第八節 ギルド
冒険者と冒険者ギルド。
異世界ラノベを読んでいる者なら誰もが聞いた事のある馴染み深い単語だろう。
世界中より数々の猛者が一つの場所に集う場所だ。
冒険者ギルドに集まるのは、誰もが普通の人間とは程遠い。
己の肉体に絶対的な自信を持つ者、己の剣の腕に絶対的な自信を持つ者、魔法に絶対的な自信を持つ者など様々だ。
誰もが自分に揺るぎない自信を持ち、他者を見下し、侮蔑する者も居る。
全身をフルプレートの鎧で包んだ戦士、紫のローブを身に纏った魔法使い。
しかし、君達が知っている冒険者とは異なった所があるそれは彼らの殆どが、人とはかけ離れた異形の姿をしていることだ。
蜥蜴の頭を持った者、下半身が蜘蛛の者、ネバネバの体液を撒き散らしている者、本来ならば交わる事のない種族達が集い互いに助け合い、競り合い、命を預ける職業『冒険者』。
そして、それらをまとめ全面的にサポートするのが『冒険者ギルド』。
魔都バビロニアが誇る冒険者ギルドに血盛んな四人の問題児達がその扉を勢い良く蹴り開く。
バン!という大きな音がギルド内に響き渡り中に居た全ての冒険者が注目する。
一人は、美しい水晶色の髪の毛を持ち獣の様な瞳をぎらつかせ、腰に長剣を帯びた少女。
一人は、青紫色のミデイアムヘアの髪に太陽の様に輝く水晶が嵌め込まれた杖を持った中性的な顔立ちの少年。
一人は、ブラウンとグレーが均等に混じった長髪に、紅 く光る隻眼の瞳。
服とミニスカの間から覗く褐色の肌に、鍛え抜かれた身体。
洗練された闘気を醸し出した戦士の女性。
そして、そんな彼らを差し置いてある男の姿に誰もが注目していた。
髪色や手に持っている不思議な槍こそ違うが、彼の顔に刻まれた紋様に全ての冒険者が戦慄する。
魔族いや、この世界に居る全てのものが知っている『ボルーグ族』の象徴に酷似していたのだ。
ーー
俺たちが勢い良くギルドに入って来たのにやけに静かだ、恐らくセタンタを見てそうなっているのだろう。
まずいのでは?と思うだろうが問題は無い。
俺はこうなる事を見越して、一つ作戦を持っていた。
まぁ、それが有効になるか無駄になるかはこれからの状況次第って感じだ。
とにかく、まずは第一段階は成功した。
俺たちに注目を集める事は成功。
次は、冒険者登録をしよう。
「すみません、冒険者登録したいのですが、、、」
「はい!冒険者登録ですね?ではこの紙にーー「おいおい!」
受付嬢の女性から紙を受け取ろうとした時、3人組の冒険者らしき魔族達が俺達の前に立ち塞がった。
よし、予想通りだ。
「おいおい、ボルーグ族の真似事か?」
絡まれたのは俺ではなくまさかのセタンタだった。
でも、髪色や槍の外見を変えたのが功を成したのか本物のボルーグ族とはバレていないらしい。
「お前、なに無視してんだ?」
「ふっふっふっ!説明しよう!兄貴はな昔、ボルーグ族に命を救われた恩を返すために彼らの格好で人助けをしてるのさ!そう、ボルーグ族の汚名を覆す為に!そして、僕達はそんな兄貴に助けられてチームを組んだんだ!」
「はっ!そんな無意味なことを、、、」
「無意味だと思うなら思えばいい、俺たちは必ず彼らの汚名を晴らして見せる!!」
我ながら完璧な演技だったようだ。
ギルド内からは僅かながらに拍手が起こった。
「コホン、それでは冒険者登録を行うので冒険者パーティー名を登録した下さい。」
冒険者パーティーの名前か、考えてなかったな。
どうしようか、、、どうせだったら厨二臭い名前にするか?
あ、思いついた。
「では、『呪いの槍でお願いします。」
「え?」
「本気か坊主?」
「はい、こっちの方が良くも悪くも名が通ると思います。ヒュッポリテとクロセルはどうですか?」
「ダインの決めた名前なら文句無いわよ。」
「あーしも〜」
あらやだ、この子達なんて素敵なの?
一生大切にするわよ〜〜〜〜
そんな事はさておき、俺は受付嬢から渡された紙に目を通す。
ふむ、紙に書かれた文字は当たり前だが魔神語だったが問題なく読める。
いやー、魔神語を習っていて良かった。
書いてある内容は、主にこの冒険者をやるにあたってのルール事項などの説明だ。
簡単に訳すと、こう書かれている。
その1:『冒険者ギルド』
冒険者ギルドで冒険者登録することにより、正式に冒険者となった者はギルドからの支援を受ける事が出来る。
その2:『主な支援内容』
冒険者ギルドに所属している者には、ギルドより直接依頼の仲介、魔物や資源の買取、報酬の受け渡しなどが支援される。
例外として、冒険者ギルドを通さずに冒険者となった者にはそれらの支援は適応されない。
その3:『冒険者登録について』
冒険者登録したものには、専用の冒険者プレートが発行される。
これは他大陸の冒険者ギルドに赴いた際の身分証明書にもなり再登録する必要は無くなる。
また、冒険者は基本的にFランクから始まり依頼をこなす事で新たにランクを上げる事になる。
高ランクになるにつれ、ギルドの支援はより強固になる。
注)冒険者プレートを紛失した者は、再発行が可能だがランクはFからスタートとなる。
その4:『主な禁止行為』
・ギルドを通さない依頼の遂行又は受注。
・一般市民への暴力、略奪行為をした者には冒険者ギルド及び冒険者としての資格を生涯禁ず。
・ギルドを通さない報酬以上の金品の受け取り。
・他の冒険者の依頼横取り。
その5:『冒険者ランク』
その3に記載されている通り、冒険者にはそれぞれのランクが決められています。
最初は、F・E・D・C・B・A・Sと言うようにランクが高ければ高いほど、受けれる依頼、報酬などが増えギルドからの支援もより強固になります。
基本的には、昇格試験を受けて一つずつランクを上げるがランク以上の功績を上げた場合は例外的に二つ上がります。
…etc
とまぁ、こんな感じでやたらと長いギルドと冒険者についての詳しい説明が記載された紙を読み終えた。
途中から、クロセルとヒッポリュテは長すぎると離脱してしまったので仕方なく俺とセタンタで後の文を読み終えた。
次に、正式な冒険者登録をする為の名前や個人情報を記載するように言われた。
俺達は特に素性を隠す必要もない為に本名で登録した、そして問題のセタンタだが此方も本名で登録する事にした。
彼等の汚名を返上するにあたって後々の事を考えての事だ。
別に、ボルーグ族が冒険者登録を禁止されている訳でもないのでそこは問題ないとの事だ。
その後もなんやかんやと手続きを無事に終え、ようやく冒険者登録が完了した。
「では、こちらが貴方達の冒険者プレートになります。もう一度言いますが、紛失してしまった場合は再発行が可能ですがランクは初めからですのでご了承を。」
「はい、了解しました。」
さてと、次は早速だが依頼を受けようと思う。




