31話 4つの国(2)
眼鏡「はい、今回は説明だけのお話です。題名から分かるように4つの国が出てきます。だけど、この長編には2つしか出てきません。あとの2つはいつになるか分かりませんが、追々出すつもりです。さて、前書きで話すとこはそんなにないので、早速本編を見てください!」
レビィ、サナ、ヒューズは、ライズ様の車が見えなくなってから物影から出てきて、気を失っているシャインとスノウを病院に運んだ。
「んっ…ん…」
シャインが目を開けると、白い天井が見え、ふかふかのベッドに寝ていることが分かった。
(病院か…ここ…)
シャインがゆっくりと辺りを見渡す。すると、足下にキレイな紺色の髪が倒れていた。
「レビィ…?」
その言葉に紺色の髪がむくりと起き上がり、目をこすりながらシャインの方を見た。その顔は完全に寝起きの顔だった。
「!シャイン!よかった!気が付いたんだ!」
ガバッと立ったので、自分が座っていたパイプ椅子に引っ掛かり、そのまま後ろに倒れた。
シャインは苦笑いするしかなかった。
「いたたた…」
レビィが頭をさすりながら立ち上がる。
「何やってんだよ…」
「えへへ、それよりシャインの方は大丈夫?」
「まあ、身体中は痛いがななんとかな。」
2人が話していると、隣のベッドで、銀髪のスノウが目を開いた。
「あっ!スノウも気が付いたんだね!よかった!」
レビィが一安心した顔で喜ぶ。
「ホントにタフね、あんたら…」
ドアを開け、呆れながらサナが入ってきた。ヒューズも一緒である。
「なんか頭がぼ〜っとすんだけど。」
スノウが症状を訴える。
「まあ、3日も寝てたらそうなるでしょう。」
サナがさらっと言った一言に、シャインとスノウは耳を疑った。
「3日!?俺ら3日も寝てたのか!?」
スノウがガバッ!と上半身を起こす。
「ま、マジかよ…」
シャインも上半身を起こす。
「!そうだエアル!エアルはどこだ!」
スノウが怒鳴るように尋ねる。
「『ヴァスタリガ』の城でしょうね。」
サナが答えると、スノウがベッドから下り、よろよろとドアに歩き始めた。
「ちょっとスノウ!?」
レビィが慌ててスノウを止めようとするが、スノウはレビィを払いのける。
「そんな体で何するつもりよ?」
サナが腕組みをしたまま問いかける。
「エアルを…助けに行く。」
スノウは止まらずに答え、ドアに手をかけた時、
「無理ね。たとえ体が全快でも無理なのに、今なら尚更ね。」
「なんだと!?」
その言葉がスノウの感にさわり、ドアからよろよろとサナに近付き、胸ぐらを掴む。
「別に行きたきゃ止めないわ。でも、相手は不良でもチンピラでもない、国なのよ。闇雲に突進したって殺されるに決まってるわ。少し頭を使いなさいよ。」
胸ぐらを掴まれたままなのだが、全く怯まず、サナがスノウの手をはね除ける。
「しかもその国がよりによっての『格差国家』のヴァスタリガ。そう簡単にはいかないわ。」
サナが服を直しながら続ける。
「格差国家?」
ベッドの上のシャインが首を傾げる。
「はあ、現代社会で習ったでしょ。」
パイプ椅子に座っているレビィが呆れる。
「全然覚えておらん。」
シャインが真顔で答える。
「もう…まあ、読者も皆さんにも分かっていただきから説明するわ。」
スノウをベッドの上に戻し、眼鏡をかけた教師風のレビィが、授業を始めた。
「まず、私達がいる大陸にある『4つの国』の名前くらいは知っているわよね?」
レビィがシャインを指すが、首を傾げる。レビィは再度呆れる。
「私たちがいる国、『平和国:エクノイア』、『自然国:シルフォーニ』、『科学国:グライトル』、そして今回の問題の国、『格差国:ヴァスタリガ』ですね。」
ヒューズが代わりに答える。
「そう、1つずつ説明すると、『平和国:エクノイア』は、その名の通り平和は国。大昔からほとんど戦争がない国だからそう呼ばれているの。」
レビィの説明に対してシャイン達が頷く。レビィは少し楽しくなりながら続ける。
「次は『自然国:シルフォーニ』。この国は人が住める土地があまりなく、国の約6割が大自然なの。だから観光スポットして有名ね。次は『科学国:グライトル』。名前から分かる通り、科学が発達した国よ。最新技術や医療などはほとんどこの国で作られているわ。そして…」
レビィは一回間をおいてから続ける。
「『格差国:ヴァスタリガ』。この国は大昔から続く黒歴史が未だに残っているの。それが『格差身分』。これは国の中で4つの身分があり、自分より高い身分の人間には逆らってはいけないというもの。上から『王族』、『貴族』、『町人』、『奴隷』の順で身分が高いの。国民の半分、約50%は町人で、約30%が貴族、そして約10%ずつ王族と奴隷がいているの。町人が奴隷を使い、貴族が町人と奴隷を利用する、そして王族が貴族と町人と奴隷を支配している社会がヴァスタリガでは行われているの。少しは分かった?」
レビィが説明を終え、シャインに尋ねると、シャインが分かっているのか分かっていないのか知らないが、首を縦に振った。
「読者の皆さんは分かっていただけたでしょうか?」
レビィがカメラ目線で読者に問いかける。シャイン達はそれを見事にスルーした。
「で、現王族がダイヤモンド財閥。その1人娘がエアルってことだ。」
スノウが付け足す。
「そういうことだったのか。」
シャインがようやく理解した。
「てか、あの時ちょっとはお前ら加勢しろよ。」
スノウがサナに怒る。
「シャインが飛び出してすぐに思い出したの。あいつがヴァスタリガの国王だって。だから、加勢にいったら私達まで目をつけらるじゃない。」
「ふ~ん…」
スノウが理解する。その時、レビィがあっ、と何かに気が付いた。
「ねぇ、こんな騒動、絶対高校に報告されるわよね?じゃあ、2人は退学にされちゃうのかな?」
レビィが心配した顔で尋ねる。
「あっ、その件に関しては大丈夫。」
「え?」
レビィが首を傾げた時、ドアがガラッと開き、キレイな緋色の髪をしたアレンが入ってきた。
「アレンじゃねぇか。」
シャインが小さく驚いた。
「あっ!シャインもスノウの気が付いたんだね。」
男とは思えない可愛らしい笑みを2人に向けてから、サナに近付く。
「どうだったアレン?」
サナの問いかけにアレンが手でOKを作って答える。
「はい。なんとか承諾してくれました。僕の素性はバレてしまいましたが…」
アレンがはぁとため息をしながら報告する。
「何したの?」
レビィがアレンに尋ねる。
「SMCの力でこの騒動を高校に報告しないことにしてきたんです。」
「へぇ~、どうやって?」
「3000万を裏で渡すことで交渉成立しました。」
アレンが言ってから5秒ぐらい沈黙が流れてから、シャインが口を開いた。
「それって…いいのか?」
「バレなきゃいいんです。」
アレンが不吉の笑みを浮かべる。
(こ、こいつが一番危ないかも…)
アレン以外全員の心がシンクロした。
そんな時、1人の紫髪の少女が病室に入ってきた。
「シャイン!」
少女は一直線にシャインに走って腕に優しく抱き付いた。
「サテラ。」
シャインはサテラの頭を優しく撫でながら、
「悪いな心配かけちまって。」
と、謝る。サテラは2、3回首を横に振ってから微笑んだ。
「サテラちゃん、こんにちわ。」
レビィが挨拶すると、サテラがシャインの腕を離してからキレイにお辞儀をする。
「あれ?お前サテラのこと知ってんのか?」
シャインがサテラとレビィの顔を交互に見る。
「ええ。シャインが気を失っている時にお見舞いしに来たから。」
「ふ~ん…」
「説明はサナに聞いたわ。」
「そうか。」
その時、コンコンとドアを叩く音が響いた。
「はい?」
レビィが代表で声をかける。すると、ガララとドアが開き、2人の担当になったいたって普通の医師が入ってきた。
「2人ともいますね。」
医師はシャインとスノウのベッドの前に立ち、2人の体について説明をし始めた。
「2人の体が完治するのはあと約1ヶ月ぐらいかかるから、それまで大人しくしててもらいますよ。」
「1ヶ月!?そんなに待っていられるかよ!」
スノウが怒鳴る。
「君達、あのヴァスタリガの特殊部隊にケンカ売ったんでしょ?それなのに1ヶ月で治るなんて奇跡に近いよ。」
「それでも1ヶ月は長すぎる!」
シャインも声を上げる。
「あのね、君達の高校に言わないことを約束したんだら、これくらい守ってね。」
「3000万貰えるくせに。」
スノウがボソッとギリギリ聞こえるぐらいに呟く。
「とにかく、完治するまで安静にしてもらうよ。」
医師は見事にスルーし、2人の現状況をチェックして、持っているボードに手慣れに記入する。そして、
「安静にね!」
と、釘を刺してから出ていった。それを見届けてから、スノウがボスっとベッドに横になる。
「あー1ヶ月なんて待っていられるかよ!」
スノウがまだボヤく。
「同感だ、このままじゃ冬休みが終わっちまう。」
シャインも賛成する。
「あの〜」
アレンがす~っと手を上げる。それに皆が注目する。
「何だよアレン?」
イライラのスノウが睨み付ける。アレンは少しビビってから全員に聞こえるように話す。
「2人に覚悟があれば、その傷簡単に治す方法があるんですけど…」
「なんだと!」
スノウが食い付く。シャインも聞く耳を立てる。
「SMCに『アクセルヒール』という装置があるんです。それはどんな傷も病も治せるものなんです。」
「アクセルヒール…」
窓近くに腕組みをしながら立っているサナが反応する。それにより、全員がサナに注目する。
「知っているんですか?」
スノウのベッドの隣のパイプ椅子に座っているヒューズが尋ねる。
「まあね、だけどあれって危険だから開発中止になった装置でしょ?なんでそれがSMCあるのよ?」
サナがアレンに尋ねると、また全員の目線がアレンに集まる。
「我が調査部隊が、ある工場を調査した時、アクセルヒールの設計図を見つけ、それを見ながら開発部隊が作り上げたんです。だけどまだ誰も使用したことはありません。」
「でもそれっていわば治療装置でしょ?なんで危険なの?」
レビィが尋ねる。
「早く治せる分、体に異常な激痛がはしるんです。その激痛によって死人が多数出てしまったので開発中止になったんです。」
「そ、そんなものをやらせようとしたの!?」
レビィがアレンに怒る。
「だから、2人の覚悟があればってことになるんです。」
ここで全員の目線がシャインとスノウに変わる。スノウは悩んだすえ、いや、もとからそのつもりだろうけど、
「やるぞ、そのアクセルヒール。」
と、言い切った。
「ちょっとスノウ!さっきの聞いた?死ぬ可能性があるのよ!?」
レビィが必死に止めようとする。
「お前もそのつもりだろ?」
スノウがニヤリと笑いながら隣のベッドのシャインに尋ねる。
「当たり前だ。」
シャインが笑い返す。
「シャインまで!」
「悪いなレビィ。俺はスノウみたいに昔からエアルを知ってる訳じゃねぇ。だけどな…『大切な仲間』を連れてからて、黙って見届けるほど、お人好しじゃねぇんだよ。」
シャインのまっすぐな目に、レビィは止めるのを諦め、
「分かった。でも、死なないでよ…」
と、賛同したが、その顔はすごく心配していた。
「一応皆さんの意見を聞きましょう。」
アレンがサナ達に問いかける。
「2人がいいとあれば。」
ヒューズが賛同する。
「私には関係ないし、好きにどうぞ。」
サナが適当だが賛同する。
「頑張ってください。」
サテラがシャインの手を握る。賛同するという意味だろう。
「全員いいそうですね。…ハッキリ言って保証は出来ないよ。」
アレンが真剣な顔でシャインとスノウを見る。2人は大きく頷いた。
「では案内します。SMCへ。」
眼鏡「いや~思い付いたこと全部取り込んでしまったら、予定していたストーリーからどんどん離れていっています…シャインとスノウがこんなに重症にする気はなかったんですけどね。最終的どう終わらせるか、自分が心配してきました…」
眼鏡「さて、書いている本人も理解が難しくなってきました。説明が不十分かもしれないんで、感想などに質問を書いてくださればお答えします。では、次回は予定になかった話ですけど頑張っていきたいと思います!楽しみにしていてください!」
眼鏡「あっ、今期末テストの1週間前に入ってしまったので、次の投稿はかなり遅れるかもしれないんで、気長に待っていてください。」