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第二節 魔法を知りたい

あれからまた暫く経つと、ようやく二足歩行で歩く事が可能となった。

最初の頃は立つのにかなり苦労したが、姉とメイドが変わって献身的に支えてくれたお陰で予定よりも早く二足歩行を習得した。

感謝しかない、それに彼女達からは人間のドス黒い色を感じない…本当に彼女達は善人なのだろう…あーでも、ずっと付き添ってくれるのは有り難いけど、たまには一人にして欲しいのが本音。


それと、言語能力も成長したのでまともに喋れる様になった。


これからどうしようか…なんて思っていたんだけど結構前に起きた出来事を見てやりたい事が明確に決まった。


それは、半月前に遡る。



ーー


ある日の午前、目が覚めて姉にオムツを変えてもらいようやく解放されるとハイハイでリビングに向かう。

リビングで暫くゴロゴロしていると、家の外から何かを振るう様な音が聞こえて来たので…ギシギシと軋む机の上に乗り、台所に飛び乗って窓を覗いてみる。


すると、窓から見えたのは…家の庭で一生懸命に木刀や木槍の素振りをする父親の姿があった。

凄く格好良かった…普段はあんなに不器用な父親が真剣な顔立ちで汗を流しながら獲物を素振りしている姿に目を打たれてしまった。


引人も剣道をやっていたので、一目見て分かった。


彼の太刀筋は達人そのものだった…何処の流派なのだろう…少なくとも日本では見た事も聞いた事もない剣術…とても綺麗だった。



父親に剣術を習って見ることから始めようと思ったのだが、その次の日に引人はまたとんでもない光景を目にしたのだ。


それはいつもの様に、夕食の準備をしている時。


家事メイドの一人が、包丁で指を切ってしまったのだ。

結構な深手だった様で、指はザックリと切れており大量の血が流れていた。


「エッダ大丈夫!?今すぐに治療してあげるからね!」


と、母親はそう言って何を血迷ったか…怪我をしたメイドの指に手のひらを添えた。

そして、何かを呟き始めた。


「あぁ 美しく慈悲深き 天の祖よ どうか我が救済の声を聞いて欲しい この声に応うるならば 汝の癒しを彼の者に!ーー【中級治癒(キュア・ヒール)】」


彼女がそう唱えると…添えられた手のひらから淡い美しい光がメイドの怪我をした指を包み込んで次の瞬間には、先程まで血を流していた指が元の綺麗な状態に変化していた。


「怪我が一瞬で…流石です…」


これが、魔法…なんて美しいのだろう…


昨日目にした、父親の剣術の素振りとはまた違った美しさを感じる…

よし決めた…魔法の勉強をしよう…剣術の鍛錬はその後だ。



とまぁ、そんなこんなで引人は魔法の勉強をする事にした。


まず最初に行ったのは、この家に魔法に関する本が存在するかだ。

この課題はすぐに解決したと言うのも…家の中をはいはいして巡回している時に一つだけあまり使われていない部屋があったので…気になって入ってみるとそこには10冊程の魔法や剣術などの書物が存在していた。


しかし、たった10冊かと思ったけど…よくよく考えれば日本の書物と異世界の書物の値段が同じわけでも無いし、むしろよく読んでいたラノベでも本は高価な物のイメージが大きいしそんな物か。


それが10冊もあるんだったらその時点で、結構な金持ちだと考えた方がいいのだろう。

その中でも比較的に気になった物を厳選した。


・大陸闊歩:この大陸に存在する世界各国の名前や地図などが載った本。

これは後々の目的に役立つと判断したので読む事にした。


次に、『世界魔物辞典』と言う題名の書物。

この本をなんとなく読んでみたが、この世界に存在する全ての魔物の情報や弱点、特徴などの全てが記載されていた。

これは気になるので後で読んでみよう。


次に、『流浪物語』流浪人と名乗る謎の二刀流使いの剣士がありとあらゆる剣術士を倒し"剣聖"へと成り上がる冒険譚。


次に、『加護の全て』と言う題名の本。

此方を読んで見たが、この世界にはごく稀に『加護』と呼ばれる特殊な能力を持った者が存在しており、この本には判明している『加護』の名前や効果が記されている。


最後に『魔法のすゝめ』…これが今回のメインとなる魔法の全てが記された書物だ。


とまぁ、こんな感じで気になる本を余す事なく読んでみた。


特に、世界魔物事典・大陸闊歩・魔法のすゝめ・加護の全てと言うの四つはこれからの人生に於いてとても役に立つ物なのでこんな本を捨てずに残してくれた両親には感謝している。


その日から、引人は魔法についての勉強を始めた。


魔法には様々な種類が存在している。

・攻撃魔法(通常魔法):主に相手と戦闘する際に用いられる魔法。

・補助魔法(支援魔法):主に対象を癒したり、する魔法。

・生活魔法:主に日常生活で使用する様な簡単な魔法。

・召喚魔法:魔物や魔獣を召喚して戦わせる後衛的な魔法。


の四つが現在では、発見されている魔法。

この他にも、魔法は存在するのだが…それらは一般に流行してないので記されて居ない。


魔法の属性も数多く。


まず、五大元素と呼ばれる五つの基本属性。

『火』・『水』・『風』・『土』・『雷』の五つが五大元素と呼ばれる種類の魔法。

他にも派生属性に、『氷』や『岩』・『光』に『闇』の魔法属性が存在する。

そして、枠外属性と呼ばれる魔法。

これらは使い手が希少な為に、どんな属性があるのか判明していない。


次に、魔法の使い方やその他諸々


まず、魔法を発動するには自身の身体の中にある"魔力"と呼ばれる力が必要。

魔力を引き出す手段は、自分の体内にある魔力を体内に刻まれた魔力回路を経由して引き出す。

次に、大気中に存在する無数の"魔素(マナ)"を特殊な方法を用いて魔力に変換して扱う方法がある。

もう一つは、元々に魔力が備わった物を使用して魔力を引き出す方法。


自分の体内に存在する魔力の多い者は前者の方法を取っていたが、前者の方法では体内の魔力が少ない者には不憫なのでそれを知った伝説の魔法使いが、二つの後者の方法を発明した事で魔法は発展した。


そして、魔法の発動条件。


一つは、詠唱。

二つは、魔法陣。

これらが主な魔法の発動条件。


元々は、魔法陣が主流だったのだが…時代が変わっていくに連れて伝説の魔法使いのある発見によって詠唱が基本となった。


ある発見とは、長きに渡って課題とされていた詠唱文に掛かる時間の事だった。

その魔法使いは、本来なら数分は掛かる長文詠唱をたったの数秒で発動出来る様にした"短文詠唱"を発展させた事で、魔法陣から詠唱での魔法発動が主流となったらしい。

更には、詠唱を必要とせずに魔法を放てる無詠唱魔法も開発したらしい。


そして最も、気になったのはこの個人に決められた魔力量。


この書物に記されている内容では、"人間"は生まれた時から個人が所有する魔力量は決められている。


たとえ、大人になるにつれて魔力量が増える…と言う事は滅多に無いらしいが例外はある。

そして、個人が所有する魔力の量は血統や親の遺伝によって変動するとの事…


ここでまた気になったのは、本の最後の頁に記されていた文章。


この世界では"魔法"ではなく"魔術"と言う名前で一般的に広く知れ渡っている。

彼等の理論ではこうだ、"魔術"とは人の身でありながら本来ならばあり得ない奇跡を再現出来る物を指し、"魔法"とは人では、絶対に再現出来ない御伽話の奇跡を指す。


例えば、『瞬間転移』、『隕石を操る』、『時間逆行』、『世界のテクスチャを騙して別の世界に造り替える』などと言った物を"魔法"と呼ぶ。

これらの奇跡は魔術師達にとっての到達点であり、使えて初めてその起源へと辿り着ける。

そんな"魔法"を扱える者達の事を"始原の魔法使い"と呼ぶらしい。


非常に興味深い話だと私は思うが、私にとって魔法と魔術に何ら変わりは無いと思っている。

魔法も魔術も結局は同じ奇跡なのだから…だが、彼等はそんな理論を持つ私を否定する。

だからこの本が多くの者に知れ渡る事は無いだろう、もしもこの本を手に入れた者が居るならこの内容が君にとってより良い物になるように祈っている。


  魔法使い・マーリン



魔法使い・マーリン…確かよく母が話していたな、『この世界にはね、全ての属性を自由に操る魔法使いが居るのよ、それがマーリン様よ!』


それは是非とも会ってみたい、実際に俺も魔法と魔術の違いはよく分からない…ただこの世界で気軽に魔法という単語を出すのは危険かも知れないな。


自分の認識としてはどっちも変わらないので取り敢えず魔法=魔術と認識して置いた方が混乱しない。


物は試しって言うし…取り敢えずやってみようか。


まずは、簡単な魔法から試してみよう。


魔法のすゝめに記されている手順に従うように、手を前に突き出して、記されている詠唱文を読む。


同時に身体に流れている魔力を引き出して行くと、何か緑色の回路の様な物が浮かび上がって来た。

後は、脳内で炎の球が空高くに放たれるイメージと相応の集中力が大切だと書いてあった。


「ーーあぁ 熱く滾りし 焔の租よ どうか我が声に応えて欲しい

  ーーこの声届くなら 汝の加護を我が元に! 焼き貫けーー『火炎球(フレア)』!」


シーン

不発?

どうしてだろう…詠唱は書いてある通りに読んでいたし…集中力の問題?それか、イメージが薄かった?

もう一度、やってみよう。


「ーー焼き貫けーー『火炎球(フレア)』!」


今度は、手元にボッと炎の塊が現れただけで消えてしまった。

失敗したけど…さっきよりは、上手くいったな…もしかして、練度が足りない?


もう一発!


今度はさっきよりも炎の塊の維持が3秒も続いた。

うん、恐らく練度の問題だろうか…それなら成功するまで何度も試すまでだな。


あ、でも…初めの頃は魔力の消費が半端ないなんて場合もあるかも知れない…だから一応、そこら辺も考えていかないと。

もしも有り得ないと思うけど、敵に会った時に魔力量を理解しないまま魔法を撃ち続けて枯渇してしまったら危険だしな。


四回目


今度は炎の勢いが増して、維持力も1分程に上がった。

ここで気付いたんだけど、どうやら詠唱していなくても魔法が発動するみたいだ。

これはかなり良い発見だった…これを上手く活用すれば更に魔法が使いやすくなる。


これを3日間くらい続けていたけど飽きてしまったので別の魔法を試して行こうと思う。

なので魔法のすゝめに記されていた、各属性の初級魔法をマスターしてみようと思う。


頑張る!


驚いた事に、全属性の魔法に適正があるみたいだ。

だが、水や風は苦手かもしれない。

因みにこの世界では、魔法の属性は一人につき一つと決まっている。

たまに二つの属性を持って生まれてくる者もいるが、これらは非常に優秀な血筋の者に多い。

そして三属性の魔法を持つ者がいるが…それらは人間の中でも"超越者"に限定させる。

例外に、エルフ種など比較的に魔法に優れた存在でもその様な者は非常に稀なケースみたいだ。


なら、全属性が扱えるのってかなり異常じゃない?と、思ったけど予想通りだったみたいだ。

でも、過去に居なかった訳じゃ無い見たいで…世界にたった一人だけ全属性魔法を扱う人物がいるみたいだ。


そして、魔法には属性以外にランクも存在する。


魔法のランクは主に、『下級』・『中級』・『上級』・『王級』・『帝級』・『聖級』・『神級』の6つが存在する。


下級しか使えない魔法使いは、未熟者。

下級〜中級の魔法が使えれば、半人前。

下級〜上級の魔法が大抵使える様になれば、それは魔法使いとして一人前として重宝される。


更に各属性の魔法を上級よりも上のランクが扱える者の事を、各属性に"〜導聖"と呼ばれ有名人になれるんだってさ。

それはかっこいい!


頑張れば『上級』よりも上のランクの魔法を使えるのだろうか。

因みにとある魔法使いは自分だけのオリジナル魔法を発明したらしい。

て事は、自分も出来るのでは?と思ったけどそれはまた今度にしよう。


そんな事はさておいて、初級魔法の勉強を始める。


流石に全部ここに記載すると長いので、水魔法と火魔法の初級魔法を始めに勉強しようと思う。


火属性の初級魔法はこうだ。


火炎球(フレア):熱い火の球を放つ。

火球連爆(フレアショット):フレアボールよりも小さい火球を放ち敵に当たると小爆発を起こす。

炎壁(フレイウォール):炎の壁を展開して身を守る防御魔法。

炎斬(フレイソード):炎の剣を作り相手を焼き斬ったり、突き刺したりする。

炎矢(フレイアロー):炎の矢を飛ばす。飛距離は発動者の練度によって異なる。


以上が、火属性の初球魔法。


後は、魔法のすゝめを読んだ限りでは全部同じ様な魔法しか無いので説明する必要は無いかな。

因みに、どの属性の魔法も初級魔法なら魔力消費量は少なく…多くても15程度なので俺の魔力量なら最低でも現段階では千発は撃てると思う(悪魔で推察だけど)。


火魔法は勿論だが家の中でやれば火事になるかも知れないから夜中に家を出て庭に向かい、空高くに放っている。


まだ何かと不安要素が何個もあるが、ここら辺の複雑な説明は専門の魔法師とかに聞いた方がいいんだろうけど…それは最終手段だ。


魔法や魔力と言うのは奥が深い。

小説やアニメではよく主人公や魔法使いは簡単に魔法を使っているが、現実ではそう上手く行かないのは本当らしい。

練習あるのみ。


「ん?」


背後から視線を感じる。

しかし、振り向いても誰も居ない。

部屋の扉はしっかりと鍵を掛けている。

裏口や隠し扉なんて類は有り得ない。

タンスには荷物が詰めてあったから居ない…筈。


本当に誰かに見られている様な気がする。

気のせいだと良いんだけど…と引人は思う。


(ふぅ〜、エッダさん…何とかバレませんでしたね!)

(しっ!聞こえちゃうでしょ?ダイン様に怒られるわよ)


結局、引人は最後までタンスの中に居る二人の存在に気付かなかった。


ーーー


後日、母親はとある本を見つける。


「あら?こんな本、家にあったかしら?…魔法のすヽめ?そんなお伽話の軌跡が使えるのはあの伝説の魔法使い様しかありえないわよ!」


すみません、長くなってしまいました。


この話が良かったと思った方は、評価や感想をお願いします。


補足で、この設定は後の方で変わっていく可能性があるのでご了承下さい。

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