46話 闇落ち(17)
ス「『龍空deラジオ』ーー!」
ヒ「イエーーイ!」
ア「イ、イエ〜イ。」
ス「今回も始まりました『龍空deラジオ』。総合司会はこの俺、スノウ・シルバーがお送りしまーす!そして、いつものその他、ヒューズ・クオーツとアレン・ルビーでーす!」
ヒ「よろしく~!」
ア「よ、よろしくお願いします。」
ス「では早速お便りのコーナーに行きたいと思います!最初のお便りは……」
シ「ちょっと待てコラー!何だよこれ!何だよ『龍空deラジオ』って!」
ス「やっとツッコんだか~。遅いぞ。」
シ「そんなことどうでもいいわ!それより何だよこれ!」
ス「前話の後書きで作者の眼鏡が言ってたろ?俺らが前書きと後書きに復活って。これがそうさ。」
シ「これがそうって…ヒューズとアレンは知っていたのか?」
ヒ「私は知っていましたよ。」
ア「僕は無理矢理参加させられました…。」
シ「はぁ…とりあえずやるにしろ、具体的に何すんだよ?」
ス「まだ未定!」
シ「言い切んなよ…。」
ス「まあ、なんとかなるって!では読者の皆様!今回は長くなってしまったのでこの辺でお別れです。それでは本編をどうぞ!」
スノウとヒューズへの説教が終わり、すっかり落ち込んだ2人は、トボトボと部屋へ帰っていく。
「かなり落ち込んでますね。」
アレンが部屋に戻る2人の悲しい背中を見て苦笑いする。
「自業自得だ。ほっとけ。」
シャインが素っ気なく言う。
「さて、あなた達はまた待機?」
イスラがシャインに尋ねる。
「待機というより居座るって感じかな。修復とかの手伝いとかしたいけど、俺らは勝者、今敗者の奴らに変な情けをかけると、嫌みにしか見えないだろ?」
シャインがフッと笑いながら尋ね返す。
「それもそうね。」
イスラもフフッと笑う。
「まあ、いろいろ片付いたら、エクノイアに帰るつもりだ。その時にはまたSMCを通らせてもらうぞ。」
「フフ、了解。じゃあ、私とアレンはまだSMCのことが残っているから行くわね。あっ、お風呂、気持ちよかったわ。」
イスラはエアルをお礼を言ってから、SMCに向かった。アレンもイスラについて行った。
「私はちょっとカエデお婆ちゃんに用があるから。」
エアルはそう言ってカエデがいるとこに向かった。
「シャイン、少しサテラを調べたいから借りるわよ。行きましょうサテラ。」
サナはサテラを連れてどこかに行ってしまった。その途中、
「あの、私の記憶のことですか?」
と、歩きながらサテラが尋ねる。
「それも調べるけど…」
「けど…?」
「たまには2人っきりにさせてやりましょう。」
と、笑みを浮かべる。笑うサナを見て、サテラが首を傾げてから後ろを振り向く。そこには並んだシャインとレビィの姿があった。
「そうですね。」
察したサテラはニコッと微笑んだ。
一度こちらに振り向いたサテラに、シャインは疑問を抱く。
(あれ…?もしかして、今って二人っきり!?ど、どどどどうしよう~)
シャインの隣にいるレビィが今自分が置かれている状態に気が付き、モジモジする。
「なあレビィ。」
「な、なに!?」
突然話しかけられビクッとなる。その反応にシャインもビクッとなる。
「な、なんだよ…」
「ご、ごめん…気にしないで…で、なに?」
「いや、お前は何か用事ないのかなと思って。」
「別に…ないけど。」
「そうか、じゃあ暇なのは俺らだけか。」
「そうだね。」
2人の間に沈黙が包み込む。流石にシャインも、久しぶりの二人っきりに何を話そうか悩んでいる感じである。その近くを兵士やメイドが慌ただしく通過する。
「場所…変えるか。」
「そうだね。」
2人は邪魔にならない所に移動した。
2人は邪魔にならない所を探していたが、どこも兵士やメイドなどが慌ただしく動いていたので、結局各々の部屋に戻ることにした。シャインが部屋に入ると、そこには誰もいなかった。
(あれ?スノウとヒューズはどこ行ったんだ?)
あたりを見渡すと、机の上に『城を探検中』と書いてある紙を見つけた。
「……たく、反省してんのかよあの2人。」
髪をクシャクシャしながらベッドに近付き、ボスッと寝転び、ボ〜っと天井を眺める。
(親…か……)
その時、コンコンという音が響いた。
「……誰だ?」
そう言うと、キィとドアが開き、レビィが入ってきた。
「レビィ、どうした?」
「部屋にいても暇だから来ちゃった。スノウとヒューズは?」
シャインは机の上にある紙を指さした。レビィはその紙に書かれていることを見て、
「反省してないわね…。」
と、小さく怒る。そして、そこから黙ったまま、ベッドの隅に座った。数秒間沈黙が流れてから、レビィが口を開いた。
「ヒューズやサナ、サテラちゃんにもいない…スノウやエアル…そしてシャインにも…私だけだよね…ちゃんと親がいるの。」
「…嫌なのか?」
「そうじゃないよ!ママだって好きだし、パパだって好きだよ。ただ、なんか…自分だけ家族の温もりがあっていいのかなって…。」
レビィが暗い顔になる。
「あははは!まあ、一緒にいている人間が全員親がいないとなると、そんな考えになるわな。」
シャインがケラケラと笑うので、レビィがムッとなる。
「誰か一度でも、お前に親がいることを憎んだ奴がいるかよ?」
シャインが笑い顔から一変し、真剣な顔で聞く。レビィはううんと首を横に振った。
「…だろ。」
そこで一旦話が途切れ、また沈黙が流れる。そして数秒後、レビィが口を開き尋ねた。
「ねぇ、家族で思ったんだけど、シャインのお母さんって病気で亡くなったんだよね?」
意外な話題になり、シャインは少し驚くが、
「ああ、不治の病でな。」
と、ちゃんと答えた。
「…お父さんは?」
それを聞かれたシャインは少し嫌な顔をする。
「前に言っただろ、俺と母さんを置いて出ていきやがったんだよ。」
「それは知ってるよ。だから、今どこにいるかとか知らないのかなって?」
「…知らねぇ、知りたくもねぇ。……ただ1つ分かることは、絶対生きてやがるってことだ。」
「なんで生きてるってことは分かるの?」
「誰にも殺せないからだ。」
シャインがボソリと呟いたことを、レビィは理解が出来なかった。
「いいかレビィ、親がした罪は、絶対に子を苦しめるものだ。だから、大好きなママとパパが罪を犯さないよう、しっかり守りな。」
シャインが窓から見える空を眺めながら忠告する。そのこともレビィは理解をすることが出来なかったが、
「うん、分かった。」
とりあえず頷いた。
シャインが眺める空の遥か先、周りに何もない大草原の真ん中で寝転んでいる黄緑色の髪をした男が、
「あー、ダメだ。やっぱり平和な世界は正に合わねぇ。」
と、シャインが見ている空と同じ空を眺めながら呟いた。
そこからシャインとレビィはとりとめのない話をしていると、ドアが開き、スノウとエアルが入ってきた。
「おーいシャインいるか~……て、あれ?お邪魔だったかな?」
レビィの姿を見つけたスノウがニヤリと笑う。
「ち、違うよ!」
レビィが顔を赤くしなが怒る。
「そうだよ、別に何にもねぇよ。」
ベッドから起きながらシャインがしれっと言う。
「ふ~ん…」
エアルがまだ疑うようにニヤニヤする。
「だから何にもないって。で、何か用か?」
シャインはこのままだと話が脱線し続けると思い、すぐに話を戻した。
「サナが全員に話があるから女子部屋に来いだって。」
エアルが答える。
「話ってなに?」
レビィが尋ねると、2人は知らないと首を横に振る。
「行ってみれば分かるさ。」
シャインはよっこらしょとベッドから下り、背伸びをしてから女子部屋に向かった。あとの3人も女子部屋に向かった。
女子部屋に入ると、そこにはヒューズ、サナ、サテラ、アレンが待っていた。
「これで全員揃ったわね。」
自分のベッドに座っているサナが人数を確かめる。
「で、話って何だよ?」
シャインがドカッと近くにあった椅子に座って尋ねる。
「あんたに起きたことと、サテラの記憶のことについてよ。」
サナがシャイン、サテラの順に指をさす。
「まずサテラの記憶について話させて。いいわねサテラ?」
隣に座っているサテラに尋ねると、はい。と頷いた。サナは記憶封印魔法のこと、イルファのこと、全てを話した。
「……てなわけ。理解してくれた?」
「イルファと繋がりがあって、実験体だったサテラの記憶が消えかかっている。ってとこか?」
シャインが要点をギュッとまとめる。
「まあ、そんな感じ。」
サナが頷く。
「その記憶封印魔法を解く方法ってないの?」
レビィがサナに尋ねる。
「今は…ない。」
サナが首を横に振ると、レビィが落ち込むが、
「でも、絶対私が解いてみせるわ。」
サナの決意した顔を見て、安心した。
「で、お前今どこまでの覚えてんだ?」
シャインがサテラに尋ねる。
「今ですか?えっと…私とシャインが出会ったぐらいまでです。」
「シャインと出会う前までの記憶は?」
エアルは入り込んでくる。
「少し前までは覚えていたんですが、今はあやふやの状態です。」
「じゃあ、何で革命軍の奴らに追われていたのか分からないのか?」
シャインがまた尋ねる。
「……はい。」
「あれだろ、『ビッグバン』を動かすためだろ?」
スノウが言う。
「いや、サテラがどこかの実験施設の成功例で、それを知っているイルファが向こうサイドにいるのなら、別の目的、とも考えれますね。」
ヒューズが仮説を立てる。
「それも考えれるわね。」
サナが頷いて賛成する。
「おいおい、今奴らの計画について考えても答えなんて出やしないんだ。それより、今答えが出る、俺の話してくれよ。」
シャインが話を自分についてのものに変える。
「……そうね、サテラも大変だけどまだ時間があるわ。でも、シャインの方が今にでも起こりそうだからね。サテラもいい?絶対私が解いてみせるから。」
サナがサテラに聞くと、
「分かりました。」
と、承諾した。
「じゃあ、シャインについて説明するわ。シャインに起きたのは、結論から言うと『闇落ち』というもの。」
「闇落ち?」
アレン以外の全員が首を傾げる。
「『闇落ち』とはいわゆる『絶滅魔法の暴走』。それが起きてしまうと、絶滅魔法に体を『憑依』されてしまい、殺意に溢れ、魔力が尽きるか、周りに殺す人間がなくなるまで殺し続ける鬼人と化す。それは全ての絶滅魔法共通よ。」
「憑依?魔法に体を乗っ取られるのか?」
シャインが尋ねる。
「そうよ。だから実際、ザウルスを殺したのは、閃風魔法そのものが殺したことになるってことになるの。」
「そう、なのか…でも、俺が殺したことには変わりないな…」
シャインは納得しながら、苦い顔をする。
「これは絶滅魔法全てが対象となるから、サテラやレビィだって例外じゃないってことは忘れないでね。」
サナがサテラ、レビィの順に睨む。サテラとレビィはコクンと頷く。
(私も…『あんな風』に…)
レビィはシャインがフォーグと戦っている時に一瞬なった闇落ちを見ており、ああなってしまうのかと思うとゾクッとなる。
「じゃあ、あの時見たシャインは闇落ちしていたんだ。」
エアルが1人で納得する。
「あんたシャインの闇落ちの姿見たことあるの?」
サナがエアルに聞くと、エアルはうん。と頷く。
「どんな姿だった?」
「えっと…能力解放の時に出る黄緑色のオーラの中に、紫色のオーラが混じっている状態だったよ。見た目はそれくらいだったかな。」
記憶を遡りながらエアルが説明する。
「私も見たけど、そんな感じだったわ。」
レビィはエアルの説明に賛成する。
「なるほど…閃風魔法の闇落ちはそうなるのね。」
サナが頷く。
「絶滅魔法によって症状が変わるんですか?」
サテラがサナに尋ねる。
「そうよ。流石に私も、どの絶滅魔法がどんな症状になるかは分からないけどね。」
それを聞いたレビィは、
(じゃあ、夜叉魔法の闇落ちってどんなのだろ…?)
と、心配になる。
「とりあえず、今から闇落ちにならないための条件を3つ言うから、その内2つを守れば、闇落ちすることはないから覚えといて。」
「何で2つなんだ?」
シャインが聞くと、
「とりあえず聞いて。」
サナがシャインを怒った。
「まず1つ目は『魔力のオーバーヒート』。魔力を尽きるギリギリまで一気に消費してしまうと、体や精神にかなりの負担をしてしまう。その疲れきっている状態は、絶滅魔法に憑依されやすいの。だから、魔力がオーバーヒートするまで一気に消費しないこと。2つ目は『負の感情が頂点に達しない』こと。憎しみ、苦しみ、恨み、恐怖、怒りなどの負の感情が頂点に達してしまうと、それが闇落ちになる源になってしまうから、なるべく負の感情は大きくしないこと。……で、最後の3つ目は『一族の中に闇落ちをしたことがある人がいない』こと。闇落ちは厄介なことに、遺伝子レベルで子孫に受け継がれてるの。例えるなら、父親が闇落ちしたことがあるなら、産まれてきた子供も闇落ちする可能性があるってこと。これは闇落ちしてしまう原因というより、闇落ちになってしまう確率が上がってしまうの。でも、もし闇落ちする遺伝子が体にあったとしても、その遺伝子だけを取り出す技術は、この世界どこを探してもないから、どうすることもできないからね。」
「一族の中に闇落ちした人…聞いたことないな。」
レビィがう~ん…と考えるが、思い当たらなかった。
「私も…聞いたことないです。というより、覚えていません。」
サテラがしょぼんとしながら言う。
「シャインは?」
エアルがシャインに尋ねる。
「…………知らねぇな。」
少し間が空いたのにエアルは少し変な感じはしたが、ふ~ん…と納得した。
「これで説明は終わりだけど、理解は出来たかしら?」
サナが全員に尋ねると、
「魔力を一気に使うな。負の感情を大きくするな。この2つに気を付ければいいんだろ?」
シャインが答える。
「ちゃんと覚えといてね。」
サナが入念に言う。
「わかってら。」
シャインが手をヒラヒラさして流す。
「さて、そろそろ夕食できると思うから、食堂に行きましょう。」
エアルが言うと、
「飯だーーー!俺もう腹ペコだ~。」
スノウが両手を上げて喜んでから、
「ほら、行くぞお前ら!」
と、先導して食堂へと向かう。エアルやレビィは笑いながら後を付いていった。その最後尾にいるシャインにアレンが、
「シャイン、少しいい?」
と、呼び止めた。
「何だよ?」
足を止め、アレンの方に振り向く。
「単刀直入に聞くけど、ホントは知っているんじゃないの?闇落ちした親族を。」
アレンの目を見て、シャインは何かを察したようにピクンと反応するが、
「知らないって言っただろ。」
と、頭をかきながら答える。
「そうか…ゴメンね、変なこと聞いて。」
アレンが謝ると、
「気にすんな。さ、飯食いに行こうぜ。」
と言って、シャインは部屋を出た。
(あの目…アレンの野郎…知ってやがる…俺の『親』が誰か。)
そんなことを思いながら、シャインは廊下を歩いて行った。部屋に1人になったアレンは、
「気が付かれたかな…僕がシャインの『親』を知っていることに…。」
と呟いてから、部屋を出た。
この日の次の日から、シャイン達は待機しててもすることがないので、ザファールスの修理の手伝いを始めた。奴隷や町人はライズのやり方に不満を持っていたので、シャイン達を英雄と見てくれるが、貴族や王族の兵士などは恨むような目で見ていた。その中でもシャイン達は修理などを手伝った。そして数日が経ち、やっとザファールスは落ち着いてきたので、シャイン達はエクノイアに帰国することにした。
エクノイアに帰るため、SMCに入るワープエリアに全員集まっていた。
「ホントにヴァスタリガに残るの?」
レビィがエアルに尋ねると、うんとエアルが頷く。
「うん、3学期が始まるまではこっちにいるつもり。」
「そっか、頑張ってね。」
「うん!」
レビィとエアルが笑い合っている隣にいるスノウに、
「お前はどうするんだスノウ?」
シャインが尋ねる。
「特にすることないが、ルルハに里帰りしとくわ。」
スノウがそう言うと、
「あっそ。」
と、シャインは軽く返事した。
「お前、聞いといてそれはないだろ…!」
スノウが睨み付けながら怒る。それを見てシャインがケラケラ笑う。
「ま、別に口出しはしないさ。テオンも喜ぶだろうよ。」
「そうだな。」
スノウがフッと笑う。
「2人は?」
シャインはサナとヒューズの方を見る。
「別にこの国にいる意味がないし、あんた達と帰るわ。」
サナが答えると、ヒューズが右に同じと手を上げる。
「そっか。」
シャインが答えた時、
「みんな、準備出来たよ。」
と、ワープするために準備していたアレンが呼んだ。
「じゃあね、エアル、スノウ。」
レビィがワープエリアに乗ってから手を振る。シャイン達も一緒に乗った。
「うん、また3学期に会おうね。」
エアルが手を振り返すと同時に、レビィ達はSMCにワープした。エアルが手を下ろし、ボーっとしていると、
「ホントに3学期までに全部片付くのか?」
スノウがエアルの隣に並んで尋ねる。
「片付けてみせるよ。」
「あと、3学期に戻るって言ったけど、ヴァスタリガの最高権力者はお前なんだろ。経済とかそういうものはどうすんだよ?」
「う~ん…そこまでは考えてなかった。」
エアルがアハハと苦笑いする。
「はぁ~…どうすんだよ?」
「ま、時間はまだあるし、考えとく。」
エアルはテテテと数歩前に走って、クルッと振り返り、
「じゃあねスノウ、3学期に龍空高校で会おう!」
ニコッと笑いかけてから、兵士と一緒に城に戻った。スノウはその帰る背中を見送ってから、ルルハに向かった。
シャイン達はSMCにワープし、そのまま中を通過して、エクノイアの細い路地の行き止まりにワープし、エクノイアに帰ってきた。その頃には日も沈み、空から月光が降り注いでいた。
「はぁ~久々のエクノイアって感じだ。」
シャインが月を見ながら呟く。
「バカね、向こうに行っていたの約1週間ぐらいじゃない。」
それを聞いたサナが小バカにする。
「でもさ…その約1週間がとても長く感じたよ。」
レビィが言う。
「そうですね。」
サテラがシャインの隣で微笑む。
「さて、僕はまだSMCの方が終わっていないので、失礼しますね。」
そう言ってアレンはSMCの方に戻った。シャイン達はそれを見送ってから細い路地を出て、少し歩いて行くと分かれ道に差し掛かった。
「私達は龍空高校の寮だから、こっちね。」
サナとヒューズはシャインとレビィとサテラの行く方向の逆の道を行く。
「ああ、また3学期な。」
シャインが言うと、ヒューズが背を向けたまま手を上げて応答した。それを見送ってから、3人で歩いていると、全国の時計が12時をさした。
「あっ、年変わっちゃった。」
レビィが公園の時計を見て驚く。
「ん?ああ、今日、てかもう昨日か。まあどっちでもいいや、『12月31日』だったな。バタバタしてて忘れてたぜ。」
シャインが思い出す。
「今年もよろしくね、シャイン、サテラちゃん。」
レビィが立ち止まり、ペコリと頭を下げる。
「よろしくお願いします。」
サテラも立ち止まり、ペコリと頭を下げた。
「まあ、よろしく。」
シャインは少し照れくさそうに頭を下げる。
「さ、行こっか。」
挨拶を済ました3人は、各々の家に帰るために歩き始めた。
エ「『龍空deラジオ』ーー!」
レ「えっ!?これ、私達もするの?」
エ「当たり前よ!ほら、サナもサテラちゃんもシャキッとする!」
サ「やる気出るわけないじゃない…しかも何で『放送室』?」
エ「学校だもん。ちゃんとしたラジオスタジオなわけないじゃん。ちなみに前書きの方も放送室だからね。」
サテ「あの、私龍空の生徒じゃないし、そもそも高校生でもないんですけど…。」
エ「気にしない気にしない!さ、こんな感じで、前書きは男子、後書きは女子でお送りしていきたいと思います!」
レ「だ、大丈夫なのかな~…。」
エ「大丈夫だって!では、今回はこちらもこの辺で!次回を楽しみにしてください!では、さよう〜〜なら〜〜。」