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リンカネーション《輪廻転生》:始めよう…悔いの無いように… 〜あぁ、この異世界人生に幸福を〜  作者: プンプン丸
第三章 魔境大陸編 〜生と死は、いつも紙一重〜
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第十二節 ネメアの獅子

さてと、あれからもコツコツと依頼をこなしてきた訳だが…今日は俺達の冒険者ランクがCランクに上がる為の最終依頼だ。

この依頼を終えてCランクに上がったら、カルとマルはそれに乗じて引退するらしい。

どうやら、店を建てる為の資金が整ったと言っていた。

これに関して止める理由はない、Cランクに上がれば討伐任務の報酬も倍以上になる。

セタンタの件は、継続って形で了承してもらえたらので一先ずは依頼をこなす事を優先しよう。


資金に関しては、結構な金額が貯まった。


鉱銭が3枚。

鉄銭が15枚。

石銭が24枚

砂銭が50枚。

金額的には、1万円に届くか届かないかで少ないと思うかもしれないが…魔境大陸で暮らすには十分な金額だろう。

依頼の報酬全てを貯金出来ればもっと貯まっているだろうけど、生活費など色々な事を考えると充分すぎるだろうしな。


さてと、昇格試験の依頼の内容はこんな感じだ。


==========

依頼内容

魔の森の調査とバーグベアの討伐 ランクC

出没場所:魔都バビロニア近郊の魔の森

期限:一週間

依頼者;冒険者ギルド

報酬:鉱銭3枚と鉄銭5枚

備考;魔の森の調査と遭遇したバーグベアの討伐をお願いします。討伐数に応じて報酬の追加あり。

===========


とまぁ、こんな感じの依頼内容だ。

魔の森と言うのは、魔都バビロニアの近郊に位置する強力な魔物がうじゃうじゃと生息しているジャングルで、Cランクに上がる冒険者にとっては試練の森とも呼ばれているらしい。

そして最も、冒険者の死亡確率が多い…所謂、登竜門ってやつだろう。


まぁ、俺達なら余裕だろう。


報酬が美味い…この依頼、必ずやり遂げなければ!







ーー


と、言う訳で俺達は魔の森に訪れた。


魔の森。

森と言っても普通の人がイメージするような森では無い、木の幹には人の顔が浮かび上がり、生えている草は人の手足のようで不気味だ。

周囲に満ちている薄紫色の瘴気は、少しアンモニア臭が漂う。

こんな森に好き好んで訪れるのは、冒険者や商人だけだろう。

なんでも、この森を抜ける方が次の都までの近道になるらしい。


魔境大陸の中でも危険な場所の一つ。


所々で巨大な岩や木々が折れたり風穴が空いているのは、何でも最恐災厄の魔王と呼ばれるマルタカルタ・ゼノバイドがストレス発散の時にやったものだとヒッポリュテに聞いた。

ひゃー、とんだ脳筋魔王だな…しかも聞いた話では、そのマルタカルタとは出逢いたく無いものだ…


ん?

何故だろうか、セタンタとヒッポリュテの様子が違う。


「二人とも、どうしたんですか?」

「?」

「一応、用心しておけ。なんか、きな臭ぇ雰囲気がビンビンする。」

「それな〜」


よく分からないが、二人の勘は経験値からなるものだろう。

信憑性は高い、忠告通りに警戒しておこう。


そう思いながら、森を進んでいると…

地面に、複数の足跡が至る所に残っていた。


「まだ新しいな、どうやら俺達の他にもこの森に冒険者が居るらしいな。」

「依頼が被ったとかですかね?」

「いんや、別の依頼で訪れたんだろうよ。そして…あの奥の方から血の臭いがする。」


そう言ってセタンタが指を指す方を見る。

確かに、あの森の奥からは嫌な雰囲気が漂ってきてる…


「きゃぁぁぁあ!!」


「っ!?」


すると、森の奥から魔神語で女性の悲鳴が響き渡って来た。


「冒険者か、行くぞ。」

「おっけ〜」

「ええ!」

「え、あ、ちょっと!」


おいおい、まだあの先に何があるかも分からないのに突っ込む気か?

出来ればもう少し慎重に…ってもうそんな事を言っても無駄か…早く三人を追いかけなければ…

足早すぎるだろ…もう3人が見えなくなってしまった。


しかし…妙だな、何回かこの森に訪れた事はあるけど結構な頻度で魔物に襲われてた覚えがある。

でも、未だに一回も魔物に遭遇すらしてない…もう、嫌な予感しかしないって!

走って数分後ーーようやく3人の姿が見えた。


「はぁ、やっと追いついた…3人とも…こ、これは…」


辿り着いた先に見たのは、かなり酷い現場だった。

俺や少し離れた3人の周りには、無惨にも魔物に殺されたであろう魔族の冒険者の死骸が転がっていた。

身体を引き千切られた者、胸を何かに貫かれ即死した者、身体全体を喰われた者。


恐らく、冒険者だろう。

多分、複数のパーティーがこの場所で何かに襲われて殺されてしまった…って所だろう。

中には、見た事のある魔族の冒険者が居た。

例えば、さっき叫んでいた目が三つある魔族の女性はおっぱいのデカさに驚いて何度も見ていたので覚えていた。


それにしても、これは…キツイな。


「間に合わなかったか。」

「ぽいね…つうか、一体ここで何があったんだ?」

「魔物に襲われたんじゃないの?」

「僕もそう思いますが?」


違うの?

まぁ、人がやったって可能性も有り得るかもしれないけど…この惨劇は魔物の仕業だと思う。

それもかなり高ランクに違いない…ここで死んでいる冒険者の中にはBランクだったパーティーも居た。

待てよ?

なら、それをやった魔物は今何処に?


「戻るぞ、少し此処にいたら不味い気がするからな。」

「ええ!?」

「賛成〜、ちょっとヤバそうなのが居るからね。あーしには、お嬢様とダインを守る役割があるしー」


うん、俺もそう思う。

Cランクに上がるのが少し遅くなってしまうが…仕方がない。

ランク昇格よりも、皆んなの安全が優先だ。


そう思った次の瞬間ーー悍ましいような悪寒が、俺の全身を駆け巡った。


「ッ!ヒッポリュテ!!」

「なっ!?」


気付いた時には遅かった、ヒッポリュテの背後に10メートル程の巨大な影が現れ、その大きな腕を振り下ろしていた。


「ガハッ!?」


咄嗟に、防御体制をとったヒッポリュテだったが充分に受けきれず巨大な腕に吹き飛ばされてしまう。


「ヒッポリュテ!」


俺は、慌てて彼女の元に駆け寄る。


「ッ…少し、油断してた〜…いてて、、、」

「ーー『中級治療(キュアヒール)』」


よし、治ったな。

よかった…死んでしまったかと思ったけど、ピンピンしているな。

これも、アマゾネス特有の何かなのか?


それにしても…なんだよ、アイツ…


俺達の目の前に現れたのは、巨大な獅子の魔物。

黄金の体毛、強靭な牙、鋭い漆黒の眼光。

身体が重くなる程の殺気を放ち、獲物を見つけたような下卑た笑みを浮かべながら俺達を眺めている。


「おいおい…こいつまさか、"ネメアの獅子"か?」


ネメアの獅子?

なんだその凄く強そうな名前…てか、ネメアの獅子って何処かで聞いた事があるような…


「何ですかそれ?」

「"厄災の魔獣"の一匹に数えられる怪物だ。実力はざっと見積もって世界十二英傑の下位陣に匹敵するだろうな。」


なるほどな、さっぱり分からん。

そもそも、世界十二英傑ってのが正確にどんなのか知らないしな。


「それって、どのくらいやばいんですか?」

「国が総力を持って対処する位だな。」

「なんで、そんな怪物がこの森に?」

「さぁな…取り敢えず、闘うしかねぇ。逃げるって選択肢は無いと思え。

俺達全員でやれば、勝てるかも知れない。」


勝てるかも知れない…か。

あのセタンタでさえ、勝てると言い切れないってだけであの魔獣のやばさが分かるな。

クロセルは…やる気マンマンだな。

ヒッポリュテも、よし動けそうだ。


「生き残るには、倒すしかないと。」

「おうよ!」

「倒せば、英雄ね!」

「分かりやすい〜。」


よし、決意は固まった。

絶対に勝つーーえ?


「ダイン!」


ガキィィン!!


凄まじい火花と共に金属音が、俺の目の前で起こる。

何が起きた?

気が付いた時には、セタンタの朱槍が獅子の強靭な爪を受け止めていた。

俺は、攻撃されたのか…?


「ーー雷切!」


刹那ーー雷鳴が響く。


稲妻が奔り、雷と共に魔獣の首目掛けて一筋の光が放たれた。


勝った!


「なっ!」


嘘だろ!?

ヒッポリュテの必殺をモロに喰らったはずだぞ?

なんで、首が斬れない!?


「硬ってぇ〜、何アレ…あの毛皮、鎧みたいな硬さ…」

「がぁぁあ!!」


ヒッポリュテに狙いを変えた獅子の爪が、放たれる。

俺は、地面に手を置き魔力を流し込む。


「ーー『岩の絶壁(ロック・ウォール)』!」


獅子が放った爪はヒッポリュテの胸元に到達する前に、ダインが放った岩の壁によって阻まれる。

その隙を見逃さなかった、セタンタとクロセルが動く。


疾風のように疾く、セタンタの朱き槍が獅子の心臓に向かって穿たれる。

同時に、クロセルの放った雷神流の剣撃が獅子の首に直撃する。


が、やはりどちらも鎧の様な体毛によって無に帰す。

俺は、攻撃の際に出た隙を埋めるようにして魔獣に向かって火炎球を数発放ちカバーする。

魔法は、ん?

案外、効果があるのか?


獅子の魔獣は、先程から俺ばかりを狙っている気がする。

魔法を警戒している…?

そんな事を考えていると、セタンタが俺の側にやって来る。


「恐らく、奴の弱点は魔術だ。お前が使える中で最も強い火の魔術を使え…だが、あの鎧の様な体毛に当ててもあまり効果がない。」

「なら、どうしろと!?」

「そこは考えろ、とにかく俺達が必死に時間を稼ぐ!頼んだぜ!」


頼んだぜって言われても…あ、そうかいい事を思いついた。

これなら、森にさほど被害を出さなくても大丈夫そうだな。

あとは、皆んなが隙を作ってくれるまで待つ。

俺はその間に、ありったけの魔力を練り、イメージを膨らませる。


「ガルダァだああ!!」


数分の激しい攻防の末に、遂にチャンスが訪れた。

獅子の魔獣が、咆哮を上げた。

口を開いたな!


俺は、手を前に突き出して魔獣の大口に向けて魔法を放つ。


「ーー『真紅の大爆淵(エクスプロージョン)』」


ビー玉サイズの焔の球が、魔獣の口の中に入った。

そして次の瞬間ーー凄まじい爆音と共に、獅子の魔獣の内部から大爆発が起こり身体の殆どが爆散する。


「ぎぉ、ガァぁラァ…」


嘘だろ?

これで、死なないのか?

だが、瀕死だ。

あとは、みんなが。


「やぁぁあ!!」

「シィっ!!」

「おらよっ!!」


若干、オーバーキルだと思うが…なんとか、勝ったのか?

強かった…この世界に転生して、間違いなく一番強かった。

俺一人じゃ、絶対に勝ち目がなかった…一応、コイツが落とした魔石を拾っておこう。


こうして俺たちは、ネメアの獅子と恐れられた伝説の魔獣を討伐した事と死の森で起きたことを説明する為にギルドに帰還するのであった。







ーー



◇【?????】◆


魔都バビロニア近郊の領域を支配するとある魔王城では、何やら部下達が慌てふためいていた。


「魔王様ーー!」


「どうしたんだい、そんなに慌てて…」


魔王、そう呼ばれた巨躯の人物が部下に向かってそう呟く。


「死の森にて、飼っていたネメアの獅子が何者かに討伐されてしまいました!」


ドゴォォォン!!!


その報告を聞いた瞬間ーー魔王と呼ばれた人物は、怒りのままに鯖に控えていた魔族の女騎士の顔を殴り付ける。

凄まじい轟音と共に、魔族の女騎士は頭部を粉々に潰される。


が、頭部を粉砕された魔族の女騎士は顔無しのまま立ち上がると首元から徐々に再生を始めた。

やがて、頭部が再生した彼女は何事も無かったかのようにして側に再び付く。


「どうしますか?」

「殺した奴を探しな!少し面白い事を考えたからねぇ…」



ネメアの獅子に勝てたのは、ほぼ奇跡です。

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