第24話
武器メイクルームの中。
ラビィは、先に入っていたプレイヤーの後ろにそっと近づいた。
端末の画面には、長槍のデザインが映し出されている。刃の形状、柄の装飾、色合いまで細かく調整されていた。
(うわぁ……凝ってるなぁ)
思わず身を乗り出し、覗き込んだその瞬間。
「うわっ! びっくりしたー! ちょっ……見ないで下さいよ!」
「あっ、ごめんなさい!」
慌てて一歩下がるラビィ。
振り向いた相手は、白髪ロングヘアに小麦色の肌をした若い男の子のアバターだった。まだあどけなさの残る中性的な顔立ちだ。
「びっくりさせちゃいましたね。私ラビィです。先行プレイされた方ですか?」
「あっ、いえ……もう大丈夫です。僕はロランです。そうです、先行プレイ特典で武器メイクチケットってやつを貰えたんで来たんですよ」
「ロランさんはどんな武器種なんですか?」
「ロランで良いですよ。僕は槍です。何か好きなんですよね。レガリアでも槍使いのロランって少しは有名だったんですけど……」
そこでロランの手が止まる。
「ん? すいません、お名前もう一度聞いてもいいですか?」
「えっ、あぁ。ラビィです。よろしくね、ロラン」
ロランの目がゆっくり見開かれていく。
「えっ……あのー……人……違いですよね?」
「ん? 人違い?」
「ラビィさんって……レガリアってプレイしてましたか?」
「うん。してたよ」
「その時のお名前は?」
「ラビィだよ」
数秒の沈黙。
「…………トッププレイヤーの?」
ラビィはちょっと照れくさそうに笑った。
「えへっ!」
「ぎゃーー!!」
「な、な、な、何!? どうしたのロラン!?」
「憧れのラビィさんに会えるなんて……しかも今日始めたばかりなのに……夢みたいだ……」
「そんな大袈裟な……」
耳まで赤くして固まっているロランを見て、ラビィは苦笑する。
「と、とりあえずロラン。一緒に武器メイクやっちゃおうよ」
「は、はい! 緊張するー……」
急にそわそわし始めたロランの隣に座り、ラビィも端末を起動する。
「これをこうして……っと。よし、出来た!」
「ぼ、僕も出来ました」
二人は完成データを持って店主の元へ戻った。
「んじゃ、ちょっと待っててくれよな」
武器屋のNPCはデータを受け取り、奥の作業部屋へと入っていった。
少しの待ち時間。
ロランがそわそわしながら口を開く。
「あの……ところでラビィさんは今からどこに行かれるんですか?」
「とりあえず、仲間集めに行く予定。ロランは?」
「僕もその予定でした。ご一緒しても構いませんか?」
「うん! もちろん」
その時、武器屋が戻ってきた。
「はいよ、お待ちどう! 槍は坊っちゃんで、ナイフ二本は嬢ちゃんだったな」
受け取った武器は、さっきまでの装備とはまるで別物だった。
ラビィのナイフは闇夜の様な漆黒の一刀、そしてもう一刀は月光のような淡い光沢を帯びている、ロランの槍は深い蒼の装飾が走っている。
「ありがとうございました!」
「大事に使ってくれよー」
店を出たラビィは振り返る。
「よし、じゃあ行こっかロラン!」
「はい! ラビィさん」
「ラビィでいいよ!」
ロランは一瞬戸惑ってから、嬉しそうに笑った。
「はい! ラビィ!」
レジェンズの世界での、新しい冒険がまた一つ動き出した。
ここまでお読み下さり本当にありがとうございました。
《ブックマーク》や《評価》を頂けると大変励みになります!
更新は毎日致しますが、2話更新に変更致します。
平日:7時頃、19時頃の1日2話
土、日、祝:12時頃、20時頃の1日2話
です。
また、前作《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》はこの作品の過去のお話となっておりますので宜しければ、そちらの方もよろしくお願いします!




