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魔法学園  作者: 眼鏡 純
35/88

35話 王族と奴隷(6)

シ・レ・ス・エ・サ・ヒ「新年!!明けましておめでとうございます!!!」

シ「何年になったんだ?」

レ「2012年だね♪」

ス「『〜魔法学園〜』も1年経ったのか〜」

サ「残念、『〜魔法学園〜』が始まったのは『2011年6月8日』だから、まだ1年経ってないわね。」

ヒ「ほう、詳しいですね。」

サ「あのね、自分達が出演しているやつが始まった日にちぐらい知っときなさいよ…」

レ「あの…あまり出演とか言わないほうが…」

シ「んなことより、まさかの奇跡が起こった。」

エ「どんな奇跡?」

シ「今年は『辰年』。そして俺らが通っている学校の名が『龍空』高校。つまり、ミラクルだ。」

ス「狙っていたんじゃないか?」

眼鏡「ものすごい偶然です。」

シ「作者そう言ってるからそうなんだろ。」

サ「さて、そろそろ本編入らなきゃいけないんじゃない?」

レ「そうだね、今回はスノウとエアルの過去の話だよ。」

眼鏡「では、見てください!」

 6年前の秋のヴァスタリガ…

ルルハで生まれ、ルルハで育ったスノウ・シルバー。当時10歳。この頃からケンカや戦いが好きで、ルルハでも問題の子供であった。


 「何処に行く気だスノウ?」

快晴の朝、洗濯物を干しているテオン(当時15歳)が、何処かに行こうとするこの頃はまだ銀髪が短いスノウを呼び止める。

「ちょっと物資調達のためにザファールスに行ってくる。」

それだけを言って、行こうとする。

「待て。」

テオンがスノウの前に立って、行く手を遮る。

「お前はすぐ喧嘩をするから、もうザファールスには行かせないぞ。しかも相手は町人。自分達より身分が高い人には逆らってはいけないと、何べんも言っただろ。」

「へっ、俺に身分なんて関係ないね。」

「お前がそう思っても、それがこの国のルールなんだ。」

そこから少し2人の睨み合いが続いた。そして、5秒経った時、スノウがテオンに猫だましを食らわし、テオンが怯んだ瞬間、スノウがバッ!と門の方に走った。

「コラ!スノウ!」

テオンが叫ぶが、スノウは止まらず、ルルハを出ていった。

「たく…」

テオンははぁとため息をつき、洗濯物の続きを始めた。



 首都ザファールスは円形でかなり大きく、外側から、町人、貴族、王族の順に住んでおり、それを巨大な壁が区切っている状態である。奴隷はザファールスの周りの森の中か、町人が使っていない場所に住んでいる。


 スノウはザファールスに入り、町人エリアの中の不良やチンピラが群れている場所を歩いていた。いつもこの薄暗い所で不良を見つけては喧嘩し、そいつらから金や物を調達している。

スノウはいつも通りカモになりそうな不良かチンピラを探していると、チンピラ数人が誰かを囲んでいるのが目についた。何だと思い、じっと見てみると、キレイな服を着た自分と同じ年ぐらいの女の子が絡まれていた。

「君、可愛いね~迷子?」

1人のチンピラがニヤニヤしながら尋ねる。

「だ、大丈夫です…」

下を向いたまま、怯えて小さくなった声で必死に抵抗する。

「ねぇ、お兄さん達が一緒にお母さん探してあげるよ。」

「大丈夫です…」

さっきより少し大きな声で遠慮する。

「いやいや、探してあげるよ。さあ、行こう。」

チンピラが女の子の腕をガッと掴み、連れていこうとした。

「は、離してください!」

必死に女の子が抵抗するが、女の子の力では振りほどけない。その時、女の子を掴んでいたチンピラの背中を誰かがトントンと叩いた。

「誰だよ?」

チンピラがイラッとしながら振り返ると、スノウがジャンプして、拳を構えていた。

「おまっ…!?」

次の瞬間、チンピラの顔にスノウの拳が直撃した。チンピラはそのままノックアウトし、気を失った。

「このガキ!!」

他のチンピラ達が持っていたバットや、落ちていた棒などを構える。

「お前、危ないから下がっとけ。」

スノウが女の子に背を向けたまま忠告する。女の子は素直に数歩後ろに下がる。

「やっちまえ!」

チンピラ達が一斉に襲いかかってきた。

「俺と会ったことを、後悔するんだな!」

スノウは怯むことなく、チンピラ達を向かえ撃った。

 数十秒後…チンピラ達が血を流し、ボロボロの姿で倒れていた。そして、もうこの場にスノウと女の子の姿はなかった。ついでにチンピラ達の財布もなかった。

 スノウと女の子は使われていない廃墟の家の中にいた。

「ここなら大丈夫だろ。」

周りを見てきたスノウが女の子に知らせる。

「あの、助けていただいてありがとうございます。」

キレイなオレンジ色のロングヘアーに赤色の瞳をしている女の子が丁寧なお辞儀をする。

「気にすんな。」

スノウがチンピラから奪った財布の中身を確認しながら答える。

「お前、見た目からして貴族だろ?なんであんなとこにいたんだよ?」

財布を確認しながらスノウが尋ねる。

「それは…」

女の子がごもる。スノウははぁとため息をつく。

「ま、何でもいいや。二度とこのエリアに入るなよ。」

スノウが忠告すると、女の子が素直に頷く。

「あの…1つ聞いていいですか?」

「なんだよ?」

「あなたもしかして、噂の『銀野良のスノウ』さんですか?」

女の子が少しびくびくしながら尋ねる。

「……スノウは俺だが、その『銀野良』って何だ?」

スノウが首を傾げる。

「あなたの(あざな)ですよ。ザファールスの下町ですごく暴れている銀髪の少年がいるって噂があるんです。」

「ふ~ん…いつの間にかそんな噂と(あざな)が…ちょっと暴れすぎたかな。」

スノウが自分がやってきたことを振り返りながら呟く。

「あの…本名は何ですか?」

「本名?あー、『スノウ・シルバー』だ。」

「スノウ・シルバー…いい名前ですね。」

女の子がニコッと微笑むと、スノウは顔を赤らめて目をそらす。

「そういうお前は?名前何て言うんだよ?」

「私は…『エアル・ダイヤモンド』です。」

 これが、スノウとエアルの初めての出会いである。

「ダイヤモンドって…あの王族のダイヤモンド財閥のダイヤモンドか?」

スノウが驚きながら尋ねる。

「はい。そのダイヤモンド財閥の1人娘です。」

「マジかよ…でも財閥の娘が何でこんなとこにいんだよ?」

スノウが尋ねると、エアルはまた少しごもってから、訳を話した。

「それは……脱け出してきたんです。」

「城をか!?」

「はい…」

「どうして…?」

「……自由を……体験してみたかったんです。」

エアルの答えにスノウは意味が分からなかった。その時、

「エアルお嬢様ーー!」

「お嬢様ーー!」

と、王族の兵士達の声が遠くから聞こえてきた。

「ほら、迎えが来たぞ。」

スノウが声が聞こえる方を見る。

「そうですね、もう戻らないと。でもその前に…」

そう言いながら、エアルがスノウに近付き、腕を優しく掴んだ。

「やっぱり、怪我しています。」

スノウの腕にはさっきチンピラと戦った時に擦りむいていた。

「べ、別に気にすることねぇよ。」

スノウが照れながら言う。

「少しじっとしててください。助けてくださったお礼です。」

エアルが怪我の上にそっと掌をかざすと、パァと光った。すると、なんと怪我が治った。

「魔法使えたのか…」

スノウが静かに驚く。

「はい。治癒魔法と光魔法が使えます。」

エアルは答えながらスノウの腕を離し、兵士達の声が聞こえる方に向かう途中でクルッと振り返った。

「私、もっとスノウさん怖い人だと思っていました。けど、とても優しい人だったんですね。」

エアルが今日一番の笑顔をする。スノウは真っ赤になりながら、

「か、勝手にへ、変なイメージつ、付けてんじゃねぇよ!」

と、全力で目をそむけた状態で怒る。

「ふふ。では、ホントに助けていただいてありがとうございました。また、会える日まで。」

もう一度とニコッと微笑み、声の方に戻っていった。スノウはそんなエアルの背中を見ながら、小さく笑ってから、ルルハに戻った。


 その夜…

「なあ、俺にも魔法使えるかな?」

スノウは布団に寝転びながら、本を黙読しているテオンに尋ねる。

「どうしたんだ突然?」

テオンが意外なことを聞かれ、ビックリする。

「いや、なんとなく…」

「昨日まで「俺に魔法なんていらねぇよ。」て言っていたのに、どういう風の吹き回しだ?」

茶化すようにクスクス笑う。

「な、なんでもいいだろ!俺には魔法が使えるのか、使えないのか?」

スノウが怒りながら起き上がる。

「この世界にいる人間はみな魔力は持っている。あとはその力を引き出せるか引き出せないは才能センスの問題だ。スノウには才能あると思うから使えるだろ。」

テオンが優しく教える。

「ふ~ん…そうか。」

スノウは聞いたくせに軽く返事をし、また寝転んでそのまま寝てしまった。テオンは小さく首を傾げてから、本の続きを読み始めた。



 エアルと会った次の日、スノウはいつも通り不良やチンピラをボコボコにし、奪った財布を機嫌よく投げながら歩いていた。

「見つけたぜ、銀野良~」

すると、目の前にかなりの数のチンピラ集団が現れた。

「なんだてめぇら?」

スノウは怯むことなく、チンピラ達を睨み付けるが、心の中では、

(さ、流石にこの人数はやべぇな…)

と、焦っていた。

「てめぇにやられた仲間の恨み、はらさせてもらうぞ!」

チンピラ達が武器を構える。

「はっ!ガキ1人にこの人数、情けねぇな。」

スノウが挑発ぎみに言いながら、やれやれとするが、

(どうする…どうする…)

と、頭をフル回転させてこの状態をどうするか考えていた。

「なんだと~〜!殺っちまえ!!」

スノウの挑発が勘にさわり、チンピラ達が一斉に襲いかかってきた。

「くそ、やるしかないのか!」

スノウは戦闘体勢に入り、チンピラ達を迎え撃った。だが、流石に多く、スノウが押され始めた。

(や…やべぇ…これは…死ぬ…)

スノウが意識の遠のく中、かすかに何かを唱えている声が聴こえた。そして、その声が聞き覚えのある声だと分かった。

「[ライトランサー]!!」

次の瞬間、声の方から無数の光の槍が飛んできて、チンピラ達を襲った。スノウはチンピラ達が怯んだ瞬間を逃さす、声のした方にダッシュした。チンピラ達は槍のダメージにより、スノウを追うことができなかった。


 スノウが声のしたとこに到着すると、そこにはなんとエアルが立っていた。

「やっぱりお前だったか…」

スノウがエアルと確認しながらうつ伏せに倒れる。

「スノウさん!?」

エアルがスノウに近付てから屈み、治癒魔法をかける。

「二度とこのエリアに入るなって言ったろ…」

ごろんと仰向けになりながら注意する。

「でも、嫌な噂を聴いたので…」

「嫌な噂?」

「はい、チンピラ達が最近暴れまくっている銀髪の少年を全員でぶっ潰そうぜって噂です。」

「ふ~ん…それであんなに集まったのか…」

スノウが納得する。

「はい、まだ完治まではしていませんけど、動けるまでは治りましたよ。」

それを聴いて、スノウはグッと立ち上がり、腰を回したり、ジャンプしたりして動けることを確認する。その時、エアルがへたっと座ったままなのに気が付いた。

「どうした?」

「少し魔力を使いすぎて立てないだけです。大丈夫です、少し経てば立てますので。」

エアルが笑顔を見せる。

「そうか。じゃあ、ちょっと待ってろ。」

そう言ってスノウが何処かに行こうとする。

「あの、どちらに行くんですか?」

エアルが慌てて止める。

「やられっぱなしは嫌いでね。決着つけてくる。」

スノウはピタッと止まり、振り返って答える。そして、エアルに背を向けたときに、

「あと……治してくれて……その……ありがとな。」

言いにくそうお礼を言って、チンピラ達がいる方に戻っていった。エアルはふふっと笑ってから、その場でスノウが戻ってくるのを待つことにした。


 少し時が流れ、立てるようになったエアルは、壁にもたれて待っていると、向こうからスノウが戻ってきた。体には血が付いているが、傷はなかった。

「ぶっ飛ばしてきた。」

スノウがふっと笑いながら知らせる。

「そのようですね。これでまた名前が広まります。」

エアルが笑い返す。

「お前…もう少し大丈夫か?」

意味はよく分からなかったが、

「はい、大丈夫ですけど…」

と、少し首を傾げながら答える。

「なら、少し付いて来い。いいもん見せてやる。助けてくれたお礼だ。」

と言って、スノウが何処に向かって歩き出す。

「あっ!待ってください!」

エアルが慌てて後を追いかける。


 日が傾き始める中、2人はザファールスを出て、森の中を歩いていた。

「ま…待ってくださいスノウさん…」

息を切らして、エアルが必死に追いかける。

「お前体力ないな~」

スノウが呆れる。

「魔法には才能があったのですが、武術は才能なくて、体力はなかなか付かないんです!」

「逆ギレかよ……ほら、着いたぞ。」

あまり木が生えてなく、視界が開けている場所でスノウがある方向を見る。エアルはつられるようにその方向を見た。その光景は、キレイな夕日が一望できた。それを見たエアルは美しさのあまり声が出なかった。

「すげぇだろ?俺の自慢の場所だ。」

「はい。とてもキレイです。」

「……お前、ずっと敬語だよな。」

「城の中では誰にでも敬語ですからね、もう無意識なんです。」

「ふ~ん…でもよ、俺にくらいタメ口でいいんじゃねぇか?年同じだしよ。」

「いいんですか?」

「ああ。」

「……分かった。馴れてないけど、頑張る。」

そこから2人は日が沈むまで眺めていた。

眼鏡「まさか続くなんて俺もビックリです…」


眼鏡「次回で過去は終了します。だけど、この『ヴァスタリガ編』はまだまだ続きます。もう、どう終わらせるか今から心配です…」


眼鏡「さて、2012年になり、ますます頑張っていきたいと思いますので、皆さん応援よろしくお願いします!では、次回を楽しみにしててください。」


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