57話 動き出す者達(8)
ス「龍空deラジオー!」
シ「今回はえらくかかったな。」
ア「約1ヶ月だって。」
ス「おいおいどうしたんだよ?」
ヒ「『鬼神と人間の子』と平行してますし、作者が修学旅行に行っていましたから。」
ス「修学旅行か~、いいな~。」
シ「俺らって修学旅行行けるのか?」
ア「一応この作品は時が流れているから行けるんじゃない?」
ス「それまでに作者が飽きていそうだな~。」
シ「てか、今考えてたら俺らってまだ高1なんだよな。」
ヒ「そうですよね。なんか本編でシリアスに話しているし、激闘を繰り広げているけど、世間から見たらまだまだ子供なんですよね。」
ス「俺ら大人になれるのか?」
シ「せめて成人にはなりたいな。」
ス「な~。」
ヒ「さて、なんか我々の悩みトークになりましたが気にしないでください。では、本編をどうぞ。」
無事に森を抜けたレビィ達は、身を隠すためにウェルサイトの案内のもと近くの町に向かっていた。
「シャイン…大丈夫かな…。」
歩いている途中もレビィはずっとシャインのことを気にしていた。
「大丈夫だって。シャインなんか世界が滅んでも死ななそうでしょ。」
エアルが冗談を言って励ます。レビィはエアルの優しさに笑顔で答えて、うんと頷いた。
「おい、町が見えてきたぞ。」
スノウが指をさす方向には確かに町があった。
「悪い、オレはここで別行動をとらしてもらうよ。」
町に入ろうとした時、ウェルサイトが全員の方に振り返った。
「どうして?」
レビィが尋ねる。
「オレは『トレイタ』の人間だから極力町には入らない方がいいんだ。もし交戦してしまったら一般人に被害がでるからな。」
「町の中なのに攻撃してくるの?」
ミリアが尋ねると、ウェルサイトは頷いた。
「ああ、躊躇なくな。」
「酷い…民をなんだと思っているのよ。」
エアルは一国の王女として怒りが込み上げてきた。
「とりあえず今から簡単に説明するな。目の前にある町の名前は『ポプラ』。『女神:ヴィーナス』の領土の首都みたいな町だ。あの町はデカいから身を隠す場所が…」
「待って待ってウェルサイト!領土?首都?どういう意味?」
レビィが慌てて止める。
「そっか、領土のことも知らなかったな。じゃあ先にそっちを説明するか。」
ウェルサイトはおもむろにエデンの世界地図を取り出し近くにあった適度な大きさの岩の上に乗せた。レビィ達はウェルサイトの後ろから地図を覗く。
「オレらがいる大陸はたった一国『カーラーン』って国が支配している。で、島とかを無視すると大陸は長方形を横にした形になっているんだ。それを『北東:ゼウス』『南東:オリジン』『北西:キトリス』『南西:ヴィーナス』のように四大神が分けて管理している。そして今いるのがヴィーナスが管理している南西エリア、あの町はこのエリアの首都ってわけだ。」
「時空の湖は誰の領土にあるのですか?」
ヒューズが尋ねる。
「時空の湖はここにあるんだ。」
ウェルサイトが大陸の真ん中を指して説明を続ける。
「この中央部を『セントラル』って言って、ここは四大神全員で管理して、時空の湖と魔戦天使団本部とある研究所があるだけなんだ。」
「つまり、一般人は入れないのですね。」
「そういうこと。」
ウェルサイトがヒューズの言葉に頷く。
「なあ、ある研究所って一体何を研究しているんだ?」
スノウが尋ねる。
「それはオレらもまだ分かっていないんだ。とても厳重で調査すら出来ないほどだ。でも名前は分かったぞ。確か…『サイエン』だったかな。」
「研究所…サイエン…。」
サテラは自分が何かの人体実験の材料だということは知っている。だが、どんな実験をされていたのか、家族はいるのか、一体自分が何者なのか全く知らないのである。
(そこに行けば、私が何者か分かるかも…。)
そんなことを思っていると、
「どうしたのサテラちゃん?」
隣にいたミリアが突然話しかけてきた。サテラはビクッと驚いてから、
「い、いえ、何でもないです。」
と、笑って誤魔化した。
「さてと、簡単だったけど説明も終えたことだしオレはもう行くよ。サファイア達はポプラで休んどいてくれ。」
ウェルサイトは地図を直す。
「休むって、危険じゃない?」
エアルが心配する。
「大丈夫。さっき言ったけど、ポプラはヴィーナス領土の首都みたいなもんだ。だから中で攻撃はそうそうしてこないさ。」
「指名手配ぐらいにはなっているのでは?」
アレンが尋ねると、ウェルサイトが首を横に振った。
「あまり四大神が関わっていることはあまり一般人には知られないようにしているんだ。信用がなくなるからな。だから一般人はお前達がこっちに来ていることすら知らないと思うぞ。」
「じゃあまだ安心っぽいね。」
エアルがホッとする。
「じゃあオレ行くな。今日1日はゆっくり休んどけ。」
ウェルサイトはトレイタの基地戻るためポプラを迂回する道を走っていった。それを見送ってから、レビィ達はヴィーナス領土首都ポプラに向かった。
同時刻のエクノイアのとある場所でシャインは目を覚ました。
(どこだ…ここは?)
傷がまだうずく体を起こし辺りを見渡す。どうやらどこか森の中の小屋らしい。食器や置いているものの数を見るからに誰かが一人暮らしをしている。
(確かサナにやられて…それから…)
記憶を思い出していると、
「おー、やっと起きたか。」
ある男が外から帰ってきた。その男を見た瞬間、シャインの顔が驚きに変わり、即座に立って戦闘体勢になった。
「『バルス』!!!」
「流石に覚えていたか。」
バルスと呼ばれた男は黄緑一色の髪に左が紫、右が白の瞳。歳は30代後半でまだまだ若々しく見える。
「ああ…。忘れたくても忘れられないからな…。」
ニヤニヤと笑いながらこちらを見ているバルスをシャインは殺意のこもった視線をおくる。
「何でお前がここにいんだよ…。」
「ん?そりゃここは俺の家だからな。」
「何…?」
その時、シャインは傷が痛み膝をついてしまった。
「まだ動かん方がいいぞ。」
「う、うるさい…!」
「見栄を張んなって。」
バルスが笑いながら近くにある椅子に座る。
「お前、あの嬢ちゃんに感謝しろよ。」
「…どういうことだ?てか、見ていたのか…。」
シャインはやはり痛みがキツく、さっきまで寝ていた布団に座る。
「まあ、見ていたのは今はどうでもいいとして…なんだ、気が付いてなかったのか。あの嬢ちゃん、まだ本気出してなかったぞ。」
「何だと…!?」
シャインは思わぬ言葉に驚いた。
「魔力察知で探ったところ、嬢ちゃんはお前が死なないようにちゃんと加減をしていた。まだまだ本気はあんなもんじゃねぇと思うぞ。」
「マジかよ…。」
「そんな嬢ちゃんに本気で挑んでボコボコにされやがって…!」
バルスが思い出し笑いをする。そんなバルスを睨み付けながら、シャインは痛む傷口を押さえて立ち上がり、ゆっくりとドアに歩いていく。
「何処に行くつもりだ?」
バルスが尋ねる。
「こんなとこで油売っている場合じゃねぇんだよ…。」
「止めとけ、今行ったって足手まといになるだけだ。」
「うるさい…お前には関係ねぇだろ。」
「……嬢ちゃんより強い奴に、お前は勝つつもりなのか?」
「………」
「お前等が何と戦っているか知らない。あの湖の先に何があるのか知らない。でも分かることもある、それは…今のお前じゃ誰も何も守れないってことだ。」
「何…!?」
シャインはバルスの言葉が癇にさわり、座っているバルスに近付き胸ぐらを掴んだ。
「俺があいつ等を守れないだと…?」
「そうだ、たとえ傷が完治したとしても、今のお前の力じゃ勝てるはずがない。」
「そんなの分かんねぇだろ!」
「……そうか、なら勝手に行くがいい。そして自分の無力さに絶望しながら仲間が死んでいくのを眺めるんだな。」
「っ…!」
バルスはシャインの手を払い、椅子から立ち上がってドアを開けた。しかし、シャインは動くことが出来なかった。何故か、それはバルスが言っていることが当たっているからである。
「まして今、あの湖の先に行けないんだろ?ああいうファンタジーな出来事は大体何らかの条件が必要なのが多いからな。」
またも図星だったシャインはただ黙るしかなかった。
「仲間のとこも行けない、行けたとしても自分の無力に嘆きながら仲間を失うだけ…さて、今のお前に何ができる?」
シャインはずっと黙っていたが、ようやく口を開き答えた。
「……失わないために、俺はあいつ等を守ると決めたんだ。だから、俺は何が何でもあいつ等のとこに行かなきゃいけねぇんだよ。」
シャインの答えにバルスはふ~むと何か考える素振りを見せてから口を開いた。
「成る程…じゃあ少し質問を変えよう。お前の仲間ってのは、お前がずっと守らなきゃいけねぇほど弱い連中なのか?」
「そ…それは…」
予想外の質問にシャインは口ごもった。
「お前は仲間の強さを心のどこかで信じていないんだ。だから、ちったぁ仲間の強さ、信じてやってもいいんじゃねぇか?」
そう言われたシャインは、
「フッ…そうだな。」
と、小さく笑い、ようやく気持ちが落ち着いたようだ。落ち着いたと同時に自分の腰にいつもある風砕牙がないことに気が付いた。
「おい、俺の刀どこやった?」
「ん?あーそうだったそうだった。」
バルスはポンと手を叩いてから外に出て行った。シャインは何だと後を追って外に出た。外に出ると、バルスはポイッとシャインに風砕牙を投げ渡した。
「研いどいてやった。」
「…!何で?」
「そりゃあ今からの『修行』に刃こぼれしていたら折れちまうからな。」
「なっ!?お前何言って…」
シャインはバルスの言っていることが分からないので尋ねるが、バルスは淡々と話を続ける。
「お前、能力解放できるだろ?」
「えっ…まあ、できるけど…。」
シャインは訳も分からないままとりあえず答えた。
「じゃあ、その上があるってのは知ってるか?」
「能力解放の…上?」
シャインは流石に初耳だった。
「そうだ。シャイン、お前にはその力を得てもらう。もちろん、傷が癒えてからな。」
バルスはウキウキした笑みを浮かべる。シャインはようやく理解ができたがキョトンとするしかなかった。
舞台はエデンに戻り、レビィ達がポプラの中で宿屋を探している時、カーラーン中央部セントラルにある魔戦天使団本部の中にある大陸監視室にサナが入ってきた。
ちなみに大陸監視室とは、大陸中に飛んでいる超小型監視カメラの映像が全て見られる部屋である。
「お、帰ってきたか、我ら魔戦天使団の副隊長…サナ•クリスタル…。」
サナを迎えたのはエデンのシャイン…シャイン•ハールロッドであった。
「アースの俺はどうした?殺したのか?」
ハールロッドが監視映像を見たまま尋ねる。
「殺してはいないわ。」
サナは答えながらハールロッドの隣に立ち、同じように監視映像を見る。
「なんだ、情けをかけたのか?」
「そうじゃないわよ。殺す必要がないと思っただけ。」
「ほう…。」
ハールロッドは何かを疑うような視線をおくる。サナはその視線を無視して別の話題にする。
「で、レビィ達は見つかったの?」
「まだだ。人がいなくて身を隠せる場所を中心に探しているのだがな。」
サナはその報告を聞きて何かに気が付き、部下に命令する。
「探すところを全首都に変えて!映像は首都を四分割で!」
部下達は忠実に従い、すぐに対応する。
「首都だと?奴等は四大神を狙っているんだぞ。自ら敵さんの大将がいるとこにいきなり行くか?」
ハールロッドが尋ねる。
「木を隠すには森ってことよ。人が多い首都の中だと簡単には見つかることはないわ。」
「なるほど。だが別に首都じゃなくても人の多い町などいくらでもあるぞ。」
「あんた自分で言ったでしょう、いきなり大将のとこに行くかって、そう思うと予想して、あいつ等は逆にいきなり首都に入ったの。私達はまさか初めから来るとは思ってなくて警備を怠っているでしょ?その隙を突いてきたのよ。」
「はぁ~…やってくれたな。」
ハールロッドは理解すると苦笑いする。
「見つけました!ターゲット達はヴィーナス領土首都ポプラです!」
部下の一人がレビィ達の姿を見つけ報告する。
「ポプラにいたか…。あそこは…第3部隊がいたな。よし…」
ハールロッドが第3部隊に連絡しようとしたが、サナがそれを止めた。
「ダメよ、首都内での攻撃はその首都の四大神の許可が下りないと。」
「そうだった…。」
ハールロッドが面倒だなと髪をクシャクシャしながらため息をつく。
「許可を得れるのはあんただけなんだから早めに貰ってよね。私は部屋で休んでるから。」
そう言ってサナは監視室から出て自分の部屋に戻った。ハールロッドはサナを見送ってから、首都内攻撃許可を貰うべく四大神のヴィーナスのとこに向かった。
サナは部屋に戻るやいなやベッドに寝転び、はぁとため息をついてから横の机の上にある写真を眺め、
「もう少しだけ待っててね…私が全部取り戻してみせるから。」
と、写真に写っているある人達に呟いて微笑んだ。
同じ時間、キトリス領土の首都『ベガス』の中にある大きな教会。その前の綺麗な庭には多くの信者が祈りをあげていた。その中を堂々と歩いていき、教会の扉の前に立ち止まった。
「な、何だ君達は!」
1人のお爺さんが扉の前にいる4人組に尋ねる。
「死にたくない人はこの場から離れてください。」
4人組の中の女性が信者達に忠告する。次の瞬間、4人の中のリーダーが右手に大気の塊を作り扉に投げつけた。それにより扉は吹き飛んだ。それを目の当たりにした信者達はパニックを起こし庭が大騒ぎとなる。そんなこと無視をして、4人組は教会に入った。
「お邪魔します。初めまして、『革命軍』です。」
リーダーの『フォーグ』がニヤッと笑いながら自己紹介した。
エ「龍空deラジオ!」
レ「なんか前書きの方ぶっちゃけ過ぎじゃない?」
サ「いいんじゃない別に?なんなら私達もぶっちゃける?」
レ「一応聞くけど、例えば?」
サ「う~ん…『鬼神と人間の子』は某エクソシストのパクリとか?」
レ「ちょっ、ちょっと!そ、それはダメなんじゃない?」
サ「大丈夫じゃない、読んでくれた人は大体感づいていると思うわよ。」
サテ「あ、あまり言わない方が…。」
サ「だって主人公の名前がまったく同じなのよ。あと……」
エ「ストーップ!もうここまで!さぁハガキコーナー行こう!」
レ「残念、もう時間だって。」
エ「えーーー!このままじゃなんか暴露しただけ終わっちゃうじゃん!」
サテ「でも時間のようです。」
エ「ホントにないんだ…。」
レ「それでは皆さん次回をお楽しみに!」