第22話
三連休初日。
ラビィは自室のベッドへ勢いよくダイブした。
「よーし……今日から三日は誰にも邪魔されないもんね!」
枕に顔を埋めて足をぱたぱたさせながら、ふと思い出す。
『室長。私もレジェンズをプライベートでプレイしても良いですか?』
『ええ、構いませんよ。その代わり……絶対に運営だと人に言ってはいけませんよ』
あの時の室長の顔。
真面目な声なのに、どこか気まずそうで。
『分かりました!……あれ?でもレガリアの時ラストさんは運営ですって言ってませんでしたっけ?』
『んんっ! と、とにかく他言無用ですよ!』
耳まで赤くしていたフィニスの姿を思い出し、ラビィは布団に顔を押し付けたまま笑い出した。
「ふふっ……室長、可愛かったなぁ」
ごろりと仰向けになり、天井を見上げる。
「よし、今日は完徹するぞ!」
視界にログインウィンドウが開く。
《クロノス・レジェンズ》
「ログイン!」
⸻
流れ出すオープニングムービー。
ベータテストで一度見たはずなのに、ラビィはスキップせず最後まで見届けた。
「やっぱり何回見てもワクワクするなぁ……」
画面が切り替わり、キャラクターメイク画面が表示される。
「キャラメイクはショーンさんに作ってもらったやつで……っと」
確定を押そうとして、ふと通知に気づく。
【先行プレイ特典を受け取れます】
「えっ、ラッキー!」
受け取りボタンを押す。
⸻
視界が白く弾け、次の瞬間。
始まりの街の広場に、ラビィは立っていた。
「来たぁ……!」
石畳の広場、行き交うプレイヤー、元気なBGM。
サービス開始直後の熱気が画面越しでも伝わってくる。
「えっと、まずはメンバーデータ集めに遡行施設……の前に!」
メニューを開く。
「先行プレイ特典、まだ開けてなかった」
ステータス → プレゼント → 先行プレイ特典開封。
▶ 回復薬×10
▶ 通貨 1000L
▶ 武器メイクチケット
「おおー! 回復とお金はありがたいなぁ」
最後の一つに視線を止める。
「武器メイクチケット?」
説明を開く。
《武器メイクチケット:武器屋で使用可。所持している武器の見た目を変更出来る》
「なるほどね……面白そう!」
にやりと笑う。
「データ集めは後からでも出来るし、まずは武器屋行こう!」
⸻
レジェンズの街は複数存在する為、一つの街はレガリアよりもコンパクトだ。
少し歩くだけで目的の店が見えてきた。
「あっ、あったあった!」
店に入ると、NPCの店主が声を張り上げる。
「いらっしゃい! 良い武器、防具が揃ってるよ!」
壁に並ぶ武器の中から、ラビィは少し長めのナイフを二本手に取った。
「二刀流……やってみたかったんだ!」
くるりと回してみる。軽い。手に馴染む。
「これ下さい。あとこれもお願いします」
「毎度! 800Lだね」
支払いと一緒にチケットを差し出す。
「あっ、武器メイクだね! 奥の部屋使って好きなデザイン考えてきな」
「ありがとうございます!」
⸻
店の奥の扉を開けると、小さな作業部屋があった。
壁一面にデザインパネルが並び、中央には調整用の端末。
――そして。
その端末の前で、真剣な顔をして操作している一人のプレイヤーの姿があった。
「……あ」
思わず声が漏れるラビィ。
相手はまだ気づいていない。
画面を覗き込み、武器の色や装飾を細かく調整しているようだった。
(武器メイク仲間だ……!)
胸が少し高鳴る。
レジェンズで出会う、最初の“知らない誰か”。
ラビィはそっと、部屋の中へ足を踏み入れた。
ここまでお読み下さり本当にありがとうございました。
《ブックマーク》や《評価》を頂けると大変励みになります!
更新は毎日致しますが、2話更新に変更致します。
平日:7時頃、19時頃の1日2話
土、日、祝:12時頃、20時頃の1日2話
です。
また、前作《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》はこの作品の過去のお話となっておりますので宜しければ、そちらの方もよろしくお願いします!




