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魔法学園  作者: 眼鏡 純
39/88

39話 X'mas Revolution(10)

眼鏡「やっぱり前書きは書くことにしました。じゃなきゃ変な感じがするので…」


眼鏡「さてさて、今回はドドン!と8ページ書きました!それにより少し投稿が遅れてしまいましたが…」


眼鏡「では、まだこっちの世界はクリスマスですが、見てください!」

 「さあ、行くぞお前ら!!」

「オーーーーー!!!」

シャインを先頭に、全員が門に向かって走り出す。

「ん?なんだあれ!?」

門を警備していた兵士2人がシャイン達の方を見て驚く。

「どけ!!」

シャインが一瞬で2人を斬り捨てた。そして、門をギ〜と開け、そのまま『町人エリア』に流れ込んだ。それにより、クリスマスで浮かれていた市民達がパニック状態になる。

「一般人には手は出すな!!」

シャインが走りながら全員に叫ぶ。

「で、ここはどこなのだ?」

ナイトが走りながらスノウに尋ねる。

「ここは『町人エリア』!ザファールスは、あの目の前の壁で3つのエリアに分かれてんだ。内側に行くほど身分が高くなっていくんだ!」

スノウが目の前にそびえ立つ壁を指しながら答える。

「じゃあ、ザファールスの真ん中にエアルさんがいるんですか?」

サテラが尋ねると、スノウが頷く。

「ザファールスの中心には城がある。そこがあいつの実家だ。」

「じゃあ、目的地は決まったな、城に乗り込むぞ!」

シャインが走るスピードを速めた。スノウ達はその後を追った。


 この騒ぎは城にもすぐに伝わり、中は慌ただしくなっていた。

「一体何事だ?」

ライズが自分の部屋に兵士を呼び、イライラしながら尋ねる。

「エアルお嬢様といたシャインという高校生が、奴隷達を連れてこちらに向かってきております!」

兵士が今の状況を説明する。

「何だと!?」

ライズが机をバン!と叩きながら立ち上がる。

「奴ら、エアルを取り返しにくるのではなく、国そのものを変えようというのか…」

ライズが呟くと、

「それは違います、ライズ様。」

緑髪で黄色の瞳をしたザウルスが否定する。

「おそらく、この騒動に紛れて、エアルお嬢様を奪還しようと思っているのでしょう。」

「奴隷どもはその手助けという訳か…」

「いえ、たぶんシャインは奴隷達に革命をしに行くなどの嘘をついているかと、でなければあんなに士気は上がらないかと。」

「なるほど…」

「ライズ様!ご命令を!」

「全部隊、『貴族エリア』で迎え撃て!一般人に極力被害を加えないように鎮圧せよ!」

ライズが命令すると、兵士はハッ!と敬礼してから、部屋を出ていった。

「ザウルス、キサマは今は待機しておけ。だが、もしもの時は、容赦なく潰せ。」

ライズはザウルスにも命令する。ザウルスは小さく頭を下げてから、部屋を出ていった。

「エアルは渡さんぞ、奴らなんかに…!」

ライズは拳をグッと握り、呟いた。


 自分の部屋で本を読んでいたエアルは、バタバタと慌ただしくなっていることに気が付き、本をパタンと閉めて、近くの机に置き、ドアに近付く。開けようとすると、先に外から開けられ驚いた。そして、入ってきたのは、腰が曲がっており、ふっくらした体を杖で支え、家政婦の服を着た『カエデ』であった。見た目は昔とほぼ変わりがない。

「カエデお婆様…!あの、これは何の騒ぎなのですか?クリスマスだというのに…」

エアルは小さく驚いてから尋ねる。

「エアルお嬢様のお友達が、奴隷を連れて革命を起こそうとしているのです。」

目を細め、微笑みながら答える。

「みんなが!?」

エアルは急いで自分の部屋の窓から外を見てみた。すると『町人エリア』の方からたくさんの声が聴こえた。

「みんな…来てくれたんだ…!」

エアルは嬉しさのあまり泣きそうになる。

「たまげた高校生達ですね。友達、いや、仲間のために国を相手にするんですもの。」

カエデがエアルの隣に来て微笑む。エアルは涙を拭いて、

「私もこんなとこで本を読んでいる場合じゃないわね。」

と、決心する。

「やっぱり、あなたは『クレア』の子ですね。」

カエデがクスッと笑う。

「『お母様』がどうかしたのですか?」

エアルが首を傾げる。

「クレアはあなたと同じで、よく屋敷を脱け出して、町人エリアとかに遊びに行っていたんです。」

「そうなんですか!?」

初めて聴き、エアルが驚く。

「はい。だから『孫』のあなたの行動を見ていると、昔のクレアを見ているようで…」

カエデが空を見つめる。

「お母様も、自由になりたかったのですかね?」

「今考えればそうだったかもしれません。あの子の父親も、ライズと性格が似ていましたから、気持ちはエアルお嬢様と同じだったかもしれません。」

「じゃあ、私がお母様の分まで自由になります。」

エアルがニコッと笑う。

「私が止める意味はありません。自由に、自分が思うように生きてください。」

カエデが笑い返す。

エアルはドアの方に走り、出る前にクルッとカエデに振り返り、

「ありがとう、カエデ婆ちゃん!」

満面の笑みを見せてから、部屋を出ていった。

「ホントに友達想いの女性に育ったよ、クレア…」

1人になったカエデが、ポツリと呟いた。


 「なあ、全然兵士がいないんだが?」

クリスマスに飾られた大通りを走っているシャインがスノウに尋ねる。

「たぶん『貴族エリア』で迎え撃つつもりなんだろ。あと、さっき思い出したんだけど…」

その時、シャイン達の目の前に、ザファールスの入口と同じ門と高い壁が現れた。

「これがあるんだよ。」

スノウが門を見上げる。

「エリアは全部、このたけぇ門と壁で区切られているんだ。門の開閉は内側からしか開けられないんだ。」

スノウが説明する。それを聴きながらシャインは門に近付き、ジッと上を見上げる。

「何をするつもりなんでしょう?」

ヒューズが首を傾げる。

「さあ、あいつの頭の中は分かんないわ。」

サナがやれやれポーズをする。

そんなこと気にせず、シャインは、

「全員、下がってろ。」

と、告げた。

「何する気なのだ?」

ナイトが尋ねると、

「ぶった斬る。」

そう言いながら、シャインが鞘に手をかける。

「ぶった斬るだぁ!?そんなことできるのかよ!?」

スノウが驚きながら尋ねる。

「いいから下がってろ。」

シャインがその一点張りなので、とりあえず従うことにし、後ろに下がった。門の前に1人になったシャインは目を閉じ、グッと構え、

「天上る…龍の風…」

と、呟く。そして、目を開けたと同時に、

[龍上天風(りゅうじょうてんふう)]!!」

門をまっすぐ断つように巨大な風の斬撃を放った。斬撃は向こう側の兵士達にも見え、何事だとザワめき始める。だが、特に門に異変はない。

「何も起きていませんね。」

ヒューズが門を見上げながら言う。

「失敗でしょうか…?」

サテラが心配そうにシャインを見る。

「よし、全員で門を押してくれ!」

その時、奴隷達に向かってシャインが叫ぶ。奴隷達はよく分からないまま、言われた通り門をグッと押した。するとなんと、門がゴゴゴと動き始めた。ナイト達はただただ唖然とするしかなかった。

そして、門が完全に開門され、シャイン達を先頭に中に入った。すると、兵士達が驚いた顔でこちらを見ていた。

「キ、キサマら!どうやって開けた!?」

1つの部隊の隊長が尋ねる。

「門は大体、真ん中から開く形になっている。だから、どれだけロックしたとしても、真ん中に隙間ができれば簡単に開くんだよ。」

シャインがニヤッと笑う。

「どうしましょう?」

1人の兵士が慌てながら隊長に尋ねる。

「慌てるな、全員!かまえ!」

隊長の命令により、兵士全員が武器を構える。

「さあ、こっから本当の大乱闘だ。全員、死ぬんじゃねぇぞ!」

シャイン側も全員武器を構える。

「行くぞ!!」

「鎮圧しろ!!」

シャインと隊長が叫ぶと、ついに大乱闘が始まった。

「さて、こっからは俺らもバラバラだ。ここが本番じゃないんだ…くたばんじゃないぞ。」

シャインが言うと、スノウ達が頷く。そして、シャイン達は、戦場の中に飛び込んだ。


 シャインは兵士を斬りながら、戦場の中を走っている時、ある違和感を感じた。

(なんだ…兵士の中に…)

その時、シャインの目の前に2メートルぐらいの骸骨が現れた。だが、その姿はロボットであった。

「なんだこいつ!?」

シャインが驚いていると、骸骨ロボットは持っていた機械化された剣を振りかざしてきた。シャインは剣を回転しながら回避した。そして、キッ!と骸骨ロボットを睨んだ瞬間、後ろに殺気を感じた。すぐに後ろを振り返ると、もう1体の骸骨ロボットが機械化された剣を振りかざしていた。

(回避が間に合わねぇ…)

シャインがそう思った瞬間、骸骨ロボットが誰かに吹き飛ばされた。

「ナイト!!」

吹き飛ばしたのは、黒髪で赤色の瞳をしたナイト・サファイアだった。

「何をしている、我が主として情けないぞ。」

ナイトが少し怒りながら、シャインと背中合わせで夜桜を構える。吹き飛ばされた骸骨ロボットは、ギギギと機械音を鳴らしながら立ち上がる。そして、よく見ると、シャインとナイトを囲むように、戦車のようなロボットや右腕がガトリングの人型ロボット、犬型のロボットなど、いろんな種類のロボットがいた。

「何なんだこいつら?」

シャインが背を向けたままナイトに尋ねる。

「おそらくザファールスが開発した兵士ロボットどもだろう。ヴァスタリガは機械技術が発達している国とサナが言っていたからな。」

周りのロボットの動きを警戒しながら、ナイトが答える。

「こんなもん作る暇があったら、市民のために便利なもん作ってやれよ…」

シャインは呟いてから、

「ま、今はここを突破するぞ!」

と、風砕牙を構える。

「心得た!」

ナイトが応答すると、2人は同時に地面を蹴り、ロボット達に突進した。そして、さすがは主と夜叉と言ったところであろうか、完璧なコンビネーションにより、包囲網から脱出した。そのまま2人は城へと走った。


 「[波紋衝撃拳]!!」

スノウが地面を殴ると、波紋が広がるように衝撃波が起き、周りの兵士達を吹っ飛ばした。

「ハァ…ハァ…切りがねぇ…」

スノウは少し息を切らし、兵士達を殴り飛ばしながら城へと走っていた。すると目の前に、シャイン達とこと同じ、骸骨ロボットが現れた。しかも1体だけでなく、計3体いた。

「何だこいつら!?」

スノウは驚くが、3体の骸骨ロボットは容赦なく剣で襲ってきた。スノウはそれをギリギリでかわし続ける。だが、足下にあった石につまずき、よろけてしまった。それを見逃さず、骸骨ロボットが一斉に襲ってきた。

(やば…)

その時、

「[レインアロー]!!」

骸骨ロボットの頭上から、無数の矢が降り注いだ。矢が刺さった骸骨ロボット達はショートし、動きが止まった。

「大丈夫ですか?」

骸骨ロボットの後ろから、ヒューズが現れた。

「助かったぜヒューズ。」

スノウが礼を言う。

「何なんだこいつら?」

「ザファールスが開発した兵士ロボですね。」

2人が骸骨ロボットを見ていると、

タラーラー♪タラーラー♪タラーラー♪タラーラー♪

と、どこぞのロッキーが走り出しそうな音楽が流れてきた。

「こ、この音楽は…!」

聴いたことがあるスノウが辺りを見渡す。ヒューズは聴いたことがないので、首を傾げる。

「HEY、ボーイ達、久しぶりだな。」

ラジオを持った、スキンヘッドの黒人、ロイクが現れた。だが、ラジオの音が大きく、声が2人に全く聴こえていない。それに気が付いたロイクはラジオを消し、

「HEY、ボーイ達、久しぶりだな。」

と、もう一度言う。2人は苦笑いしかできなかった。

「てか、なんでここに革命軍がいんだよ!?」

スノウが驚きながら尋ねる。

「そんなことどうでもいいだろ、ここで2人は死ぬんだからな。」

ロイクが戦闘体勢に入る。

「くそ、やるしかないか!」

スノウが戦闘体勢に入ると、ヒューズがスッと前に出る。

「ここは私に任せて、スノウは先に行ってください。」

「任せてって、前に少し闘ったことあるけど、とても1人じゃ倒せねぇぞ。だから2人で…」

「あなたが行かなくては、誰がエアルを助けるんですか?」

「そうだけどよ…」

「大丈夫です。負けませんから。」

スノウは、自信に満ちているヒューズの顔を見て、

「わかった。絶対負けんなよ。」

と言って、ロイクをヒューズに任せ、城へと走り出した。

「まあ、楽しましてくれるなら、1人でも2人でもいいけどな。」

ロイクが構えると、ヒューズがフッと笑う。

「お前が『3大革命柱』の1人になるとはな…驚いたよ…」

いつもの紳士的な口調ではなく、低く恐ろしい口調になる。

「!なんでお前がそんなこと知って…」

その時、ロイクは何かを思い出した。

「なるほど、お前がヒューズか…!てめぇ、俺らの敵か味方かハッキリしやがれ!」

握る拳が強くなる。

「お前にその称号は荷が重いだろ?俺が引きずり下ろしてやるよ。」

ヒューズが鋭い眼光で弓を構える。


 順調に進んできたシャインとナイトは、『王族エリア』に入るための門にたどり着いた。

「俺らが最初のようだな。」

「そのようだな。」

だが、2人が門に近付こうとしたら、狙撃ロボ達が、こちらに銃口を向け、一列に並んでいた。

「しまった!?」

2人は少し気が付くのが遅かった。

「撃て!」

人間の兵士が命令する。その瞬間、

[幽鬼蛇(ファントムスネーク)]!!」

狙撃ロボと人間の兵士が、横から現れた青色の蛇に一飲みされた。飲まれたロボ達は一瞬で錆ていき、人間の兵士は苦しみながら倒れ、動かなくなった。

「シャイン、ナイトさん!」

2人の方に、放った犯人が近付いてきた。

「サテラ、やるじゃないか。」

シャインがサテラの頭を撫でる。

「スノウとヒューズは?」

サテラの後ろからサナも来ており、2人に尋ねる。ナイトがまだ来ていないと首を振る。そこに、

「おーい!」

スノウが到着した。

「ヒューズはどうした?」

シャインが尋ねる。

「あいつは革命軍のロイクと闘っている。」

「革命軍ですって…!」

サナやナイトは驚くが、シャインは、

「やはりか…」

と、納得する。

「シャイン、知っていたんですか?」

サテラが尋ねる。

「ここに来る前までに、ザファールス兵の中に、革命軍を見たんだ。もしかしたらと思っていたが、ビンゴだったか。」

シャインが答える。

「なんで革命軍が?」

スノウがう~ん…と考える。

「…裏で繋がっていたのね。」

サナが答える。

「それより、今はエアルの奪還が先だ。」

シャインに言うと、

「そうだな。それを考えるのは後だ。」

ナイトが賛成する。

「じゃあ、この門をどうにかしないとな。」

スノウが高い門を見上げる。

「私がしよう。」

ナイトが門に近付き、夜桜を構える。次の瞬間、

[飛燕夜鳥爪(ひえんやちょうそう)]!!」

漆黒の斬撃が、門の下部分を切り崩した。

「す、すげぇ…」

「門を切るのは当然なのでしょうか…」

スノウとサテラが唖然とする。

「ヒュ~、やるなナイト。」

シャインがニヤリと笑う。

「さ、行くぞ!」

シャイン達は、城へと乗り込んだ。


 城の中には、全く人影がなく、ガランとしていた。そして、目の前にはエアルと同じオレンジ色の髪をした女性の肖像画が飾られていた。

「誰もいませんね。」

「チャンスだろ。分かれて探すぞ!」

シャイン達は分かれてエアルの捜索を始めた。


 サナとサテラは一緒に行動し、2人が入った部屋は、赤茶色の絨毯が敷いてあり、部屋を囲むようにある本棚には、無数の本が置いてあった。

「うわぁ…すごい本の数ですね…」

サテラが辺りを見渡す。

「ここは秘書室。周りにある本は魔法本といろんな資料らしいわよ。まあ、どうでもいいけどね。」

サナとサテラが部屋の奥を調べていると、ヒールを履いて、スーツ姿の女性が、バタンとドアを閉めた。

「『イルファ』。」

サナが睨む。

「なんで革命軍がここにいるのよ?」

サナが尋ねる。

「あら?あなたの頭脳なら分かると思ったけど。」

イルファがクイッと眼鏡を上げながらクスッと笑う。

「……裏で繋がっているのは本当のようね…」

サナが呟く。その時、イルファがサテラの存在に気が付き、

「サテラ!?」

と、驚く。サテラは怯え、サナの後ろに隠れる。

「あの人誰ですか?」

サテラがサナに尋ねる。

「あんた覚えてないの?あんたが初めてシャインと会った時に、1度会っているはずだけど。」

「……そうでしたっけ…?」

サテラが首を傾げる。その時、サナがハッ!と何かを思い出す。そして、

「あんたまさか…」

何かを言おうとした時、

「『記憶封印魔法』が拡大し始めているみたいね。」

イルファが遮るように言う。

「な、なんであんたがその事を知ってんのよ!?」

イルファの言葉にサナが珍しく取り乱す。

「知っているに決まっているじゃない。だって、私とサテラは、昔会っているんですもの。」

それを聴いたサテラは、頭の中に突然知らない記憶が甦ってきた。その記憶には、イルファらしき白衣を着た女性がいた。

「いやああぁぁ!!」

サテラは頭を抱え、膝をつく。

「サテラ!?」

サナが驚く。

「な、何!この記憶!?なんであの人が出てくるの!?」

サテラが完全にパニック状態になる。

「落ち着きなさいサテラ!サテラ!」

サナに声をかけられ、サテラは少しだけ落ち着く。

「あんた…サテラの何を知ってんの…?」

サナがイルファを睨み付ける。

「そんなこと、あなたに言う必要はないわ。」

イルファが戦闘体勢に入る。

「なら、力ずくで聞くまでよ。」

サナが戦闘体勢に入る。


 「ちっ…いないか…」

6年前に一度城に入ったことがあるので、エアルの部屋の位置を覚えていたスノウは、真っ先に部屋と向かったが、すでに誰もいず、もぬけの殻だった。

「くそ、どこにいんだよ…」

部屋を出ようとすると、

「反逆者の1人、スノウ・シルバー発見。」

青髪で、灰色の瞳をした『ナルバー』が入ってきた。

「てめぇか…」

スノウは上から着ている服を脱ぎ、ネクタイも取り、カッターシャツ姿になる。もちろん、このカッターシャツもタキシードと同じ素材である。

「あの時ボコボコにされたからな、お前をボコりたくてイライラしてたとこなんだよ。『人造人間』のナルバーさんよ。」

スノウが話しかけても、ナルバーは表情を変えない。

「お前の強度や、謎の発砲、その目に浮かんであるデータらしき数値、そして、この国が機械技術が発達していることから推測すると、ピンときたんだよ、あいつは人造人間だって。違うか?」

スノウが睨みながら尋ねると、

「その通り、俺はヴァスタリガの技術で作られた世界で最初の人造人間だ。」

と、素直に認め、頷いた。

「やっぱりか…でもまあ、それが俺に勝てる理由にはならないけどな。」

スノウがニヤリと笑う。

「お前は一度俺に敗北している。お前の勝率なぞ、1%もない。」

「じゃあお前のデータに書き込んでおけ…」

スノウがスッと戦闘体勢に入り、

「人間は、お前のようなポンコツ人形にない、『成長』というものをするとな。」

グッと拳を握る。

「やれやれ、何故人間は同じ過ちを繰り返すのだ…」

ナルバーは呆れながら戦闘体勢に入る。


 エアル救出のため、廊下を歩いていたナイトに、

【ねぇ、魔力察知でエアルを特定して探せないの?】

レビィが心の中からナイトに尋ねる。

「できればとうにしている。」

【できないの?】

「この城の中に強力な魔力を持った者がかなりいる。それによりエアルの魔力を特定できんのだ。」

【強力な魔力を持った者って、革命軍の奴らだよね?】

「おそらくな。」

その時、2人(?)の目の前から強力な魔力を感じた。それにより、ナイトがゾッとなる。

「この魔力は…『カギスタ』!」

現れたのは、和服を着、下駄を鳴らしているカギスタだった。

「やあ、また会ったね、お嬢さん…」

カギスタは微笑んだ後、ヒュッと姿が消え、鞘だけがカランと落ちた。次の瞬間、ガキン!!と、カギスタの刀とナイトの夜桜がぶつかり合った。

「よく気が付いたな…」

「不意討ちとは…」

ナイトは威力が強く、吹き飛ばされ、壁を貫いて外に出てしまった。そして、テニスコートより少し大きめの瓦の屋根の上に着地した。

(くそっ…こいつだけやはり強い…)

ナイトはこちらに向かってくるカギスタを睨み付ける。

「そんな怖い顔したら、せっかくの可愛い顔が台無しだよ。」

カギスタが笑いながら言う。

「キサマら、いつからザファールスと繋がっていた?」

刃先を向けて尋ねる。

「俺は革命軍に入ったのが最近だから知らないけど、革命軍ができた時かららしいよ。」

カギスタがヘラヘラ笑いながら答える。

「えらく簡単に教えるのだな。」

「意外だった?」

「まあな。」

「俺は別に革命軍がどうなろうと、どこで誰と繋がっていようと、ぶっちゃけどうでもいいんだよな~」

「では何故お前は革命軍にいる?」

「強い奴に会えそうだから。」

カギスタがニヤッと笑ってから、

「その願いを叶えてくれそうなのが、お嬢さんなんだよ。せいぜい楽しませてくれよ。」

眼光が獲物を狩る獣に変わり、戦闘体勢に入る。

「その願い、裏切らないようにしないとな。」

ニヤリと笑いながらナイトも戦闘体勢に入る。


 「まさかここまでするとはな、予想外だよ。」

椅子や机がない、赤い絨毯が敷かれたパーティ会場の真ん中で、ザウルスが言う。

「なめられていたなら心外だな。」

準備体操しながらシャインが言う。

「これはヴァスタリガの歴史上最大の問題だぞ。いつまで暴れる気だ?」

「俺は別に国を変える気で暴れてんじゃねぇよ。仲間を返してもらいに来ただけだ。革命は…まあ、ついでだ。」

「では、お前は革命より、エアルお嬢様の奪還の方が優先なんだな?」

「最初っから目的を変えたことはないけどな。」

シャインが準備体操を終える。

「だけど、エアルの救出はスノウがしてくれるから…今は、お前をぶった斬る方が優先かな。」

シャインが風砕牙を抜く。

「一度負けているのに、こりない奴だ。」

ザウルスが魔力を高めると、人龍(じんりゅう)と言ったら早いだろうか、背中から龍の羽が生え、身体中にゴツゴツした硬い鱗が現れる。肉食の獣の目付きに変わり、シャインを睨み付ける。

「お前の強さは十分知ってる。だから、最初から全力だ!」

シャインが能力解放し、髪が黄緑一色になり、体から黄緑のオーラを放つ。

「行くぞ!シャイン・エメラルド!」

2人が同時に地面を蹴り、風砕牙と、鋭い龍の爪がぶつかり合った。

眼鏡「最近、どうやって伏線を、いつ、どのように回収するか悩んでおります…あまりたくさん伏線をするもんじゃないですね…」



眼鏡「さて、次回からようやく戦闘ですけど、場所と、誰と誰が闘うか整理してみましょう。」


・ヒューズVSロイク:貴族エリア

・サナ&サテラVSイルファ:秘書室

・スノウVSナルバー:エアルの部屋(※今は)

・ナイトVSカギスタ:屋根の上

・シャインVSザウルス:パーティ会場


眼鏡「こんな感じですね。」

眼鏡「では、次回をお楽しみに!」

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