第10話
ギルドの編成画面を閉じたラビィは、腕を組んだ。
「さてと……一人目は順調。次は誰にしよっかな」
神話、伝説、歴史、未来。
候補は山ほどいる。
その時。
「……あ」
ピン、と頭の中で名前が弾けた。
ラビィはにやりと笑い、遡行施設へ向かった。
⸻
操作盤の前。
時代:神話
場所:出雲 須賀の地周辺——
設定完了。
ラビィは隣に立つ光の女性へ振り向いた。
「よし、行くよ!天照さん」
「う、うむ……」
二人は光に包まれ、再び神話の世界へ——
降り立った瞬間、天照の足が止まった。
「こ、ここは……!」
その声は明らかに動揺していた。
ラビィがきょとんとしていると、
ザッ……ザッ……
背後から地面を踏みしめる重い足音。
振り返ると、がっしりとした大男が歩いてくる。
野性味のある顔。豪快な笑み。
「あれ?天照の姉ちゃん!なんでこんな所に居るんだ?」
「ギャーーー!!」
天照が悲鳴を上げ、ラビィの後ろに隠れた。
神様とは思えない素早さだった。
「お、おいおい……さすがに取って食ったりはしねえよ」
男は困ったように頭をかく。
「で、前に居る嬢ちゃんは何もんだ?」
「あ、私ラビィと言います。天照さんのお仲間です」
「へえ……姉ちゃんの仲間か」
男はニヤッと笑った。
「なあ?俺も仲間にしてくれよ!」
ラビィ、心の中でガッツポーズ。
(やっぱりだ!)
後ろでは天照が首をぶんぶん振っている。
物理的に心配になるレベルで振っている。
「だ、大丈夫ですって。連れて行きませんから」
「本当じゃな!」
ラビィはにっこり笑って、そっと端末を操作。
対象ロック:スサノオ
抽出開始。
ピコン!
《抽出完了:スサノオ》
「では、天照さんが嫌みたいなのでこれで失礼しますね」
「お、おい!マジかよ!じゃあな姉ちゃん!」
「う、うるさい!もう顔も見とうないわ!」
天照は顔を真っ赤にしてラビィの前をずんずん歩いていく。
⸻
遡行施設に戻ると、天照が振り返った。
「ラビィよ。酷いではないか!」
「すいません!で、でも本当に連れては来なかったでしょ?」
(データでは居るけどね……)
「ん?何か言ったか?」
「いえ!なんでもありません!」
ラビィは素早く遡行装置を起動。
「遡行リセット!」
光に包まれ、二人はスタートの街へ戻った。
⸻
ギルドへ向かう途中、ラビィは端末を見ながら呟く。
「スサノオさんのデータ登録はするとして……編成はちょっと待った方がいいかな、さすがに……」
横を歩く天照は、まだむすっとしている。
ラビィはあんなに慌てる天照を思い出し少し反省した……
「ごめんね、天照さん」
「次は、もう少し穏やかな者にせよ」
「はーい」
ラビィは苦笑いしながら、次の時代候補をスクロールし始めた。
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更新は毎日致しますが、2話更新に変更致します。
平日:7時頃、19時頃の1日2話
土、日、祝:12時頃、20時頃の1日2話
です。
また、前作《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》はこの作品の過去のお話となっておりますので宜しければ、そちらの方もよろしくお願いします!




