26話 打ち上げの悲劇
シ「今回はゆるゆるの話だってさ。」
ス「メインストーリーに関係ないってことか?」
シ「そうらしい。」
エ「だから気軽に見てくださいね。」
前話の後書きでヒューズが言った通り、龍空祭は後日に開催され、無事終了することが出来た。そして1―1では、龍空祭終了後に打ち上げをやろうという話になり、全員制服のまま、男子寮の食堂を使って行われるのであった。
いつもはあまり人のいない男子寮の食堂に集まっているのは1―1の生徒達であった。テーブルの上には6人に1つの鉄板が置いてあった。
「お肉だよー!」
数人の女子が肉が乗っている皿を持ってきた。それにより生徒達のテンションが上がる。
鉄板で肉でお分かりかと思いますが、今から焼き肉パーティーが始まろうとしている。みんなが好きで、大勢で食べれるものはと考えたとこ、満場一致で焼き肉になったらしい。
「みんな持ったか?」
盛り上げ役の男子がジュースの入ったジョッキを持ちながら辺りを見渡す。そしてみんながジョッキを持っていることを確認してから、
「じゃあみんなお疲れ様、カンパーイ!」
と、ジョッキを上げた。それの後に、
「カンパーイ!」
と、全員ジョッキを上げ、焼き肉パーティーが始まった。そしてこのパーティーの一番隅には、いつもの6人が座っていた。
「はぁ~なんかちゃんと楽しめなかったな~」
エアルが肉を焼きながらため息をつく。
「あんな事件があったからね。」
反対の席に座っているレビィもため息をつく。
「結局生徒達にはどう伝えたんだ?」
レビィの左に座っているシャインが、レビィの右に座っているアレンに尋ねる。
「小規模なテロリストが目的不明で攻めてきたことになっています。」
「かなり無茶のある説明だな。」
その時、シャインが何かがないのに気が付いた。
「仕方がないです。先生達もSMCや革命軍の存在を知りませんから。」
アレンが説明しながらシャインの方を見ると、
「スノウてめぇ!俺のカボチャ食ったろ!」
「ああ!?俺のエリアで焼いてるからだろ!」
と、シャインは反対に座っているスノウと睨み合っていた。
「聞いて…ない…」
アレンがガクッと肩を落とす。
ギャーギャーとスノウとシャインが言い争っていると、隣のレビィとエアルがイライラし始め、
「うるさい!!」
と、レビィがシャインの、エアルがスノウの頭を持ち、鬼の形相で鉄板に顔を押し付けた。
「あっっっっちーーー!!」
シャインとスノウが叫びながら跳びはね、食堂にあった水槽に顔を突っ込み冷やした。そして水槽から顔を上げ、
「何しやがんだてめぇ!」
シャインとスノウがレビィとエアルに当たり前だが怒る。
「ケンカは良くないぞ。」
「みんな仲良く、だぞ。」
さっきの鬼の形相からは想像できないほど、可愛らしいウインクをして注意する。
「止め方にも限度があるぞ!」
スノウがまた怒る。
「人間に限度なんてない。あったとしても、乗り越えていくものです。」
シャインの隣に座っていたヒューズが上品に肉を食べながら入ってきた。
「いや、どや顔で言われても全く今と関係ねぇ名言だからそれ。」
シャインがツッコむ。
2人は納得いかないままとりあえず席に戻った。その時、
「しゃー!盛り上がってきたとこで、カラオケ大会と行きましょうー!」
盛り上げ役の男子がマイクを片手に司会となる。
「さー!最初に歌いたい奴は誰だ!」
司会がみんなを見渡す。その時、はいはい!と元気よく手を上げた女子がいた。
「OK!トップバッターはエアルだー!」
なんとそれはエアルだった。
「レビィも行こ!」
「え~〜〜!?」
エアルは無理矢理レビィを引っ張り、即席ステージに立った。
「おっ!レビィも参戦か。では2人は何を歌ってくれるんですか?」
司会がエアルにマイクを向ける。
「じゃあ、みんなも盛り上がる『学園天国』を歌います!」
エアルが元気よく答える。
「では歌ってもらいましょう。エアル&レビィで、学園天国!」
次の瞬間、イントロが流れ出した。レビィは諦め、楽しむことにした。
エ&レ「アユレディ?」
皆「イエーー!」
学園天国のあのノリで、みんながテンションが上がった。そして歌が終わった。
「トップバッター、ありがとうございました!さあ、続いてどんどん行きましょう!」
そこから8曲ぐらいテンションの上がる歌が続き、みんなヘトヘトになったぐらいで、
「さて、みんながへばり始めたので、ここで休憩がてら誰かバラード歌いませんか?出来れば意外な人が。」
司会が見渡すが、みんなヘトヘトでなかなか手が上がらない。その時、エアルがパッとテーブルの隅を見て、
「サナ、歌おうよ!」
と、サナを誘う。
「私!?」
突然の指名に驚く。だけど、みんなはエアルの提案に拍手で賛成した。サナも断るに断りにくくなり、仕方がなくステージに立った。
「さて、サナは何を歌ってくれるんですか?」
「何って言われても…」
サナがう~ん…と考える。
「確かサナのiPodに西野カナ入ってたよね?」
エアルが思い出す。
「な、なんで知ってんの…?」
「前にちょっとね、まあ、それは置いといて、西野カナ歌ったら?」
「置いちゃダメでしょ…え〜…じゃあ、『best friend』でいいわ。」
サナが決定したとこで、みんなが拍手をする。
「なあ、サナって上手いのか?」
シャインがエアルに尋ねる。
「どうだろう?サナはカラオケとか行かないから誰も分からないの。」
エアルが首を傾げる。その時、イントロが流れ、サナが歌い始めた。
「ありがとう♪君がいてくれて♪ホント、良かったよ♪どんな、時だっていつも♪笑っていられる♪」
その歌声は本物の西野カナと同じぐらいのキーで、聞いているシャイン達は驚きと唖然と感動が混ざった気持ちになる。そして、サナが歌い終わった時、拍手喝采となった。
「す、すごいサナ!」
エアルが褒める。
「みんなこんなものでしょ?」
「そんなことないよ!上手すぎるよ!」
エアルが褒めまくるので、
「そ、そうなの。」
サナが照れながらステージを下りた。ステージ裏のカラオケ機械担当の人間達は97点という点数を見てあんぐりしていた。
そこから1時間くらい経ち、焼き肉パーティーも終わりに近付いて来たとき、
「はーい!みんな!チョコレートいっぱい買ってきたよー!」
数人の女子達がいろんな種類のチョコレートを買ってきたので、またみんなのテンションが上がる。みんながチョコレートを選んでいる時、レビィがハート型のチョコレートを見つけた。
(わぁ~可愛い〜)
レビィがそのチョコレートを1つパクッと食べた。
(なんか不思議な味。)
そう思いながらも、レビィはパクパクと食べ続けた。
「ん?何食ってんだレビィ?」
板チョコをくわえているシャインがレビィに尋ねる。
「ん~これ〜?シャインも食べてみる~?」
どこかのほ~んとした話し方のレビィを不思議に思いながらも、
「じゃあ貰うわ。」
と、シャインがチョコを取ろうとしたした時、レビィがひょいとチョコを持ち上げ、取らせない。
「何すんだよ?」
シャインがムッとなる。レビィはそんなことお構い無しで、立ち上がり、
「チョコよりもさ~もっと美味しいもの食べさしてあげる。」
と、言いながらフラフラと歩きながらシャインに近付いていく。
「もっと美味しいもの?」
シャインはレビィの行動に多少違和感を感じながらも尋ねる。そして、レビィは絡まるようにシャインに抱き付き、耳元に口を近付け、
「それは…わ・た・し。」
と、囁いた。シャインは顔を赤くしながらバッ!とレビィから遠ざかる。そんなシャインを見て、レビィはフフと笑う。
「レビィ…お前どうした?」
シャインが苦笑いしながらレビィを警戒する。その状況に気が付いたエアル達もレビィを注目する。
「私じゃ…嫌なの?」
レビィが悲しげな顔をしながらフラフラとシャインに近付く。
「い、いや、そうじゃねぇ…そうじゃねぇが…」
シャインはゆっくり後退りする。
「じゃあ…いいでしょう?」
と、言いながらレビィは着ていたブレザーを脱ぎ、リボンを取って脱ぎ始めた。
「ストーップ!ストップだレビィ!」
シャインが照れながら叫ぶ。レビィはカッターシャツの第三ボタンまで取ったところでストップした。
「脱いじゃ…ダメなの?」
レビィがまた悲しげな顔で尋ねる。
「あ、あったり前だ!」
シャインが照れながら怒る。
「あいつにはこういう場面似合わんな。」
スノウが呆れる。
「どうしちゃったんだろ?」
エアルが心配する。
「これが原因ね。」
サナがさっきまでレビィが食べていたチョコレートを持つ。
「何でそれって分かるの?」
エアルが尋ねる。
「『ウィスキーボンボン』っていって、チョコレートの中にお酒が入ってるの。」
「それってまさか…」
エアルが言う前にサナが頷く。
「そう。レビィは今酔っぱらっているの。」
「アルコールに極端に弱いんですね…」
ヒューズがレビィを見ながら呆れる。
「しかも、レビィは酔ったらものすごくエロくなっちゃう人間みたいね…」
サナがちょっぴり引く。
「シャインはそこで立ってるだけでいいよ…私が脱がしてあ・げ・る。」
サナが解説してる間もレビィの暴走は止まらず、夜桜を抜いた。
「じっとしてて…」
甘い声を発しながら夜桜を構える。
「俺の肉まで脱がす気か!」
シャインは一目瞭然に食堂の出入口にダッシュした。だが、一瞬でレビィに回り込まれた。
「じっとしてって言ったじゃない。」
レビィがプ~と頬を膨らませながら怒る。そして再度夜桜を構え、
「無月!」
神速の横振りを放った。シャインはギリギリのところで風砕牙で防いだ。だが、かなりの衝撃で、シャインは外へと吹っ飛ばされた。地面ギリギリで立て直して着地し、キッとレビィの方を見たが、姿がなかった。
「どこに…」
シャインが辺りを見渡す。その瞬間、自分の頭上に殺意を感じ、バッ!と見上げると、レビィが刃先をこちらに向けていた。
「月光鳥!!」
レビィが急降下しながら突き攻撃を放つ。
「もう脱がす気ゼロか!」
そう叫びながら回避する。だが、着地したレビィは一瞬で地面を蹴り、回避したシャインに追い付いた。そしてもう脱がすためでなく、完全に殺す気の目で夜桜を構える。
(こ、殺される…)
シャインが死を覚悟した瞬間、ピタッと夜桜が止まった。そしてそのままレビィがパタッと倒れた。
「ん?」
シャインが倒れたレビィの顔を覗き込むと、スー、スーと気持ち良さそうに寝ていた。
「ものすごいタイミングで睡魔がきたようね…」
サナがシャインンとレビィに近付く。エアルとスノウとヒューズも一緒である。
「たく…」
シャインが呆れながら風砕牙を鞘に納める。
「今後、レビィがアルコールを飲もうとした時は全力で死守するように。」
サナの忠告にシャイン達は大きく頷いた。
エ「レビィ、大丈夫?」
レ「う~〜〜〜〜頭が割れそう……」
シ「お前、何も覚えてないだろ?」
レ「うん。」
サ「とにかく、あんたは生涯絶対アルコールを摂取しないこと。」
レ「はい…」
ヒ「あんな騒ぎまたされたら困りますからね。」
レ「酔ってる私ってどんな感じだったの?」
シ・エ・ス・サ・ヒ「ものすごくエロかった。」
レ「うう…………私のイメージが……」