32話 SMC(3)
眼鏡「ふーなんとか1週間で出来上がりました。テスト真っ最中なので大変です…」
眼鏡「ここでまたも訂正です。すいません…多くて…」
・訂正
ザウルスの髪の毛は緑色です。赤色と言っている場所があったので訂正しておきます。
眼鏡「ちゃんと確認しているんですけどね…すいません。」
眼鏡「さて!今回の話は予定になかったんですけど一生懸命頑張りました!どうぞ見てください!」
深夜、ある暗い病室で、シャインとスノウがベッドの上で、作戦開始時間になるのを待っていた。そして時計が午後11時を指した時、7階のはずの窓がガラッと開き、ロープを結びつけたヒューズとアレンが入ってきた。
「さ、急ぎましょう。」
ヒューズがスノウを、アレンがシャインを背負って、ロープを結びつけ、ひらりと窓から飛び降りた。自衛隊のごとくきれいに下まで下りると、サナ、レビィ、サテラが待っていた。ヒューズとアレンはロープを外し、シャインは車椅子に乗せられた。スノウはギリギリ歩けるのだが、シャインは足へのダメージが大きく、歩けることができないのだ。
「別に窓から出なくてもよかったんじゃないか…?」
スノウが下りてきた窓を見ながら苦笑いする。
「あんた達を普通に連れていくためにはナースステーションの前を通らなきゃいけないの。そしたら止められるに決まってるでしょ。だから、バレずに外に出る方法は、窓から出る、その選択肢しかなかったの。」
サナが説明する。
「なるほど。」
スノウが納得する。
「行きますよ。」
アレンを先頭に病院を後にした。
深夜の暗闇に紛れながら、シャイン達はアレンの案内のもと、人が全くいない住宅街を移動していた。
「なあ、こんなとこにSMCの入口があんのか?」
車椅子に乗っているシャインが辺りを見渡しながらアレンに尋ねる。
「ゴメン、分からないんだ。」
アレンが背を向けたまま申し訳ないと謝る。
「分からない?どこに入口があるか知らないの?」
車椅子を押しているレビィが尋ねる。
「はい。SMCの入口は世界にいろんなところにあるんです。この辺りは『B2エリア』と呼ばれていますが、僕はこのエリアのことあまり知らないのでどこに入口があるか知らないんです。」
「入口って何ヵ所あるんですか?」
アレンの隣を歩いているヒューズが尋ねる。
「1つのエリアに1つあります。」
「じゃあ、今私達はどこに向かっているのよ?」
車椅子の隣を歩いているサナが尋ねる。
「これを頼りに移動中です。」
アレンが持っていた1枚のカードを見せる。
「何よこれ?」
サナがカードを受け取り、ジロジロと見る。そこにはアレンの顔が貼っていたり、バーコードなどが書いてあった。
「僕のSMCの証明カードです。そのカードの左下にある小さいコンパスのようなものが指す方向に入口があるんです。」
確かに矢印は自分達が歩いている方向を指していた。その時、矢印が赤く光り始めた。
「なんか反応してるわよ。」
サナがアレンにカードを返す。
「この先のようですね。」
アレンは立ち止まり、矢印が指す方向を見る。他の全員も同じ方向を見る。そこは細い路地で、奥は行き止まりになっていた。
「ホントにここなのか?」
路地を歩きながらスノウが怪しむ。
「入口は大体変なとこにあるんだ。僕が前に見た入口は公園のトイレの後ろだったよ。」
アレンが苦笑いする。
そして、全員は一番奥の行き止まりに到着した。その時には、矢印の反応も強くなっており、ここだということが確信できる。
「で、どうやって開けるんだ?」
シャインが尋ねる。
「こうするの。」
アレンが持っているペタッと壁に、ではなく下のコンクリートの地面にあてた。
(あ、壁じゃないんだ…)
アレン以外の全員の心がシンクロした。そんなことは知らないアレンは何かパスワードみたいなことを呟くと、路地の幅いっぱいに2、3人が乗れるくらいの光のサークルが現れた。
「さ、行きましょう。」
アレンは手慣れたようにサークルの上に立つと、SMCにワープされ、全員の前から消えた。残されたシャイン達は別に驚くこともなく、シャイン&レビィ、ヒューズ&スノウ、サナ&サテラの順にサークルの上に乗り、SMCへワープした。
ワープした先は、まさしく秘密基地といった感じだった。アレン達が通路を歩いていると、すれ違う人が全員、
「アレンさん、お久しぶりです。」
「お疲れ様です。」
と、挨拶していく。
「そういえばお前、調査部隊隊長だったな。」
シャインが思い出す。
「うん。正式には第一調査部隊隊長兼第三戦闘部隊隊長だよ。」
アレンが訂正する。
「みんな…私達を見ています…」
周りの視線に少し怖がっているサテラがサナに引っ付く。
「一般人が絶対に入れないとこに一般人がいるからね。怪しんでるんでしょ?」
サナがサテラの頭を少し撫でながら尋ねる。
「その通りです。」
アレンが素直に認める。
「ねぇ、気になったんだけど、このSMCって一体何処にあるの?」
車椅子を押しながらレビィが尋ねる。
「異次元の世界に建てられています。BOMの会場と似たようなものだと思ってください。」
アレンが丁寧に答える。
そんな話をしていると、1つの部屋の前にたどり着いた。ドアが自動で開き、アレンが中に入る。そのあとに続いてシャイン達も中に入った。中は広く、白で統一されており、ガラスの壁で個々に区切られていて、その中にはいろいろな装置が置いてあり、それを開発者達が操作して大型の物から小型の物までいろんな物を作っている。
「すっげー!」
シャインとスノウがピュアに感動する。
「なんて大きいんでしょう。」
ヒューズも感心する。
「こんな工場が入るなんて…SMCってどんだけ大きいのよ…」
流石のサナも驚くしかなかった。
「ここは開発部隊の開発工場です。主に武器などが作られています。」
アレンがガイドしながら中を歩く。
(ヴァスタリガの技術に似てるわね…。あそこは格差問題が大きく出てあまり目立たないけど、かなり機械技術に発展してるのよね…ま、ヴァスタリガから教わったと考えるのが一番でしょうね…。)
サナが周りを見ながら推理する。
「で、私達はどこに向かっているんですか?」
レビィと車椅子を押すのをバトンタッチしたヒューズが尋ねる。
「ちょっと人を探しているんだ。」
キョロキョロと周りを探していると、アレン達にスーツの上から白衣を着た20代前半ぐらいの女性が近付いてきた。
「あら?アレンじゃない。あなたがこんなとこにいるなんて珍しいわね。」
女性はアレンを見るなり少し驚いてクスッと笑った。その声は前にアレンが電話で話していた女性と同じだった。
「やっと見つけたよ『姉さん』。」
アレンの言葉に他の全員が、
「姉さん!?」
と、一斉に驚いた。
「その反応からして私の存在は話していないようね。」
女性が尋ねると、アレンは素直に頷いた。
「ここじゃなんだから、私の部屋に行きましょう。」
女性は自分の案内をする。シャイン達はとりあえず付いていくことにした。
シャイン達は開発工場を出て、女性の部屋に移動した。中に入ると、黒と白で統一された大人びた部屋だった。
「私は開発部隊指揮官『イスラ・ルビー』よ。よろしくね。」
アレンの姉と証明できそうなキレイな緋色のロングヘアー、凛としたピンクの瞳、そしてモデルのような完璧なスタイル。そしてFはかたい豊満な胸。男性人は釘付けになるが、女性人ははぁと肩を落とす。
「あなたはシャイン・エメラルド君ね。」
笑顔でシャインを見る。
「なんで知ってんだ?」
「あなたの噂はいろいろ聞いてるから。」
「そうか。」
シャインが納得する。
「で、あなた達はここに何しに来たの?」
「それは…」
アレンが代表して説明する。
「……と、いうわけ。」
「アクセルヒール…見た目から見て、使うのはあなた達2人ね?」
イスラが包帯を巻いているスノウと車椅子に乗っているシャインを指す。
「そうだ。」
シャインが頷く。
「…覚悟はおわり?」
「覚悟がなきゃここに来ねぇ。」
シャインがキッと睨む。そのまっすぐの目にイスラは返す言葉が見つからなかった。そして、はぁとため息をしてから、
「…いいわ。だけど、責任は一切取らないわよ?」
と、アクセルヒールを使うのを許可した。
「ありがてぇ。」
シャインが小さく頭を下げる。
「付いてきて。」
イスラの案内のもと、アクセルヒールが置いてある部屋に向かった。
アクセルヒールとは、カプセル型で、部屋の中に2つ置いてあった。
「じゃあ、私とシャイン君とスノウ君以外はそこで待ってて。」
イスラに言われた通り、レビィ達は部屋の中が見えるガラスの前で待つことにした。
「2人とも、アクセルヒールに入って。」
言われた通り、スノウはカプセル型のアクセルヒールの中に入った。だが、シャインは足が動かないので1人では入れない。それに気が付いたイスラが手を貸してようやく中に入れた。その時に豊満な胸がシャインに当たっていたことを、スノウはうらやましく思った。
「ねぇ、今考えるとアクセルヒールってどうやって治すの?」
ガラスの前で待っているサナがアレンに尋ねる。
「人間が持っている『自然治癒力』を極限まで高めて、自分自身が病や傷を治すんです。」
「なるほど。その時に激痛が走るのね。」
サナが納得する。
その時、イスラが装置を起動させる。
「死ぬなよ。」
シャインがスノウを見てニヤッ笑う。
「お前もな。」
スノウが笑い返す。
「始めるわよ。」
イスラがスタートのスイッチを押した。その瞬間、シャインとスノウの体に激痛が走った。
「うわああああああ!!!!」
2人の悲鳴が響き渡る。
「シャイン!スノウ!」
レビィがガラス越しに叫ぶ。だが、レビィ達はただ待つしか出来なかった。
「堪えて、あと2分…」
イスラがメーターを見ながら呟く。
「うわああああああ!!!!」
2人の悲鳴は終わるまで続いた。
そして2分経ち、カプセルの蓋が開いた。中で2人はぐったりとしている。イスラがメーターを見て成功だと判断し、ガラスの向こうのレビィ達に手でオーケーをつくり、成功したと知らせた。レビィとサテラは手を掴み合ったまま跳び跳ねて喜んだ。アレン、ヒューズ、サナも一安心の顔をする。その時、イスラが部屋から出てきた。
「明日には2人も気が付くと思うから、あなた達も今日はゆっくり休んで。」
そう言ってイスラは何処かに行ってしまった。
「ありがとうございますイスラさん。」
レビィが代表して頭を下げる。イスラは振り返らず手をヒラヒラして答えた。
その夜、客室でサテラ、レビィが一緒のベッドで安心したようにぐっすりと寝ている。隣の客室ではヒューズも寝ている。アレンは自分の部屋があり、そこで寝ている。いや、まだアレンは起きていた。だが、どの部屋にもサナの姿がなかった。
「アレン、少しいいかしら?」
アレンの部屋に入ってきたのは、アレンの姉、イスラだった。
「姉さん、どうしたのこんな時間に?」
「あのシャイン君って子、あなたが『闇落ち』する可能性があるって調べていた子よね?」
「…そうだよ。」
「で、今はどんな感じなの?」
「まだこれといった事は起きていない。能力解放のさいに左目が燃えているようになるだけだから、まだなりかけって感じかな。」
「でもあの子には悪の心なんてなさそうよ?」
「それは僕も分かっている。闇落ちは『心の悪』に反応して起こるもの、シャインにはないと思う。だけどもう1つ闇落ちしてしまう方法があるんだ。」
「どんな?」
「『身内』に、闇落ちをしてしまった者がいれば、たとえ心に悪がなくてもそれを引き継いでしまって、なってしまう可能性があるって調べて分かったんだ。」
「じゃあ、シャイン君の身内の中に闇落ちした人物がいるってこと?」
「…うん。」
「一体誰の?」
「それは……」
この時、この会話を盗み聞きしていた人物がいた。それは、サナだった。
(へぇ~シャインが闇落ちしかけているのは知っていたけど、まさか血筋で闇落ちするなんて知らなかったな。しかも『あいつ』の血を引いているですって…とんだ大物の息子だったのね、シャインの奴…)
サナは2人にバレないように部屋に戻った。
「まさか、『あいつ』に息子がいたなんて…しかもそれがシャイン君だなんて…シャイン君自身は知っているの?」
イスラが尋ねる。
「分からない。聞きづらいし…」
アレンが首を振ってから、下を向く。
「…そうね、ゴメンねこんな時間に。お休みなさい。」
「ううん。お休みなさい。」
イスラが部屋を後にした。アレンはそれを見届けてから、ベッドに入り眠りについた。
眼鏡「ぶっちゃけ、今回はけっこう走り書きしてしまったんで話が自分でもよく分からないんですよね…とりあえず、今回の目的はシャインとスノウを治すのと、SMCに入るため話だと思ってください。」
眼鏡「さて、次回からいよいよ舞台はエクノイアを離れ、ヴァスタリガになります!この長編はいつまで続くが分かりませんが、応援よろしくお願いします。では、次回を楽しみにしてて下さい!」