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魔法学園  作者: 眼鏡 純
49/88

49話 魂が見えるお友達

ヒ「だからさ…あれ?これもう本番始まってる?…始まってる、では……『龍空deラジオ』ーー!」

ア「誰と話していたの?」

ヒ「放送部の奴らです。もう、始まってるんなら言ってくださいね。」

ア「まあまあ、今回から前書きでもコーナーが始まるんだから、怒らず怒らず。」

ヒ「そうですね、では今回から始まりますコーナー『裏設定カミングアウト』のコーナー!」

ア「これは少し楽しみしていたから、僕も張り切っていきます!」

シ「ちょっと待ってくれ。」

ヒ「何ですかシャイン?」

シ「スノウはどうしたんだ?」

ヒ「あー、なんか用があるとかで遅れるんですって。」

シ「ふ~ん…ならいいや。」

ヒ「では早速参りましょう…」

 バン!!

ス「ダメだーー!」

ア「うわあ!!突然入ってこないで、ビックリしたよ。」

シ「どうしたんだよスノウ?」

ス「ダメだ…ダメなんだ…。」

ヒ「だから何がですか?」

ス「作者は今年高2になったばかり、バタバタとまだ安定していない。そして『ヴァスタリガ編』という長い長い長編が終了してまだ間もない。」

シ「何が言いたいんだよ?」

ス「つまり!今、作者に余裕がない!裏設定とか考えていると頭がパニックになっちまうんだよ!だから、今宣言します!『裏設定カミングアウト』のコーナーは……延期します!」

ヒ・シ・ア「えーー!」

ス「最悪の場合はなくなります!」

ヒ・シ・ア「えーー!」

ス「では、本編をどうぞ!」

シ「勝手に始めんなー!」

 ソウルの事件の次の日、事件に関わったサナ、レビィは普通に学校に登校してきた。しかし、レビィは重い空気を背負っている。

「レビィどうしたの?」

エアルがサナに尋ねる。

「……あんた達には話しておくわ。」

サナはエアル達に昨日あった事件を話した。

「俺らが知らないとこで色々起きてたんだな。」

スノウが言う。

「レビィ……。」

エアルが心配する。

「このことは学校側には知らせたけど、生徒達は知らないから、あまり学校内でソウルについて話さないこと。まあ、いずれは話すことになるけど。」

サナがエアル達に注意をする。

「レビィさん。」

その時、自分の席で落ち込んでいるレビィにアレンが話しかけた。

「アレン、ソウルは?」

「ソウルには牢獄に入ってもらいました。たとえ何かに憑依されていたとしても、ソウルが犯罪を犯したのには変わりないですから。」

「そっか………ねぇ、どうにかして無罪にならない?」

「レビィさんがソウルを思うのは分かります。しかし、流石に僕でも無罪にはできません。」

「そう…だよね。ゴメンね。」

「いえ、僕も力になれずすいません。」

アレンは謝ってから、レビィから離れ、エアル達がいるとこに戻った。

「ねぇ、そういえばシャインは?」

エアルはシャインがいないことに気が付き辺りを探す。

「シャインはソウルとの戦いで、鎌によって串刺しにあったから、今病院にいるわ。まあ、入院でしょうね。」

サナが報告する。

「あいつ入院好きだな~。」

スノウが笑っていると、

「好きなわけあるか。」

背後から、入院しているだろうと言われていたシャインに怒られた。

「シャイン!?えっ…傷は?」

流石のサナも驚き、慌てて尋ねる。

「治った。どうやら俺の『自然治癒力』が高くて、すぐ傷を塞いだらしい。」

「『アクセルヒール』の影響かしら…そうだとしてもあれほどの傷を1日で治せるなんて…あんたの体、異常ね…。」

サナも驚くしかなかった。

「それより、さっきお前がレビィに言ってたの聴いたぞ。ソウルの罪は消えないらしいな。なら、罪の重さを軽くすることはできるか?」

シャインがアレンに尋ねる。

「罪の重さを?う~ん…何かに憑依されていたという証言が通ったら、少しは軽くなるかな。」

「そうか。」

「突然どうしたんですかシャイン?あなたがソウルの心配をするなんて。」

ヒューズが尋ねる。

「正直なとこ、ソウルのことなんざどうでもいい。だが、いつもピーピーうるさい奴が、ああやって黙られたら、こっちの調子が狂っちまう。元のテンションに戻ってもらうには、ソウルの存在が必要なんだよ。あいつは人を笑顔にする力がある。俺はそう思う。」

シャインが呆れている感じで、頭を小さくかく。

「へぇ~…言うじゃん。」

エアルがニヤニヤとしながら、ツンツンと肘でつつく。

「う、うるせぇ!ほら、チャイムが鳴ったぞ!」

シャインは顔を赤くしながら自分の席に向かう。

「まだチャイム鳴ってねぇよ。」

スノウ達はシャインの動揺を見て、ハハハと笑った。



 いつもシャインが学校に行っている間、サテラは本を読んでいたり、ゲームをしたり、外に散歩したりして過ごしている。今日は考えた結果、外に散歩することにした。

いつものゴスロリ系の服を着て、まだ1月なのでとても寒く、マフラーを巻いて外に出た。

「おっ、サテラちゃん。今日はお散歩かい?」

サテラが歩いていると、畑仕事をしているおじさんに声をかけられた。サテラは服のせいなのか、龍空(たつぞら)マンションの周辺では人気者なのである。

「はい。」

サテラは元気よく微笑んで答える。

「そうかい。また畑に来な、美味しい野菜あげるから。」

「はい、ありがとうございます。」

サテラはお礼を言って、その場から立ち去った。

畑ゾーンから少し歩くと、十字路に差し掛かる。いつもの散歩コースはここを右に曲がるのだが、今日は初めて左へ曲がってみた。右に曲がると、前に登場している土手に出る。左は住宅地の中を歩くことになり、大きく豪華な家々を眺める状態である。そんな中をサテラはキョロキョロとしながら歩いていると、一軒のキレイな屋敷の前で止まった。

(あの子、何をしているんだろ?)

サテラが見たのは、自分と同じぐらいの年齢の女の子が、二階の部屋の窓から外を眺めていた。サテラはそんな女の子を下から見ていると、その女の子がふと下を見たので、パッと目が合ってしまった。

「あっ…!」

サテラはごめんないと頭を下げ、その場を去ろうとすると、

【待って。】

いきなり頭の中に直接呼び止めた。

(テ、テレパシー…?)

サテラはビックリしたが、女の子の方を振り向いて見上げた。

【あの、もしよかったから私と少しお話しませんか?】

「えっ!?」

【あなたは優しい『魂』をお持ちのようなので。】

女の子がよく分からないことを言いながら、こちらを見て微笑んだ。サテラは突然のお願いに戸惑っていると、ガチャリと玄関が開き、60代ぐらいの執事が出てきて、サテラに近付いてきた。

「ようこそ、『メイビス』家へ。」

執事がニッコリ微笑みながら、丁寧お辞儀をする。

「は、はぁ…。」

サテラはまだ戸惑っている。

「さ、外はお寒いですから、どうぞ中へ。」

執事に導かれ、サテラは屋敷の中に、少々無理矢理に入れられた。



 屋敷の中は清潔感溢れる白を中心となっていた。

「あの…全然状況が把握できていないんですけど…。」

警戒しているサテラは玄関に入ってすぐ立ち止まり、前を歩いている執事に尋ねる。

「申し遅れました、私はこの『メイビス』家で執事をやらさせてもらっています『フレデ』と申します。」

執事が振り返り、また丁寧なお辞儀をする。

「あの、私に何か用なんですか?」

サテラがまた尋ねた時、

「ごめんなさい、突然お呼びしてしまって。」

階段から、さっき窓から外を眺めていた女の子が手に持っている杖で足場をトントンとして確認しながら下りてきた。

「『ティア』お嬢様、危ないですよ。」

フレデがティアに近付き、手を貸してゆっくり下りてきた。そしてティアはサテラの前に立った。その姿は、サテラと同じくらいの身長、クリーム色の髪に白色のお姫様の服を着て、両目は閉じている状態である。

「初めまして、私は『ティア・メイビス』と申します。」

ティアが自己紹介しながら頭を下げる。

「サテラ・オパールと言います。」

サテラが慌てて頭を下げて自己紹介する。そして、

「目…見えないですか?」

と、尋ねると、ティアがコクンと頷いた。

「はい。6年前に病気にかかってしまい、そこから視力を失ってしまったんです。」

「そうなんですか…。」

空気が少し重くなる。

「とりあえず立ち話もなんですので、上がってください。フレデ。」

ティアはフレデにサテラを部屋に上げるよう言ってから、客間の方に向かった。

「ではサテラ様、こちらへ。」

フレデはサテラを客間に案内する。サテラはその後ろを追いかけて、屋敷に上がった。


 二十畳ぐらいはあるだろう客間の真ん中には脚が短い大きめの机があり、それを囲むように高級そうなソファーが配置されていた。サテラとティアはそこに向かい合うように座ると、フレデがスッと紅茶を前に置いた。

「あ、ありがとうございます。」

サテラがフレデにお礼を言うと、フレデはニコリと笑い、ティアの後ろに移動した。

「そう言えば、まだあなたをここに呼んだ理由を話しておりませんでしたね。」

ティアが理由を話し始めた。

「私は『魂察知』という魔法を使えるんです。」

「『魂察知』?」

サテラが首を傾げる。

「魔力察知を聞いたことはありますか?」

フレデが半歩前に出て尋ねてきた。サテラはコクンと頷いた。

「魔力察知はその名のとおり、魔力を察知し、相手の強さや位置がわかる魔法です。一方『魂察知』は、相手の魔力を見るのではなく、魂そのものを見ることができるのです。」

「魂そのものを見て何が分かるんですか?」

「その人の『全て』が分かるんです。」

ここで説明する人がフレデからティアにバトンタッチした。

「全て?」

「魂とは言わば『情報の源』です。魂はその人の全てを記されています。魔力や位置に限らず、記憶や性格なども見ることができるんです。」

「へぇ~。」

サテラが頷く。

「私はその魂察知であなたの優しい魂を見た時、どうしてもどのような人なのかを見たくなりまして、失礼ながらも呼んだのです。」

「えっ…でも、あなた目が見えないんじゃ…」

「私は目が見えない分、一定範囲に入った人物の魂から情報を頂き、その人がどんな人なのか、頭の中で具現化することができるんです。実際に見てもらった方がいいですね。」

ティアは立ち上がり、ゆっくりとサテラの隣に移動して座った。そして、サテラの方をジッと見つめる。サテラは何が起きるんだろうと首を傾げる。

そして数秒後、ティアが口を開いた。

「分かりました、あなたという人物を。言っていきますね……私と同じ12歳で、黒と紫の髪に紫の瞳。魔法は、青幽鬼(ブルーファントム)という魔法で少し内気な性格……」

そこからあと数個言うと、

「すごい…全部あたっている…。」

サテラが驚く。

「私の頭の中ではハッキリとあなたの姿が見えています。……これで私の魔法が分かってくれましたか?」

ティアがニコッと微笑む。

「はい!すごいです、あなたの魔法!」

サテラがパチパチと拍手する。

「はぁ…しかしなんて優しくて温かい魂なんでしょう…。」

ティアがキュッとサテラを抱き締める。

「何だかとても落ち着きます。」

「最初は警戒していましたが、良い人達でよかったです。」

サテラが抱き締め返す。

「あの…また突然のお願いなのですが…聞いてくれますか?」

ティアはサテラを離して、まっすぐにサテラの顔を見る。

「何ですか?」

「私と…お友達になってくれませんか?」

「えっ…!?」

「私の父上と母上は、私の病を治す方法を見つけるため、全世界を飛び回っているので、帰ってくるのは年に数回だけ…フレデがいるとしても、やっぱり寂しいんです…。だから、私とお友達になってくれませんか?」

「は、はい!私で良ければ!」

サテラがティアの手を握って喜ぶ。

「よかった~。」

ティアが安心した顔になる。

「私、同い年の友達、初めてです。」

サテラが照れくさそうに笑う。

「私もです。」

ティアも照れくさそうに笑う。

「ティア様、サテラ様、失礼ながら1つ言わせてもらいます。お友達同士は、敬語を使いませんよ。」

フレデが二人に言う。それを聴いた二人はフレデの顔を一度見てから、二人で見つめ合った。そして、

「じゃあ、よろしくおねが…じゃなかった、よろしくね、サテラ!」

「はい…じゃなかった、うん!ティア!」

ぎこちないタメ口で挨拶をした二人は、ニコリと笑い合った。


 そこから二人は楽しく話して、昼食も一緒に食べた。あっという間に楽しい数時間が経ち、夕方になったので、サテラは帰ることにした。

「まだ居ててもいいのに…。」

ティアが残念そうな顔をしながら、玄関で靴を履いているサテラを見る。

「私もそうしたいけど…流石に夕方だし、帰らないとシャインが心配しちゃう。」

靴を履き終え、クルリと振り返る。

「シャインという人はどんな人なの?」

「どんな人…う~ん…優しくて強くてクールで恋愛には鈍感な人。でも、とても信じれる人。」

「へぇ~、一度会ってみたいな。」

「機会があればシャインも連れてくるよ。」

「本当に?やった!」

「うん。」

サテラがガチャリと玄関のドアを開ける。

「次はいつ来てくれる?」

ティアに尋ねられ、サテラは数秒間考えてから、

「じゃあ、また明日!」

サテラがニコッと微笑みながら答えた。ティアにはそサテラの顔は見えていないが、伝わったのか、ティアもニコッと微笑んで頷いた。サテラはティアの笑顔を見てから、屋敷を出ていった。

「フレデ!またサテラが明日来てくれるって!」

ティアがはしゃぐ。

「明日が楽しみですね。」

フレデが優しく答える。

「うん!」

ティアははしゃいだまま、部屋へ戻っていった。


 サテラがご機嫌に帰っていると、前から、学校から帰宅する途中のシャインに出会した。

「ん?おお、サテラじゃねぇか。」

シャインがサテラに気が付く。

「シャイン!」

サテラはシャインに向かって走り出し、ギュッと抱き付いた。

「どうした?今日は無駄にご機嫌だな。」

シャインがサテラの頭を優しくポンと叩いて、サテラを離して歩き始めた。

「今日ね、私同じ年のお友達ができたの!」

サテラがルンルン気分で答える。

「そうか、良かったな。」

シャインがフッと笑う。

「明日も遊ぶんです!」

「そうか。」

「楽しみです!」

シャインとサテラは夕日の中を一緒に帰った。

次の日から、サテラとティアは毎日遊ぶようになり、二人とも楽しい時間を過ごしていた。そして、そんな生活が一週間経ったある日、事件が起きた。


 今日は初めて外で遊ぶことになった。流石に二人だけだと危ないので、フレデが付き添いにいる。

「久々の外で少し緊張するな〜。」

ティアが慎重に歩きながら呟く。

「そんなに久々なの?」

横でアシストしているサテラが尋ねる。

「う~ん…1ヶ月ぶりぐらい。」

「1ヶ月!?」

「うん。外はずっと眺めてたけど、ちゃんと外に出たのはそれくらいかな。」

「そっか~、じゃあ今日はいっぱい遊ぼう!」

「うん!」

二人がルンルン気分で歩いていると、近くの公園に到着した。二人はここで遊ぶことを決定し、遊具などで遊び始めた。フレデはベンチに座り、二人を見守ることにした。

 そこから30分ぐらい経った時、フレデはベンチを立ち、トイレに向かった。

「はぁ…はぁ…サテラって体力あるね…。」

バテバテのティアは近くのベンチに座る。

「大丈夫、ティア?」

まだまだ元気なサテラが横に座る。

「少し休ませて…。」

「わかった。」

サテラとティアが休んでいると、

「おお、可愛い子がいるじゃねぇか。」

ヤクザの男が数十人、二人に近付いて、囲むように立った。

「な、何か用ですか?」

サテラが警戒する。

「ガエールさん、この子らなら、いい値で売れるんじゃないですか?」

最前列にいるヤクザの1人がガエールと呼ばれる男を呼んだ。すると、最後尾から、厳つい顔をして、ガッチリした体に派手な服を着ている男が二人の前に現れた。

「ほう、これは可愛い。まるで人形だ。」

ガエールが屈んでサテラの顔を触る。サテラはあからさまに嫌な顔をするが、下手に何かすると何をされるか分からないので、必死に耐えた。そして、ガエールがティアの方を触ろうとした時、サテラがバッ!と庇った。

「ティアには触れさせない。」

「フッ、いいね~友情ってやつか。」

ガエールがバカにするように鼻で笑う。

「じゃあ、その友情に免じて、両方連れていくとしよう。」

次の瞬間、ガエールの合図とともに2人の男がサテラとティアの背後から、二人の口にハンカチをあてた。サテラは必死にもがいたが、だんだん意識が遠くなっていき、最後にティアを見て、眠らさせた。ティアも同じく眠らさせた。

「サテラ様!ティア様!」

トイレから戻ってきたフレデが気が付き、ガエール達がいる方に走る。

「すまねぇな執事のおっさん、あんたのとこのお嬢さん二人、貰うぜ。」

ガエールはそう言って、フレデの方に衝撃波を放った。フレデはまともに受け、吹き飛んで木に激突し、気を失ってしまった。ガエールはそれを見てから、サテラとティアを連れて、何処かに向かった。



 「ううっ…」

サテラは目が覚め、自分が何処にいるのか見るため、体を起こそうしたが、両手を背中で縛られ、両足も縛られていた。それにより、なかなか起き上がれなかったが、ようやく起き上がり、辺りを見渡した。薄暗く見にくいが、牢屋ようだった。牢屋の外は大きな倉庫らしい。牢屋の中には自分以外にも、たくさんの女性が捕まっていた。歳は見た目的に12〜20代前半ぐらいだった。そして、サテラは隣を見ると、同じく両手両足を縛られたティアが倒れていた。

「ティア!」

サテラが呼びかけるが、ティアはなかなか意識が戻らない。サテラがティアに呼びかけ続けていると、

「気が付いたか。」

牢屋の外から、ガエールに話しかけられた。

「私達を…どうするつもりですか!」

サテラが叫ぶように尋ねる。

「今から、君達を遠い遠い国に売り飛ばす。それが俺らの仕事。」

それを聴いた女性達がザワめく。

「……人身売買をしている人達でしたか。」

「正解だよ、お嬢さん。」

ガエールがサテラを見てニッと笑う。

「さあ!連れていくぞ!」

「へい!!」

ガエールの号令とともに、部下達が牢屋に捕まっている女性達を運ぶため、トラックに移動し始めた。その時、ティアが目を覚ました。

「よかった、ティア。」

サテラがホッとする。

「サテラ?近くにいるの?」

ティアが寝転んだままサテラの姿を探す。

「大丈夫、近くにいるよ。」

サテラが優しく答える。

「よかった〜。……ねぇ、私達どうなったの?」

ティアが尋ねる。サテラはさっきガエールが言っていたことを伝えた。

「えっ!?じゃあ私達売られちゃうの!?」

ティアが慌てる。

「早く何か考えないと…。」

サテラがこの状況を打破するための方法を考えていたら、ヤクザの1人がこちらに近付いてきて、

「次は君達だ。暴れないでくれよ。」

と、ニヤニヤしながら、ひょいとティアを持ち上げた。突然持ち上げられたティアはパニックになる。

「ずっと気になっていたのだが、お嬢さん、目が見えないのか?」

ガエールが担がれているティアに近付いて尋ねる。

「ええ、見えませんよ。でも代わりに私は魂を見ることができます。」

パニックの中でも答える。

「ほう、『魂察知』ができるのか…。なら、目が見えないというマイナスと、魂察知ができるプラスで…プラマイゼロだな。……そうだ、ついでに見てもらおう。お嬢さん、俺の魂はどんな魂だ?」

「あなたの魂は、汚いゴミのような魂です。見る価値もないですね。」

ティアが毒づく。それにイラッとしたガエールは、

「おい、連れていけ。」

イライラした口調で命令する。部下はヘイと頷いて、ティアを運んで行く。

「ティア!」

サテラが叫んでいると、サテラを連れていく部下が近付いてきて、ティアと同じように持ち上げる。

「離してください!」

バタバタと暴れるが、部下にはダメージはない。

「私は構わないです!ティアは離してください!」

「ハハハ!友情が眩しいね~。だけど、お嬢さんの周りにいるおじさん達、そんな優しい人達じゃないんだよ。」

ガエールはバカにするように笑い、二人を連れていくように再度命令する。

「ティア!」

「サテラ!」

二人が呼び合うが、どんどん離れていく。

「ハハハハ!」

ガエールがあざ笑う。次の瞬間、サテラの心の中の『殺意』が、ティアを守りたいという感情と同時に頂点に達した。その瞬間、サテラの体から青い炎が放たれた。

「うわぁぁぁぁ!!」

サテラを担いでいた部下は炎に包まれたと同時に苦しみだし、サテラを落として倒れた。そして、まったく動かなくなった。その時、サテラは炎で縄を朽ちさせて切って、ゆっくりと起きた。鋭く爪が伸び、牙と小さめの角が生えて、青い炎の尻尾と背中に悪魔の翼が生えている。その姿はまるで悪魔そのものであった。そして、目を開けると、その瞳は紫ではなく、炎と同じ色になっていた。

「あのガキ…何者だ…?」

その姿を見たガエールは怯えながら後ろに下がっていく。サテラは下がっていくガエールにゆっくりゆっくりとプレッシャーをかけるように近付いていく。それと比例して、ガエールも後ろに下がっていく。

「サテラの魂が……燃えている…。」

ティアがサテラの魂を見て震える。そんなティアを横目で見たサテラは、前で怯えているガエールを放って、ティアの方に近付いていく。

「な、何だよ…?」

ティアを担いでいる部下がビクビクしながら尋ねる。

「ティアを離せ…。」

サテラはそう呟いて、右手に炎を纏って悪魔の手に変化させた。そして、次の瞬間、炎の悪魔の手が伸び、部下の体を貫いた。しかし、外傷はない。

「ぐあーーーー!!」

だが、部下は苦しみ、ティアを落として倒れた。そして、またまったく動かなくなった。

「魂が…燃えて消えた…。」

ティアがパニックになっていると、サテラが屈んでティアを縛っている縄を切った。

「サテラ……だよね?」

ティアがサテラの魂を見ながら、恐る恐る尋ねる。

「ちょっと待っててね…。」

優しさが消えた顔で言って、屈んだ状態からスっと低く体勢をとった。次の瞬間、ものすごい速さで走り出し、ヤクザ達を炎を纏った手で切り刻み始めた。そして、ものの数秒で切り終え、切られたヤクザ達は、やはり外傷はないが全員バタリと一斉に倒れて動かなくなった。

「次は…魂が…切り裂かれて消えた…。」

ティアは何が起きているのか分からず、完全にパニックである。

「あとはお前だけだ…。」

サテラが再びガエールの方を向き、鋭い目付きで睨み付ける。

「こ…このガキー!」

ガエールが衝撃波を放つ。しかし、サテラはそれを簡単に切り裂いた。そして、ダッ!と地面を蹴り、ガエールとの距離を一気に縮めた。

「や、やめてくれー!」

目の前のサテラにガエールが半泣きで訴える。しかし、サテラが止めるはずもなかった。

「[ソウルスラッシュ]!!」

サテラが炎を纏った爪で攻撃しようとした瞬間、誰かがガエールとサテラの間に入り、サテラの攻撃を止めた。

「そこまでだサテラ。」

攻撃を止めたのはなんと、学校にいるはずのシャインだった。

「シャイ……ン?」

サテラが少し正気に戻る。

「これ以上暴れると、自分の大切なものまで傷付くことになんぞ。」

シャインが見る方向をサテラも見ると、そこには座ったままガタガタと震えて怯えているティアがいた。

「ティア…。」

「あっこで震えてんの、お前が言ってた友達だろ?あのまま暴れていたら、理性がぶっ飛んで、あの子まで殺すことになるぞ。」

ここで、サテラは完全に元に戻った。戻ったサテラはすぐにティアの近くに座って、

「ゴメンね…ティア。怖い思いさせて…。」

と、謝った。

「あなたの魔法って、何なの?」

まだ震えているティアが尋ねる。サテラは青幽鬼(ブルーファントム)について全て話した。

「そういう魔法だったの…。」

「ゴメンね…。」

サテラがもう一度謝る。

「……ねぇ、私達は友達だよね?」

いきなり質問されたサテラはビックリするが、

「友達だよ!この先ずっっっっと友達!」

サテラがティアの手を掴んで答える。

「そうだよ、私達はずっと友達。だから、もう謝らないで。」

ティアがサテラをギュッと抱き付いた。

「ティア…ゴメンね。」

サテラが抱き付き返す。

「もう、謝らないでって言ったじゃん。」

「エヘヘ。」

シャインは二人が顔を見つめ合って笑っているのを見て、

「とりあえず、一件落着したようだな。」

と、一安心してから、自分の後ろにいるガエールの方を睨み付けた。

「さて、お前は後でSMCに身柄を渡す。それまで…」

シャインは重い拳でズン!とガエールの延髄を殴った。ガエールはうっ…と小さく唸ってから、気を失った。

「倒れててもらうぞ。」

シャインがニヤリと笑う。

「シャイン学校はどうしたんですか?」

そこに、サテラとティアが近付いてきた。

「お前が捕まったせいで、ここに来るはめになったんだバカ野郎。」

シャインがポコンとサテラの頭を殴る。

「いたっ……でもよく場所が分かりましたね。」

サテラが殴られたとこを擦る。

「あの執事の魔力察知を頼りに来たんだよ。」

シャインが指を指す方向には、フレデが立っていた。

「フレデ!」

ティアが喜ぶ。

「たく…久々に起きて授業聴いてたら、いきなり執事が入ってきて、サテラが危ないって言うんだもんな…流石にビビったよ……てか、よく俺とサテラに繋がりがあるって知ってたな。」

「ええ。サテラ様の話でちょくちょくお耳にした時、もしや、あの有名なシャイン・エメラルド様ではないかと思いまして、助けてもらおうかとお呼びに行ったのです。」

「ふ~ん…ま、今回は俺を呼んで正解だったかもな。」

シャインがサテラをチラッと見る。

「ティア様、申し訳ありません。」

フレデが頭を下げる。

「私はサテラのおかげで大丈夫だ。フレデも無事でよかった。」

ティアがニッコリ微笑む。

(さっきのサテラの姿…あれは青幽鬼(ブルーファントム)の『闇落ち』だったのか…?)

シャインは少し考え込んでから、ダメだ分からないと頭をかく。その時、SMCが到着し、ヤクザの死体の回収や、捕まっていた女性達の保護を開始する。

「おっ、アレンが呼んだらしいな。じゃ、SMCも来たことだし、俺は学校に戻るから。」

シャインは学校へ戻って行く。

「では、我々も屋敷に戻りましょう。」

フレデとサテラとティアも屋敷に戻った。

「ずっと友達だよ、サテラ。」

「うん、ティア。」

帰り道、二人は仲良く手を繋いで帰った。

エ「『龍空deラジオ』ー!」

レ「なんか前書き方、大変だね。」

サ「ほっときなさいよ。」

エ「そうね、じゃあ今回も行きましょう。『おハガキのコーナー』!今回はレビィに呼んでもらいましょう。」

レ「では、ペンネーム『魔法くん』から質問です。『普通科と魔法科の違いって何ですか?』」

サ「まあ、私が説明するわ。『普通科』は、読者の皆さんが想像するごく一般的なものよ。『魔法科』はそこに『魔法学』という魔法に関する歴史や知識、実技などを学ぶの。あっ、でも中心は『魔法学』だから、普通の教科は、数学、国語、英語、理科、社会の5教科ね。」

エ「はいサナ、説明ありがとうごさいました。『魔法くん』さんには何かお送りしまーす。」

レ「さて、次回予告と行きたいんだけど…なんと、まだ次回何をするか決まっていないの…。だから、次回を楽しみに待っていてください。」

エ「はい、では今回はこのへんでお別れしたいと思います。では、さよ~なら~。」

レ「あれ?そういえばサテラちゃんは?」

サテ「ハッ!お、おはようございます…。」

レ「寝てたんだ…。」

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