63話 参戦(14)
シ「ん?投稿に約2ヶ月かかってるぞ。」
ア「あーそれにはちゃんと理由があってね、もう一作の『鬼神と人間の子』を約5ヶ月ぶりに投稿するためにそっちを書いていたからだよ。」
シ「ふ~ん、ずっとこっちメインで書いてたからてっきり忘れてると思ったぜ。」
ア「まぁこっちをメインに書くのは変わらないみたいだから次に鬼神と人間の子が投稿されるかは不明みたい。」
シ「なんだそりゃ。」
ア「とにかく!鬼神の方も見てほしいですけど、今はこの『~魔法学園~』をお楽しみください!では、どうぞ!」
シ「誤字脱字があったら悪いな。」
ヴィーナス領土基地のとある電気の付いていない部屋、その中にあるベッドの上でウェルサイトが仰向けに寝ころんでいた。そこにレビィが入って来て、先ほど決まった行動を伝えた。
「……と言うわけ。判った?」
レビィが確認をすると、ウェルサイトは無言で右手を少し上げて了解と答えた。それを見てからレビィはある事を持ちかけた。
「……聞いたよ、ウェルサイトの名前のこと。」
しかし、ウェルサイトに反応はなかった。
「私のただの予想だけど…。ウェルサイト…あなた自分の名前がずっと重荷だったんじゃないの?生まれた時から激戦の渦にいたあなたは『喜び』という感情より『悲しみ』という感情に触れる方が多かったんだと思う。あまり喜びを知らないまま育ってしまったから自分の『喜び』という意味を持った名字に拒否感を抱いていたんでしょ?そして変えるきっかけとなった母親の死。『悲しみ』で溢れた心にもう『クトゥリア』という名が重荷で仕方がなかった。だから変えたんでしょ?『悲しみ』の意味を持つ『ウェルサイト』という名に…。」
レビィが話し終えてもウェルサイトに反応はなかった。レビィはダメかとため息をついてから部屋を後にした。レビィがいなくなった事を感じたウェルサイトは、
「……流石はオレってか…。そこまで当てれるかね…。」
と、呟いた。
「そう言えば、何でお前は協力する気になったんだ?」
ドラグニルが同じ顔をしたアルシオンに尋ねた。
「神の王とやらがどれほどのものか戦ってみたいだけだ。」
それだけを言ってバージェスはメインルームを出て行った。
「やれやれ、アースの俺はかなり好戦的だな。」
ドラグニルが言う。
「『力こそ全て』。それがバージェス様の口癖ですから。」
レインがクイッと眼鏡を上げる。
「力こそ全てか……ふっ、流石は俺だ。同じ心意気を持っている。」
ドラグニルが微笑を浮かべて呟いた。クラウドとレインには聞こえていなかったらしい。
「では、私達もこれで。」
レインはドラグニルに一礼してから部屋を出ようとするのをドラグニルが呼び止めた。
「お前等は何故アースの俺に付いて行く?」
ドラグニルがレインとクラウドに尋ねる。
「グダグダと人生を生きるくらいならあの人の近くにいた方がこんな面白いイベントに参加できて刺激的な人生になるから。」
クラウドがニヤッと笑って答える。
「私はあの人に救われた身、付いて行くのが普通です。」
レインが答えると、
「救われた身?」
ドラグニルがレインにオウム返しして尋ねる。
「私は小さい時に魔物襲われた事がありまして、それを助けてくれたのがバージェス様だったのです。だから私は恩を返すべくあの人に付いて行くんです。」
「……そうか判った。呼び止めてすまなかったな。」
ドラグニルが言うと、クラウドは何もせず、レインは一礼してから部屋を後にした。
「俺もそれくらい慕われていたのか…今ではもう判らないな。」
ドラグニルが『こちら』のクラウドとレインを思いながら呟いた。
そして時は経ち、運命の3日後となった。
「お前等、覚悟は出来たか?」
動きやすくかつ強度の高い布製の戦闘服に身を包んだウェルサイトが闇桜を腰の鞘に納めて後ろにいるレビィ達に振り返った。
「いつでも行けるよ。」
レビィが強く頷いた。
「私も大丈夫だよ♪」
ミリアはピースをしてOKを表す。
「正直なとこは戦いたくないけど、戦わなくちゃいけないもんね。」
エアルがはぁとわざとらしいため息をついてから意志が固まった顔で頷いた。
「そっちも準備完了か?」
ウェルサイトがモニターに映っているソルージュ側に訊く。
「問題ない。」
身軽な鎧を身に纏っているソルージュが答える。
「俺らも大丈夫さ。」
スノウが親指を立ててグッ!とやる。その両隣でアレンとヒューズが頷く。ここでキトリス領土班基地からの通信が入り、犬のヨゼルが映し出された。
「そっちも大丈夫そうだな。」
ウェルサイトが訊くと、ヨゼルはバウと一吠えして答えた。ここで最後のゼウス領土班基地からの通信が入った。
「全班、準備は出来ているようだな。」
モニターに映っているドラグニルが確認をとると、全員が大きく頷いた。
「さぁ!戦争の時間だ!」
ドラグニルがニヤリと笑いながら手をゴキキと鳴らした。
簡単にセントラルの地図を説明すると、北に魔戦天使団本部、南にサイエン、その間に森が広く茂っており、その中央に時空の湖がある。
魔戦天使団本部の正面、要塞のような門の前に兵士が警備している。その中に一個の黒い玉が転がる。気が付いた兵士が持っていた弓を構えながら近付いていくと、中から白い煙が噴き出てきて、一瞬で辺り一面包まれた。
「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!……な、何だ!?」
兵士がキョロキョロとしていると、背後にスッと誰かが現れ、ナイフで兵士の首を刺した。その時発した悲鳴により周りの兵士に動揺が走る。そして白い煙が消えると、青色中心の身軽な装備で足にローラーシューズを履いた大群の兵士がいた。そして青兵士達はローラーシューズにより機動性に優れているのを利用して天使兵を翻弄し始めた。
「こちらヨゼル、予定通り兵力が外に集中してきたぞ。」
ヨゼルがBluetoothで他の班に報告する。
「了解。もう少し集まったらこちらも仕掛ける。」
何処かにいるドラグニルが答える。
「だがどうやって感ずかれたか判らないが兵力が信者暴走鎮圧からかなり戻っている。」
「何だと?」
「これはちょっと厄介だぜ。どうすんだドラグニル?」
これまた何処かにいるウェルサイトが尋ねる。
「手間はかかるが作戦変更はなしだ。このまま行くぞ。」
「了解。」
「了解。」
ヨゼルとウェルサイトは頷くと同時に通信を切った。
「よし、そろそろ俺らも行くぞ。」
通信の後、ドラグニルは同じ姿のアルシオンに言う。
「オーケー。レイン!」
「承知しました。」
レインはバージェスに命令されると、自分の隣に召喚していた2メートル弱の両前足がドリルの土竜『モグドリル』に真上を掘るように命令した。モグドリルは命令通りに前足のドリルを回転さして真上を掘り出した。そして数秒後、魔戦天使団本部の中に直接辿り着いた。天使兵は突然現れた土竜に当然のように驚いた。そして続くように赤色中心の少し重装備をした兵士がなだれ込むように入って来て散り散りに分散し、また翻弄し始める。そして兵士達が全て出て行った後、ドラグニル、バージェス、クラウド、レインの4人も本部内に侵入した。
「さて、面倒な奴はさっき言った3人、『魔戦天使団隊長シャイン•ハールロッド』『魔戦天使団副隊長サナ•クリスタル』そして『神の王ゼウス』、この3人に出会い次第撃破だ。」
ドラグニルの言葉に他の3人が頷く。
「さて!一暴れするか!」
ドラグニルとバージェスは各自で、レインとクラウドはチームで本部の中で散開した。
「さて、だいぶ本部の方に兵が集中してきたな。そろそろ行くか!」
サイエンの近くの森に潜んでいたウェルサイトが気合いを入れる。
「で、具体的にどう襲撃するのだ?」
合流していたソルージュが尋ねると、ウェルサイトは親指を立てニヤッと笑い、
「正面から正々堂々だ!」
と、ウキウキで答えた。
「陽動作戦は良かったのに最後にはそれにたどり着くのね…。」
エアルがはぁ~と大きくため息をつく。
「でもそれが一番手っ取り早いだろ。」
完全にノリノリのスノウである。ソルージュも別に否定しないし、アレンとミリアもすでに戦闘準備をしている。
(ヤバい……この感じは正々堂々が採用されそうだ…。そうだ!レビィなら…!)
エアルは自分と同じように正面突撃に反対するだろうレビィの方を向いたが、すでにナイトになっていた。これを見てしまったエアルは諦める以外選択肢がなかった。
「そう言えば、本部の方は大丈夫なのかね?」
サイエンの前に警備している兵士がもう1人の兵士に尋ねる。
「大丈夫だろ。」
もう1人の兵士が余裕な表情で答える。
「でもさ、今『あの方々』全員こっちにいるんだぜ。下手すれば本気で制圧されちまうよ。」
「大丈夫だって。仮に制圧されてもあの方々が本部に戻ってしまえば万事解決だ。」
「……そうだな。」
「そうだよ。お前は心配し過ぎだよ。」
警備兵士達は笑い合い、すっかり油断していると、
「[飛燕夜鳥爪]!!」
目の前から巨大な黒い斬撃が飛んできて、会社などと同じ自動ドアを破壊した。兵士2人は紙一重で回避しており、持っていた魔法剣を飛んできた方向に構えていた。そんな2人の目の前に現れたのはナイト達であった。
「まさかトレイ……!?」
兵士が理解して驚くのを待たずにアレンとヒューズが弾丸と矢でトドメを刺した。ナイト達は堂々と壊した玄関から中に入った。中は警報音が鳴っており、非戦闘員である研究者がバタバタと奥へ逃げて、戦闘員である兵士がゾロゾロと奥から出てきた。
「今更だけど、何でお前はこっちに来たんだ?」
ウェルサイトが準備体操しながらソルージュに尋ねる。
「お前は気にならないのか?奴等がここで何を研究しているか。」
「そう言われればそうだな。」
「私はそれを調べに来たんだ。お前は何故こっちに来たんだ?」
逆にソルージュがウェルサイトに尋ねる。
「借りを返すため。」
「借り?誰にだ?」
「ここにいるアース人達にだ。オレらがここまで進撃出来たのは紛れもないこいつ等のおかげだ。だから、奴等に借りを返さなきゃオレの気が済まねぇ。」
「ふっ…そうか、ならしっかり返すのだな。私もアース人達には感謝しているが今からは単独行動させてもらう。」
「えっ…!?」
次の瞬間、ソルージュは剣の抜き警備兵士をなぎ倒して奥へと走ってしまった。
「ちょっと!ソルージュさんどこに行くの!」
エアルが叫ぶがソルージュが止まることはなかった。そして次に叫んだのはスノウであった。
「おい!アレンの姿もねぇぞ!」
「ここに来て単独行動が増えるとは…。仕方がない、2人は置いておく。他の奴等は予定通り二組で行動しサナとサテラを見つけ出す!」
ナイトの号令を合図に、『ナイト&ウェルサイト』『スノウ&エアル』『ミリア&ヒューズ』に別れ、サイエンの捜索を開始した。
単独で走り出したソルージュは兵士を倒しながら何か手掛かりはないか探していた。通路を淡々と走っている途中、ガラス張りの場所を発見して中を覗いた。そこは白で統一された大きな部屋で左右の壁にはカプセル的なものが均等に並べられていた。
(何だこの部屋は?)
ソルージュは気になったが部屋に入るドアが見つからなかったのでガラスを割って部屋に入った。部屋の地面の方が低いので少々落下してから着地し、歩きながら辺りを見渡した。そして一番気になっているカプセルに近付いた。
「人…?」
中には白一色の服に身に纏った人が眠っているように入っていた。ソルージュは隣、隣とカプセルの中を確認すると性別や年齢は違えど全て同じように人が入っている。
「何かの実験室…いや、これは…実験用の人間…保管室……!」
ソルージュが呟いた瞬間、
「ちゃんと話すのは初めてだな、イスラ•ソルージュ。」
どこからか声が聞こえてきてソルージュがビクッ!と反応し辺りを警戒するがどこにも声の主の姿はなかった。
「どこだ!どこにいる!」
ソルージュが叫ぶと、自分の数メートル先に長身で無造作の金髪、鋭い赤い瞳を持った20代後半ぐらいの赤と黒を中心としたスーツのようなキチッとした服を着た男が現れた。しかし、それは本体ではなく立体映像のようであった。
「お前は…『ゼウス』!」
ソルージュは目の前に現れた神の王ゼウスに剣を向ける。
「止めときなこれはただの映像だ。お前から俺に、俺からお前に攻撃は通らない。」
ゼウスが説明すると、ソルージュは向けていた刃先をスッと地面に向き変えた。
「ここは一体何の部屋だ!」
ソルージュが睨みながら叫ぶ。
「お前がさっき呟いただろ。」
これを聴いたソルージュの顔が怒りに満ちた。
「やはり人体実験用の人間の保管室だったか!キサマらはこの研究所で何をしているんだ!」
ソルージュが再度剣を向ける。
「エデンの未来を救うための研究だ。」
「未来を救うだと…?」
よく分からない返答にソルージュの顔に困惑が追加される。
「今このエデンで一番の問題は魔力の枯渇だ。日常にまで浸透している魔法が突然使えなくなるとパニックになるのは目に見えている。だが今のところ枯渇を止めるすべはない。だから俺らはエデン人をアース人のように体の中に魔力を持てるよう研究しているのだ。」
「……!無謀だそんな研究!エデン人の体には魔力が適していないから周りから魔力を集めて魔法を発動しているのだぞ!この研究を続けることはただ犠牲者が増えるだけだ!」
またソルージュの顔には怒りだけとなる。
「おいおい、何かただの殺戮実験のような言いぐさだな。」
ゼウスが少し不機嫌になる。
「そうとしか思えんが?」
「失敬な。その保管室にいる人間どもは完成間近の奴等だ。」
「そんなこと信じられるか。」
「なら、自分の目で試してみるか?」
ゼウスがパチンと指を鳴らすと、ソルージュの近くにあった2つのカプセルがウィーンと機械音を鳴らして開き、中から8号と服の背中に書かれた男と9号と服の背中に書かれた女が出てきた。
「この者達はどこの誰なんだ?」
ソルージュは出てきた2人を警戒しながらも出来るだけ情報を得ようと試みる。
「信者というのは実に扱いやすく単純だ。」
ゼウスから返ってきた解答に、ソルージュはゲスが…!と険悪な眼差しを向けた。
「さぁ8号と9号、未来を信じられない奴に研究の成果を見せてやれ。」
ゼウスの命令により8号と9号がソルージュに走り出した。
「くっ…!!」
ソルージュは戦うしかないのかと剣を構え魔法を使おうとした時、違和感を覚えた。
「魔法が使えないだと!?この部屋には魔力がないのか!?」
そう、魔法が使えないのだ。そのことにソルージュが混乱しているともっと混乱することが起きた。
「[ファイアボール]!」
なんと9号が魔法を使ってきたのであった。ソルージュは混乱しながらも紙一重で火の玉を回避する。だがそこに8号が接近してきて腕を蹴り上げられ剣を空中に飛ばされた。
「[ダークショック]!」
8号は続けざまに手のひらに溜めた闇の衝撃波をソルージュに喰らわした。ソルージュは吹き飛び、地面を転がり倒れてしまった。8号は空中で舞っているソルージュの剣をキャッチしてそのままソルージュに斬りかかった。
(ヤバい…!!)
ソルージュは危険と感じたがダメージで回避することが出来ない。だが次の瞬間、ダン!!!という一発の銃声が鳴り響くと、8号が剣をカランカランと落とした。ソルージュは弾丸が飛んできた方を向くと自分が下りてきたガラス張りのところだった。そこには同じ赤い髪をしたアレンが立っていた。
「これはこれは、面白い来客だ。アレン•ソルージュさんよ。」
ゼウスがハハハと笑う。
「僕はアレンではあるがソルージュではない。アレン•ルビーだ!」
アレンは飛び下りながら二丁の拳銃の銃口を8号と9号に向けて着地すると同時に、
「[インパクトガン]!」
一発ずつ弾丸の形をした衝撃波を放った。放たれた衝撃波弾丸は的確に8号と9号に命中して吹き飛ばした。
「大丈夫ですかソルージュさん?」
アランはソルージュの手を掴みヒョイと立ち上がらした。
「助かった、感謝する。」
ソルージュはアレンに軽く礼を言って剣を拾い再度構え、アレンも隣で二丁の拳銃を構える。その間に8号と9号は立ち上がり立体映像のゼウスの近くに戻った。
「お前も邪魔をするのか?アレン•ルビーよ。」
「邪魔をする気がないならこんな所に来ないよ。」
「そうか…ならお前にも消えてもらおう。」
ゼウスがもう一度パチンと指を鳴らすと、他のカプセルも全て開き、未完成の実験体の人間がぞろぞろと出てきて2人を囲んだ。その時にはゼウスの立体映像は途絶えていた。
「魔法が使えないようですけど戦えますか?」
アレンが小馬鹿にするような感じで尋ねる。
「バカにするな、魔法が使えないだけで戦力外になるほどやわな鍛え方をしていない。」
ソルージュはハッ!と一笑いしてから剣を構え、アレンと背中合わせになる。
「最後に聞かせろ。何故お前は私のところに来たんだ?お前等の目的は副隊長サナとサテラという少女を連れ戻すことだろ。私がお前の姉と同じ姿をしていても赤の他人だ。助ける義理はないはずだ。」
「……そうかもしれません。でも僕は誠に勝手ながら、やっぱりあなたも家族だと思っています。だから…もう家族を失うのはゴメンなんです。」
問われたアレンは決意と悲しみが混じった声で答えた。ソルージュはちゃんと理解したわけではないが問い詰めることはしないでそうかと微笑を浮かべるだけにした。
「では……行くぞルビー!!」
「はい!!」
ここで、『義姉弟vs未完成実験体軍団』の戦闘が勃発した。
アレンとソルージュの戦闘が始まる頃、スノウとエアルはサテラを優先的に探していた。そんな2人の前は1つの部屋のドアを発見した。ここにいるかもと自動ドアの中に入っていく。そこはさっきまで見た研究室というより誰かの部屋のようだった。
「誰の部屋だ?」
スノウが大まかに部屋を探索する。エアルも同じように部屋を探索していると、部屋の奥にベッドを発見し、その上には探していたサテラが気持ちよさそうに眠っていた。
「スノウ!サテラちゃんいたよ!」
エアルがスノウを呼ぶ。
「寝てやがんのか?」
近寄ったスノウがサテラの顔をジッと見る。エアルが体を揺すってみるが起きる気配がなかった。
「これは眠っているというか眠らされているってとこか。」
スノウが言うと、エアルも私もそう思ったと同感した。
「どうするスノウ?」
「う~む…とりあえずここにいても何も出来ないしどっかに移動しよう。」
「どっかってどこ?」
「とにかくどっかだ。」
「目的なしで動く方が危険じゃない?」
「でもここにいてても何も出来ないだろ。」
「じゃあどこに行くのよ!」
「だからどっかにだよ!」
この2人の言い争いはサテラに聞こえており、小さく反応したが2人は気が付かなかった。
真っ暗な闇の世界でサテラはポツンと浮いていた。心の中である。
(この声…誰だっけ…。)
サテラにかけられた記憶封印魔法はサテラの全てを浸食しており、もうシャイン達のことも自分のことも分かっていない状態までになっていた。
(誰だっけ…知っているはずなのに思い出せない…。)
その時、
【何かお悩みのようだな。】
誰かが心の中に直接語りかけてきた。
(誰?)
サテラが暗闇を見渡すと、目の前にゼウスがホワッと現れた。
「あなたは誰?」
【俺は神の王ゼウス。】
「神様……神様なら何でも知っていますよね?神様、私は一体誰なんですか?この声は一体誰なんですか?」
何も思い出せない自分に恐怖を感じ、顔に不安を纏っているサテラが尋ねると、ゼウスは対極に楽しそうに笑いながら答えた。
【お前の名前はサテラ。お前が生まれた理由はこいつらを殺すことだ。】
ゼウスがパチンと指を鳴らすと、シャイン達の幻が出現した。
【お前から見て左から『シャイン』『レビィ』『スノウ』『エアル』『ヒューズ』『アレン』『ミリア』だ。そして今、お前が聴いた声はこの中のスノウとエアルだ。】
スノウとエアルの幻だけを残し、他の幻は消滅した。
「じゃあ、私はこの人達を殺さなきゃいけないんですか?」
【そうだ。】
「でも……何か違う…」
【違わない!】
ゼウスがサテラの言葉を遮る。
【お前は奴等を消すために生まれたんだ!さぁ!奴等を殺すんだ!】
ゼウスに言われた瞬間、サテラはカッ!と目を見開き、いきなり起き上がった。言い争っていたスノウとエアルは同じリアクションをとりながら驚いた後、サテラが目覚めたことに喜んだ。
「良かった~サテラちゃん目を覚ましてくれた~。」
エアルがギュッと抱きしめる。が、サテラに反応がないのでエアルがどうしたの?と両肩を持ったまま首を傾げ笑顔で尋ねる。しかしそれでも反応がないので笑顔はなくなり心配する顔に変え、もう一度どうしたの?と訊く。しかしやはり反応はなく、ただエアルのことを一点に見つめるだけであった。スノウもこの光景を不思議に見ていると、エアルの死角でサテラが青い炎の『青幽鬼』を小さく発動をしていたのに気が付き、
「離れろエアル!!」
エアルの腕を無理矢理引っ張りサテラから遠ざける。その瞬間にサテラの体を青幽鬼が完全に包み込み、エアルはスノウのおかげで間一髪巻き込まれずにすんだ。
「サ…サテラ…ちゃん?」
エアルは突然の出来事にパニック状態で目の前にいる変わり果てたサテラに震えながら後退りしていく。青く燃える瞳に鋭く伸びた爪、頭からには小さな角、口には獣のような牙が生え、青い炎が悪魔の羽と尾を造形しており、その姿は悪魔そのものだった。
「これ、闇落ちじゃねぇのか…。」
スノウも後退りしながら呟く。サテラはジリジリと近付いてくる。
「サテラちゃん!私達だよ!忘れちゃったの!」
エアルが必死に叫ぶと、サテラはピタッと立ち止まり、初めて口を開いてくれた。
「あなた達は、私が殺すターゲット。」
「えっ…!?」
エアルが意味を理解する前にサテラは手のひらを向け、炎を放ってきた。
「あぶねぇ!」
スノウはエアルを無理矢理下に引っ張り回避させた。
「このままじゃ俺らがやべぇ!一旦逃げるぞ!」
スノウはすぐに立ち上がり、サテラの言葉に呆然となっているエアルの腕を掴んで廊下に飛び出てそのまま逃走した。サテラは逃がさないと炎の羽で少し浮いて追跡した。
「ヒューズ止まって!」
研究用の植物などを育てているドーム状の庭園の中を走っていたミリアが前を走っているヒューズを呼び止めた。ヒューズは言われた通り立ち止まり、先に止まっていたミリアに近付く。
「どうしましたミリア?」
「あっちでとても恐ろしい魔力を感じた。」
「あっちで?」
ヒューズがミリアが言う方向に魔力察知を集中すると、確かに背筋が凍る魔力が感じられた。
「これはまたおぞましい物が動き始めましたね。」
「でもね、この感じる恐ろしい魔力の中に微かにサテラちゃんの魔力を感じたの。」
「サテラの?私は魔力察知が長けていませんから判りませんが、この魔力を発しているのがサテラであれば何故こんなことに?」
「それは多分……」
「闇落ちよ、多分じゃなくて確実に。」
そう答えながら2人の前に現れたのは探していたもう1人の人物『サナ•クリスタル』だった。
「闇落ちは確か『魔力のオーバーヒート』か『負の感情が頂点に達する』ことで起こるはずです。サテラはどちらで闇落ちを?」
ヒューズは会えたことに喜んだりせず、冷静に話を繋げる。
「負の感情の方だと思うわ。魔力のオーバーヒートは記憶封印魔法のせいでオーバーヒートするほど魔力を使えないですもの。」
サナの言葉にミリアが疑問を持つ。
「それって『グライトル』で発表された『記憶と魔法の理論』から言っているんでしょ。あまり根拠がないから信じられていないけど。」
「そうね、アースの方じゃ最近のことだから信憑性が薄いけど、このエデンではその理論は既に立証されているのよ。」
「ほう、それは興味深いですね。」
ヒューズが反応する。サナは特別に教えてやるわと説明を始めた。
「魔法を発動するためにはまずどんな魔法かを知り、その次に発動方法を覚え、最後に魔法を使い続け身に付ける。この『知る→覚える→身に付ける』という行為は『記憶に残す』という行為と同じってわけ。」
「それくらいならアースでもすぐに受け入れられるはず。何で受け入れられていないのかしら?」
ミリアが首を傾げる。
「エデン人はこの発動方法をするだけで誰でも魔法を使えるけど、アース人はそこに『遺伝子問題』が引っかかってくるのよ。アース人はこの発動方法をしたとしても、魔法が使えない遺伝子、つまり魔法が使えない『DNA』だった場合魔法は使えない。アースではこの遺伝子のことが先に発表されたから今更脳的なことを言われてもピンとこなかったんでしょ。」
サナが答えると、ミリアは成る程と納得する。
「そして今、サテラは記憶を封印されているから魔法の使い方を忘れている。だから魔力をオーバーヒートするまで使えないってこと。」
サナが説明を終えると、次にヒューズが質問をする。
「魔力のオーバーヒートではなく負の感情の方ということは理解しました。ではサテラは何の感情が頂点に達したのですか?」
「そこまでは分かれば世話ないわね。」
サナはやれやれポーズをして分からないと表現する。
「さて、特別講座はお終い。そろそろこっちの任務を遂行していいかしら?あなた達の抹殺する任務を。」
サナの目付きがさっきまでと変わって殺意のこもった眼光と化した。
「やっぱり戦うの?」
ミリアが悲しみの表情を浮かべる。
「私はあなた達の敵なのよ。」
サナが冷たく答える。それを聞いたヒューズは一呼吸してから弓を取り出した。
「ではこちらも全力で行きましょう。みすみす殺されたくはないので。」
「ふっ…あんたのその冷静で割り切るのが早い性格、今はとても有り難いわ。同情されたまんまじゃ思いっきり戦えないからね。」
サナは笑ってからスッと戦闘体勢になる。
「本気なのヒューズ?」
ミリアが横を向いてヒューズに尋ねる。
「戦えないのなら後ろに下がっていて下さい。」
ヒューズがサナに向いたまま言うと、
「私もその方が有り難いわ。戦意のない奴は極力殺したくないから。」
サナも同じようなことを言った。ミリアは悩んだ末、
「私も戦う!」
決心した顔付きになり、戦闘体勢になる。
「そうこなくっちゃ。……行くわよ!」
サナVSヒューズ&ミリアの戦闘が始まろうとした瞬間、森の方から何かが破壊された大きな音が響いてきた。それにより戦闘は中断され、3人は音がした方向を見た。そして同時に魔力を察知し、誰が侵入してきたのかすぐに分かった。
「これって…フォーグ!てことは革命軍!?」
ミリアが叫ぶとあとの2人は黙って頷いた。そしてサナが頷いた後に革命軍のところに行こうとヒューズとミリアに背を向けると、一本の矢が頬をかすめて飛んでいき壁に刺さった。サナは頬から血を流しながら向きを戻すと、ヒューズが矢を放った後の状態で立っていた。
「どこに行くんですかサナ?あなたの任務は私達の抹殺と言っていませんでしたっけ。ダメですよ、任務放棄は。」
ヒューズがからかうような口調でサナを挑発する。
「……その性格は直した方がいいわね。」
サナは挑発にのり、戦闘体勢に戻った。
「ヒューズ、何でサナを止めたのよ?あのまま革命軍のところに行ってもらっていたら戦わずに済んだのに。」
ミリアがヒューズにしか聞こえない声量で尋ねる。
「『本意』を知りたくてね。」
「えっ…?」
「おっと来ますよ!」
ミリアがヒューズに再度聞き直す暇もなく、サナが攻撃を仕掛けてきたので、とりあえずミリアは戦いに集中することにした。
森を中心に、北には魔戦天使団本部があり、南にはサイエンがある。そして東西には無断で人が入たきれないように5メートルの壁が魔戦天使団本部から伸びている。革命軍はそんな壁の西側の壁を破壊して森の中に侵入してきたのだ。
「えらく派手に壊しましたね。」
イルファが大きく空いた穴を見て苦笑いする。
「派手に行こうじゃないか。」
フォーグが楽しそうに笑う。そこに兵士達がぞろぞろと現れ、革命軍の4人を取り囲んで銃口を向けた。
「止めとけ、それ魔法銃だろ?周りの魔力を集めて凝縮し、弾丸の形に造形して発射する。この周りじゃそれはただの鉄の筒だ。」
フォーグが丁寧に忠告するが、兵士達は小隊長の号令で一斉射撃をしようとした。しかし、弾は出ずカチンという音だけがした。突然の緊急事態に兵士達が慌てふためいている光景を見て、フォーグは呆れてため息をついた。
「だから言っただろただの鉄の筒だって。さっき壁を壊す時にかなりの魔力砲を放ったからこの範囲にもう弾に変えるための魔力がねぇんだ。」
フォーグがスッと肩くらいまで手を挙げてからヒュッと降ろした。すると重力によって兵士全員が無理矢理地面に叩きつけられた。兵士達は必死のもがくが立ち上がることは不可能だった。フォーグはその光景を鼻で笑ってから森の中心にある時空の湖へ移動を始めた。小隊長は近くにフォーグが来た瞬間に剣で足下を攻撃しようとしたが、
「攻撃をしたことによって地面と一体化になるか、何もせずにそのままひれ伏せているか。」
フォーグの威圧によって攻撃したくてもできなかった。
森と言っても樹海であるので普通に進んで行っても迷うのは目に見えていた。だから革命軍は木をなぎ倒し、見通しよくしながら進んで行った。その結果、全く迷うことなく時空の湖に到着した。
「さてカルマよ、言った通りに頼むぞ。」
フォーグがカルマに命令すると、カルマは自分の影の中から『デビルエルクワタ』を数個取り出し、それを全て砕いた。するとデビルエルクワタから黒いオーラが発生し、カルマの体の中に吸収された。普通の人間ならば力を得れる代わりに心が闇に染まってしまい悪の道へ進んでしまうが、元から悪の者はただ力を得れるだけで何も変わらない。カルマは後者であり、ただ純粋に力が増幅した。そしてカルマはアースからエデンに来たときのように時空の湖に一本の紫の光線を放った。すると、来るときは3人分が必要だった時空の扉が開いたのであった。
「ほ~、うまくいきましたね~。」
カギスタが湖に開いた扉を覗く。
「流石にこれほどまでうまくいくとは思わなかったぜ。」
フォーグも少し驚いていた。
「体の方は大丈夫カルマ?」
イルファが異常はないかカルマに聞こうと見ると、ゾワッと悪寒が走った。
「ある意味大丈夫じゃないよ、力がドンドン体の中から噴き出してきて止まらない。」
そう答えるカルマからは闇のオーラが立ち上り、瞳は赤く染まっていた。
「多分もう少ししたら効果が切れてリバウンドがくるから気を付けといて。」
イルファが忠告するが、カルマは自分の力に酔っていてほぼ上の空の状態であった。
「さて、モタモタしていると可能性があるからさっさと飛び込むぞ。」
フォーグを先頭に革命軍は扉に向かって飛び込んだ。そして扉は革命軍が全員通過したことを確認したかのように閉まりだしていく。その時、人一人が通れるくらい開いている時に何かがギリギリで通過し、それと同時に扉は完全に閉まった。
この光景をナイトとウェルサイトはサイエンの大型研究室の窓から見ていた。
「なんて魔力だあのガキ…3人分の神魔法を1人で放ちやがったぞ。」
驚いているウェルサイトの隣でナイトは冷静に眺めていた。
「しかも追っ手が来れないようにすぐに閉まるよう計算して放ったようだな。」
2人は最後に何かが通過したのは見えていなかったようだ。そんな2人の背後の扉がウィンと機械音を立てて開き、誰かが入ってきた。音に反応した2人は瞬時に反転し夜桜と闇桜を抜いて構えた。
「血の気が多いのもそっくりかよお前等は。」
入ってきたのはレビィの主のエデンバージョン、『シャイン•ハールロッド』であった。
「やっぱりいやがったかハールロッド…。」
ウェルサイトが睨む。
「当たり前だ。俺らの任務はお前等の抹殺だからな。」
ハールロッドが同じく刀を抜いた。
「だが、この場所で戦うのはあまりよろしくないからな…場所を変えさせてもらうぞ!」
ハールロッドが刀を一振りすると、強力な突風が発生し、ナイトとウェルサイトを窓の外に吹き飛ばした。吹き飛ばされた2人は見通しが良くなった森で体勢を立て直して急停止し、ハールロッドの方を睨んだが、研究室にハールロッドの姿はなかったので辺りを見渡した。すると、頭上から殺気を感じ急いで見ると、ハールロッドがナイト目掛けてニッと笑いながら刀を振り下ろしてきた。ナイトはギリギリで夜桜で防ぐが、力負けしてしまいまた吹き飛ばされ、地面を転がった。
「てめぇ!!」
ウェルサイトはハールロッドに斬りかかったが刀で防御され、そのまま腕を掴まれ投げ飛ばされた。
「[風神嵐斬]!!」
追い討ちにハールロッドはウェルサイトに風の斬撃を連続で放った。ウェルサイトは闇桜で防ぐが何発か喰らってしまい地面に倒れ込む。その時、ナイトがハールロッドの前に戻ってきた。その顔は何かを確信しているようだった。
「この魔力……やはり貴様『神魔法』か…。」
「やはりと言うことは感ずいていたのか?」
ハールロッドがナイトの方を向く。
「ホテルで戦闘したときにもしやとは思っていたが、今お前の攻撃から感じた魔力で確証となった。」
「……いかにも!俺は神魔法の中の一つ『風神魔法』の使い手だ。」
「ちっ…厄介なことこの上ないな…。」
ナイトがボソッと呟いて夜桜を構えた。そんな時、ウェルサイトが肩の傷を抑えながら立ち上がってハールロッドに問いた。
「ハールロッド、お前はどうせオレらを殺すつもりなんだろ?なら冥土の土産に聞かせろ、何でお前は魔戦天使団にいるんだ?」
ウェルサイトの予想外の質問にハールロッドは目を一瞬見開いて驚きを表現したが、すぐにいつもの表情に戻って逆に問いた。
「それを聞いてお前に何の得がある?」
「いいだろ別に。お前みたいな誰の指図も受けなさそうな奴が何で自ら神に服従しているのか気になっただけだ。」
「……今から死ぬお前に教える義理はねぇ! 」
ハールロッドは答えることなく刀を構え戦闘体勢になると、地面を蹴り一瞬でウェルサイトとの間合いを詰め斬りかかろうとした。ウェルサイトは反応が遅れ、回避も防御も間に合わない。
「ウェルサイト!!」
そんなウェルサイをナイトが2人の間に入り守った。
(速い…!!こいつが立っていたところからここまで10メートルはあったはず…!!この距離を俺が動いた後から動いて追いつくとは…!!)
ハールロッドが予想外の速度に驚いたことによってできた一瞬の隙を捉えたナイトは体を捻らせ顔に蹴りを喰らわし吹っ飛ばした。そして体勢を戻してハールロッドに向かって走り出し、
「[黒月斬]!!」
夜叉の力を纏った夜桜で追撃した。が、手応えは感じられず、即座に回避されたと気が付いたころには背後をとられていた。
「[風神餓狼喰]!!」
ハールロッドは腕に纏った神の風を飢えた狼に変形させ噛もうとした。ナイトはまともには喰らわなかったが夜桜を持っている逆の腕を噛まれた。
「あぁぁぁぁぁ!!」
かなりの激痛に叫ぶナイトをハールロッドは噛んだまま一回転し遠心力をつけ投げ飛ばした。
「ハールロッド!!」
ハールロッドがナイトに集中している隙をついてウェルサイトは攻撃を仕掛けた。
「[黒閃剣]!!」
黒く光る闇桜で素速い突きを放ったが、ハールロッドは気が付いており、刃先で闇桜の軌道を変えたと思ったらウェルサイトの懐に飛び込み風の衝撃波を喰らわしダウンさせた。
「[風神剣舞]!!」
ハールロッドは間を空けることなく二本の風の剣を造形し、倒れているウェルサイトの左手のひらと右肩を貫き地面に固定した。
「あぁぁぁぁぁ!!」
悲痛を叫びを上げるウェルサイトにトドメ刺そうと刀を振り上げたハールロッドだが、横から感じた殺気に反応しその方向に体を向けた瞬間、肩から血を流しながらもナイトが夜桜を構え突進してきて連続で攻撃をする。しかし、攻撃は全て回避や防御され、通ることはなかった。
「どうした!動きが鈍くなっているぞ!」
ハールロッドは挑発してから足払いでナイトを浮かし、腹を蹴って上空に飛ばした。
「じゃあな、アースレビィ!」
ハールロッドは刀を構え、最後の一撃を喰らわそうとした。ナイトもダメージのせいで体は動かない上、上空で身動きがしにくいため、己の死を悟った。
「[風神天絶]!!」
シャインの龍上天風のような巨大な風の斬撃がナイトに向かって放たれた。死を悟りながらも少しは抗うナイトだが、体が言うことを聞かず、そのまま斬撃に向かって落ちていく。そして、ナイトと斬撃が接触すると思った瞬間、突然斬撃の軌道が変わったのだ。いや、正確に言うと『勝手に変わった』のではなく『誰かに変えられた』のだ。
「なっ…!?」
命を諦めていたナイトは突然の出来事に何が何だが分からないまま地面に落ちた。その時、自分の前に斬撃の軌道を変えた犯人が立っていることに気が付き、上半身を起こし顔を上げてみると、そこにはとても安心できる背中が見えた。
「悪い、遅くなった。」
犯人の声はとても聞き覚えがある。顔をもっと上げると、ずっと見てきた黄緑と黒の髪を確認した。手には愛刀が握られている。今見た全ての情報を頭の中で整理して考えてた結果、奴以外該当するものがいなかった。ナイトが誰か理解した時、ハールロッドが笑いながら犯人の名を叫んだ。
「やっと来やがったか!『シャイン•エメラルド』!」
そう、ナイトの前に立っていたのは『シャイン•エメラルド』であった。
エ「さて!いきなりハガキコーナー行くよ!」
レ「えらく早いわね。」
サテ「今回はこんなおハガキが届きました。『アースの方の名前とエデンの方の名前とかゴチャゴチャしてきました。どうか整理をお願いします。』というものです。」
レ「そういえばそうよね。作者もたまに訳が分からなくなるらしいわ。」
エ「てなわけでまとめました!一気に~~ドーーン!」
•シャイン
『エメラルド』⇄『ハールロッド』
•レビィ
『サファイア』⇄『ウェルサイト(クトゥリア)』
•スノウ
『シルバー』⇄『ホワイト』
•エアル
『ダイヤモンド』⇄『ファベラ』
•アレン
『ルビー』⇄『ソルージュ』
•バージェス
『アルシオン』⇄『ドラグニル』
•イスラ
『ルビー』⇄『ソルージュ』
•フィリア
『サファイア』⇄『クトゥリア』
エ「こんなところかな?もしキャラがいないのに気が付いたらいつの間にか増えていると思います。」
レ「では今回はこの辺で。次回をお楽しみ!」