42話 偽りの魔法(13)
眼鏡「まだ『〜魔法学園〜』はクリスマスなのに、現実世界ではもう受験シーズンになりましたね~。頑張れ!受験生!って感じですね♪では、今回は受験生は受験勉強の休憩がてらに見てください♪」
「せ、閃風魔法!?」
「正解だよ、お嬢ちゃん。」
カギスタがニヤリと笑う。
「バカな…同じ絶滅魔法を使える人間が、この世に2人と存在しないはずじゃ…」
ナイトが驚きを隠せないまま尋ねる。
「お嬢ちゃんの言う通り、この世に同じ絶滅魔法を使える人間は2人と存在しない。そのことは、頭が固そうな研究者どもが調べた結果、明らかにされている。だから、俺の閃風魔法は少し違う、ま~平たく言うと『偽物』ってことだ。」
「偽物…ということは、主の閃風魔法とは別物なのか?」
「ま~、そう言うことだ。」
「……では、その偽物の閃風魔法をどうやって習得した?」
、「『エルクワタストーン』、まあ、普通は『エルクワタ』って言うかな。この石はどんな魔力でも溜めれる力がある。そして、魔力を溜めたエルクワタを人間に装備することで、その魔力で発動できる魔法が使用可能になるんだ。だから俺は、エルクワタに閃風魔法の魔力を溜め、自分に装備したことによって、閃風魔法が使えるようになったわけ。これが証拠だ。」
カギスタが袖をまくると、右肩に青色の少し小さい石が埋め込まれた。
「エルクワタストーン?そんな石聞いたこともないし、そんな技術も聞いたことがない…『グライトル』の最新技術か?」
ナイトが尋ねると、カギスタが袖まくりを下ろしてから、首を横に振る。
「残念、ハズレだ。」
「ではどこの技術だ?」
ナイトが刃先を向けて尋ねる。
「おっと…土産には少し多かったかな。そろそろ死んでしまうよ。」
ナイトの質問を無視し、刀を構える。
「答えないのなら、無理矢理でも言わせてやる。」
ナイトも夜桜を構える。
「[閃風波]!!」
カギスタが、シャインと全く同じの三日月型の衝撃波を放つ。
「[加護闇]!」
闇属性の防御魔法を使うが、三日月型の衝撃波は簡単に切り裂いた。
「なに!?」
ナイトはそれに一瞬で感ずき、側転して横に回避するが、肩をかすめて血が流れる。
「逃がさねぇよ、[疾風斬]!!」
カギスタが早斬りで追撃してくる。それをナイトはまともに喰らってしまった。
「ぐあっ…!」
横腹を切られたナイトが倒れてしまう。そこにカギスタが容赦なく、
「[閃風乱舞]!!」
無数の閃風の斬撃を放つ。
「[闇翼]!!」
ナイトの背中に漆黒のオーラの翼が生え、上空へ回避する。
「[月光鳥]!!」
上空に到達した時に翼が消え、突きを構えて、カギスタに向かって急降下する。それをカギスタは刀で横に弾いて回避する。着地したナイトは、傷の痛みにより、次の動作に入れない。
「[閃風脚]!!」
閃風を纏った脚で、ナイトを蹴り飛ばす。
「[獅子閃風牙]!!」
閃風の獅子が、蹴り飛ばされたナイトに追い撃ちをかける。まともに喰らったナイトは倒れてしまう。息は虫の息に近い状態である。
「すまないレビィ…私は…これまでのようだ…」
ナイトは心の中にいるレビィに伝え、レビィと入れ替わった。髪が黒から紺に、瞳が黒から青に戻った。それと同時に、魔力が少し回復した。体力も少し戻りすぐに起き上がって間合いを空け、慣れない構えで夜桜を構える。
「魔力が回復した…!?どうなっている…」
カギスタが手を顎にあて、う~ん…と考える。そして、数秒後に思い出した。
「あ~、確かお嬢ちゃんって二重人格だったっけ?」
「そ、そうよ。」
レビィが少し怯えながら答える。
(どうしよう…ちゃんと戦闘なんてしたことないのに…)
その時、さっき斬られた横腹の痛みが強くなり、膝から倒れ、夜桜で支えている状態になる。その光景を見てカギスタが、
「なるほど。繋がっているのは肉体のみ。魔力や思考、精神や魂は別々なのか。」
と、納得する。
(ヤバい…)
レビィが痛みにより、はぁ…はぁ…と息を切らす。
「けど…」
カギスタが一瞬でレビィの目の前に現れた。
「そうだとしても…容赦はしない。」
カギスタがレビィを蹴り飛ばす。それにより、完全に倒れてしまう。倒れたレビィに、カギスタがトドメを刺すために、刀を構える。
「夜叉じゃないお嬢ちゃんも好みだったよ。」
カギスタが刀を振り下ろした。レビィは死を覚悟して、目を閉じた。次の瞬間、
ダン!!!
と、銃声が鳴り響いた。その次に、カランと刀が落ちる音がした。レビィは何かと思い、恐る恐る目を開けると、カギスタが腕から血を流して、別の方向を睨み付けていた。その方向をレビィも見てみると、誰かがこちらにハンドガンを向けていた。
「その人は僕のクラスメイトであり、大切な仲間なんです。殺させはしません。」
それはなんと、緋色髪のアレンだった。
「アレン…!」
レビィが嬉しくなり、涙が出てきた。
「SMC第一調査部隊隊長兼第三戦闘部隊隊長、アレン・ルビーがこんなとこで何をしている?」
カギスタが尋ねながら、落とした刀を取ろうとすると、アレンがハンドガンで刀を撃った。それにより、刀が屋根から落ちた。
「おいおい、人の武器落とすんじゃねぇよ。」
カギスタがアレンを睨み付ける。
「てか、SMCもこのお嬢ちゃん達の手助けかい?」
カギスタがアレンに尋ねる。
「SMCが、今問題になっている組織を目の前にして、みすみす見逃すわけないでしょう。」
アレンがカギスタにハンドガンを向けて答える。
「なるほど、あくまでSMCが相手するのは俺ら革命軍ってことか。」
「そういうことです。でも、SMCは一応自衛隊の派生、この革命を放っておくわけにはいきません。だから、どちらにも付くことなく中立の存在でこの革命も止めます。それと、もしお前が闘い足りないのなら…」
その時、アレンの後ろから、サナ、サテラ、ヒューズが現れた。
「僕達が相手をしよう!」
4人がカギスタを睨み付ける。それを見たカギスタは、はぁ〜とため息をつき、能力解放から戻る。
「いや、やめておこう。流石に刀なしで4人相手は不利だからな。」
カギスタがチラリと倒れているレビィを見て、
「よかったなお嬢ちゃん、お友達に感謝しな。次に会う時は今のお嬢ちゃんと闘ってみたいな。」
と言って微笑んだ。そして、ヒラリと屋根から降りて、どこかに行ってしまった。
「大丈夫ですかレビィさん?」
カギスタの姿が見えなくなってから、アレンがレビィに近付き、屈んで治癒魔法をかける。
「僕の治癒魔法は強力じゃないですから、応急処置みたいなもので我慢してくださいね。」
「ありがとうアレン。」
少し軽くなった体を起き上がらせ、座り込んだレビィのとこに、他の3人も近付いてきた。
「さっきの人の魔法…閃風魔法でしたよね?」
サテラが尋ねる。
「そうだ、あいつから聞いたこと話しておくね。」
レビィがカギスタのことについて聞いたことを全て話した。
「……て、ことみたい。」
「『エルクワタストーン』…聞いたことない石ですね…」
ヒューズがう~ん…と考える。
「僕も聞いたことないですね。」
アレンが首を横に振る。
(『エルクワタ』……これでイルファが『あっちの世界』の人間ってことがほぼ確定ね。)
サナが1人で考えていると、
「サナさん?」
と、サテラが声をかける。
「な、何!?」
サナがビクッとして尋ねる。
「サナさんは『エルクワタストーン』って石を聞いたことありますか?」
「え、…あ~、ないわね。まあ、予測をするなから、どこかの研究者達が見つけた新しい技術でしょう。」
「そう考えるのが一番でしょうね。」
ヒューズがサナの意見に賛成する。
「はい、動けるぐらいには回復しました。」
その時、レビィの応急回復が終了し、レビィが立ち上がる。
「魔力察知で見たところ、ナイトの魔力はほとんどない状態だから、当分の間は戦闘でもあんたがするしかないわね。」
サナがレビィに報告する。
「いつになったらナイトの魔力は全快になる?」
レビィがサナに尋ねる。
「さあ、そこまではわからないわ。ただ、あんたの魔力とナイトの魔力は分かれているから、回復する時は、どうしてもメインのあんたの方に魔力が流れる。つまり、ナイトの魔力回復はあんたの次に回されるから、かなり時間が必要になるわ。」
「そう…」
レビィはその報告を聞いて、心の中のナイトに、
(ゴメンね、いつも戦闘ばっかり任せちゃって。私がもっと強かったらいいんだけど…)
と、謝った。
「とにかく、今はエアルのことに専念しましょう。」
サナの言葉に全員頷き、エアルの元に向かった。
ナイト(レビィ)vsカギスタ、屋根の上の戦い。勝者:なし。
赤い絨毯の敷かれた大きなパーティ会場で、能力解放のシャインvs人龍のザウルスの戦いが繰り広げられていた。
「[斬風、"吹雪"]!!」
まるで吹雪のように小さな無数の氷属性の斬撃が、ザウルスに向かって放たれる。ザウルスは翼で空中に回避した。
「たく、ちょろちょろ飛び回りやがって。」
シャインが舌打ちをする。
「[龍双牙]!!」
龍の爪を交差させながら、急降下してくる。シャインは風砕牙を地面に刺すと、刀を中心に魔法陣が展開され、
「[守護風陣]!!」
風属性の防御魔法が発動し、ザウルスの攻撃を防ぐ。ザウルスはまた空中に羽ばたく。
「なら、こういうのはどうだ…」
ザウルスがすぅ~と息を吸い込む。
「[龍咆哮]!!」
ガァァァと吼えると、衝撃波が起き、守護風陣を破った。それにより、シャインは衝撃波をまともに喰らい吹き飛んだが、体勢を立て直して着地する。それを見て、ザウルスも着地する。
「ちっ…なら…」
シャインが風砕牙を鞘に納め、グッ!と右腕に力を入れると、風が腕に集まる。
「力技か…相手になろう!」
2人が同時に地面を蹴る。
「[閃風剛拳]!!」
「[龍王拳]!!」
2人の拳がぶつかり合った。ぶつかった時の衝撃により、2人とも真後ろに吹き飛び、壁に激突した。
「いって~〜……」
シャインが頭をさすりながら立ち上がる。
「俺の力と張り合うとは……」
ザウルスが服の埃をパンパンと落としながら立ち上がる。そして、2人が睨み合っていると、シャインが尋ねる。
「なあ、1つ聞いていいか…お前らは何で『身分制度』を続けてる?」
「それがこの国の歴史であり、鉄則の法律だからだ。昔から築き上げられた歴史を、我らの代で潰してはいかんだろ。」
「でもその歴史で、この国の人間が苦しんでんだぞ?」
「どんなものでも、維持するためには犠牲も必要だ。」
その答えが、シャインの癇にさわった。
「じゃあお前らは、『民の幸せ』より、『歴史』を取るってことか…?」
シャインはフツフツと怒りが込み上げ、拳に力が入る。
「そういうことになる。」
ザウルスが冷たく答える。その答えを聞いて、シャインの怒りが頂点に達した。
「ふざけるな!!」
その時、シャインの黄緑のオーラの中に、紫のオーラが混じり始めた。
「人の上に立つ人間なら、民の幸せを願うのが一番だろ!歴史歴史って、そう言ってカモフラージュしているだけで、結果『権力』を暴走させているだけだ!」
シャインが怒鳴る。
「黙れ!キサマのような他国民にとやかく言われる筋合いはない!」
「人間が人間に言って何が悪い!」
紫のオーラが強くなる。
「『力』の使い方を知らない奴は…消えろ!」
その時、シャインの心の中の、『ザウルスを倒す』という心が、『ザウルスを殺す』という心に変わった。その心が、『闇落ち』してしまう元になるとも知らずに…
それと同時に、紫のオーラと黄緑のオーラとの割合が、最初は2:8ぐらいだったが、今は五分五分の状態になる。そして、左の瞳のように、右の瞳も同じように燃え始めた。闇に染まったような紫色に…
「キ、キサマ…まさか…」
ザウルスがシャインの異変に震える。
「お前は…お前らは…俺が殺す!!」
シャインはグッ!と拳に魔力を集める。
「[闇閃風拳]!!」
シャインが魔力を集めた拳を突き出すと、光、風、そして『闇』が混ざった属性の拳型衝撃波が放たれた。ザウルスはそれをまともに喰らって吹き飛び、壁に激突してから倒れた。その威力は、ザウルスの硬い龍の鱗に拳の形を残すぐらいのものだった。
、眼鏡「たまに思うですけど、皆さんってどうやってキャラや物や技の名前を考えているんでしょうか…ちなみに私はキャラの名前などは、ちゃんと考えたり、ゲームやアニメの名前をそのまま頂いたり、言葉をモジッたりしています。ということで、少し名前の由来を紹介します♪」
・フォーグ…『テイルズオブエクシリア』の組織の名前から頂きました。ちなみにテイルズの中では『四象刃』って書きます。あと、名字の『サイバスター』も何処からか頂きました。
・ロイク…肌が黒いので、『黒い』→『クロイ』→『ロイク』。って感じです。
・イルファ…秘書はファイルを持っていそうなので、『ファイル』→『イルファ』。って感じです。
・カギスタ…漢字で書いたら『鍵星』って書かれそうですけど、違いますよ。カギスタの名前は、ジャンプで大人気連載中の『銀魂』に出てくるキャラ『高杉晋助』からきています。『高杉』→『タカスギ』→『カギスタ』。って感じです。
・エルクワタストーン…これは、ストーンはそのまま石という意味で、エルクワタは、『エルクワタ』→『タクワエル』→『蓄える』って意味です。ということは、エルクワタストーンは、『蓄える石』って意味です。
眼鏡「革命軍とエルクワタストーンについて紹介しました♪またいつかこんな感じで紹介していきます♪では、次回をお楽しみに♪」