51話 別世界(2)
ス「『龍空deラジオ』〜。」
シ「なんか久々な感じだな。」
ヒ「まあ、今回は投稿に約2週間かかってますからね。」
シ「どうしたんだよ作者?」
ヒ「『中身を考えるのに苦戦した』、『学校の方が忙しくてなかなか書く時間がなかった』のダブルパンチだったらしく、時間がかかったみたいです。」
シ「ふ~ん…。」
ア「それで、今回から少し方針を、『質<量』から『量<質』に変えたらしいよ。」
ス「つまり、早く投稿するのを止めて、じっくり考えて投稿するってことか?」
ア「まあそんなところかな。一応1週間を目標に書くらしいけど。」
シ「てか思ったんだけど、裏情報を言うんだったら、イチイチ誰かに伝えるんじゃなくて、自分が直接出て伝えろよ。」
ヒ「顔出しNGとか?」
シ「前まで普通に出てたじゃねぇか…けっこうノリノリで。」
ス「てか、活字だから顔見えるわけないし…。」
ア「それもそうですね。」
シ「まあいいや……今回から中身が少しややこしくなるらしいから、しっかり理解してくれ。じゃ、本編をどうぞ。」
「レ、レビィ…?」
シャインが完全に固まっていると、レビィにそっくりな女が、
「何を今さら驚いてんだよ。」
と、不振な顔をする。
「いや、だって…お前の顔…」
シャインがアワアワしながら話すので、女はハッ!とあることに気が付いた。
「まさか、お前…そうか…てことは…ここは…『アース』なのか!」
「アース?何だそれ…」
シャインが聞こうとした瞬間、
「[キャプチャーアロー]!!」
森の中から一本の矢が飛び出してきた。そして、矢が間近になった瞬間、矢の先が何本もの細い糸ように分裂し、女を捕獲した。
「なっ!?」
女はバランスを崩し、うつ伏せに倒れた。
「大丈夫ですかシャイン?」
矢が飛んできた方向から、眼鏡をクッと上げながらヒューズが現れた。
「覚悟しろ!」
ヒューズの隣からスノウが飛び出してきて、女に攻撃しようとした。しかし、
「やめろスノウ!」
シャインが叫んで攻撃を止めた。
「何で止めんだ!」
スノウが怒鳴るように尋ねる。
「そいつの顔見てみろ!」
シャインが必死に言うので、スノウとヒューズは倒れている女の顔を覗き込んだ。
「レ、レビィーー!?」
顔を見た瞬間、二人は声を合わせて驚いた。その時、レビィ、エアル、サテラの3人がちょうど到着しており、
「私は…こっちだけど?」
レビィが自分の顔を指しながら首を傾げた。
「いやーしかし、ホントに瓜二つね~。」
エアルが隣同士に岩に座っているレビィとレビィそっくりの女を交互に見比べる。
「でもあれだな、レビィの偽者の方が目付きキツいな。」
スノウがレビィそっくりの女の目を見ると、レビィそっくりの女にヘッドバットされた。
「いってー!この女!」
スノウが殴りかかろうとするのをヒューズがどうどうと羽交い締めにして止める。
「なあ、これ取ってくれよ。」
女が自分の体の後ろで縛られている手を見せる。
「それは無理だ。お前が何者か分からないからな。」
シャインが言うと、
「フン、『アース』人は何にも知らないんだな。」
女が鼻で笑った。その発言を聞いたヒューズが、
「ほう、今の言い方だと、自分は全て知っているという感じですね。」
と、尋ねた。
「ああ、さっきのあいつの反応見て全部が繋がったさ。そのせいで俺も困惑してるけどな。」
女が男口調で答える。
「お願い!私達はあなた以上に困惑してるから話して!」
エアルが手を合わせて頼む。
「なら、これほどけ。別に攻撃しないからよ。」
女が縛られている手を見せる。
「俺はもう襲撃されたけどな…。」
シャインが呟くが、誰も気が付いていないので話は続いた。
「それは無理ですね。あなたが何者か分からないですからね。」
ヒューズがスノウを離しながら却下する。
「なら話さねぇ。」
女がプイとそっぽ向く。その態度に、ヒューズはイラッとする。その時、レビィが女を縛っている物を刀でブチッと切った。
「何やってんだよレビィ!」
スノウが戦闘体勢になる。
「…あなたの頼みを聞いたわ。だから、あなたも私達の頼みを聞いて。」
レビィが自分そっくりの女を見つめて真剣に頼む。それを見てスノウは戦闘体勢から戻った。
「……流石オレ!信じてくれんだな!いいぜ、話してやるよ。」
女がようやく承諾してくれた。
「……これは個人的なことだけど、出来れば私の顔であまり男口調で話さないで…。」
レビィが苦笑いしながら一応お願いした。まあ、聞いてくれるわけもなかった。
「まず自己紹介からかな。オレの名前は『レビィ・ウェルサイト』だ。」
レビィ・ウェルサイトと名乗る女がニッと笑う。
「レビィ…やっぱりあなたもレビィなのね。」
レビィがまじまじと見る。
「そうさ、お前もオレもレビィだ。お前の名字は何だ?」
「サファイアよ、レビィ・サファイア。」
「サファイアか…キレイな名字だな。」
「ありがとう。」
レビィとウェルサイトが笑い合う。
「親しくなっているところ失礼、そろそろ質問をしてってもいいですか?」
ヒューズが真剣な顔で尋ねる。
「ああいいぜ。分かる範囲なら教えてやる。オレが一緒にいるから悪い奴らじゃないと思うしな。……1人を除いて…。」
最後の言葉は小さく、レビィ達には聴こえなかった。
「まず、あなたは何処から来たんですか?」
ヒューズが尋ねる。
「オレは『エデン』という『アース』に隣接する世界から来たんだ。」
「エデン?」
ヒューズ達が声を揃え、首を傾げる。
「ホントに知らないんだな。」
ウェルサイトがバカにするように鼻で笑う。
「説明してれない?」
レビィが頼む。
「仕方がないな。オレが産まれ育った『エデン』はお前達が生きているこの世界に隣接するように存在している世界だ。でも、お互いその世界を見えることはない不思議な状態なんだ。」
「じゃあさ、お前がちょこちょこ言っている『アース』って何だ?」
スノウが疑問を持つ。
「『アース』はエデンで呼ばれているお前達が生きているこの世界のことだ。」
ウェルサイトが答える。
「ねぇ、やっぱり一番気になること聞いていい?何で私と同じ姿なの?」
レビィが心の中の一番のモヤモヤを尋ねた。
「エデン人とアース人は性格と雰囲気は違えども、その姿はそっくりらしいんだ。」
「パラレルワールドのようですか?」
ヒューズが尋ねる。
「そんな感じかな。まあ、これを学校で習った時、正直信じられなかったけど、お前見て驚いたよ~。」
ウェルサイトがレビィをバシバシ叩きながら笑う。
「ちょっと待ってウェルサイト、エデンの人達ってこっちの世界のこと学校で習うの?」
レビィはウェルサイトが叩くのを止めて尋ねる。
「当たり前だろ。アースでは習わないのか?」
「習う習わないの話じゃないよ、こっちの世界の人々はエデンの存在すら知らないよ。」
レビィが首を振る。
「そうなのか!何だよ~オレはてっきり全員バカなのかと思ったよ。」
ウェルサイトが笑う。
「…少し話が脱線しましたので戻しましょう。では、私達のエデンバージョンもいるんですか?」
ヒューズが尋ねる。
「いるはずさ、会ったことはないけど…いや…」
ウェルサイトは答えている途中に、少し離れている岩に腰かけているシャインを見た。
「……?エデンのシャインは会ったことあるの?」
レビィが尋ねると、ウェルサイトはシャインの方に近付き、
「……あいつではないと分かっていても、お前は気に入らない。」
と、どこか怒りが入っている感じで呟いた。
「……その発言と、俺を襲撃したのには何か理由があるらしいな。」
シャインは立ち上がり、ウェルサイトを睨み付ける。
「ああ…エデンのお前は…私達の『敵』だ。」
「敵だと?」
「そうだ、オレはエデンのお前に殺されかけたんだ。」
「嘘…!?」
レビィが驚いた顔をする。
「エデンのお前の名前は『シャイン・ハールロッド』。そして、『魔戦天使団隊長』だ。」
「魔戦…」
「天使団?」
スノウとサテラが首を傾げる。
「エデンには『キトリス』、『ヴィーナス』、『オリジン』、『ゼウス』の4人の神がいるんだ。その神達が率いている軍団さ。」
「キトリス、ヴィーナス、オリジン、ゼウス…全てこちらの神話に語られている神の名ですね…。」
ヒューズが言う。
「そうなのか?でもエデンでは全員確かに生きているぞ。」
「どうなっているんですか?」
サテラがレビィを見上げる。
「どうって言われても…。」
レビィがサテラを見てから、う~ん…と考える。
「仮説だが…1つ思い付いた。」
スノウが閃いた感じで言うので、全員スノウに注目する。
「エデンには、アースで語られている神話に登場する人物などが、実際に存在している。」
スノウがそう言うと、少し沈黙が流れ、
「いや、全員それくらい思い付いてるよ…。俺らが考えているのは、何故、神話の登場人物が存在しているかだ。」
シャインが呆れるように言う。他も大きく頷いてシャインに同意する。スノウはショボ~ンと肩を落として落ち込んだ。
「でもどれだけ考えても、たどり着く結果は…『存在している』。それが何故かは理解不能ですね。」
ヒューズがお手上げする。
「そうね、今考えても答えなんて出ないでしょうね。」
レビィもヒューズの意見に賛成する。
「じゃあ質問を変えよう。お前は何で魔戦天使団隊長のエデンの俺に殺されそうになっていたんだ?」
シャインがさっきまで座っていた岩に座り直し、ウェルサイトに尋ねる。ウェルサイトはシャインに質問されたことにより、少し嫌な顔をしてから答えた。
「今エデンでは魔力の『枯渇』し始めている。今はまだ所々のエリアだけだが、このまま枯渇が続いたら、エデン全てで魔法が使えなくなってしまうんだ。だから、4人の神が会議で決めたある計画を始動させた。それは…『アースの魔力を吸収し、エデンに流す』という計画だ。」
これを聞いたシャイン達は全員同じ疑問を持った。
「ちょっと待ってウェルサイト、魔力が枯渇してるってことは、エデンの人々は死にかけているの?」
レビィが代表して尋ねると、
「勝手に殺そうとするな!」
ウェルサイトが怒った。
「ウェルサイトさん、エデンの魔力はどこにあるんですか?」
ヒューズが尋ねる。
「どこって…『空間』だよ。」
ウェルサイトが当然だろという口調で答えてから、
「えっ?アースは違うのか?」
少し困惑しながら尋ねた。
「違うわ。アースの魔力は、一人一人の中に存在しているの。それは魔法が使えようが使えまいが関係なく、絶対に存在し、命と連動していて、魔力がなくなることは死を表すことになる。それがアースの魔力よ。」
レビィが説明する。
「そうなのか。エデンの方はさっき言った通り、オレらが生きている周りの空間に存在するものなんだ。魔法を使う時には周りから魔力を集め発動するという仕組みなんだ。だからオレらの体の中には魔力は存在しないよ。……!」
説明をしている途中、ウェルサイトはあることに気が付いた。
「アースの魔力は人間の体の中……じゃあ、神達は…」
「俺らの体から無理矢理魔力を吸収し奪い、その魔力をエデンに流す懇談だろ。ま、そんなことされたら、アースの人間は全滅だけどな。」
シャインがウェルサイトの話を遮るように言う。
「……だったら尚更止めなきゃいけないじゃない…!」
ウェルサイトが下を向いて、拳をギュッと強く握り呟いた。
「でもさ、魔力とお前が魔戦天使団に狙われることって何か関係あるのかよ?」
スノウが尋ねる。
「オレはその計画に反対している『トレイタ』という組織の1人だ。神達はそんなオレらを消すために魔戦天使団にオレらを殺さそうとしているんだ。」
ウェルサイトがうつ向いたまま話す。
「何故反発する必要がある?お前らにとっても魔力吸収計画は良いもんだろ?」
シャインが尋ねると、ウェルサイトは少し黙ってたら口を開いた。
「……自分達が生きるために他を犠牲にしたくないんだ…!さっきのアースの魔力について聴いたら尚更だ…。」
「そういう考えをしている人間が、早死にするんですよ?」
ヒューズが眼鏡をクッと上げる。
「そうだとしても、やっぱり他は巻き込みたくないんだ!オレらの問題はオレらの力で解決したいんだ!」
ウェルサイトの真っ直ぐな眼差しを見てシャインはフッと笑ってから、
「雰囲気や性格は違っても、やっぱりレビィはレビィだな…」
と呟いて、岩から立ち上がり、
「ウェルサイト、お前どうやってこっちに来た?」
と、背伸びをしながら尋ねる。
「…?それは…オレにもよく分からないんだ。時空の湖を通ってきたのは確かなんだけど、時空の湖の門を開けるためには特殊な魔力をかなり注がなきゃ開かないんだ。なのにオレはただ湖に落ちただけで門が開いちまって、気が付いたらこっちにいたんだ。」
ウェルサイトはやっぱり気に入らない顔をして答える。
「そうか…じゃあまずお前がどうやって来たか調べないといけないな。じゃなきゃ向こうに行けやしない。」
スノウはシャインの言葉を聴いて、耳を疑った。
「おいシャイン…今、『向こうに行く』的なこと言わなかったか?」
「そう言ったつもりだが?」
シャインがニヤリと笑いながらスノウの方を見る。
「おいおい!ふさげんなよ!お前こんなことに首突っ込んだらエデンを、世界を相手にすることになるんだぞ!しかもまだこの話が本当かどうかだってすら分からないのに!」
「オレの話が全部嘘とでも言うのか?」
ウェルサイトがスノウの発言に突っかかる。
「そうだよ!ずっと聴いてきたが、どうも信じられない!違う世界?そんな話なんぼだって作れる!姿なんて魔法でいくらでもなる!」
スノウがウェルサイトに怒鳴りつけるように訴える。
「オレが話していることは全て本当のことだ!」
ウェルサイトも対抗して怒鳴る。
「じゃあ証拠があるのかよ!お前の世界があるという証拠!」
「それは…!」
証拠と言われ、ウェルサイトがうっ…とつまる。その時、
「証拠なんて、お前の目の前にあるじゃなねぇか。」
シャインが割って入ってきた。
「目の前?」
スノウがシャインの方を見る。シャインはゆっくりと証拠となるものを指差した。スノウ達は全員シャインが指差した方向を見た。シャインが指差したものは…
「オレ?」
そう、レビィ・ウェルサイトだった。
「シャイン、話聞いてたか?姿なんて魔法でどうにかなるから証拠にならない!」
スノウが怒る。
「誰が姿が証拠だって言った…。俺が証拠と思うのは…ウェルサイトの心だ。」
「心?」
スノウが眉をピクッと動かす。
「お前の言う通り、姿なんて魔法でどうにかなる世界だ。でもな、姿や性格がどうにかなるが、心の中までは変えることは出来ない。そいつの心は俺が知ってるレビィと同じ心をしている。だから、俺はそいつを信じる。」
「…信じてくれたのは嬉しいさ。でもやっぱり、アースのお前らまで巻き込むことは…」
「どっちにしろ、魔力吸収計画が始まったら勝手に巻き込まれるんだ。だったら、こっちから巻き込まれに行って、バカの神どもをぶっ飛ばしてやる。」
シャインがニヤッと笑う。
「お前…。」
ウェルサイトがシャインを見る目が少し優しくなった。
「このまま放っておいたら、アースが滅んでしまいますからね。」
ヒューズがやれやれとしながらシャインに賛同する。
「よーし、頑張るぞ!」
エアルがグッ!拳を握り、決意表明する。
「私も…頑張ります!」
サテラがエアルの隣で同じ動きをする。
「ここまで聴いて知らん振りできるわけないじゃない。だから、一緒に戦おう、ウェルサイト。」
レビィがウェルサイトの前に立って微笑む。
「……あーー!!分かったよ!乗ればいいんだろ乗れば!」
スノウは吹っ切れたように賛同した。
「お前ら…。」
ウェルサイトは感動し、少し目に涙を浮かべる。
「よし!じゃあやることが決まったところで…どうする?」
シャインの言葉に、全員はぁ~と力が抜ける。
「とりあえず、今は向こうに行く手段が分かりませんので、一度この樹海から出ましょう。」
ヒューズの提案に全員頷いたが、
「でもどうやって出るんだよ?だって…樹海だぞ?」
スノウが当然の質問をする。
「それが問題です。流石樹海と言ったところですね、全く来た道が分かりません。」
樹海の真骨頂に全員悩まされている中、サテラがそろ~っと手を上げた。
「ん?どうしたサテラ?」
シャインがサテラに尋ねる。
「あの…私覚えているんですけど。」
サテラの言葉に全員驚いた。
「ホントにサテラちゃん!?」
レビィが驚きと喜びがごっちゃになっている顔で尋ねる。
「はい。」
サテラが笑って答える。
「スゴいよサテラちゃん!ありがとう!」
レビィが喜びの余りサテラに抱き付く。
(なんて記憶力だ…日々力が増してやがるな…。)
シャインはそんなことを思いながら立ち上がり、
「じゃあサテラ、案内頼むわ。」
と、サテラに頼んだ。サテラは頷いてから歩き始めた。他のメンバーはサテラの後ろを付いていった。その時、
「なあ、お前の名字って何て言うんだ?」
最後尾を歩いていたシャインにウェルサイトが後ろから尋ねてきた。
「あ?俺のこと気に入らないんじゃなかったのか?」
シャインは立ち止まり、茶化しながら振り返る。
「気に入らないさ、でも、お前はあいつじゃない証拠みたいなものが聴きたいんだ。」
ウェルサイトの頼みにシャインは小さくため息をして、
「……エメラルドだ。」
と、短く答え、サテラ達の後ろに付いて行った。
「エメラルド…へっ、性格と顔に似合わずキレイな名前しやがって。」
ウェルサイトは小バカにするような笑みをしてから、サテラ達に付いて行った。
サテラのすごい記憶力のおかげで、無事にグゼット樹海を出ることに成功し、シャイン達の目の前には白銀の世界と町、パルマコスが見えた。
「おー、ホントに出れたぜ。」
シャインが半ば信じられないみたいな顔で言う。
「ありがとうサテラちゃん!」
次はエアルが抱き付いてお礼を言う。サテラは照れながら微笑む。
「さて、無事に出られましたし、早く帰らなければ明日の学校に遅れます。」
ヒューズが言う。
「そうだな、宿屋から荷物返してもらって帰るか。」
シャイン達は荷物を取りにパルマコスに戻ることにした。そして、パルマコスの入り口に来た時、
「オレはここで待っとくよ。いきなり同じ姿をした人間がいたら騒ぎになるからな。」
と、ウェルサイトが足を止める。シャイン達は分かったと頷き、町に入っていった。
数十分後、荷物を持ったシャイン達が戻ってきて、全員で駅に向かった。その道中、
「なあ、お前らは何処に住んでいるんだ?」
歩きながらウェルサイトがレビィに尋ねる。
「エクノイアの『カンバル』って町よ。」
「エクノイア…カンバル…やっぱり知らない土地だな…。」
ウェルサイトが首を傾げる。
「私達がいる大陸は4つの国に別れているんだけど、エデンの方はどうなの?」
レビィが聞き返す。
「オレがいる大陸は『カーラーン』って言う1つの国が支配している大国家だ。」
「へぇ~。」
「お話し中失礼、1つ気になることが、ウェルサイトはエデンに帰るまでどこに住むんですか?」
二人が話していると、ヒューズが尋ねてきた。
「カンバルにはレビィを知っている人が多いから、いきなり瓜二つの人間が現れたら大騒ぎ可能性があるよ。」
エアルが言う。
「そうだね。う~ん…どうしよう…」
レビィが指をおでこにあてながら考える。
「とりあえず俺ら寮組は無理だぞ。」
スノウが言うと、エアル、ヒューズがうんと頷く。
「お前の家でいいだろ。」
シャインが横目でレビィを見る。
「う~ん…シャインの方はダメなの?」
「バカ言うな、こっちはもうサテラが往んだぞ。これ以上人が増えたら俺はどこで寝りゃあいいんだよ。」
シャインが頭をかきながら呆れる。
「オレもこいつの家なんて願い下げだ。」
ウェルサイトがシャインを睨んでからレビィを見る。
「ウェルサイトもこう言ってんだし、お前の家でいいだろ?」
シャインがもう一度聞く。
「……ママに説明するのが大変そうね…。」
レビィが肩を落としながら了承してくれた。
「よし!住むとこも決まったし帰るか!」
スノウがう~んと背伸びをしながら言うと、
「今帰ってんじゃねぇか。」
シャインが冷静にツッコむ。
「お前な~もうちょい元気よくツッコめよ。」
スノウがはぁと呆れると、他のメンバーが笑いだした。そして7人は駅に到着し、寝台列車に乗って、カンバルに帰った。
ほぼ同時刻、ある研究室にいる女が、部屋にあった大きめの水晶に手をかざした。すると水晶はポワッと光り、ある男を映し出した。
「よう、お前が連絡してくるなんて珍しいな。」
水晶に映っている男が女に話しかけてきた。
「『時空の湖』が光ったって、『アース』で騒がれているわよ。誰がこっちに来たの?」
女が尋ねる。
「別に気にすることはない。」
「そうはいかないのよ。私がつるんでいる連中が、時空の湖に確かめに行ったのよ。」
女がはぁとため息をつく。
「お前が言っている『アースの俺』か…じゃあいずれ奴と会うことになるが、向こうはお前を知らないと思うから安心しな。……で、今回の用事はこれだけか?」
男が尋ねると、
「あともう1つ、『魔法陣』が完成したから、数日後、『実験を開始』するって、神の皆さんに伝えといて。」
女がそう言うと、男は少しビックリした顔になる。
「遂に完成したか…いいだろ、伝えておくよ。」
男はそう言って、水晶通信を切った。女は何も映っていない水晶を眺めたまま、
「もうあいつらとも…お別れね。」
と、呟いた。
エ「『龍空deラジオ』ー!」
レ「ねぇ、今思ったんだけど、毎回そのタイトル言うのってエアルだよね?」
サテ「それ、私も思いました。前書きではいつもスノウさんですし。」
エ「そう言われてみれば何でだろう?特に違和感なく言ってたから気にならなかった。」
サ「特に意味なんてないんじゃい?」
エ「そうなのか~?まあいいや、とりあえず『おハガキのコーナー』行っちゃいましょう!」
レ「今回は私が読むわね。え~、ペンネーム『龍空生徒』さんからいただきました。『龍空生徒って全員で何人いるんですか?』という質問です。」
エ「何人?何人なんだろう?いっぱいいるってことは分かるけど数えたことはないな~。」
サ「ひとクラス約50人、1学年に10クラスあって、それが3年ある…計算すると約1500人ってとこかしら。」
エ「そんなにいるの!?」
サ「これが多いかどうかは知らないけどね。」
エ「いる?そんなに?」
レ「さあ?」
サテ「皆さん、スタッフから巻きの合図が出ています。」
サ「ありゃホントだ。じゃあ今回はこのへんで終了だね。じゃ、また次回をお楽しみに!さよ~なら~。」