30話 王族の娘(1)
眼鏡「いや~久々に自分の書いてきたもの見てみると、矛盾したとこを見つけてしまったので訂正しておきます。」
・訂正1
シャインが住んでいる家が最初は『小さなアパート』だったんですけど、『龍空マンション』の方に変えてください
・訂正2
シャインとバージェスが会ったのは物心ついた時となっておりましたが、小学校で会ったことにしてください。
眼鏡「本当にすいません。設定はけっこう適当に作ってしまうのでこういうことが起きてしまうんです。今後はこんなことがないように注意したいと思いますので、『〜魔法学園〜』を応援してくださっている読者の皆さん、どうぞお願い致します。」
眼鏡「さて!今回から長編が始まります!私も頑張っていきますので、どうぞ見てください!」
12月半ば、期末テストも終了し、次の日から生徒達が待ち望んでいた冬休みになろうとしていた。だが、あんな事件が起こるなんて、誰も予想なんてしなかった。
終業式やHRは午前中に終わり、生徒達は明日からの冬休みをどうやって過ごそうかの相談で持ちきりである。エアル、レビィ、サナもその中で一員で、寮のエアルの部屋で話し合っていた。
「ねぇねぇ、冬休みどこ行く?」
エアルがベッドに寝転びながら2人に尋ねる。
「エアル、遊ぶのもいいけど、勉強もしなきゃいけないよ。」
地べたに座っているレビィが注意すると、
「大丈夫!ここに学年トップ2がいるから!」
と、エアルがグッ!と親指を立てる。
「はぁ…」
レビィがもう言っても無駄だなと思い、ため息をついた。
「ねぇ、サナはどこ行きたい?」
エアルがドアの壁にもたれ掛かって本を読んでいるサナに尋ねる。
「ん?私は行く気ないわよ。」
本に目をやったまま答える。
「え~どうして〜?」
エアルがブーとなる。
「研究で忙しいから。」
「いいんじゃんちょっとくらい。」
エアルが必死に頼むので、サナははぁとため息をついて、
「で、具体的にどこ行くとか決まってんの?」
一応話を聞くことにした。
「う~ん…せっかくの休みだし、けっこう遠いとこに行こう!」
エアルが元気よく拳を上げながら提案する。
「場所は?」
レビィに尋ねられ、エアルがフリーズして動かなくなった。
「場所…決まってないのね?」
再度尋ねられ、エアルはエヘヘと笑う。
「まあ、場所は後で決めて、お菓子パーティといきましょう!」
エアルがいろんなお菓子を取り出し、冷蔵庫からジュースを取り出そうとした時、
「あれ?ジュース全然ないや。」
ジュースが一本もないことに気が付いた。
「私、ちょっと購買で買ってくるね。」
エアルが財布を持って部屋を出ようとした時、
「今日購買開いてないわよ。」
と、サナが教える。
「え~、じゃあ学校の外に買ってくる。」
エアルはそう言って、部屋を後にした。
「で、なんでさっきから立ってるの?」
二人っきりになったのでレビィが気になったことをサナに尋ねる。
「ん?あー、私あんまり人の部屋とかでリラックスしたくないの。」
「武士じゃあるまいし…」
「あと…」
「あと?」
「私、潔癖症。」
サナが部屋を見渡しながら答える。部屋はいろんなものが散乱しており、グチャグチャであった。
「あははは…掃除、しなきゃね…」
レビィが苦笑いしながらエアルが帰ってくるまで掃除してあげることにした。
この買い出しが、事件の始まりになるなんて、誰も思わなかった。
シャイン、ヒューズ、スノウの男組は、スノウの部屋でモーハンをしていた。
「なあ、お前らって冬休み何か予定ある?」
スノウがPSPの液晶を見ながら2人に尋ねる。
「特に私はないですよ。」
「別に俺もねぇ。」
シャインとヒューズも液晶を見ながら答える。
「そうか。」
そこから沈黙が流れ、カチカチとPSPを押す音だけが響く。だか、この空気に耐えきれず、
「あーーなんだこの空気!」
シャインが叫ぶ。
「この状況に飽きがきているようですね。」
ヒューズが冷静に分析する。
「じゃあ、外にでも出るか?」
スノウが提案すると、
「賛成。」
2人が口を揃えて答える。そして3人はPSPを置き、部屋を出ていった。
外に出ると、空は鉛色に染まっていた。
「雨降りそうだな。」
シャインが鉛色の空を仰ぎながら呟く。
「で、どこに行くんだよ?」
シャインが顔をスノウに向けて尋ねる。
「決まってねぇ。」
スノウがさらっと答える。
「どうしようかな~」
スノウ達が悩んでいると、
「あっ!シャイン!」
女子寮の方からレビィがこちらに走ってきた。
「レビィ、お前居たのか。」
シャインが少し驚く。
「うん。シャインもね。」
2人が話していると、レビィの後ろから歩いてきたサナが、
「なに普通に話してんのよ?それどころじゃないでしょう。」
と、注意する。
「あっ!そうだった!ねぇ、エアル見なかった?」
レビィが思い出し、一番聞きたいことを尋ねた。それを聞いて、スノウがピクッと反応する。
「エアル?いや、見てねぇけど。」
シャインが首を振る。
「そっか…」
「おい、エアルに何かあったのか?」
スノウが何か焦っている感じの顔をしながら尋ねる。
「買い出しに行ってから、もう20分ぐらい帰ってこないの。」
レビィが答えると、スノウがゾッとした顔になる。
「『1人』で行かしたのか?」
「う、うん。」
レビィがスノウの異変に気が付きながらも頷く。
「バカ野郎!!」
スノウはレビィを怒鳴ってから、学校の外へ走っていった。
「な、何!?」
レビィは走っていくスノウを見て、戸惑いを隠せない顔でいた。
「どうしたんでしょう?」
ヒューズが顎に手を添え、う~ん…と考える。
「エアルが1人になっちゃいけないのか?」
流石のシャインも悩む。
「とにかく、あのスノウを見ると、ヤバいことが起こるって分かるわ。」
サナがまとめる。
「とにかく、考えてても始まらねぇ、追いかけるぞ!」
シャインが学校の外へスノウを追いかけにいった。その後ろを、あとの3人も付いていった。
エアルはみんなが自分を探しているなんて知るわけもなく、コンビニで買ったジュースが入った袋を持って、人がいない道路を歩きながら、龍空高校に戻っていた。
「もう、高校の周りに全然店ないじゃない。」
エアルが1人でプンプンと怒っていると、その熱を冷ますかのように、雨が降り始めた。
「うわ~降ってきたよ。」
エアルが急いで帰ろうとした時、目の前に黒い車が5、6台止まり、道を塞いだ。
「な、何?」
エアルが警戒していると、車から黒いスーツを着た男達が下りてきた。そして真ん中の車から出てきた左胸にたくさんの勲章らしきものが付いている白いスーツを着ている男を見て、エアルは驚き、持っていた袋を落とした。
「やれやれ、手間をかけさせてくれる。」
ガードマンらしき男に傘を持たせる男は、エアルと同じ赤い瞳をしており、歳は40代後半ぐらいで適度な長さの茶髪であった。
「な、なんであなた様がここに…」
エアルがいきなり上品な話し方になりながら尋ねる。
「お前がここにいることは8月にこの国であった大会から知っている。」
(BOMから…)
エアルはBOMの時のことを思い出す。
「だが、お前の周りには面倒な奴らがいたから、なかなか決行に移れんかったのだ。ようやく決行に移れる。さあ、帰るぞ。一国の『国王の娘』が家出なんて前代未聞だからな。」
エアルは少し黙ってから、
「…私は、帰る気はありません!」
と、反対した。
「私は…!」
そのまま続けようとした時、
「話は国に帰ってからだ。」
と、白スーツの男が声で遮った。男が合図を出すと、ガードマン数人がエアルを囲み、そのまま取り押さえる。
「話を聞いてください『お父様』!」
エアルが叫ぶが、お父様は聞く耳すらもたず、自分が乗っていた車に戻る。エアルはガードマン達に連行のための車に連れていかれていく。
「放して!」
エアルが必死に抵抗していると、
ガシャァァァァァン!!
エアルを乗せるつもりだった車が何者かの正拳によってスクラップされた。
「何事だ?」
お父様が事態に気が付き、再び車から下りる。車を破壊した者はそのままエアルに向かってジャンプし、着地した瞬間、エアルを取り押さえていたガードマン達を殴り飛ばして、エアルを庇うように立つ。
「スノウ!」
それは、銀髪のスノウであった。無造作ヘアーは雨により勝手にストレートヘアーになっている。
「たく、面倒かけるなよな。」
スノウが背を向けたまま怒る。だかその言葉には何故か優しさを感じる。
「ごめんね。」
エアルが素直に謝る。そして、2人にお父様が近付き、目の前で止まった。
「よう、久しぶりだな、『ヴァスタリガ王国』国王、『ライズ・ダイヤモンド』さん。」
スノウが睨み付ける。
「やはりお前だったか、『銀野良のスノウ』よ。」
ライズは動じず睨み返す。
「おっ!いたぞ、あそこだ!」
スノウを追いかけていたシャイン達が現場より少し遠いとこに到着した。
「どういう状況ですか?」
ヒューズが現場を見て首を傾げる。
「ただならぬ状況だということは分かるな。」
黒髪のナイトが言う。
「助けに行くぞ!」
シャインがダッ!と走り出した瞬間、
「待って!」
サナが手をバッ!と出して止める。
「なんで止めんだ!」
シャインが怒る。
「あの白スーツの男、見たことあるわ。」
「そうなのか?何者なんだ?」
「思い出せないけど、とりあえず様子を見ましょう。」
シャインはサナに従い、雨の中待つことにした。
「銀野良のスノウ…へっ、懐かしい字だな。」
スノウが鼻で笑う。
「お前、自分が何をしたのか分かっているんだろな?」
ライズが怒りをチラせながら尋ねる。
「うるせぇ、『ヴァスタリガ』に引き込もってりゃよかったのに、他国の『エクノイア』まで追いかけてきやがって。娘大好きっ子ですかこの野郎?」
スノウは一歩も引かず対抗する。
「やはりお前は…消えるべき人間だな。」
ライズがさっきと違う合図をすると、仮面を付けた黒いスーツを着た2人の男が現れた。その中の1人がスノウに目掛けて発砲してきた。スノウはそれをギリギリで回避した。
(あいつ今どうやって撃ちやがった?)
弾丸を回避したがらスノウが男を見るが、拳銃らしきものが見つからない。この間も男は立て続けに発砲してくる。それを回避しているとどんどんエアルから離れていく。
それ確認したもう1人の男がエアルを掴む。
「キャッ!?」
「しまった!エアル!」
スノウが気が付くが、弾丸により助けにいけない。
「さて、来てもらいますよ。」
男がエアルの耳元で囁いた時、何かに感ずき、エアルを離した。次の瞬間、ガキン!と鉄と鉄がぶつかり合う音が響いた。エアルを助けたのは、なんとシャインだった。だが、仮面の男はシャインが振り下ろした風砕牙を右腕の肘ちょい上でで簡単に受け止めた。それにより、切れた服から人間の肌ではなく、何かの鱗が見えた。
「大層な体してんだな。」
「キサマも反逆者か?」
仮面で見えないが、睨んでいることは気迫で伝わった。
仮面の2人はシャイン、スノウから間合いを開け、並んだ。シャイン、スノウ、エアルも合流する。
「データスキャン中…反逆者の名前、スノウ・シルバー、シャイン・エメラルド。」
そう言いながら、スノウと対戦していた男が仮面を外した。青髪に、灰色の瞳の中には難しいそうな文字や数式が並んで動いている。
「シャイン…なるほど、キサマが噂の…」
もう1人の男も仮面を外した。緑髪に、鋭く睨む黄色の瞳。まるで獲物を狩る獣のようである。
「誰だお前ら?」
シャインが睨みながら尋ねる。
「あの2人はヴァスタリガ軍の特殊部隊よ。」
エアルが後ろから説明する。
「2人だけなのか?」
シャインが背を向けたまま尋ねる。
「ええ。2人は特別なことがないかぎり出動することはない。あの2人が出動すると1つ部隊がなくなると言われているわ。」
「マジかよ…」
シャインが苦笑いする。
「俺の名は『ナルバー』。」
黒髪の男が自己紹介する。
「そして俺の名は『ザウルス』。」
緑髪の男も自己紹介する。
「さて、命令はお前らを消せというものだから、消えてもらうぞ。」
ザウルスがすっと戦闘体勢に入る。隣でナルバーも戦闘体勢に入る。
「たく、勝手に首突っ込みやがって。」
スノウが戦闘体勢に入りながらシャインに呆れる。
「ちゃんと事情を説明してくれよ。こいつらぶっ飛ばしてから。」
シャインが風砕牙を構える。
「なめられたものだな…たかが高校生に!」
ザウルスの歯が鋭い牙に変わり、みるみる人の姿から離れていく。背中から優雅で迫力のある羽が生え、上半身の服が破けると、ゴツゴツした赤茶色で鉄のように硬い鱗が現れた。そして尻から太くたくましい尻尾が生えた。その姿はまるで龍そのものであった。
「龍双牙!!」
鋭い爪が交差しながらシャインを襲う。シャインが風砕牙で防御が、威力が強すぎ吹き飛ばされる。
「お返しだ!閃風双牙!!」
体勢を直したシャインが、ザウルスに向かってバッテンに交差した閃風波が放たれる。それをまともに喰らったが、ザウルスの龍の鱗には傷すら付かない。
(なんちゅう鱗だ…)
シャインが驚いていると、ザウルスの強烈な蹴りを喰らった。
「がっ…!!!」
意識が朦朧としながら吹き飛び、壁にぶつかって、うつ伏せに倒れた。
(なんて力だ…前まで戦ってきた奴らより断然強い…)
よろよろとしながら立ち上がる。
「俺の絶滅魔法、『動物魔法、モデル:龍』に勝てると思うなよ。」
ザイロスが狩る獣の目で睨み付ける。
(これはマジでヤベェな…)
シャインは口から流れる血をグッと拭いて、ニヤリと笑うしかなかった。
シャインVSザウルスの少し離れたとこで、スノウVSナルバーが繰り広げていた。
「フレイムナックル!!」
炎の拳がナルバーの顔をとらえた。だか、ナルバーはびくともせず、逆にスノウが怯む。
(痛っっって~なんて硬さだ。)
スノウが殴った手をブンブンと振る。
「技を確認、分析中…」
ナルバーの目の奥がカチカチと音をたてながら分析する。
「こいつ、ホントに人間か?」
スノウが殴った拳と、今現在のナルバーの行動を見ながら呟く。
「分析完了。」
その言葉を聞いて、スノウが構える。次の瞬間、ナルバーの拳にボウッ!と火が付いた。
「何!?」
スノウが驚いたと同時に、ナルバーが懐に入り、
「フレイムナックル!!」
スノウの顔をとらえた。スノウは吹き飛び、地面に何回かバウンドをしてから転がり、壁ギリギリで停止した。
(お、俺の技だと…!?威力は何倍もありやがる…!)
スノウがよろめきながら立ち上がる。
そこからシャインとスノウはザウルスとナルバーに挑んだが、全て返り討ちにされ、もう虫の息にまで達していた。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
シャインが頭から血を流しながら、かすむ目をこじ開けて睨み付けるが、足から崩れ、雨で濡れた地面にベチャッと倒れた。スノウもシャインの倒れる。
「これでとどめだ。」
ザウルスが龍の爪をすぅ~っと構えた瞬間、
「もう止めて!!」
エアルが叫んだ。それにより、龍の爪がピタッと止まった。
「国に、戻りますから、もう…その2人を傷付けるは止めてください!」
涙目のエアルがライズに告げる。
「我々はライズ様に従うだけです。」
ザウルスがライズの命令を待つ。
「……いいだろう。そいつらは放っておけ。エアル、早く車に乗れ。」
そう言ってライズは自分が乗ってきた車に戻る。
「命拾いしたな。」
ザウルスとナルバーは、倒れているシャインとスノウを見下してから、どこかに行ってしまった。エアルは2人を悲しげな顔をしながら見つめ、
(ゴメンね…)
心の中で2人に謝ってから、黒いリムジンに乗った。そして、数台の黒い車はヴァスタリガに向かって走っていった。
(エ、エアル…)
スノウが気を失う前に見たのは、後部座席に座っていたエアルの背中だった。
眼鏡「また訂正あるのでしておきます。」
・訂正3
BOM終了後の病院で、黒いスーツの男が携帯で話していた時、『社長』と呼んでおりましたが、すいません、無視してください。あの電話相手はライズなので国王ですね。
眼鏡「本当に、本当にすいません。」
眼鏡「さて!気を取り直して、前書きでも言った通り、今回から長編が始まります!舞台はなんと国が変わります!『エクノイア』や『ヴァスタリガ』が国の名前だと分かっておりますが、説明は次回したいと思います!では、次回をお楽しみにしてください!」
眼鏡「今回投稿が遅れてしまい申し訳ありません。1週間を目処に頑張りますので、待っててください。」