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第六節 師匠…どんまい!

ーー次の日


何でも今日初めて知らされたのだが、魔法を教えてくれる先生が見つかったらしい。

そしてもう後5分程度でその先生なる人物が訪れるようだ。


イアソン曰く、第一印象は胡散臭い詐欺師の様な態度で魔法に自身があると豪語していたが疑わしいらしい。


ん〜、そう思うのだったら何故に頼んだのだサウザーさんや。


この村を含めてエレシウス領は、王国の領地の中でもかなり田舎なので冒険者や魔法師はほとんど存在しない。

居たとしてもこんな田舎でわざわざ安い報酬の依頼を受ける者は居なく、殆どは王都の中心部で活動しているらしく…


探そうにも中々見つかる事が無かったので、思ったよりも時間がかかってしまい半ば諦め掛けていた時にいいタイミングで現れた例の魔法を教えてくれると提案した人物を雇うと決めたみたい。


皆んなが心配する最中ーー噂の人物が我が家に到着したみたいだ。


「どうもどうも〜!本日より息子さんに魔法を教える事になりました…メルリヌスです!」


oh…so beautiful…


腰辺りまで伸びた純白の白髪に澄んだ空の様な碧眼。

身長は170後半はあると思う。

服装は元の世界風に言うなら振袖付きのゴシックドレス風。

スラリとした長い手足に完璧なスタイル。オマケにタイツが丁度良い感じにドレスの間から覗いている。

とても美しい顔立ちだが子供っぽさが残った女性。


何処か見覚えがあると思ったら、昨日の買い物に行った時にすれ違った二人組の女性だった。


うん、これは確かに胡散臭い…それに初対面だと言うのにこの馴れ馴れしさ…もしも彼女が、日本の高校生だったら間違いなくスクールカーストトップでモテモテの女だったのだろう。


いや、まぁ、女性なら大歓迎だ!


ほら、イアソンも鼻を伸ばしているよ…おっと、イヤシスに殴られて大量の鼻血を流しながらニコニコしている。


それに…彼女からは人間の"ドス黒い"感情は見えない。

何か、悪意があってウチの両親に話を持ち掛けた様子は無い…だけど、ただ純粋な善意でって言う訳でもなさそう。


取り敢えずまぁ、魔法が習えるんなら何でもいいや。


「どうもダインスレイヴです!宜しくお願いします師匠!」

「師匠…悪く無いねぇ!うん、宜しくね!早速だけど、始めようか。」


そんな訳で、メルリヌス先生による魔法の授業が家の庭で行われる事になった。

俺は今、とてもウキウキしている。


「じゃあ、手始めに…君の魔法を見せて貰おうかな。と、その前に…まずは先生として最初に魔法を撃つから、それを真似してね?」


ほうほう…先生直々に魔法を見せてくれるのですか…というか、魔法でいいのか?この世界では基本的に魔術ってのがセオリーなんじゃないのか?


「えっと、魔術ではないんですね?」

「あー、私は魔法と魔術はさほど変わらないと思っているんだ!それに私は魔術より魔法って言葉の方がしっくり来るんだ!」


それは…この世界ではかなり珍しいんじゃないか?

確か、あの本の内容ではこの世界では基本的に"魔法"では無く"魔術"と呼ぶのが普通なんじゃなかったか?


「僕も、魔術よりは魔法の方がしっくり来ますね。」

「へぇー?まぁいいや、取り敢えず私が初めに見本を披露してあげます!」


師匠はそう言いながら、可愛らしい笑みを見せた。

楽しみだな…思えば、他人の魔法を見るのはイヤシスが初めて俺に治癒魔法を使った時以来だな。


「では…

ーーあぁ 集いし風の租よ 流れる大気よ集え

  ーー風の刃となりて 数多を斬り裂き 殲滅せよ

              ーー『翠風の刃(ウィンド・カッター)』」



師匠の引き込まれる様な詠唱と同時に、手のひらより少し大きい魔法陣が現れ風の刃が顕現した。

その風の刃は、庭に植えてあった木を二、三本斬り落とし遥か上空へと昇ると空を飛んでいた魔鳥に命中し綺麗に真っ二つにして見せた。


威力に速度、更に殺傷能力のどれをとっても達人レベル…魔法初心者のダインから見ても素晴らしい物だった。

どうやら、イアソンさんや…彼女はとても素晴らしい魔法使いのようだよ。


「どうだい?見本として風の初級魔法でも一番に簡単な物を使って見たんだけど…」

「本当に凄かったです!」

「うんうん、そうでしょう!私ってばすんごい魔法使いなんだ!」


本当に驚いた…俺もこの人が教えた通りに頑張ればこんな威力を出せるのか?

あ、本当に凄かったんだけど…あの庭の木を折ったのは不味いよ師匠…


「あ、あの木の事かい?安心しておくれ!君の母君からは弁償するから少し使わせてくれと言ってある!私がこの杖を振れば…元通り!」


師匠が、いつの間にか手に持っていた可愛らしい杖を横に振ると…見事に折れた筈の木々が何事も無かったかの様に元の姿になった。


「今のは…魔法ですか?詠唱もしてないですよね?」

「今のは無詠唱魔法って言う()()()()()()方法なんだ。この杖には不思議な魔力が込められていてね?それを応用して魔法を発動したんだ。」

「へぇ〜…え?」


い、今何と?

無詠唱魔法…確かに、それならば魔法が何の前触れも無く発動したのに辻褄が合う…短文詠唱なら何とか習得出来たけど…無詠唱魔法なんて難しそうだからやって無かった…

それに…師匠はさっき無詠唱魔法を開発した…?


「ま、まさかっ!?し、師匠の名前を教えて頂いてもいいですか?」

「メルリヌスって名乗らなかったっけ?」

「いえ、本当の名がある筈です。」


ダインがそう言うと、メルリヌスはあー!と納得した様に頷きニコリと微笑んだ。


「なら、もう正体を隠しても意味が無いね?お察しの通りだよ!私の名前はマーリン・キャスパリグ…始原の魔法使いのマーリンでーす♪」


oh My god…マーリン…魔法のすゝめに載っていた最も有名な魔法使いにして…短文詠唱など様々な魔法技術の先駆者…そんな凄い人が師匠!?

しかし…マーリンか…俺の好きな歴史の物語のアーサー王物語やマーリン伝説に出て来るあの?


「す、凄い…そんな凄い人に魔法を教わるなんて幸せです!マーリン…予言の子…」

「え?」

「あ!いえ、何でも無いです!」


おっと、危ない思わず口に出てしまった。


(へぇ〜、確かにそう呼ばれた事もあるけど…この世界でその名を知る者は居ない筈なんだけど…まさか…ね?)


「師匠?」

「あー、いや何でもないよ!それじゃ、まず始めに君の魔法の腕前を知りたいから見せてくれるかな?初級魔法でいいよ?」


よし、遂に来たな…

ここは、師匠に失望されない為にも全力で行かせて貰います。

詠唱は端折っていっか。


「ーーああ 熱く滾りし 焔の租よ!ーー『火炎球(ファイヤ・ボール)』」


短文で詠唱を実践してみた。

スイカくらいの大きさのファイヤボールが、手のひらから勢いよく放たれた。

流石に、母親の植えた木を焼き折るのは不味いので空高くに打ち上げた。


「おー、我が弟子よ…今、短文詠唱を使ったね?」

「はい!」

「ほうほう…その歳で短文詠唱を使い、更にはあの大きさのファイヤボールを一切崩さずに制御するとは…君ってば才能の塊だよ!」

「ありがとうございます!」


師匠は、俺の頭を撫でながらそう褒めてくれた。

嬉しいなぁ…こんな美人でエロいお姉さんに頭を撫でられて貰えるなんて…異世界最高!


「そうだねぇ…短文詠唱は完璧となると…少し計画とは違うけど、無詠唱で魔法を撃てる練習をしようか!」

「わかりました!」

「とは言ってもやる事は簡単さ、まず頭の中でその魔法の詠唱文を想像し、術を構築する。尚、この時の詠唱文は短文詠唱でも良き。

それらを構築したら次は、術の大きさの調節や威力に速度そして距離を自分の魔力で調整し…あとは放つだけ。どう?」


ん〜、何となくは理解出来た。

まぁ、簡単に言えば頭の中で詠唱を行う→次に威力やサイズ・発射速度を魔力で調節→あとは放つだけ。と言うことか?


「物は試しだ!やってみよう!」

「わかりました…では行きます…」


えーと…まず、頭の中で詠唱文をイメージして術を構築…ここは無難にファイヤボールでいいか。

次に、サイズはスイカ程の大きさになるように魔力を調整し…発射速度と威力…速度はやや速めに威力も高めに…魔力を調整して…あとは撃つだけ!


次の瞬間ーー俺の手のひらから、ファイヤボールが放たれる。

おぉ?

これは成功したようだ。

無詠唱魔法…確かに、これは便利だし…詠唱魔法よりも数倍も速く魔法を放つことが出来る!

コツさえ覚えて仕舞えば、簡単だ。


「うん、合格だね!やはり、私が思った通り君は天才さ!」


そう言って、マーリン師匠は俺の背中をバシバシと叩いて来る。

痛いっ、痛いよ師匠!

俺ってばまだ3歳の未熟児だよ?

骨だってまだ十分に発達してないんだから、直ぐに折れちゃうだろ!


と、そんなことを思っていると…イヤシスが家の方から凄く怖い顔をしながら此方に向かって歩いて来る。

一体どうしたと言うのだろう?


「ちょっと!メルリヌスさん!?見てましたよ?貴方、私が大切に育てた可愛い木を折ってたわよね!?直してくれたから許すけど!次は絶対に許さないわよ!?」

「はい…すみません…」


えぇぇぇぇえええ!?

し、師匠…嘘ついていたんですね…まぁ、確かに今思えばあの木を大切に育ててる母さんがそんな事を許すとは到底思えないな。


「ふぇ〜、怒られたよぉ〜!可哀想な師匠を慰めてぇ〜」

「よしよし。」


師匠は、器用な事に水魔法で目から涙を零しながら俺に抱きついて来た。

いや、さりげなく凄い事をしてるんだよなぁこの人…

取り敢えず慰めてあげよう…それにしても、師匠も中々にいい胸を持っているではないですか…しかも、花のいい香りが髪の毛からしますやん!


「いや〜参ったなぁ…初日からやらかしてしまったよ!もしも、解雇されたら明日から、物乞い生活になってしまう…」

「師匠、もしかして貧乏なんですか?」

「うん!だから、給料を失わない為にも頑張るよ!それじゃ、再会しようか!」


やれやれ、この先が思いやられるが…魔法の腕は本物なので大丈夫だろう…

それに、師匠からは似たような匂いがするよ。


こうして、賑やかな魔法の授業が始まるのだった。

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