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魔法学園  作者: 眼鏡 純
41/88

41話 心からの…(12)

眼鏡「はい、今回はスノウvsナルバーでございます。では、早速見てください!」

 赤い絨毯が敷かれたエアルの部屋で、スノウvsナルバーの戦いが繰り広げられていた。


 「[サンダーナックル]!!」

スノウの雷を纏った拳と、ナルバーの鉄の拳がぶつかる。

「いって~!」

スノウが殴った手をブンブンと振る。

「どんな属性を纏おうが、俺にはダメージなんて残らない。」

ナルバーが平気な顔で言う。

「くっそ~、どうするかな~?」

スノウがう~ん…と考える。

「さて、ここはエアル様の部屋、壊されては困る。場所を変えさせてもらうぞ。」

ナルバーがカッ!と目を開いた瞬間、衝撃波が放たれ、スノウが吹き飛んだ。そして、そのまま窓を突き破り、中庭に落とされた。スノウは地面ギリギリで体勢を立て直して着地し、キッ!と窓の方を睨んだ。そこにはナルバーがこちらを見下していた。

「[アイビーム]!!」

すると、ナルバーの目から光線が放たれた。スノウは気が付き、回避する。光線はそのまま飛んでいき、奥の方で爆発した。

「あっぶねぇ…」

スノウが驚いていると、ナルバーが窓から下りてきた。

「たく…なんでもありの体だな。」

スノウが拳に風を纏う。

「[ウィンドウナックル]!!」

拳を突き出した瞬間、拳の形をした風の衝撃波が放たれた。ナルバーはまともに喰らって吹き飛び、壁を突き破った。

「ちょっとは効いたか?」

スノウが様子を見ていると、ナルバーが平気な顔をして現れた。

「ちっ…頑丈だな…」

スノウが戦闘体勢に戻る。

「人間にはできないことをしてやろう…[スキルコピー]。」

ナルバーがさっきのスノウの技を分析し始めた。

「分析完了…」

そう呟いた瞬間、ナルバーが拳に風を纏う。

「[ウィンドウナックル]!!」

ナルバーがスノウとまったく同じ技を繰り出した。スノウは回避することができず、まともに喰らい、木などを折りながら吹き飛び、壁にぶつかり、倒れる。

「ゲホ…ゲホ…そういえばこいつ…人の技パクれたな…」

口から血を吐きながら立ち上がり、睨み付ける。

「どうだ?自分の技は?まあ、威力はお前の数倍になっているがな。」

「あ~、流石に効いたな。だって『俺』の技だからな。『てめぇ』の技ならへでもないんだけどな。」

スノウが嫌みな言い方で答える。

「そうやって言っていられるのも、時間の問題だ。」

「お前がそうやって意気がっているのが、時間の問題じゃないのか?」

2人は同士に地面を蹴る。そして肉弾戦にもつれ込む。

(さて…とりあえずこいつの頑丈な体をどうにかしないとな…でも、どんだけ頑丈でもしょせん鉄は鉄…)

スノウは闘いながら勝つ方法を考えていると、

(そうだ、あの方法があったな…!)

何かを思い付き、間合いを空けると、右拳に魔力を集中させる。すると、ボッ!と炎が付いた。

「なんだ、フレイムナックルではないか…」

ナルバーの拳にも炎が付く。

「はぁぁぁーー!」

スノウが魔力を上げると比例して、炎も大きくなる。

「どれだけ魔力を上げても同じだ!」

ナルバーが炎の拳を繰り出すが、スノウが一瞬で回避し、懐に入り込む。

(速い…)

「[フレイムナックル"改"]!!」

スノウがナルバーの腹に強力な一撃を入れた。それにより、初めてナルバーが怯んだ。

「お次は…」

スノウは右拳をそのままで、左拳に魔力を集中させる。すると、拳から冷気が立ち上る。

「はぁぁぁーー!」

さっきと同様魔力を上げる。すると、スノウの左拳が凍り、氷に包まれる。

「[アイスナックル"改"]!!」

怯んだナルバーに、同じ場所に強力な一撃が入る。それにより、またナルバーが怯む。

[乱舞氷炎拳(らんぶひょうえんけん)]!!」

炎、氷の順に同じ場所を殴り続けた。

「調子に乗るな…ガキ![フィンガーガン]!」

指が銃に変わり、初めて感情を露にしながら、スノウの脇腹に銃弾を撃ち込んだ。

「ぐっ…!」

それにより、スノウは怯み、ラッシュが止まった。

「[ウィンドウナックル]!!」

怯んだスノウに風の衝撃波が襲う。まともに喰らったスノウは吹き飛び、地面を転がる。

「はぁ…はぁ…どれだけ殴ろうが、俺には傷ひとつ付けられない。」

倒れているスノウにナルバーが言う。

「いや…自分の体…見てみろよ…」

スノウはよろよろと立ち上がりながら言う。それを聴いたナルバーは自分の体を見てみると、そこにはヒビが走っていた。

「な…!?」

その状態に、ナルバーが驚く。

「やっぱりな…」

プッと血が混じった唾を吐きながらニヤリと笑う。

「お前…何をした?」

「お前の体はどれだけ丈夫であろうと、しょせん鉄は鉄だ。鉄は熱せられるのと冷やされるのを急速に何度もされると、そこからヒビが入るんだ。……って昔どっかのテレビで言っていたような気がする。」

スノウがドヤ顔で話すが、中身はあやふやであった。

「そんなふわふわした記憶で、俺が傷を付けられるとはな。だが、こんなヒビ程度では、痛くも痒くもない。」

「ヒビが入ったなら上出来だ。ほぼ俺の勝利が決まったもんだからな!」

スノウがナルバーに向かって走り出す。

「[アイビーム]!!」

ナルバーが放った目からの光線を、スノウは簡単に回避し、一気に間合いを詰めた。

「[ストーンレッグ]!!」

岩を纏った脚で、ナルバーのヒビをとらえた。それにより、ヒビから欠片が落ちる。

「[ウォーターナックル]!!」

立て続けに、水を纏った拳で攻撃する。それにより、また欠片が落ちる。その時、ナルバーがスノウの顔を掴んだ。ナルバーの掌には小さい穴が空いていた。

「[インパクトハンド]!!」

その穴から衝撃波が放たれ、スノウはまともに顔に受け、吹き飛び、壁に激突する。それにより、壁が壊れ、下敷きになってしまった。

「終わったな。」

ナルバーが立ち去ろうした瞬間、ガラガラガラと瓦礫(がれき)が落ちる音がした。気が付いたナルバーが振り返ると、そこには頭から血を流し、息が荒れているスノウが立っていた。

「バカな…衝撃波を顔面に喰らったんだぞ…」

ナルバーが驚きながら、戦闘体勢に戻る。

「てめぇらは…あいつから『あるもの』を奪った。」

スノウの右拳に炎が付く。

「あるもの?」

「それは…『心の底からの笑顔』だ!」

魔力が高まり、炎の威力が上がる。

「我々が笑顔を奪っただと?そんなわけないだろ、エアル様は城でも何度も笑っておられたのだぞ。」

「その笑顔は心の底からじゃねぇ!俺の前であいつが初めて笑った時、とてもぎこちなかった。その時思ったんだ、こいつ、ちゃんとした笑顔になったことないんだって…」

魔力がさらに上がり、炎が腕全体に広がる。

「だから、俺はあいつと約束したんだ!『2人で自由になったら、お前を心の底から笑顔にしてやる。』ってな!」

スノウが魔力を最大にする。炎も今まで以上に強くなる。

「くだらない!お前はエアル様にとって害ある人間だ!だから、お前はここで死んでもらう!」

ナルバーが右拳に雷を纏いながら、地面を蹴った。それと同時に、スノウも地面を蹴った。

「サンダーナッ…!!」

ナルバーが雷の拳を放とうとした瞬間、スノウの姿がヒュッと消えた。そして、約0.5秒にいきなりナルバーの目の前に現れた。

(速すぎる…こいつ本当に…)

「言っただろ?人間は成長すんだよ!」

スノウはおもいっきりナルバーを空中に蹴り上げた。その時、炎の形がドラゴンの顔に変わった。

[覇王火竜拳(はおうかりゅうけん)]!!」

スノウはナルバーに向かって飛び上がり、渾身の力を込めた火竜の拳で、ヒビの走った場所を殴った。拳はナルバーを貫き、ナルバーの体が上半身と下半身に真っ二つとなり、そのまま地面に落ちた。

「バ、バカな…この俺が、奴隷ごときに負けるなんて…」

まだ信じられない顔でナルバーが呟く。

「そのままで喋るんじゃねぇよ。」

着地したスノウが上半身だけで倒れているナルバーに近付く。

「本当に…成長するとは…」

「最後にお前のデータに書き込んどけ。人間は…仲間のためなら、無限に強くなれるんだ。」

スノウの言葉を聞いたのを最後に、ナルバーは機能停止し、動かなくなった。スノウはそれを見送ってから、エアルを探しに行った。


 スノウvsナルバー、中庭での戦い。勝者:スノウ・シルバー。


 落ちたら即死レベルの高さの屋根の上で、ナイト(レビィ)vsカギスタの戦いが繰り広げられていた。

 「[飛燕夜鳥爪]!!」

ナイトが、門を切り崩した漆黒の斬撃を放つ。だが、カギスタはそれを意図も簡単に切り裂いた。

「う~ん…期待外れだったかな。」

カギスタが頭をポリポリかきながら、はぁとため息をする。

「もうちょっと夜叉魔法って強いイメージがあったんだけどな。」

カギスタに失望した顔をしながらナイトを見る。

(こいつ…本当に強い…このまま闘っていても…私の敗北以外ないな…)

ナイトが息を切らしながら、顔についた傷から流れる血を手で拭う。その時、カギスタが刀をフッと構え、

[瞬風刃(しゅんぷうじん)!]」

突進しながら、風を纏った突き攻撃を放った。ナイトはそれを夜桜で受け止めた。だが、威力が強くて吹き飛ばされる。そして、屋根のギリギリまで転がり、落ちる寸前で停止した。

「くっ…!」

ナイトが起き上がろうとした時、カギスタに首をガッと掴まれて持ち上げられた。

「確か…夜叉魔法って自分で主を見つけ、その主と契ることで本来の力が使えるんだったっけ?」

「それが…どうした…」

苦しそうにナイトが尋ねる。

「てことはよ…主に問題があるじゃないのか?」

その言葉にナイトがピクリと反応する。

「どういうことだ…?」

「多分だが、夜叉族って主の力も関係あるんだと思うんだよ。自分が契った主が強ければ、自分も強くなる。逆に主が弱ければ、自分も弱くなる…」

「何が言いたい?」

ナイトがカギスタを睨む。

「つまり、お嬢ちゃんの主、シャイン・エメラルドが弱いから、お嬢さんも弱いんじゃないかってことだよ。」

それを聞いて、ナイトの魔力が上がる。

「私のことは弱いだの期待外れだの、何とでも言えばいい。だが…我が主を侮辱するのは許さない!!」

ナイトがヒュッとカギスタの手元から消え、一瞬で背後に回った。

「夜刀…[如月(きさらぎ)]!!」

闇と少しの氷を纏った夜桜が、月の弧を描きながら攻撃する。カギスタは一瞬で気が付いて振り向き、刀で受け止めた。

「なあ、俺と契らないか?俺と契った方がお嬢さんも強くなれるぞ。それか…主はあの閃風の坊っちゃんのままでいいから、俺の女にならないか?」

カギスタが刀を受け止めたまま、片方の手でナイトの顎をそっと触れる。

「我が主シャインは、私が認めた最強の主だ。それと…私を口説きたければ、もっと男を磨くのだな。」

ナイトがカギスタを睨み付けならがら答える。カギスタはナイトの眼差しを見て、はぁ〜とため息をついて、夜桜をはじき、間合いを空ける。

「ずいぶんと閃風の坊っちゃんのことを信頼されているようだな。さらっとフラれたし…。よし、決めた!お嬢ちゃんはホントに死ぬにはおしい女だが、ここで殺すことにした。」

カギスタが決定する。

「私はもとからキサマを切り刻むつもりだったがな。」

ナイトが刃先を向けながら言う。

「かぁ~最高だねその性格。俺の好みのタイプにストライクだ。ホント、今死ぬにはおしい女だ。」

「なら、生かせてくれないか?」

「そうはいけねぇ。どれだけ好みのタイプの女だったとしても、一回俺をフッた女の言うことは聞かない主義なんで。」

カギスタがポリポリと頭をかく。

「…面倒くさい男だ。」

ナイトが少し呆れる。

「よく言われるよ。」

カギスタがゲラゲラと笑う。そして、笑い終わったあと、カギスタが何かを思い付いた顔をする。

「そうだ…冥土の土産にいいもん見せてやるよ…」

カギスタの魔力が上がると同時に、周りを風が舞い始める。

「ま、まさか…」

それを見たナイトが目を見開いて驚く。

「お、感ずいたか…?」

カギスタの魔力がどんどん上がる。それと平行して、風も強くなっていく。

「はっ!!」

そして、カギスタが一気に魔力を上げた瞬間、カギスタの髪の色が黄緑一色になり、体から黄緑色のオーラを放つ。

「せ、『閃風魔法』…!?」

「正解だよ、お嬢ちゃん。」

カギスタがニヤリと笑う。

眼鏡「さて、どんどんと戦闘も終了していき、長い長い『ヴァスタリガ編』が終わりに近付いてきております。予定だと、あと4、5話ってところですかね。まだやるのかよ~と思った人もいるかも知れませんが、どうか見続けてください。では、次回をお楽しみに!」

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