第29話
ロランが指し示した方角へ、ラビィ、ロラン、呂布、趙雲の四人は進んでいた。
道中、数体の魔物に襲われた。
だが——
「フン」
呂布が戟を一振りするたび、魔物は吹き飛び、地面に叩きつけられ、そのまま光の粒となって消えていく。
気が付けば、戦闘は一瞬で終わっていた。
「……」
何もしていないラビィ。
「……」
同じく見ているだけのロラン。
「……」
槍を構える間すらなかった趙雲。
魔物を片付け終えた呂布の背中に向かって、ラビィが声を上げた。
「一人だけで倒すなんてズルい! 私の分も残してよ呂布さん!」
呂布は振り返りもせず、無言で歩き出す。
「ズルいって……」
ロランと趙雲は顔を見合わせ、苦笑いした。
しばらく進んだところで、視界が開ける。
その先には、川幅およそ十メートルはあろうかという急流が流れていた。
水は白く泡立ち、轟々(ごうごう)と音を立てている。
周囲を見渡すが、橋らしきものは見当たらない。
「この流れの速さだと、川に入るのは無理でしょうね……どうしましょう。少し遠回りになりますが、迂回しますか?」
ロランがラビィに提案する。
ラビィは、なぜか真顔で呂布の方を向いた。
「ねぇ呂布さん……向こうまで、みんなを放り投げてよ」
呂布はゆっくりとラビィを見たあと、
「この女、阿呆か」
と言わんばかりに顔を背けた。
趙雲が周囲を見回し、近くの森を指差す。
「——あの森で木を調達して、橋をかけましょう」
「さすが趙雲! いいこと言う!」
ロランが素直に称賛する。
ラビィは腕を組み、呂布に向かって言った。
「ほら、呂布さんもいいこと言わないと褒めてあげませんよ!」
完全に無視。
呂布は森の方へと歩いていく。
森の中に立ち、無言で戟を握る手に力を込める。
次の瞬間——
ブンッ!!
豪快な一振り。
メキ……メキメキメキ……
ズゥゥゥン!!!
呂布の周囲の木々が、まるで草のようになぎ倒れた。
ロランと趙雲は言葉を失う。
「…………」
ラビィはてくてくと呂布の元へ歩み寄る。
「褒めて欲しかったんだね、呂布さん。偉い偉い!」
呂布がギロリと睨む。
「うるさい! 馬鹿兎!」
「ガーン……」
ショックを受けて固まるラビィ。
ロランはまたしても苦笑いするしかなかった。
その後、橋作りはロランと趙雲が担当することになった。
呂布は腕を組んだまま川を眺めているだけ。
ラビィは少し離れた場所で、まだ「バカ兎」のダメージを引きずっている。
やがて——
「出来ましたよ、ラビィ」
ロランが声をかける。
見ると、丸太を組んだ簡易的な橋が急流の上にしっかりとかかっていた。
「わぁー!」
さっきまでの落ち込みが嘘のように、ラビィは一瞬で元気になる。
「よーし、先へ行くぞ!」
真っ先に橋を渡り出すラビィ。
その後に、ロラン、趙雲、そして最後に呂布が続いた。
川を越え、さらにしばらく進む。
やがて丘を越えたその先に——
新たな街の城壁が、遠くに姿を現した。
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更新は毎日致しますが、2話更新に変更致します。
平日:7時頃、19時頃の1日2話
土、日、祝:12時頃、20時頃の1日2話
です。
また、前作《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》はこの作品の過去のお話となっておりますので宜しければ、そちらの方もよろしくお願いします!




