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リンカネーション《輪廻転生》:始めよう…悔いの無いように… 〜あぁ、この異世界人生に幸福を〜  作者: プンプン丸
第一・五章 家庭教師編 〜氷の令嬢の溶かし方〜
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第四節  ーー雷切ーー

「おい…これは、どう言う事だ…?」


暗闇から現れたのは不気味な空気を纏った黒いローブの人物。

腰には、かなり身分の高そうな騎士とかが持つ様な剣を帯びていた。


これは俺でも分かる、奴はヤバい…あの3人組とは別物の化け物だ…


「す、すみません!」

「お、お許しを…」

「今度、今度こそ!」


先程まで、気絶していた筈の男達は謎の男が現れた瞬間に立ち上がり身体を震え上がらせながらそう答える。


「我らに、失敗を犯す役立たずは要らぬ。ーー死ね。」


「え?」


気付いた時には、3人の男の首はあっという間に地面に転がっていた…俺達と同じように首を斬られた男達もその事に全く気付かなかった様な顔をして絶命していた。


「さてと…仕事はしなければな。」


その男は、羽織っていたローブを破り姿を露わにした。

頭にヘッドバンドの様な物をつけ白髪の短髪に、鋭い眼光。

軽そうな鎧を身に付け、何かを企んだ様な悪い笑みを浮かべた男だった。


「一応、聞くが…お前、邪神解放教団に入る気はあるか?」


邪神解放教団?

何だその変な名前は…どう見たって悪い組織に違いない。

ともかく、俺に今、出来ることを…


「入ったら何があるんですか?」

「あぁ?まぁ、一生遊んで暮らせる金が手に入る、女も手に入る、地位も手に入る。なんだ?入りたくなったんか?」

「魅力的な話ですが、お断りさせて貰いますーーよっ!」


俺は男に向かって手を突き出し、魔法を放つ。


「あ?んだ、これーー」


氷魔法ーー『氷結の監獄(フローズン・プリズン)』を無詠唱で発動する。

男の足下を埋める程度の氷を発生させ、動けなくすると男の身体を結晶の様な層で凍らせる。

…次に鳥籠の様に氷の柱が幾多も発生して男を閉じ込める。

この檻の間も、僅か数ミリ程度なので抜け出すことは不可能だ。

よし、この規模の魔法を放ったんだ俺の推測が正しければ必ず!


その夜闇に輝く氷の鳥籠を目にした者が、動き出す。


「凄い…」


と、お嬢様がそんな言葉を漏らす。

感動に浸っている暇は無いんだ…失礼するぜ!

お嬢様を抱きかかえて走る。


「俺が逃すわけ、ねぇだろぉぉお!?」


パキィィィン!!!


と言う氷が砕ける音が背後から響き渡って来た。

走りながら振り返ると、男が物凄い形相で鞘から剣を抜きすぐ近くまで迫っていた。


嘘だろ!?

俺は、すみません!と謝ってお嬢様を地面に転がす。

そして先が鋭く尖った岩の針で迎撃する…勝った!


しかし、気付いた時には俺の肩に男の剣が突き刺さっていた。


「がぁぁあ!?」


すぐさま、風魔法で相手を突き飛ばし距離を取った。

痛い…何が起きたんだ…?

確かに、俺の魔法は直撃したよな?


「死ねや!」


再び男が距離を詰める為に走り出す。

俺は、奴の脚を壊す為に翠緑の槍風(ウィンド・ランス)×3を放つ。

完璧に奴の膝を捉えた…そう思った瞬間、男は何事も無いように狂気的な笑みを浮かべながら剣を横に薙いだ。


「ッ!」


あっぶねぇ…風魔法で剣の軌道を受け流さなければ胴体が切断されてた…


「ははっ、また避けるか?」


(んだ、このクソガキ…俺の鎧が焼け爛れてやがる…魔術を無効化する鎧を?まさか、伝説に聞く魔法使い?いいや、それはねぇか。まぁいい。)



「ならよぉ、こいつはどうだぁ!?」


男の顔が、お嬢様へと向く。

ニヤリと笑い、お嬢様に向かって剣を振り下ろす。

不味い…死なせる訳には行かない!


「お嬢様!」


俺はそう叫んで、お嬢様を押した。


ザシュ!

その音と共に噴水の様に鮮血が飛び散った。

痛い、なんて言葉じゃ言い表せない程の激痛が襲いかかって来る。


「無事ですか?」

「私は大丈夫、それよりも貴方が!」

「問題ありませんよ!」


て言うのは嘘だ。

本当はかなりヤバい…少しでも油断すれば気絶してしまいそうだ…そして、奴には魔法が効かない…あの鎧?それともそう言う加護があるのか…俺じゃ勝てない、だからこそ剣術が必要だったのかも知れない。


もう少し、もう少し耐えれば助けが来る筈だ!


「死に損ないが、まだ立ち上がるか?」


うるせぇよ!

俺は、血濡れ今にも倒れそうな身体を必死に動かして破れかぶれの状態で火炎球を何十発も発射する。

どれもひと一人は簡単に殺せてしまうような威力でだ。


「この魔術師殺しのアルマロスの前では、魔術なんざ効かねぇんだよ!」


男は、自分に向かって迫って来た数個の火炎球を斬った…が撃ち漏らしが鎧に当たったが…鎧を少し焼いただけで効果はない。

あの剣と鎧には魔法を打ち消す効果があるとみて間違いない。


「おら、死ねよ!」


男は、勢い良く地面を踏み付け目にも追えない速さで一気に俺の前へと現れる。

鮮明な"死"を纏わせた斬撃が俺の首目掛けて、放たれる。


ーーあ、死んだ…


その時ーー雷鳴が静夜に轟いた。


俺の横を稲妻が疾り、大地に雷が堕ちた。


「ーー『雷切』ーー」


そんな声が聞こえる。

刹那、一筋の光が俺と俺とお嬢様の間を通り過ぎてアルマロスをも通り過ぎ少し行った所で停止した。

光が通過し少し遅れてから、凄まじい衝撃波と共に男の首が吹き飛んだ。


切断された首元から大量の血が吹き出し…雨となって奴を殺した何者かに降り注ぐ。


その正体は、ヒッポリュテだった…男の返り血を浴びた彼女はとても美しく見惚れてしまった。


人が、目の前で死んだのを目の当たりにしたと言うのに…





ーー


ヒッポリュテは、大量に血がこびり付いた剣を払い血を落とす。


「無事!?、二人とも…」

そう言ってヒッポリュテは振り返る。


「ヒッポリュテぇぇ〜」


安堵したのかお嬢様は、ヒッポリュテの胸の中に飛び込んだ。

助かった…のか…俺は、俺達は…まずは安堵しよう…よかった…痛っ!


あー、初級の治癒魔法は無詠唱で使えるが…その程度じゃこの怪我は治せない…かと言って中級の治癒魔法を唱えようにも意識が朦朧として口も動かせない…


初めての戦闘、にしては上出来だったんじゃ無いのか…人が死んだ…事実だ…

当たり前じゃ無い…元の世界では当たり前じゃ無かった…だから同じだと勘違いしていた。


でも、違う。

此処は日本じゃない…()()()()()()()()()の事なんだ…だから、ヒッポリュテもお嬢様もあんなに平気な顔をしてるんだ。


この感覚に慣れる日は来るのだろうか…来る日が来たとしても、きっとそれは、誰かの為だったと…そう願いたい。


「ーーイン、ーー夫、か…」


ヒッポリュテ、何を言ってるんだろうか…よく聞こえない…あー、視界も狭くなって来た…死ぬのか…あれ?

ヒッポリュテの顔がすぐ近くまで…まさか、き、キス…!?

気のせいか…


俺の意識は、そこで途切れてしまった。




ーー


「…っ!?こ、ここは…?」


目が覚める、良かった生きてるみたいだ。

身体が痛く無い、斬られた所が塞がっている…

あ、あれ?

なんか妙に硬い枕に寝かされているようだな…もう少し柔らかいベッドに寝かせて欲しかった。


「目が覚めたか?」


ようやく視界が安定して来ると、俺の目には大きなお山が二つ成っていました。

そのお山からひょこっと美しい女性が、顔を覗かせた。


「ヒッポリュテ?」

「どうして、僕の傷が治っているんでしょうか?て、言うか皆さん勢揃いで…」

「ヒッポリュテに感謝しなさい。」

「お嬢様、無事だったんですね。」

「ええ、貴方のおかげよ?ありがとう。」


お嬢様は、ヒッポリュテの背後から顔を出して少し照れた様子でそう礼を言う。

ははっ、怪我の代償にデレをゲットした…それだけでも彼女を守った甲斐があった。


それにしても、ヒッポリュテは魔法が使えないって聞いたけど…どうやって治してくれたんだろうか?

聞いてみよう。


「そう言えば、治療って何をしたんですか?」

「ああ、アマゾネスに伝わる秘術~

。生涯で3回だけ使える特別な術でね…上級の治癒魔法と同等の効果を持った回復術よ。互いの肌に触れる事で効果を発揮するの。」


なんだ、そのチートな術は…この世界のアマゾネスも俺の知らない何らかの能力を持っているんだな…肌と肌を触れさせる…ん?意識を失う前にヒッポリュテの顔が近づいて来た感じがしたんだけど…


「僕の勘違いじゃ無ければ、ヒッポリュテ、僕が意識を失った後にキスしましたか?」

「まぁね〜、あの時は君とお嬢様を抱えて両手が塞がった状態だったからね〜。それじゃ、私は少し外を警戒してくる。」

「ありがとうございます、良いものも頂きました。」

「どーいたしまして。」


ヒッポリュテは、俺を立ち上がらせて頭をポンと叩くと、歩き出した。


「む、どうしたの?リエッタ様。」

「あらぁ?お顔が真っ赤よぉ〜?」

「っ!?こ、これは少し暑いからで!別に、照れてるとかじゃないし〜!」

「そう〜?」


ーー


「娘を守ってくれてありがとう。ほら、お前も礼を言いなさい。」

「あ、ありがとう…貴方のお陰で助かった…そして、冷たい態度を取ってごめんなさい…」


ユージンに、背中を押されて俺の前へと出て来たお嬢様は深々と頭を下げて謝って来た。


「それで、君には何かお礼をしたいんだけど…」

「そうですね…お嬢様の名前を教えて欲しいです。」

「そ、そんな事で良いの?」

「それが良いんです。」


俺がそう言うとお嬢様は、分かったわ。と言って少し恥ずかしながらピシッと姿勢を正す。


「私の名前は、クロセル・フロッセル・アスポロトスよ!クロセルって呼びなさい!」


クロセルか…良い名前だ。

怪我の代償が、お嬢様の無事と名前…割に合うようで合わないような…まぁ、この笑顔とデレもオマケで付いて来たんだ悪く無い!


ついでに、家庭教師の仕事もちゃんと受けてくれると言ってくれた。

これにて、一件落着!

《人物紹介》

ヒッポリュテ (100歳以上)

性別:女

種族:戦士女族アマゾネス

性格:忠義に厚い、時に厳しく酷く残酷。

属性:中立

身長:179cm

剣術:雷神流〔剣神流〕・剣帝+ーー流

評価:勉強C、それ以外はA〜S


ダイン初めての戦闘は、どうでしたか?

確かに、彼はまだまだ未熟ですが良い経験になったでしょう、これからどう言う風に成長するのか温かく見守って下さい。


因みに、ヒッポリュテが使った『雷切』は雷神流の奥義の一つです。

アルマロスは、戯神流の戯王級です。

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