを?」

レビィが言う。

「はい。その毒によってホルモンバランスが乱れ、性別が変わってしまうんです。簡単に言いますと、男性が食べると女性に、女性が食べると男性に変わってしまうんです。」

「なにその嫌がらせな毒…。」

エアルが苦笑いする。

「あはは……で、そのカワルダケがどうしたの?」

レビィが尋ねる。

「昔、裏社会でカワルダケを使ったある薬が開発されていたのです。名前は『性反転剤』と言います。名の通り、性別を変えるカプセル状の薬です。」

「その薬、意味があるのか?カワルダケを普通に食べたのと同じじゃねぇか。」

スノウのくせに気が付いた。

「カワルダケをそのまま食べると、ずっと性別が逆転したままなんだ。だから、カプセル1粒につき1時間で戻るように調合したものが性反転剤なんだ。」

アレンが説明する。

「ではシャインの症状は性反転剤の方ではなく、カワルダケを直接食べた方に似ていますね。」

ヒューズが言うと、アレンが頷いた。

「飲まさせたのは性反転剤ではなく、直接中にカワルダケが入っているカプセルだったようだね。」

「てことは何だ…!俺はただの嫌がらせをされたのか…!」

シャインの握る拳がプルプル震える。

「ま、そう言うことになりますね。」

ヒューズが答えると、

「ふっざけんなー!」

シャインの怒りが爆発した。

「何なんだよあいつ!最後に面倒な嫌がらせしやがって!」

「SMCの薬品開発部に解毒剤があるか聞いてみるから少し間はそのままで我慢してくれ。」

「なるべく早く頼むぞ。」

シャインがビシッとアレンを指差す。アレンは了解と微笑みながら頷いた。

「そう言えばさ、何で性反転剤は裏社会で開発されていたの?」

エアルがアレンに尋ねる。

「スパイ任務の際に活躍していたんだ。」

「それだったら別に幻惑魔法とかでいいじゃないか。」

スノウが言う。

「魔法はかなり警戒されているし、強制的に解かれるとすぐにバレる。それに魔法は見た目が変わるだけで体の構造は変わらない。でも、カワルダケを使うと本当に性別を変えられるから、仮に体の中も調べられても大丈夫なんだ。でも、1人のスパイが連続で性反転剤を飲んでしまって、ホルモンバランスが崩壊し、男性でも女性でもないよく分からない生物になったという事件をきっかけに開発中止になったんだ。」

「何だよよく分からない生物って……」

スノウが苦笑いする。

「とにかくシャイン、もし解毒剤があったら明日渡すから今日だけ我慢して。」

アレンの言葉を最後に、シャイン達は解散した。



───次の日の朝。



 「解毒剤がない!?」

自分の咳に座るシャインが顎が外れるくらい驚愕な顔をする。

「そうなんだ。開発が中止になっている薬だから解毒剤も作られていないみたいだ。」

アレンが説明する。

「嘘だろ…」

シャインががっくりとうなだれる。

「その解毒剤を作るとなったら何日くらいかかるの?」

レビィがアレンに尋ねる。

「どうでしょう…少なくとも一週間はかかるでしょうね。」

「一週間も!?」

更にうなだれるシャインの目は少し泣きそうだ。

「まぁまぁ、一週間までは戻れるんだし、のんびり待とうよ。」

エアルが励まそうとするが、

「いや!すぐに戻りたい!」

逆効果だったらしく、シャインがむ~っと少し頬を膨らませて怒った。

「まぁこっちもさっさと戻ってくんねぇと気持ち悪いからな。」

スノウがケラケラと笑う。

「他人事みたいに~…!」

ぐぬぬと怒るシャイン。

「流石に今回の件は他人事だからな~………ん?」

ニヤニヤと笑うスノウがシャインのある異変に気が付いた。

「お前、何か座り方が女々しくになってね?」

「えっ?」

スノウの指摘にシャイン本人も他のメンバーもきょとんとする。そしてスノウ以外がシャインの座り方に注目した。シャインも自分の座り方を見てみた。昨日の座り方は股を開いた男座りであったが、今は内股に座っていた。それに気が付いたシャインが何か恥ずかしくなり、顔を赤らめて即座に股を開いた。

「これは…おそらく脳にも影響が出始めている可能性がありますね。」

アレンが推測する。

「何かヤバいっぽい?」

エアルが首を傾げる。

「今は体だけですが、脳も女性になってしまうと、仕草や口調までも女性らしくなってしまい、最悪の場合、自分が男性だったという記憶がなくなる可能性もあります。」

「ええー!?」

レビィが驚く。

「それは大変ですね。」

ヒューズは他人事MAXである。

「何とかしてアレン!」

シャインがアレンに抱き付く。

「ちょっ!?シャイン!今君は女性なんだから…!」

アレンが頬を染める。シャインはハッと我に返ると、急に恥ずかしくなって慌てて離れた。

「わ…悪い…。」

「あ、謝ったら妙にリアルになるので止めてくれ。」

顔を赤くするシャインとアレン──妙な空気となった。その空気を消したのはチャイムであった。

「と、とにかく!早急にどうにかするから待ってて。」

そう言ってアレンは自分の教室に戻った。他のメンバーも各々の教室へと戻った。



 2年3組の魔法実技の授業。魔法実技とは普通の一般的な体育とは違い、魔法を上手くコントロールするために行う魔法科専用授業である。たまに試合などをしている。今日はその試合の日である。ちなみに場所は魔法にも耐えられる特殊な体育館である。

「女の体をしているからって容赦はしねぇぞ。」

バチッ!と掌と拳を合わせて気合いを入れるスノウ。

「ああ、そうじゃねぇと面白くねぇからな。」

相手の女シャインも屈伸をして準備満タンである。この2人は試合の際、他の人と戦ってはならないというルールがある。理由は単純。2人が飛び抜け過ぎて一般人が交えると危険だからである。

「では2人とも行くぞ〜…試合、開始!」

先生が合図したと同時に、シャインとスノウは互いに地面を蹴った。そしてぶつかり合った瞬間、授業とは思えない戦闘が始まった。周りにいる他の生徒達は完全にヤ○チャ視点状態である。ちなみに武器は使用不可のため、格闘と魔法のみの戦いである。

「どうしたシャイン!拳に力が入ってないぞ!女になって筋力が落ちたか!」

戦闘しながらスノウが言う。

「ああそうらしいな。だが、ハンデにはちょうど良い。」

シャインがニヤッと笑って挑発する。それにまんまと乗るスノウ。ほんと単純である。

「…んだとコラ!」

スノウが大きく拳を振り上げた。その一瞬の隙を待っていたシャイン。

「もらった!」

シャインは閃風拳を繰り出そうと風を拳に纏おうとした時、自分に起きている異変に気が付いた。それにより少しの動揺が走り、攻撃に移れなかった。スノウは隙を逃さず、

「[フレイムナックル]!」

炎の纏った拳でシャインを吹き飛ばした。シャインは壁に激突して倒れた。勝負ありのようだ。

「おおー!スノウが久々にシャインに勝った!」

「いつぶり?」

「確か4ヶ月ぶりだったはず。」

そんなことを言われながらスノウは痛がりながら起き上がったシャインに近寄った。

「どうしたんだよシャイン?さっきのは確実にお前の勝ちフラグだったじゃねぇか。」

スノウが少し驚いた顔で自分の手を見るシャインに尋ねる。

「魔法が…使えないんだ。」

「何だと?」

「魔力が消えたわけじゃないけど、魔法が上手く使えないんだよ。」

シャインは少し動揺しているようだ。

「どうしたんだいシャイン君…いや、今は『さん』か。」

先生が異変に気が付いて近付いてきた。

「別に君でいいって…。──どうやら魔法が使えなくなったようです。」

シャインがそう告げると、周りの生徒達が驚いてからザワザワと話し始めた。

「魔法が?そんなことがあるのか?」

「オレに言われても知りませんよ…。後で詳しい知り合いに聞いてみます。」

原因が誰にも分からないため、今は授業を再開することにした。シャインは見学することになった。




 放課後の校舎の屋上。今回は女子メンバーは用事があるらしく不在。そのため今いるのは野郎だけ。いや、シャインは今女だから、男3人に女1人か。ああもう面倒臭い。

「魔法が使えない…か。」

アレンが顎に手をあてて考える。

「性別が変わるだけでそんなことが起こるのか?」

落下防止のための柵に(もた)れかかるスノウが訊く。

「う〜ん…事例がないから何とも言えないけど、おそらく体が急に変わったから魔力のコントロールが上手く出来ていないんだと思う。」

「そんなぁ!じゃあオレはずっと魔法が使えないの?」

少し口調が女性っぽくなっているシャイン。自身は気が付いていないようだ。

「女性の体にシャインが慣れてしまえば使えるようになるのでは?」

ヒューズがそう言うと、アレンが頷いて同意した。

「でも次は男に戻った時に使えなくなる可能性があるかも。」

アレンが推測する。

「てことは、また我慢だな。」

スノウがポンとシャインの肩を叩いた。

「はぁ〜…オレの生活がどんどん縛られる…」

ガックリと肩を落とすシャインであった。



──次の日。カワルダケの脅威が悪化した。



 「おっはよー!」

正門から校舎に向けて歩いているレビィに挨拶してきたのはエアルである。

「おはようエアル。」

レビィが笑顔で返事をする。

「シャインの奴大丈夫かな?」

「う〜ん…何か魔法が使えなくなったって聞いたけど。」

「嘘!?一大事じゃん!」

「シャイン…どうなっちゃうんだろ…」

レビィが心配していると、

「おっはよー!レビィ!エアル!」

誰かに背後からとても可愛らしい声で挨拶された。振り返ると、女シャインがこちらに向かって走ってきていた。

「良い天気だと心も清々しくなるね〜♪」

女シャインが腕を広げて上機嫌にクルクル回る。

「お、おはようシャイン…や、やけに元気ね…」

シャインのテンションに困惑するレビィが一応返事をした。

「だって元気が一番じゃん♪じゃ、先に行くね〜♪」

シャインはウインクしてから先に校舎に走って行った。

「……何あれ、キャラが崩壊しているんだけど…」

唖然とするエアルの隣で、

「早急にアレンに何とかしてもらうしかないわね…」

同じく唖然とするレビィであった。




  「おっはよー!皆!」

キャラ崩壊した女シャインが教室にいる生徒達に元気な挨拶をした。しかし、教室はシャインのテンションと反比例して凍てつく空気となった。

「あれれ〜?皆テンション低いぞ〜!そんなんじゃ今日一日もたないぞ〜!」

教室に氷河期が訪れた。

「もう〜皆どうしたの〜?」

シャインが前屈みで人差し指を下唇に当てて可愛らしく首を傾げる。

「……これはヤバいかもな…。」

ついそう呟いてしまったスノウである。



 昼休み。シャイン以外のメンバーが屋上に集合した。

「スノウ、シャインは?」

レビィがスノウに尋ねる。

「教室の女子とすっげぇ盛り上がりながら喋ってるから置いてきた。」

スノウが答える。

「それで、シャインは自分のことを男だということは忘れていないんですか?」

次に尋ねたのはヒューズである。

「どうやらそれは大丈夫みたいだ。でもえらく遠い記憶みたいになってるっぽいからもうダメだろうな。」

スノウが完全に諦めてアハハと笑う。

「それじゃあ困るよ!」

レビィが怒る。

「それは僕も賛成です。真面目なことを言うと、革命軍と遅かれ早かれ戦うことになりますから、その時にシャインという戦力が欠けるのは非常に不利です。」

アレンが言う。

「……まぁあのままじゃこっちも面倒だしな。」

スノウもやっぱり心配はしているようだ。

「アレン、薬はまだなの?」

エアルが尋ねる。

「もう少しで出来るはずです。」

「それまでに手遅れにならない事を願うしかないですね。」

「不穏なこと言わないでよヒューズ…。」

ヒューズの言葉に苦笑いするレビィ。その時、

「もう〜!皆私を放っていくなんてヒドい〜!」

女シャインが屋上に現れた。

「あ、シャイ…」

レビィが話しかけようとした時、スゴい速さでシャインが近寄って来た。

「ねぇねぇねぇ!この店のパフェとっっっても!美味しそうじゃない?皆で放課後行こうよ〜!」

シャインが持っている雑誌の一面に載っているパフェを指差しながら目を輝かせる。しかし、シャインのテンションとは裏腹に、周りのレビィ達は時間が止まったかのように固まってしまった。

「ん〜?どうしたの皆〜?」

シャインが首を傾げる。

「シャ…シャイン…口調とか仕草とか…それでいいの?このままだと本当に女の子になっちゃうよ?」

レビィがやんわりと訊く。

「大丈夫だよレビィ。ちゃんと自分は男って自覚はあるし。でも〜、今はこのままの方が楽なの〜♪」

そう答えながらシャインがレビィが抱き付く。その瞬間、レビィの顔が一瞬で赤くなり、

「へ、へんたーーーーーーい!」

見事な平手打ちがシャインの頬にヒットした。

「ぎゃふん!」

古いリアクションしながら倒れるシャイン。

「酷いレビィ…私…女の子なのに…」

「男でしょ!」

電光石火でツッコむレビィ。

「今は女の子だよ〜!」

また抱き付こうとするシャインからいや〜!と悲鳴を上げながら逃げ回るレビィ。

「あれは早く対処しなければなりませんね…。」

ヒューズも流石に苦笑いするしかなかった。

「そうだね…。」

アレンも苦笑いしながら頷いた。




 放課後。結局レビィとエアルは女シャインに捕まり、雑誌に載っていた店のパフェを一緒に食べさせられた。そして日が落ちた頃──

「じゃあね〜!レビィ〜!エアル〜!」

店の前で2人と別れ、暗い夜道を1人で歩く女シャイン。

「あ〜♪美味しかったな〜♪」

そんなことを呟きながら上機嫌に歩いているとある集団が目に入った。それは如何にもチャラい男達が龍空高校の制服を着ている2人の女子を囲んで話している集団であった。

「君達高校生〜?可愛いね〜。」

「俺達と一緒に遊ばない〜?」

下品な笑いをする男達。女子達はどう見ても怯えている。

「じゃあこんな所で立ち話もなんだし、知り合いがバイトしているカラオケ店が近くからそこ行こうよ。」

男の1人が女子の肩に触れようとした時、

「待ちなよ。この子達、怯えてるじゃない。」

シャインが割って入り、男の手首を掴んだ。こういうところは女になっても変わらないようだ。

「ああ?誰だお前?」

掴まれた男がバッと掴まれた手を離し、ギロッと睨むが、女シャインの顔を見てヒュ~っと口笛を吹いた。

「あ…シャイン…」

女子の1人がシャインということに気が付いた。

「早く行って。」

シャインに言われ、女子達は素直にその場から走り去った。

「へ~、君シャインって名前なんだ。綺麗な名前だね~。でも、人の邪魔をしちゃいけねぇな。それとも……」

男がシャインの耳元に顔を近付け、

「君が俺達を相手してくれるのかな?」

と、囁いた。その行動にムカッとしたシャインが男の鳩尾(みぞおち)を殴ろうとした。しかし、あっさりと拳は受け止められてしまった。

「おやおや、どうしたのかな?」

男がニヤッと笑った。

(しまった…!私今魔法使えないんだった…!)

シャインの予定ではいつも通り魔法でぶっ飛ばそうと思っていたが、今は魔法が使えなかった。しかも女の子の体のため筋力が落ちている。その事実して、いとも簡単にパンチを受け止められてしまった。

「さぁ、俺達を遊ぼうぜ。」

男が不気味に笑う。シャインも流石にヤバいと苦笑いするしかなかった。




 如何にも不良が溜まりそうな汚くて使われていない倉庫。そこには如何にもチャラい男達が群がっていた。その中に1人、口にガムテープを貼られおり、両手は背中の後ろでロープによって縛られ、汚いマットの上に女の子座りしている女の子、シャインがいた。

「しっかしこの子、男装が趣味とはな〜。しかもあの制服、龍空高校のじゃん。」

「いいじゃねぇか別に。犯せるならそれでいいよ。」

「それもそうだな。」

下品な会話と下品な笑いが飛び交う。しかし、シャインは気にもせずこの状況の打開策を考えていた。しかし、いつもならばすぐに思い付くのに、今回は全然と言っていいほど思い付かない。加えて、体が無意識に震えているのである。

(わ、私もしかして……怯えてる?)

魔法が使えない──力でも負けてしまう──この状況に無意識に恐怖が植え付けられてしまったようだ。

「さてと、じゃあそろそろお楽しみタ~イム。」

そう言って男が1人シャインに近付き、無理矢理汚いマットの上にシャインを仰向けに転ばした。

「さぁ…たっぷり楽しましてもらうぜ…シャインちゃん。」

男がシャインの胸を揉もうとした時だった。シャインのちょうど真上の屋根が突然崩壊し、瓦礫などが落ちてきた。

「あぶねぇ!逃げろ!」

男達が急いでシャインの周りから退避する。シャインは逃げれないため、とりあえず目をギュッと閉じた。しかし、運が良いのか瓦礫は1つも当たらなかった。

「たく…まさかお前を助ける時が来るとはな。」

聞き慣れた声が聴こえたのでゆっくりと目を開くと、そこには無造作銀髪の男、スノウが立っていた。

「んんん!」

ガムテープを貼られているため、何を言っているか分からない。だが、表情はとても嬉しそうだ。

「おい…大丈夫か?」

スノウが適当に心配しながら乱暴にガムテープを剥がした。

「いっった〜い!もう!もっと優しく剥がしてよ!」

シャインがロープを取るスノウに文句を言う。

「うるせぇな。助けに来ただけでも感謝してほしいぜ。」

器用にロープを外したスノウ。それによりシャインがスクッと立ち上がった。そしてスノウの方を向き、

「えへへ、ありがとうスノウ。」

満面の笑みで礼を言った。スノウはこいつは男だと分かっていても、今はただの女子の笑みのため、何か恥ずかしくなり、目をそらしてから、おうとだけ返事をした。

「お、お前何者だ!」

不良の1人が叫ぶ。

「俺か?こいつの友達(ダチ)ってとこかな。とにかく、こいつは返してもらうぞ。」

スノウがシャインを抱き寄せた。しかし、ムカッとしたシャインがすぐに突き飛ばした。

「…へっ、ガキが調子乗ってんじゃねぇぞコラ!」

1人の男の言葉を合図に、一斉に襲ってきた。

「シャイン、お前戦えないんだからどっか行ってろ。」

そう言いながらスノウが戦闘体勢になる。

「嫌。別に戦えないわけじゃないもん。それに、これ以上あんたに借りを作りたくない。」

シャインもスッと戦闘体勢になる。

「……次捕まっても助けねぇからな。」

「分かっているわよ。」

2人は背中合わせになると、不良達を迎え撃った。

「[ウインドナックル]!」

風を纏った拳を前方に突き出すと、拳の形をした風が放たれ、数人の男達を吹き飛ばした。

「あの男…!魔法を使えるのか!」

不良達の中の数人が怯える。

「ぎゃははははは!オラオラオラオラー!」

悪人面でスノウが不良達をボコボコにする。その光景を少し引いた顔で見つめるシャイン。

(私って周りからこう見えているのかな?……ちょっと考えるか……)

何か自分を鏡に映されたような感覚になったシャインがそんなことを思っていると、1人の男がシャインにバットを持って近付いてきた。

「さぁ、痛い目に合いたくなかったら抵抗するんじゃ……」

男が全て話す前に、目の前からシャインの姿が消えた。

「き、消えた…どこに…」

男が周りを見渡すがどこにも見当たらない。

「ゴメンね〜。魔法も使えないし力も非力だけど、身体能力は衰えていないみたい。」

声が聴こえたのは背後だったので、男がバッ!と振り向いた瞬間、持っていたバットをシャインに奪取された。

「あっ…」

「ちょっと借りるね。武器(エモノ)がないとキツいから。」

そう言ってシャインは刀を持つようにバットを構えた。

[突龍尾(とつりゅうび)]!」

シャインが突き攻撃で男を吹き飛ばした。

「へぇ、やるじゃねぇか。」

スノウがニヤリと笑う。

「さっ、一気に片付けるよ!」

シャインも楽しそうに笑う───やはり戦闘狂だ。


 数分間のシャイン&スノウ無双の後、ある一手で戦況が変わった。それはスノウの背中に貼られた一枚の札であった。札には魔封呪が刻まれており、それによりってスノウが突如魔法が使えなくなったのだ。

「なっ!?突然魔法が…!」

困惑によって生まれた隙を狙われて、スノウの頭に金属バットが直撃した。

「がっ…!」

当たり所が悪かったのかスノウは視界がぼやけ、その場にうつ伏せに倒れた。

「スノウ!」

スノウに気を取られた一瞬を突かれ、シャインは男に後ろから羽交い締めにされた。

(しまった…!)

こうなってしまうと今の非力ではどうすることも出来ない。


──万事休す。


その時、スノウの耳に仕込んでいた小型の通信機に通信が入った。

「……へっ、やっとか……シャイン!」

不良達に袋叩きにされながらも、スノウがシャインに叫ぶ。

「お前から見て右上の窓に空いている穴を見ろ!そして口を開くんだ!」

「はぁ!?何を言って…」

「いいから早く!」

「……もう!」

シャインは訳も分からないまま、言われた方向を向いて口を開いた。その瞬間、口の中に何か入ってきたのだ。それを反射的に飲み込んでしまった。喉を通っている時、感触で飲んだ物を理解した──それは1粒のカプセルであった。



 「はぁ…これはまた後処理が面倒なことになりそうだ…」

倉庫の中の様子が見れる近くの廃屋の屋上。そこに三つ編みにした緋色の髪を風に靡かせる少年、アレンがいた。アレンは銃魔法(ガンマジック)によりスコープ化している目を戻し、カプセルを打ち出した拳銃を服の内側のポケットに直した。



 「ん?」

シャインを羽交い締めにして拘束している男が異変を感じた。徐々に力が強くなっているのだ。体も女性特有の丸みから徐々にゴツゴツとした体になっていく。

「お、おい…どうしたんだ?」

男がシャインに尋ねると、シャインはニヤリと笑った。そして拘束をあっという間に解き、そのまま男に顔面パンチを喰らわした。

「あ~…やっぱ男の方が圧倒的に良いわ。」

髪をクシャクシャするシャイン。その性別は男に戻っていた。

「なっ…!?」

周りの不良達に動揺が走る。まあ当然であろう。さっきまで女であった人間が突如男になったのだから。

「おら、そこどけお前等。」

不良達の動揺の中、シャインは一瞬でスノウの元に移動し、袋叩きにしていた不良達を閃風魔法で一蹴した。

「よう。なかなかの一撃はいっていたが大丈夫か?」

シャインが[治癒風]でスノウに応急手当てをしてから魔封呪が刻まれた札を剥がした。

「うるせぇ。こっちが助けに来た側っつうの。」

スノウはまだ少し眩むが立ち上がった。

「ど、どういうことだこれは!」

1人の不良がシャインを指差しながら叫ぶ。

「色々あって女になっていただけ。」

「どんな生活したらそうなるんだよ!」

不良がツッコむ。

「お前等が詳細を知る必要はねぇよ。なんせここで死ぬからな。」

シャインが鬼の形相で、能力解放になった。

「俺も殴られた借りを返さねぇとな。」

スノウも鬼の形相で、パキパキと拳を鳴らした。

「あ……!」

不良達の顔が真っ青になっていく。

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

不良達の断末魔が倉庫の外までこだました。




────次の日の朝。龍空高校2年3組の教室のシャインの席周辺。




 「良かった~。ずっと女の子のままじゃないかと心配していんだよ~。」

レビィが椅子に座るシャインを見ながらホッと胸をなで下ろす。

「でも良くシャインが捕まったことに気が付いたねスノウ。」

エアルがスノウに言う。

「アレンからいきなり連絡があったんだよ。『シャインが捕まったら助けに行って』ってな。」

「どういうことアレン?」

エアル達の視線がアレンに集まる。

「シャインが助けた女子が僕の連絡先を知っている人で、助けてほしいと言われたんです。ですがその時違う任務に行っていたのですぐに行けなかったため、スノウに代わりに行ってもらおうと連絡したんです。」

「ちゃんと今月の寮の金払ってくれよ。」

スノウがビシッとアレンを指差す。どうやら寮代を立て替えるのが条件だったらしい。

「まぁ解毒剤も間に合ったことですし、一件落着ですね。………ん?」

ヒューズがまとめようとしたが、ある事に気が付いた。

「シャイン、目覚めたのですか?」

と、尋ねながらシャインの足を見た。今のシャインの座り方は、女の子のように足を内股にしていた。それに気が付いたシャインは慌てて座り方を変えた。

「あ~あ、シャインが目覚めちまった。」

スノウがケラケラと笑う。

「わ、私は別に……!」

自分を『私』と言ってしまったことに気が付き、慌てて口を閉ざして顔を赤らめた。

「どうやら癖化しているようですね。」

ヒューズがクスッと笑う。

「女装する?」

エアルがニヤニヤしながら尋ねてくる。

「ああ~!面倒くせぇぇぇぇぇぇ!」

シャインの悲しみの叫びが学校中に響き渡った。

眼鏡「次回からはまた長編になる予定です。高校二年の二学期の一大イベントと言えば……そう!『修学旅行』です!ということで次回からは『修学旅行編』です!お楽しみに!」




眼鏡「『堕天使』という作品を投稿しました。そちらも見て下さるととても嬉しいです。」

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