第25話
ラビィとロランは並んで街の外れにある遡行施設へと向かっていた。
久しぶりに再会したレガリア時代の話で盛り上がり、道のりは驚くほど短く感じられた。
「レガリアの闘技大会、あの年ほんとヤバかったですよね!」
「ねー!あの時の決勝、観客席の熱気すごかったよね」
笑いながら話しているうちに、巨大な環状装置がいくつも並ぶ遡行施設が見えてくる。
「ラビィは、行きたい所ってもう決まってるんです?」
「うーん……特には決めてないかな」
「じゃあ僕が決めても大丈夫です?」
「うん!その方が面白そうだね」
ロランは少し緊張した面持ちで遡行端末を操作する。
時代、地域、座標……慣れた手つきだが、その目はどこか嬉しそうだ。
「準備出来ました」
「はーい。どこだろ!ワクワクするー!」
二人の体が光に包まれ、次の瞬間、景色が切り替わった。
乾いた風。遠くに見える土煙。古い時代特有の重たい空気。
「あっ、分かっちゃった」
「えっ、もう? 早くないですか分かるの」
「この時代の、この場所はよく来るなー……アハハ……」
そこは古代中国、三国時代の戦場跡地だった。
「あっ、そう言えばラビィのレガリア時代の初期メンに諸葛亮 孔明いましたもんね。さすがに分かるか〜」
ロランは「あちゃー」という顔をする。
ラビィは苦笑いしながら、心の中でだけ呟いた。
(ベータテストで呂布さんも倒しに来たんだよね……運営案件っぽいから言えないけど)
「で、お目当ての人は?」
「槍の名手、趙 子龍です!」
胸を張るロラン。
「趙 子龍? ……誰それ?」
「えっ」
「えっ?」
数秒の沈黙。
「あ、分かりませんか? 趙雲の方で有名だからかな。こっちの名前なら分かるだろうと思ったんですけど」
「……ごめん、分かんないや」
ラビィは本気で首をかしげる。
ロランは軽くショックを受けた顔で固まった。
「け、結構有名なはずなんだけどな……」
「私、わりと雰囲気で戦ってたからさ!」
悪びれもなく言うラビィに、ロランは「この人やっぱり感覚派だ……」と心の中で納得する。
「ラビィは誰か探します?」
「んー。じゃあ呂布さん探そっかな」
「えっ? り、呂布奉先!?」
ロランの声が裏返る。
「ラ、ラビィ……先行プレイしたなら分かってるはずですよね? 敵対NPCは倒さないとデータ抽出出来ないんですよ」
「うん、知ってるよ」
さらっと答えるラビィ。
(だって運営だもん)
とはもちろん言わない。
「ハハハ……ラビィが言うと、呂布のデータ抽出も余裕に聞こえます」
「ん、そう? 強いよ呂布さんは」
実感のこもった一言に、ロランは逆に黙り込んだ。
この人、本気で言ってる……。
「じゃ、じゃあ……抽出出来たら遡行施設の前で待ってますね」
「はーい! 頑張ってねロラン」
手を振るラビィの背中を見送りながら、ロランは思う。
(いや、ラビィさんの方が頑張らなきゃでしょ……)
そうして二人は、それぞれの“獲物”を求めて三国の大地へと散っていった。
ここまでお読み下さり本当にありがとうございました。
《ブックマーク》や《評価》を頂けると大変励みになります!
更新は毎日致しますが、2話更新に変更致します。
平日:7時頃、19時頃の1日2話
土、日、祝:12時頃、20時頃の1日2話
です。
また、前作《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》はこの作品の過去のお話となっておりますので宜しければ、そちらの方もよろしくお願いします!




