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カード会社様、なぜか日本の「男性乳首」を審査する!?

掲載日:2026/04/29

 昔、表現規制というものは、だいたい国家権力の仕事だった。


 偉い人が言う ( ˘ω˘ )

「これはけしからん」


 作家が怒る (`・ω・´)

「表現の自由だ」


 読者が騒ぐ (゜∀゜)

「もっとやれ」


 そういう分かりやすい構図であったかもしれない。

 ところが令和の時代、表現規制の黒幕は、お役所様でも警察様でもなく、なぜか米国カード会社である。


 Visa様

 Mastercard様

 Amex様


 彼らは別に、日本の同人誌を毎晩読みふけっているわけではない。

 おそらく、コミケのホールで汗だくになりながら薄い本を買った経験もないはずだ(笑)


 だが、彼らは言うのである。


「当社のブランドイメージが心配です」


 その一言で、日本の絵師たちに激震が走る。


「えっ、ブランド?」

「この乳首が?」

「米国金融資本様の威厳を、私の男性乳首が傷つけたのか?」


 なんとも壮大な話である。


 こちらは、ただ筋肉質な男性キャラを描いただけである。


 風呂上がり。

 鍛えられた胸筋。

 ほんのり汗。

 小さい乳首が二つ。


 それだけの絵が、国際金融システムの末端で、突如として審議対象になるのだ。


「これは成人向けでは?」

「いや、男です」


「しかし乳首が見えています」

「男です」


「肌色面積が多いです」

「男です」


「でもリスクです」

「どこの!?」


 ここで勝つのはカード会社側である。

 なぜならサイト側は、カード決済を止められるわけにはいかない。


 カード決済が止まる。

  売上が暴落。

   作家が困る。

  読者が困る。

 運営が青ざめる。


 その結果、運営様はこう言う。


「念のため、隠してください」


 『念のため』

 きっとこの言葉ほど、創作界隈で恐ろしいものはないはずだ。


 念のため乳首を隠す。

  念のためサムネをぼかす。

   念のためタイトルを柔らかくする。

  念のためタグを変える。

 念のため男の胸板も布で覆う。


 気がつけば、古代ギリシャ彫刻のような肉体美も、令和の投稿サイトでは危険物扱いである。

 あのミケランジェロも、現代に生まれていたら大変だっただろう。


「ダビデ像、公開範囲を成人向けにしてください」

「プロフィール画像への使用は禁止です」

「外部リンク先にも適切な隠蔽処理をお願いします」


 きっとルネサンスも泣いている ( ˘ω˘ )



 もちろん、カード会社側にも言い分はある。


 違法コンテンツは困る。

 非同意や児童搾取は絶対に排除すべき。

 人身取引や犯罪収益に決済網を使われたくない。


 これは分かる。

 そこは非常に分かる。


 問題は、その巨大な安全網が、なぜか合法な創作物まで巻き込んで、「怪しいものは全部まとめて肌色警戒」みたいな方向へ走る点である。


 まるで空港の手荷物検査で、危険物を探していたはずが、最終的に楽しみにしていた「鮭おにぎり」まで没収されるような話だ。


「このおにぎりは危険ですか?」

「液体ではありません」


「しかし中身が見えません」

「鮭です」


「念のため」


 創作者の描く男性乳首もまた、きっと『鮭おにぎり』なのである。

 しかも一番ヤヴァイのは、誰も真正面から「日本のエロ絵を規制します」とは言わないことだ。


 カード会社様は言う。

「我々は合法取引を差別しません」


 決済代行様は言う。

「ブランドルール上、慎重な対応が必要です」


 サイト運営様は言う。

「規約改定のお知らせです」


 作家は言う。

「え、私の男性キャラの乳首が国際問題に?」


 こうして世界を股にかけた責任のバケツリレーが始まるのだ (゜∀゜)

 最上流の金融インフラから、最下流の絵師のペンタブまで、広大な影響範囲水域である。


 そして最終的に、いちばん弱い場所へ圧が来る。



「作家さん、修正してください」


 強い者はルールを作る (゜∀゜)

 中間業者は安全側へ倒す ( ˘ω˘ )

 創作者は乳首を消す (´;ω;`)ウゥゥ


 なんという現代資本主義の縮図。


 ここで日本のクリエイターは思う。


「私は作品を描いていたはずなのに、なぜ米国カード会社のブランド戦略に配慮しているのだろう」


 これがグローバル化である。

 かつて黒船は大砲を積んで来た。

 今の黒船は「男性乳首の禁止」まで積んで来るのだ。



 ペリー提督は言ったかもしれない。


「開国してください」


 現代のカード会社は言う。


「男性乳首を隠してください」


 だが、笑ってばかりもいられない。



 決済インフラを握る企業が、事実上の表現の門番になる。

 法律では許されている作品でも、決済できなければ販売できない。


 販売できなければ、作家は生活できない。

 生活できなければ、作品は減る。


 ……これは地味に怖い (;^_^A



 国家による検閲なら、まだ議論の相手が見える。

 だが、決済規約による規制は、相手が雲か霞のような存在なのだ。


 誰が決めたのか。

 どこまでが禁止なのか。


 なぜ男性乳首まで怪しいのか。

 問い合わせても、返事はだいたいこうだ。


「総合的に判断しております」


 出た。

 総合的判断。


 この言葉が出た瞬間、現代の人類はだいたい負ける。


 とはいえ、現場の作家にできることは少ない。


 サムネを工夫する。

  肌色を減らす。

   R指定を入れる。

  別決済を探す。

 規約を読む。


 そして、ため息をつきながら、男キャラの胸に怪しい布を貼る。

 かくして、米国カード会社のブランド毀損回避は、日本の同人青年の胸元へ到達したのだった。


 ニューヨークの金融街から、日本の液タブ画面まで。

 グローバル資本主義の長い腕は、今日もそっと伸びてくる。


 その手には、銃も剣もない。

 ただ一枚の規約が握られている。


 ……そして、こう告げる。


「その男性乳首、ブランド的に少し困ります」


 日本の絵師はペンを置き、静かに空を見上げる。

 きっと、答えは風の中にあるのかもしれない ( ˘ω˘ )

現在、SF戦記「星間覇道  ――没落貴族と女海賊、銀河帝位争乱――」を連載中です~♪

良かったら是非読みに来てやってください (*´▽`*)

https://ncode.syosetu.com/n1244lk/

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― 新着の感想 ―
バタフライエフェクト( ˘ω˘ )
日本が鷹揚なのか。 米国が細かいのか。 いやそれよりはお宅の大統領もうちょっと品よくゲフンゲフン
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