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第20話

「出来たわね。」

フィニスがモニターに映る最終ビルド完了の表示を見つめながら、ゆっくりと息を吐いた。


「本当にギリギリでしたね……。」

ナナミが椅子の背にもたれ、力の抜けた声で笑う。


「疲れたー!」

ショーンは両腕を天井へ突き上げ、そのまま机に突っ伏した。


ZZZ……

努はすでにキーボードの横で静かに舟を漕いでいる。


「皆さん!本当にお疲れ様でした!」

ラビィの明るい声が部屋に響いた。


サービス開始日三日前。

ついに《クロノス・レジェンズ》は完成したのだった。


ここ最近のフィニスは、開発室を空けることが多かった。プロモーション活動、取材対応、社内説明会。

表に立つ機会が増えた分、疲労は隠しきれていない。

それでも今は、肩の力を抜いた柔らかな笑みを浮かべている。


終業時刻を告げるチャイムが鳴った。


「みんな、お疲れ様!」

フィニスがパンと手を打つ。

「今夜は私が奢ってあげるから、付き合いなさい!トコトン飲むわよ!」


「イェーイ!」

一斉に歓声が上がった。


―――


賑やかな飲食店の一角。

グラスが人数分並び、湯気の立つ料理が次々と運ばれてくる。


「それでは……クロノス・レジェンズ完成を祝って……」

フィニスがグラスを掲げた。


「カンパーイ!!」


グラスのぶつかる音と笑い声が弾ける。


「プハーッ!」

ショーンが一気に飲み干し、すぐに目を潤ませ始めた。


「おれはなぁ……いいチームだと思ってたんだよぉ……」

早くも泣き上戸じょうご発動である。


「ちょっとショーン!まだ一杯目だよ!?」

ナナミは笑いながらも、いつの間にかフィニスの肩に腕を回して絡み始めている。


「室長ぉ〜、私ぃ〜、尊敬してるんですからねぇ〜?」


「はいはい、ありがとうナナミ。でも重いわ。」

フィニスは苦笑しつつグラスを傾ける。


努はというと、最初は静かだったのに、二杯目から急に饒舌じょうぜつになった。


「あ、あのですね、この非同期処理の最適化、実は三回やり直しててですね――」


誰も止めないため、技術トークが止まらない。


マヤは細い体のどこに入るのか分からない量の料理を次々平らげていく。


「この唐揚げ追加お願いするッス。あとこのパスタも。」


ラビィは目を丸くしながら笑っていた。

普段、会社では見られない、みんなの素の姿。


「室長ってもっとクールな人かと思ってました。」


「失礼ね。これでも気を遣ってるのよ?」

フィニスは頬をほんのり赤くしながら言う。


ラビィもグラスを口に運ぶ。胸の奥がじんわりと温かい。


笑い声が絶えない。

仕事の愚痴も、苦労話も、全部が今は心地いい。


(このチームに入れて……本当に良かった。)

ラビィは賑やかな仲間たちを見渡しながら、静かにそう思った。


夜は、まだ終わりそうになかった。

ここまでお読み下さり本当にありがとうございました。


《ブックマーク》や《評価》を頂けると大変励みになります!


更新は毎日致しますが、2話更新に変更致します。


平日:7時頃、19時頃の1日2話

土、日、祝:12時頃、20時頃の1日2話

です。


また、前作《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》はこの作品の過去のお話となっておりますので宜しければ、そちらの方もよろしくお願いします!

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