54話 同盟(5)
ス「龍空deラジオ~。」
シ「どうしたスノウ、えらくダラけてるな。」
ス「そりゃもう夏休みだぜ〜。暑くてとろけそうなんだよ~。」
ヒ「スノウ、頑張って現実世界と季節を合わせようとしていますが、まだまだ『〜魔法学園〜』の世界は冬ですよ。」
ス「誰かクーラー付けようぜ~。」
ア「ガンスルーだね。」
ス「あっ、そういえば俺カキ氷作ったんだ。」
シ「スノウ、それは止めた方が…。」
ス「いただきまーす!」
ガツガツガツガツガツ……ピーゴロゴロゴロ!!
ス「ト、トイレー!!」
ダダダダダ!バン!バタン!
ア「大丈夫かな?」
ヒ「無理をするからですね。」
シ「さて、本編ではあまり表現されていないが、まだ冬ってことを頭の隅っこの方に置いといてくれ。」
ヒ「では、誤字脱字があったらすいませんが、見てください。」
「取り引き?何を企んでやがる…革命軍。」
シャインがフォーグを睨む。
「お前ら、エデンに行きたいんだろ?」
「……!何でそのことを知ってんだ?」
シャインが尋ねるが、フォーグは答えず話を続ける。
「そこで、1つ取り引きだ。俺らはエデンの行き方を知っている。そして俺らもエデンに行きたい。だが、俺らだけではエデンには行けないのだ。だから、俺らと手を組まないか?」
「手を組む…だと?」
シャインが聞き返す。
「そうだ、俺らはお前らに行き方を教えて、エデンに行くまでは全面協力してやる。その代わり、その間、お前ら全員俺の指示に従ってもらう。」
「……それが取り引き内容か…。」
シャインは乗るか乗らないか考え始めた。
「ふざけんな!誰がお前らなんかと手を組むか!」
スノウがすぐに反対する。
「そうよそうよ!」
エアルが便乗する。
「別にいいんだぜ、お前らエデンに行けなくなるだけだし。」
カギスタがニヤニヤする。
「それはあなた達もじゃないですか。」
アレンが言い返す。
「私達はあなた達と協力した方が都合がいいだけ。たとえあなた達が断っても私達は自力で行くことが可能よ。」
イルファが答える。
「じゃあ別に私達じゃなくてもいいじゃない。」
レビィが言う。
「だから言ったでしょ、都合がいいって。」
イルファがまた答える。
「どうすんだシャイン?」
スノウがシャインの横顔を見ながら尋ねる。シャインはスノウの方を見ずに、フォーグの方を見たまま、
「わかった、お前らの取り引きに乗ろう。」
と、答えを伝えた。
「何!?」
絶対断ると思っていたスノウ達はシャインの解答に驚いた。
「そうか。」
フォーグが短く返事する。
「その代わり、ちゃんと協力しろよ。」
シャインが念を押す。
「わかっている。」
フォーグはシャインに近付き、スッと手を出した。
「何のマネだ?」
シャインが睨む。
「同盟を組むのだ、その印だ。」
フォーグが不吉な笑みを浮かべる。シャインは睨みながらフォーグと握手を交わし、同盟が結ばれた。
「さて、同盟を結んだからにはここからは俺の指示に従ってもらう。」
フォーグは手を離してシャイン達に指示し始めた。
「まずシャインは明日、お前の幼馴染みに協力を要請しろ。」
「幼馴染み?バージェスとミリアにか?」
「そうだ。今回は奴らの神魔法が必要なのだ。」
「何故だ?」
「『時空の湖』の扉を開けるためには特殊な魔力が必要なのは知っているだろ?」
フォーグが尋ねると、シャインは黙ったまま首を傾げた。その反応を見て、革命軍の3人は呆れた。いや、革命軍だけでなくレビィ達も呆れていた。
「もう…ウェルサイトが言っていたでしょう!」
レビィが怒る。シャインはそうだっけ?と髪をクシャクシャする。
(そうだったんだ…。)
スノウとエアルもレビィに言われて思い出したことは他の誰も気付くはずはなく、話は進んでいく。
「…とにかく、その特殊な魔力とは『神魔法』と『天使魔法』という2つの魔法なのだ。」
「天使魔法?聞いたことがないな。」
レビィが首を傾げた。
「それもそうよ。天使魔法はエデンしかない魔法ですもの。」
イルファが説明する。
「成る程…『あっちの魔法』=『天使魔法』だったんですね。」
アレンは頭の中で結び付いた。
「だが、残念ながら天使魔法を使えるのはエデン人で、かつ魔戦天使団の者だけだ。そんな奴はアースで探してもいるはずがない。だから、今回は神魔法を使う。そのためにお前は、炎神魔法が使えるバージェス・アルシオンと水神魔法が使えるミリア・ガーネットを連れてこい。」
フォーグが命令を下す。
「わかった。」
シャインが素直に承諾した。
「アレンは自分の部隊、第三戦闘部隊を使いグゼット樹海を完全封鎖し、一般人を近付けるな。」
次にフォーグはアレンに命令を下す。
「……了解です。」
アレンは少し気に食わない感じで承諾する。
「他の奴らは待機。何もせずに大人しく待っていろ。」
最後にスノウ、エアル、ヒューズ、レビィに命令を下す。
「わかったわ。あなた達は何をするの?」
レビィが承諾してからフォーグに尋ねる。
「俺らはもう一人、神魔法を使える者に協力を要請しに行く。」
「…?バージェスとミリアだけじゃダメなのか?」
シャインが尋ねる。
「扉を開けるためにはまだ不足しているのだ。」
フォーグが答える。
「誰なんだ?その神魔法を使える者って。」
次はスノウが尋ねる。
「結局会うことになる、それまで待て。」
フォーグはスノウの質問に答えると帰ろうとする。そして最後に、
「実行は六日後の日曜日、それまでにシャインとアレンは任務を済ましておけ。」
実行日を言って、革命軍の3人はどこかに行ってしまった。姿が見えなくなった時、
「くそっ!何で俺らがあいつらの命令なんかに従わなきゃいけないんだ!」
スノウが怒りを露にする。
「本気なのシャイン?あいつらに従うなんて。」
レビィが尋ねる。
「そりゃあ俺だって気に食わないさ。だけど、エデンの行き方を教えてくれるって言うんだぜ、利用しないわけにはいかないだろ。だから、エデンに行くまで辛抱してくれ。」
シャインはレビィにそう言ってから、家に向かって歩いて行った。
「あっ、待ってくれよ!」
スノウは放って行かれそうになったので慌てて追いかけた。
「では。」
ヒューズは女子組に背を向け、手をヒラヒラさしてシャインとスノウを追いかけた。
「…私達も帰ろうか。」
レビィがエアルに言うと、エアルが頷き、二人ともレビィの家に帰っていった。
その夜のシャイン宅…
「はぁ~いいお湯だった。」
久々登場サテラがピンク色のパジャマを着て、濡れた髪をタオルで拭きながらリビングに入った。そこにはシャインがゴロンと寝転んでいた。普通ならいつもの風景なので入るのだが、今回は入るのをためらった。何故か?今リビングにはシャイン以外にも、ヒューズ、スノウがいているため、男臭い状態だからである。
「ん?上がったか。」
シャインがサテラの存在に気が付いて、よっと体を起こして座った。
「何でそんなとこに立っているんですか?」
座っているヒューズがドアの前に直立しているサテラに尋ねる。
「男子校高生の中に普通に入れる方がおかしいです。」
そう言いながら、ようやくリビングに入り、ちょこんと座った。
「誰が幼女なんか襲うかよ。」
シャインがシレッと言うと、サテラが頬を膨らまして怒った。
「はは、お前らもう家族だな。」
二人のやり取りを見てスノウが笑う。
「家族…か…」
シャインとサテラは顔を見合わせる。そしてサテラがニコッと笑うと、シャインはフッと笑った。
「で、今回はサテラは参戦させるのですか?」
ヒューズがシャインに尋ねる。
「流石に今回は危険すぎるからな…」
(ヴァスタリガを相手にしたのもなかなか危険だったと思うけどな…。)
スノウはそう思ったが、別に言うほどのことではないなと言うのを止めた。
「私も行かせて下さい!」
サテラが戦うことに決意した顔で頼む。
「そう言われてもな…」
シャインが悩む。
「私も…サナさんを連れ戻したいんです!」
サテラが必死に頼む。
「……どうなっても知らないからな。」
シャインはサテラの気持ちを買い、一緒に行くことを許可した。
「はい!」
サテラが喜ぶ。
「さて、そろそろ寝ろ。またリビングで寝られて運ぶの面倒だからな。」
時刻はPM9:30。サテラが寝る時間である。
「は〜い。」
サテラは素直に従い、リビングから出ようとした時、
「ちゃんとお風呂入って下さいね。」
と、男三人に言い残して自分の部屋へ入った。
「おし、野郎だけになったとこで、聞きたいと思いますか。」
スノウがニヤリと笑いながらシャインを見た。同時にヒューズもシャインを見ていた。
「な、何だよ…?」
何か嫌な予感がしたシャインが顔を引きつらせながら尋ねた。
「単刀直入に聞く…ぶっちゃけ、レビィのことどう思ってんだよ?」
スノウがズイッ!と顔を近付ける。
「どうって…別に何とも思ってねぇよ。」
シャインは目を背けながら答える。
「何も思わないのはないでしょう?」
ヒューズもニヤニヤしながら尋ねる。
「だから、何とも思ってねぇって。」
シャインがまだ抵抗する。
「正直に言えこの野郎!」
まるで修学旅行の夜のようなテンションでスノウがシャインをこそばす。
「わ、わかった!わかったから止めてくれ!」
シャインが笑いながらスノウに止めるように頼む。
「じゃあ、正直に言え。」
スノウがこそばすのを止め、改めて尋ねる。
「……正直、何て言えばいいかわかんねぇんだよ。」
シャインは髪をクシャクシャしながらう~んと悩む。
「言葉では表せない感情ということですか?」
ヒューズがニヤニヤしながら尋ねる。
「そういう意味じゃねぇよ。」
シャインが否定する。
「じゃあどういうなんだよ?」
スノウが尋ねる。
「あー!もう!何でもいいだろ!」
シャインは立ち上がり、逃げ出すように風呂へと向かおうとした。
「あっ!こら逃げんな!」
スノウはシャインを取り押さえる。ヒューズも参加し、二人でシャインを押さえる。それでもシャインは抵抗するため、バタバタと大きな音が家中に響く。その音により目覚めたサテラは恐ろしいくらい不機嫌な顔で、
「うるさーい!」
と、ドアを勢いよく開けながら男三人に怒鳴った。それにより、このバカ騒ぎが鎮圧された。
「いいかお前ら…次騒いでみろ…その己の魂が滅びると思えよ…。」
体から青い炎を放ちながら、鬼の形相で脅す。男三人はビビりながら頷いた。サテラはチッと舌打ちをしてから、ドアを閉め自分の部屋に戻っていった。三人はサテラが出ていくと、放心状態のまま一旦ゆっくりとさっきまでいた位置に戻った。
(こ…怖かった。)
男三人は声には出していないが、見事に心の中でシンクロした。
「俺…とりあえず風呂入ってくるわ。」
シャインはまだ放心状態のまま、リビングから出た。残った二人も放心状態のままシャインが上がるのを待った。
時は少々遡り、シャイン達が家に帰った同時刻、レビィ、エアルもレビィの家に帰宅した。
「ただいま〜。」
レビィが最初に入り、
「お邪魔しまーす。」
エアルが入った。
「お帰りなさい〜。」
レビィの母、フィリアが出迎えた。
「あら?エアルちゃんいらっしゃい。」
フィリアはエアルにニッコリ微笑んでリビングに先に向かった。レビィとエアルも続けてリビングに入った。
「お、帰ってきたか。」
そこにはレビィ…ではなく、ウェルサイトが座っていた。
「……何かあったのか?」
ウェルサイトはレビィの浮かない顔を見て尋ねた。
「うん…ちょっとね。先に私の部屋に行っといて、話すことがあるから。」
レビィに言われ、ウェルサイトは何だ?と思いながらも、わかったと素直に頷いて2階にあるレビィの部屋に向かった。レビィとエアルは手を洗い、ジュースとお菓子を持って2階に上がった。そして部屋に入ると、ウェルサイトがベッドに寝転んで待っていた。
「で、話って何だ?」
ウェルサイトが起き上がり尋ねる。
「さっき学校で起きたことと、革命軍のこと。」
レビィはサナのこと、革命軍のこと、全て話した。
「ふ~ん…俺が知らないとこでえらいお祭り騒ぎだったんだな…。」
ウェルサイトはレビィの話を聞いて呟く。
「革命軍の話だと、天使魔法か神魔法の魔力しか扉を開けられないないってことだけど、ウェルサイトはどっちかの魔力を蓄えている『エルクワタ』持ってないの?」
レビィが尋ねると、
「いや、持ってないな。」
ウェルサイトは首を横に振った。
「『闇桜』に装備されていたとか?」
《※闇桜…ウェルサイトが持っている刀。以前はウェルサイトの母の刀だったが、母が亡くなる前に受け取ったもの。見た目は夜桜と似ているが、その切れ味は数倍あるという。》以上捕捉説明でした。
次はエアルが尋ねるが、ウェルサイトはまた首を横に振るだけだった。
「じゃあ他にあなたが身に付けていたものに…」
レビィとエアルはウェルサイトをまじまじと見て、ウェルサイトは何かあったかなと考える人のような格好で考える。そして、ピン!とレビィがあるものを思い出した。
「ペンダント!ねぇウェルサイト、ペンダントは!」
「ペンダント?」
エアルが首を傾げる。
「これのことか?」
ウェルサイトがポケットからエデンのフィリアとまだ幼いウェルサイトが写っているペンダントを取り出した。
「わっ!フィリアさんにそっくり!」
エアルが写真を見て驚くが、特にダブルレビィに反応はなく、そのまま話は続いた。
「でも、このペンダントにはホントに写真しか入ってない、エルクワタなんかないぞ。」
「そっか~。」
レビィがはぁとため息をついた。
「そのペンダント自体がそのエルクワタってこともないんだろうな~。」
エアルがさらっと発言すると、ダブルレビィがハッ!となりながらエアルの方を向き、
「なるほど!」
と、声を揃えた。エアルは二人の反応に驚いた。
「その発想は思い付かなかった~やるじゃんエアル!」
レビィがエアルを褒めると、エアルはエヘン!と胸を張った。
(私がアースに行って、こっちの私に助けを呼べるように…そうだとしたら…やっぱり母さんには敵わないな。)
ウェルサイトは写真に写っている母を見ながら、すごい人だと再認識した。
「ん?」
その時、レビィは机にあった学校の数学の宿題が目に入った。その宿題は全て終えてあった。
(あれ?私宿題なんてしたっけ?)
レビィが宿題が書いてあるプリントを手に取って悩んでいると、
「ん?ああ、その問題プリントか?暇だったから解いといた。」
ウェルサイトが説明した。
「えっ!?ウェルサイトって賢かったの?」
レビィがすごくビックリする。
「何だよその反応…。」
ウェルサイトがムッとする。
「そっか!エデンは大体が反転世界、アースのレビィは頭が良いから、普通エデンのレビィは頭が悪くなきゃいけないんだ!」
エアルがポン!と手を叩く。
「失礼な!オレはIQ150だぞ!」
「ひゃ、150!?冗談でしょ!?」
レビィがものすごく驚く。
「ねぇレビィ、IQ150ってすごいの?」
エアルはIQの意味があまり理解していないらしい。
「かなりね。」
「へぇ~!じゃあウェルサイトって天才じゃん!」
エアルが驚きながらウェルサイトを褒める。
「そ、そうか?」
ウェルサイトが照れる。
「でも、何でかしら?」
レビィが悩んでいると、
「天才じゃないあなたの反対は、天才のあなたになるんじゃない?」
ガチャリとドアが開き、フィリアが入ってきた。
「ママ!?……聞いてたの?」
レビィが尋ねると、フィリアがコクッと頷いた。
「ウェルサイトちゃんのIQがすごく高いってことでしょ?」
「えっ…!?あっ…う、うん。」
「…?どうしたの?」
レビィの反応にフィリアが首を傾げる。
「う、ううん!何でもない!そっか~そういう考えもあるのか~。」
レビィが隠すように話を戻した。
「無理矢理感があるわね…。」
エアルが苦笑いする。
「夕食できたから下りてきてね。あっ!そうそう、エアルちゃんの分もあるからね。」
「えっ?」
「どうせ泊まっていくんでしょ?」
フィリアはここに来た目的を果たして先に1階に下りた。
「流石フィリアさん、全部お見逃しだよ。」
エアルがアハハと笑う。
「さっ、話も済んでるし、ご飯食べに行こ。」
レビィが部屋を出ようとした時、
「話してないのか?自分が今どういう状況に置かれているのか…母さんに。」
ウェルサイトが言ったことが図星だったレビィは背を向けたまま頷いた。
「何で言ってないんだ?」
「……心配かけたくないの。」
「いずれは言わなければいけないことだぞ。」
「わかっている…わかっているよ。でも、やっぱり言えないよ…自分の娘が戦乱の渦にいるなんて…。」
「…いずれは言えよな。」
ウェルサイトはレビィの肩をポンと叩き、先に1階に下りた。
「行こうよレビィ、私お腹減っちゃった。」
エアルがレビィに笑いかける。レビィはエアルの笑顔を見て、同じように笑った。そして二人は一緒に1階に下りた。そして、夕食を済ませ、風呂も入り終え、シャイン達がサテラにキレられている時、三人はガールズトークをしていた。そしてたっぷり話した三人は、ウェルサイトは自分の部屋へ、レビィとエアルはレビィの部屋に入り、疲れた体を休めるため就寝した。
次の日の午後。シャイン達が住んでいる町カンバルの隣町『ルリンド』。ここには2校の魔法学園がある。『蛇帝高校』と『虎神高校』である。その2校の1つ、蛇帝高校の正門の前にシャインがある人を待っていた。そして全ての授業が終えてチャイムが鳴り、ぞろぞろと蛇帝生が帰り始めた。その中に、シャインが待っていたある人が友達と話しながらシャインに向かってきていた。そして、ある人はシャインの姿を見つけ、
「シャーーーーーン!!」
と、叫びながらダッシュし、周りを気にせず満点の笑顔でシャインに抱き付いた。
「ようミリア、久しぶりだな。」
シャインは挨拶しながらゆっくりと離した。
「どうしたのシャン?こんなとこまで来て。学校は?」
ミリアが嬉しさに満ち溢れている顔で尋ねる。
「まあ、色々あってな。」
シャインが苦笑いする。
「ミリア、その人誰?」
そこにミリアの友達が近付いてきた。
「シャン!」
ミリアがシャインを紹介する。
「シャン?確か将来を誓った人だっけ?」
「うん!」
ミリアと友達の会話を聴いたシャインは呆れながらミリアの頭を叩いた。
「適当なこと言うな。」
「う~。」
ミリアが口を尖らす。
「何かお邪魔そうだから私達先に帰るね。」
ミリアの友達がシャインとミリアを置いて先に帰った。ミリアは手を振って送ってから、
「で、ホントに何しに来たの?」
と、改めて尋ねた。
「ちょっと色々あってな。ここじゃ話しにくい、場所を変えよう。」
「分かった。ちょっと待って自転車取りに行ってくる。」
ミリアは自転車を取りに駐輪場に向かい、シャインはその場で待つことにした。そして、ミリアが自転車に乗って戻ってきた。
「レッツゴー!」
ミリアは止まらず、そのままけっこうなスピードで走っていく。
「おい!どこに行くんだよ!」
シャインは叫びながら急いでミリアを追いかけた。
そして10分くらい走ったら橋があり、その下に二人は移動した。
「で、話って何なの?」
ミリアが改めて尋ねた。
「ちっと、協力してほしいんだ。」
シャインはエデンのことについてミリアに全て話した。
「……てなわけだ。だから協力してほしいんだ。」
「いいよ。」
ミリアがすんなり承諾した。
「……かなり危険な橋を渡ることになるぞ?」
「どんな橋であろうと、シャンと一緒ならいいよ。」
ミリアが上目遣いで微笑んだ。
「そうか。じゃあ、よろしくな。」
シャインがフッと微笑む。ミリアはうん!と元気よく返事をしてから、もう一度微笑んだ。
「それじゃ、日曜日までに行く準備をしていてくれ。」
シャインはそう言ってミリアに背を向けた。
「えっ、もういっちゃうの?」
ミリアがあからさまに悲しい顔をする。
「もう一人声をかけなきゃいけねぇから、そっちに行ってくる。」
「それって…バージェスのとこ?」
「……ああ。」
「私も行こうか?」
「いや、俺だけで行く。だからお前は自分の準備をしといてくれ。」
シャインがミリアに心配させないよう微笑んでから、バージェスがいる虎神高校に向かった。
シャインが虎神高校の正門に到着すると、生徒が下校していた。虎神高校は成績優秀そうなガリ勉君から、チャラチャラした奴まで幅広くいている高校である。
「あっれ~この子見たことないんですけど~。」
その後者の方の男女数人がシャインに気が付いた。
「お前何やってんの〜?」
男がケラケラと見下した感じで尋ねてきた。その周りで仲間が一緒に笑っている。シャインはそれを横目で睨みながら、
「品のねぇ奴らだ。」
と、毒ずいた。
「ああ!てめぇなめてんのか!」
男がシャインの胸ぐらを掴んだ。周りの仲間はやっちまえ~と煽っている。
「流石に学校の前では問題を起こしたくない、だから手を離せ。」
「はぁ?お前調子乗んなよ!」
男が殴りかかろうとした瞬間、校舎の方から一発の炎の斬撃が飛んで来た。シャインは瞬時に気が付き、胸ぐらを掴んでいる男を振り払い、その男を守るように風砕牙で斬撃を切り消した。
「う、うわぁぁーー!」
チャラチャラした奴等は全員怯えて逃げてしまった。
「随分攻撃的な歓迎だな。」
シャインが斬撃を放った相手を睨みながら風砕牙を鞘に納めた。
「どういう風の吹き回しだ…シャイン。」
斬撃を放った男…『バージェス・アルシオン』が剣を鞘に納め、シャインに近付いた。後ろには桜色の髪のクラウドと召喚士のレインがいる。
「殺されに来たのか?」
「命は大事にするもんだぞ。」
バージェスと対等に話しているのがスゴいのだろうか、周りの生徒がざわざわしている。それに気が付いたシャインが、
「お前、かなり恐れられているようだな。」
と、バージェスに聞く。
「弱者にどう思われようと知ったことか。」
バージェスが周りの生徒を横目で見ながら答える。
「へっ、相変わらずの性格だな。」
「お互い様だバカが。…で、目的は何だ?キサマがただ話をしに来たとは思えんからな。」
バージェスが自分に会いに来た目的を尋ねる。
「……単刀直入に言う…俺に、いや、俺らに協力してくれ。」
バージェスにとっては予想外だったのだろう、少し驚いている顔をしていた。
「協力だと?」
「ああ。」
シャインはバージェスにエデンのことについて全て話した。
「……てなわけだ。だから協力してほしい。」
「神話の世界…なんともファンタジーな話です。」
バージェスの隣でレインが呟く。
「面白そうじゃねぇか…いいだろ、その要請に乗ろう。」
意外とあっさり承諾した。
「協力してくれるのか?」
「ただし条件がある。クラウドとレインも連れていく。」
「俺らもっすか?」
クラウドが少しビックリする。
「お守りか?」
シャインが茶化す感じで聞く。
「この二人だけが唯一認めたからだ。」
バージェスの答えに、シャインは、
(バージェスに認められた…あの二人かなりなんだろうな。)
と、クラウドとレインを一回ずつチラッと見る。
「まあ、俺はいいがフォーグに許可を得る必要がある。」
「そうか。なら早急に頼むぞ。」
「分かった。あと…」
「ん?」
「よろしくな。」
シャインがスッと手を出した。
「今回が最初で最後だ。」
バージェスはその手をパンと弾いて、シャインの隣を通過して先に帰っていった。クラウドがその後を追った。
「実行日はいつだ?」
レインがシャインに尋ねる。
「六日後の日曜だ。」
「了解、バージェス様に伝えておこう。」
レインもシャインに頷いてから、バージェスの後を追った。シャインは3人を見送ってから、カンバルに帰っていった。
ここに『革命軍』『龍空高校(※サテラを含みます)』『蛇帝高校』『虎神高校』の最強?最凶?同盟が結ばれた。
エ「龍空deラジオー!」
レ「今回は早速『ハガキコーナー』にいきまーす。」
サテ「では読みます…『現実世界はもう夏休みになります。僕は三者面談で通知表を貰いました。そこで質問です。皆さんの通知表の成績を教えてください。』という質問です。私は学校に行っていないので、今回は3人の成績を発表します。なので、3人の通知表を勝手に持ってきました。」
サ「いつの間に…」
サテ「ではまずレビィさんから……スゴい!オール5!」
レ「えへへ。」
エ「スゴい!レビィ!」
サテ「そんな褒めているエアルさんの成績は……なっ!……こ、これは…」
レ「どうしたのサテラちゃん?」
サテ「これ…見てください。」
レ「どれどれ……なっ!…これは…酷いわね…。」
エ「えへへ。」
レ「えへへのレベルじゃないないわよ…。」
サテ「どんなものかは読者の想像にお任せします…。では、気を取り直してサナさんのを見てみましょう。」
エ「どうせオール5でしょ?」
サテ「いや、違います。美術だけ2なんです。」
エ「へぇ~。」
サ「何ニヤニヤしてるのよ!」
エ「いやいや、どんな完璧な人間にも欠点があるんだな~って。」
サ「う、うるさいわね!絵なんて描けなくたって生きていけるのよ!」
レ「どんなものか描いてもらう?」
サ「えっ!?」
サテ「それいいですね。私猫がいいです。」
エ「じゃあサナ、これペンとスケッチブックね。」
サ「えっ、えっ…!」
エ「お描きくださーい!」
サ「本気なのね…いいわよ!描いてやるわよ!」
エ「はい、2分くらい経ったかな。サナ描けた?」
サ「い、一応…。」
エ「では、見せてください!」
サ「はい…。」
レ・エ・サテ ピタッ!
レ「こ、これは…」
サテ「ね、猫なんでしょうか?」
エ「違うわ。地球外生物よ。」
サ「う、うるさーい!」