11話 夏の祭り
シ「ヤバい、問題が発生した。」
レ「どうしたの?」
シ「この前書きで話す事がねぇ。」
レ「言っちゃダメでしょ…」
シ「マジでないんだ。」
レ「う~ん…どうしよう?」
エ「だったらさ、みんなのプロフィール紹介していったら?」
レ「いいの?筆者倒れちゃうよ。」
シ「おもしろそうじゃん。な、眼鏡純さんよ?」
眼「採用。」
レ「採用しちゃった!」
眼「じゃあ次回から前書きはプロフィールを書いていきたいと思います。」
シ「誰から?」
眼「じゃあ…レビィで。」
レ「ええー!」
ヒ「では見てください。ちなみに今回は戦闘はありません。」
ミーンミーンとセミが鳴く暑い中、キレイな一軒家の2階で、レビィが自分の部屋のベッドで起き上がった。
「ふわぁ~」
眠い目をこすりながら立ち上がり、パジャマから私服に着替える。着替えたレビィは1階に降り、リビングに入って自分の朝食が置かれてある席に座る。目玉焼きを食べていると、
「ちょっとそこの醤油とってくれ。」
と言われたので、
「ん。」
と言って、醤油を渡した。そこでレビィがふと醤油を要求した人間を見たら、そこにはまるでずっとここに住んでいる人のように平然と朝食を食べていたシャインだった。それに気が付いたレビィはフツフツと怒りが込み上がりシャインを殴った。
「痛ってーな。」
殴られ椅子から転げ落ちたシャインが怒る。
「怒りたいのはこっちよ!なに普通に朝食食べてんのよ!なんで普通に我が家に溶け込んでんのよ!」
レビィがものすごくツッコむ。
「ママ!なんで入れたの!」
怒りの矛先がキッチンで食器を洗っている母、フィリアになる。
「だってあなた、シャイン君が来たから呼びに行ったらまだ寝てたから上がってもらったの。」
のほほんと答える。
「それと朝食食べているのとどういう繋がりが?」
レビィが問う。
「朝食まだ食べてないって言うから~」
またのほほんと答える。
「はぁ~」
レビィが呆れる。
「で、なんか用?」
自分を落ち着けながらシャインに聞く。
「朝食食べに来た。」
さらっと答える。
「ホントに朝食目的か!」
レビィがツッコむ。
「冗談だよ。ホントはこれの誘い。」
そう言って1枚のチラシを差し出す。
「何これ?」
レビィはチラシを受け取る。そこにはでかでかと『夏祭り案内』と書かれていた。
「夏祭り?」
「そ、電車で20分ぐらいにある神社で今年から始まるらしいんだ。それに行くため、エアルが俺にレビィ誘ってきてって恐喝したから来たんだ。」
シャインが今日来た理由を話す。
「あら、夏祭り?それなら良いのがあるわ。」
そう言ってフィリアが隣の和室の襖を開け、中から箱を取り出した。
「ママ、それ何?」
レビィも和室に入る。シャインも和室に入る。
「これはね、私が小さい時に着た浴衣。」
箱を開けると、中には可愛らしい花柄で青色の浴衣が入っていた。
「かわいい。」
レビィが手に取る。
「あっ…!」
浴衣を見ていると、下の方に少し目立つぐらい破れてあった。
「あら~、ゴメンねレビィ。」
フィリアが謝る。
「縫ったら直るレベルですよ。」
シャイン言うと、フィリアが首を振る。
「私、裁縫だけはできないの。」
「そうなんですか。レビィは?」
次はレビィに尋ねるが、レビィも首を振る。
「私も裁縫だけは…」
「ゴメンねレビィ。」
フィリアが謝る。
「ううん、いいよ。夏祭りには違う服で行くから。」
レビィが笑って見せるが、やっぱりどこか悲しい感じだった。それに気が付いたシャインがレビィから浴衣を取り、畳に座り込む。
「フィリアさん、裁縫セットってありますか?」
シャインがフィリアに聞く。
「ええ。やらないけどあるわよ。」
「持ってきてくれませんか?」
シャインに頼まれ、フィリアは別の部屋に行き、裁縫セットを持ってきた。シャインはそれを受け取り、おもむろに準備する。
「何する気?」
「俺が直す。」
そう言ってシャインが着物を直し始めた。
「シャイン裁縫できるの!?」
レビィが驚く。
「ずっと1人で生きてきたからな。裁縫や料理、掃除とかの家事全般はできる。」
「へぇ~」
レビィが感心していると、ふとシャインの言葉が引っ掛かった。
(1人で生きてきた?)
その言葉の意味を聞こうとしたら、
「そういえば、お前の親父さん見てないけど、どこにいるんだ?」
逆に聞かれビックリした。
「パパ?パパは仕事で年にちょっとだけしか帰ってこれないの。」
レビィが答える。
「どんな仕事?」
「う~ん…私もよくわからない。なんかすごい企業で働いているってことは分かる。」
「ふ~ん…よし、終わった。」
話していると、いつの間にか破れてあったとこがきれいになくなっていた。
「すごいシャイン君!」
フィリアがパチパチと拍手する。
「じゃあこれはボランティアでやったとして、朝食のお礼しますよ。」
そう言ってシャインは立ち上がる。
「[そよ風]。」
パチンと指を鳴らすと、家全体に心地い風が吹いた。そしてゴミが一ヵ所に集められ、ゴミ箱にシュートされた。
「す、すごい…」
レビィが驚く。
「じゃ、帰りますね。」
シャインが玄関に行く。
「あっ、シャイン、ありがとね。」
レビィは玄関にシャインを追いかけ、お礼を言う。
「レビィ、親父さんのこと…好きか?」
背を向けたまま突然の質問してきたからレビィはビックリした。
「えっ!う~ん…まあ、好きっちゃ好きだけど…どうしたの急に?」
逆に聞き返す。
「いや、別になんもないんだが…その気持ち、忘れんなよ。」
そう言い残して、シャインが帰っていった。1人玄関に立っているレビィがシャインの言葉に多少疑問を持ちながら、自分の部屋に戻っていった。
夜になり、浴衣を着たレビィは待ち合わせの駅へ向かっていた。そうしたら、前にサナが歩いていた。
「あっ!サナ!」
呼ばれたサナは振り返り、レビィだと分かったら速度をおとす。
「浴衣?」
追い付いたレビィに聞く。
「うん、ママが小さい時のだけどね。」
レビィが答える。
「ふ~ん…あれ?あんたって髪、ポニーテールだったっけ?」
サナの言う通り、レビィはいつもはストレートで何もいじっていなかったが、今日はポニーテールにしている。
「ああこれ、遊ぶのに邪魔かな~と思って、似合うかな?」
レビィがポニーテールを触りながら聞く。
「似合うんじゃない。」
サナが答える。
「そお?よかった~……あれ?サナは浴衣じゃないの?」
サナは浴衣ではなく、普通の夏服である。
「私、浴衣持ってないの。」
「そうなんだ。」
レビィが納得する。だが、よく見ると、いつもの赤いヘアピンがピンクで先に花が付いているヘアピンになっていた。それに気が付いたレビィはサナにバレないぐらいでクスッと笑った。
2人が話していると、待ち合わせの駅に着いた。
「来たかレビィ。おっ、サナも一緒か。」
そこにはシャインがいて、スノウとヒューズと赤色の少し豪華な浴衣を着ているエアルがいた。
「エアルかわいいね。」
レビィが褒める。
「でしょ~」
エアルがくるっと回って浴衣を見せる。
「さて、全員そろったな。行くぞ。」
6人は電車に乗って神社に向かった。
夏祭りに到着すると、いろんな屋台があり、上には夜を照らす提灯があり、人もたくさんいた。
「うわ~多いね~」
レビィが人混みの中でボヤく。
「夏祭りなのに人が全然いないよりマシだろ。」
隣にいるシャインが言う。
「さてと、何やろうかな~」
スノウが気合いを入れる。
「おっ!『ダーツ』だってよ。」
6人が最初に足を止めたのは、ダーツ屋だった。
「いらっしゃい。真ん中に2回連続であてると、この中から1つ貰えるぞ。」
20代ぐらいの男が取り出してきたのは、PSP、3DS、PS3だった。
「PS3じゃん!」
スノウの目が輝く。
「よし!やれ!ヒューズ!」
スノウがビシッとヒューズを指す。
「なんで私なんですか?自分でやりなさい。」
ヒューズが拒否する。
「頼む!」
「はぁ、分かりましたよ。」
「恩に着る!」
スノウがお金を払い、6本のダーツが出された。その時、店の男は内心バカめと思っていた。
(バカめ、この的の真ん中は2本刺さりそうで刺さらない大きさなのだ。絶対にこの3つは取れん。)
そんなことを思っていると、
「6本ですか。じゃあ全部貰えますね。」
ヒューズの思いがけない言葉に店の男は動揺した。
(な、なんだと~!い、いや、ありえん。この的は普通に刺していくと絶対に二本以上は刺さらない!だ、大丈夫だ。この客どもはこのことを知らないんだ。絶対に無理だ。だがなんだあの茶髪の奴、すげー余裕な顔してやがる。何か策があるのか?いや、大丈夫だ。刺さるはずがない。)
店の男が平常心、平常心と思っていると、
「じゃ、いきますね。」
ヒューズがダーツを構える。店の男がゴクリと唾をのむ。そして、ヒュッとダーツを投げると、見事に真ん中に当たった。
「さすがヒューズ!でも、あの真ん中にあと5本なんて刺さるのか?意外と小さいぜ?」
スノウが尋ねる。それを聞いた店の男は心の中で頷く。
(あの銀髪の言う通りだ。もう、刺すとこなんてないのにどうやって刺すつもりだ?)
店の男が考えていると、
「大丈夫です。」
ヒューズが余裕の顔で言う。
「では、いきます。」
ヒューズが5本全部持ち、構える。そして次の瞬間、5本のダーツが放れた。そして映った光景に店の男とスノウは唖然とした。
「では、3つとも頂きましょう。」
ヒューズがニッコリ笑う。その光景とは、ダーツの後ろにダーツが刺さり、またその後ろにダーツ刺さっているいう光景だった。ヒューズがPSPと3DSを持ち、スノウはPS3を抱える。そして2人がダーツを終えた時に、他の4人が来た。
「お、終わったか。」
シャインは右手に持っているとうもろこしをかじりながら言う。
「あ、お前らだけセコいぞ。」
スノウが怒る。
「まあまあ、ちゃんと2人の分もあるから。」
わたあめを食べながらエアルが焼きそばを渡す。
「おお!なんだよ、あるならあるって言えよ〜」
スノウが機嫌を直す。
「花火ってまだなの?」
エアルがたこ焼きを食べているレビィに聞く。
「ほ~ん…ほのひらしにほふとほうひょっとはひゃ?(訳:う~ん…このチラシによるともうちょっとかな?)」
ハフハフしながらレビィが答える。
「いや、なんて言ってるか分からないよ。」
エアルがツッコむ。
「だったらここよりあっちの神社までの石段に行きましょう。あっちの方が見やすいらしいから。」
リンゴ飴を持っているサナが石段を指す。
「分かっちゃったよ!」
エアルが驚く。
「そんなこと誰から聞いたんだ?」
シャインが尋ねる。
「周りの人間がチラホラ言ってんのを聴いただけ。」
サナが答える。
「ふ~ん…じゃ、サナの意見を採用。移動するぞ。」
6人が石段に移動し、数分後に、夜空を焦がすようにたくさんの花火が咲き乱れ始めた。
「綺麗~」
花火を見ながらレビィがピュアに感動する。
「そうだな。」
シャインが同意する。
「髪、変えたのか?」
シャインがレビィに尋ねる。
「え!?う、うん。似合う?」
突然聞かれたのでビックリしたが、似合うかどうか逆に聞き返す。
「……似合うぞ。」
少し照れながらポツリと褒めた。
「ありがとうシャイン。」
レビィが微笑みながらお礼を言う。
花火が上がってから数分たち、石段も人がいっぱいになった時、シャインの隣を1人の男がすれ違う時に、
「1人で神社の裏に来い。『バージェス』が呼んでいる。」
と、耳元で囁いた。それを聴いたシャインは、バッとすれ違った男を見ると、それは黒髪のレインだった。
「どうしたのシャイン?」
レビィが突然不振な動きをしたシャインに尋ねる。
「ある奴に呼ばれたからちょっと行ってくる。」
「誰に?」
「帰ってから言う。」
「うん、わかった。」
レビィは頷いて、また花火を眺める。そのレビィを残して、シャインは神社の裏に向かった。
シャインが神社の裏に来たら、そこにはレインとクラウドがいた。
「来たかシャイン。」
そして暗闇からバージェスが現れた。
「なんか用か?」
少し睨みながらシャインが尋ねる。
「1つだけ聞いておこうと思ってな。」
バージェスが呼んだ理由を話す。
「聞いておくこと?」
シャインが何のことか分からない。
「クハハハハ、ホントに何も覚えていないようだな。」
バージェスが笑い出す。
「何のことだ!」
シャインがイライラする。
「いや、覚えていないならそれでいい。帰っていいぞ。」
バージェスが手をヒラヒラさせる。
「なんなんだよテメェ!呼んどいて!」
シャインがキレる。
「次会う時は『闘う』時だ。その時に教えてやるよ。」
それを聴いたシャインは、
「ちっ。」
舌打ちをしてレビィ達のとこに戻っていった。
「あの様子だと、自分の力が『解放』しかけているのに気が付いていませんね。」
シャインが見えなくなってからクラウドがバージェスに言う。
「ホントに見たんだなクラウド?」
バージェスが尋ねる。
「ええ。あの時、川であいつが使ったあの力、あの一瞬だけ確実にバージェスさんを上回っていました。」
クラウドが説明する。
「そうか、クハハハハ、『大会』が楽しみだ。」
その時にちょうど花火が終了した。
「あ、お帰りシャイン。」
レビィが迎える。
「誰に呼ばれたんだ?」
スノウが尋ねる。
「バージェス。」
シャインが簡単に答える。
「バージェス!?何言われたんだ?」
スノウがまた尋ねる。
「特に何もなかった。気にしないでくれ。」
「わかった。」
スノウが頷く。
「もしかして『あれ』のこと?」
サナがシャインに聞く。
「少し違うが、まあ、そんなとこだ。」
シャインが頭をかきながら答える。
「『あれ』?」
レビィが尋ねる。
「前に話したでしょ。魔法科がある高校が集結する大会があるって。」
サナが少し見下す言い方で言う。
「あっ!」
レビィが思い出す。
「その大会は8月の初めにあるの。」
「それって1週間後じゃない!」
レビィが驚く。
「そう、そして今回はかなり注目されているの。」
「なんでだ?」
スノウが尋ねる。
「普通大会出るのは2年や3年なんだけど、今大会は2人も1年が出場するの。」
「どこなの?」
エアルが尋ねる。
「1人目は虎神高校、バージェス・アルシオン。そして2人目は私達の高校、龍空高校からよ。」
それを聴いたシャイン以外が驚く。
「一体誰なの?」
レビィが聞くと、
「誰って、ここにいるじゃない、龍空高校1年魔法力トップ兼絶滅魔法の使い手が。」
サナがシャインを見る。
「うっそーー!」
またシャイン以外が驚いた。
「ホントだ。」
シャインが頷く。
「てか、なんでそんなこと知ってんだよ?」
スノウがサナに聞く。
「私の情報網なめんじゃないわよ。」
サナが自慢する。
「さすがに俺もサナに言われた時はビビった。」
シャインが言う。
「そうだったんだ、頑張ってねシャイン。」
レビィがシャインの手を握る。
「おう。」
シャインは少し笑い返事をする。
「さて、帰るか。」
6人は祭りを後にした。
1週間後、魔法学園最大の闘いが始まる。
レ「さて次回は、いよいよ大会が始まります。」
ス「お前が代表なんて聞いてないぞ。」
シ「だって言ってねぇもん。」
ス「腹立つな~」
エ「次からけっこう長編になるらしいよ。」
サ「大丈夫なの筆者?なんか前書きでプロフィール書くって言って、長編始めようとしてるけど?」
ヒ「本人に聞いてみましょう。どうですか眼鏡純さん?」
眼「頑張ります。もし分からなかった場合は感想に質問書いてくれたら答えますので。」
シ「だそうです。」
レ「では、次回から『大会偏』スタートです!楽しみにしててください。」