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半透明の声

作者: 菜の花
掲載日:2025/12/05


 生きているから

 この花は咲いているんだ

 水を求めて、光を求めて

 必死に息をしようとしているんだ


 誰かをこの手に

 ぎゅっと抱きしめたくて

 抱きしめてほしくなって

 太陽に手を伸ばす


 そのまま

 届かなくて宙を舞う

 あなたに触れることすら怖いのに

 あんなに眩しい光に触れたいだなんて

 なんだか馬鹿みたい


 生きているから

 誰かは隣にいてほしいんだ

 体温を求めて、愛を求めて

 必死に藻掻いているんだ


 あなたをこの胸に

 閉じ込めておきたくて

 ただ寄り添ってほしくなって

 星屑を掴もうとする


 それでも

 やっぱり届かなくて

 吐いた息が白くなってゆく

 冷たい温度は私だけ


 半透明の私は

 誰の目にも映らずに

 静かに

 ただ静かに

 あなたの隣に立っている


 「気づいてくれるかな。」

 「気づいてくれるわけないよ。」


 半透明の声が

 冷たい空気に溶け込んで

 白く、そう白くなって

 その姿を見せてくれたなら


 半透明なんだから

 願うだけじゃあきっと届かない


 寄り添って、寄り添ってもらえて

 救って、救ってもらえて

 話して

 ああ、でもどうか

 離さないで

ご覧いただきありがとうございました。


生きているから、求める。


誰かに届きますように。

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― 新着の感想 ―
生きているから、花は咲き、水や光を求めて。人もきっと同じように、生きているから、何かを求めているのかも知れないですね。 そうした見えない声のことを、「半透明の声」と表現されているところが、心に響きま…
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