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第十九節 これからの事

それから暫くして、イヤシスとニーニャの出産日が訪れた。


それはもう大変だった。

助産師経験のあるニーニャも同じ時期に出産が重なってしまったので我が家にはそう言った知識のある人間が居なくて困った。


イアソンが、この村に居た医者を呼んで対処にあたった。


これは俺の前世の知識を持ってしても無駄なので大人しく、医者の言う通りの事に従って手伝う事にした。

アルマは、濡らしたタオルで二人の汗を丁寧に拭き取ってゆく。

イアソンは、イヤシスの手を握り頑張れ!と声を掛けている。

俺とアルマもニーニャの手を握り声を掛ける。


ニーニャは中々、お腹の中の子供が産まれ辛く出血が酷く危険な状態だった。


俺は、母子共に死なせまいと必死に治癒魔法を掛けた。


そして…二人の赤ん坊が誕生した。


イヤシスが産んだ赤ん坊は、産声を上げなかったので酷く動揺してのだが…医者の賢明な処置によって元気な産声を上げた。

ふぅ、良かった…可愛い二人の妹が出来た。


イアソンは産まれてきた二人の赤子を抱き上げる。


いやー、良かった安心だ。


イヤシスの産んだ娘には、ペネロペと名付けられた。

両親と同じく少し生えた美しい金髪に翠緑の瞳を持った可愛らしい子。

「あぅあぅ!」と言いながらイヤシスの人差し指をちっちゃな手で握っている。


ニーニャの産んだ娘には、アーニャと名付けられた。

アルマの「ア」とニーニャの「ニャ」の部分を合わせてアーニャだ。

ニーニャと同じ紫色の髪をしたとても可愛い赤ちゃん。


とにかく、無事に生まれて来てくれて一安心だ。


そうだ、二人には可愛らしいプレゼントを上げよう。

何が良いかな…お洋服とかどうだろうか。

幸いにも、元の世界では引き篭もっている間に裁縫にハマっていた時期がある。

それに…師匠から貰った物の中にサイズが成長に合わせて変更される様になる魔法糸がある。

それを使って服を縫おう。





ーー


それから数ヶ月経って、7歳になった。


アーニャとペネロペは、スクスクと元気よく育っている。

深夜に夜泣きをしたり。

おしっこやうんちを漏らしたり。

ママの母乳を求めて泣いたり、泣いたり、とにかく泣いたり。


連日行われる、夜泣きの影響で対処に追いやられたイアソンとイヤシスは凄く眠そう。

一方のニーニャは、流石は子育ての経験者と言った所だろう。


彼女の話では、もう何十人も子育てを手伝って来たから慣れていると。

そんな彼女を見て二人も頑張ろうと改めて思ったらしく、今日も今日とて子育てに勤しんでいる。


イアソンは…うん、予想通りにテンパっているな。


騎士としては完璧で優秀だが…父親としては不器用で女にも目がない…人間臭くていい。

父親としての責務を果たそうと頑張っているイアソンを見るとこっちも頑張ろうと思えてくる。


知っての通り、イアソンは騎士としては本当に優秀だ。


まず、世界四代流派の三つ。


剣神流を上級の中でも上位レベルまで。

舞神流を上級まで。

戯神流を上級まで習得している。


何でも、ニーニャとイアソンは同門らしく…イアソンは彼女の母親が指導する道場に転がり込んで来て、たったの数ヶ月で舞神流を上級まで習得してしまったらしい。


普通、一つの流派を上級まで極めるには長くて10年、短くても5年は掛かってしまうのだとか。

それをたった数ヶ月で上級に到達するイアソンは間違いなく天才の部類に入る…しかも、剣神流に関しては上級以上と言われている。


めっちゃ強い。


何度かイアソンの仕事のお供に付いて行った事があったのだが…スッゲェ、カッコよかった。

森に湧いた、鬼犬牙(コボルト)の群れをたった一瞬で斬り伏せて見せた時は本当にカッコよくてイヤシスが惚れた理由が分かる。


戦い方は野蛮かと思ったが、独特の美しさがあった。


村の狩人達からは絶大な信頼と憧れを持たれ、未婚の村の女性からは好意を持たれるのも頷ける。

しかし、意外に驚いた事はイアソンは結婚して"からは"一度もイヤシス以外の女を抱いていないらしい。


あんなに可愛くて良い身体をしたイヤシスが居れば他の女に目移りなんてしないだろうよ。

まぁ、当のイアソン本人はその事に関しては妻が目を輝かせてなければ…とか呟いていたが…後にアルマがチクった事でイヤシスにボコボコにされていた。


まぁ、その情けないイアソンに俺は剣術の鍛錬で毎回ボコボコにされているんですけどね。

まぁ、そのイアソンもアルトリウス先生には歯が立たなかった。


イアソン曰く、『彼女は恐らくだが、本気で流派を極めれば剣聖まで到達出来るんじゃないか?』と言う事らしい。

因みに『剣聖』は剣神流の階級では剣神の一個前みたいだ。


これは俺も最近に知ったのだが…イアソンとイヤシスは、数年も前の話だが冒険者の中では名前を知らない者は居ない程に有名な冒険者パーティーのリーダーとそのメンバーだったようだ。


そんな強者のイアソンでも敵わない強者は人間でも魔族でも沢山、存在しているのだ。

つまり、世界は広いのだ。


最近は、学校に通う?


と、イヤシスに提案されたけど断った。


提案したイヤシスもそこまで乗り気では無かったようだ。


何でも、エレシウス領の城砦都市ガレスに存在する教育機関でかなり厳しいとのこと。

なんでも、礼儀作法や算術などに力を入れておりかなり厳しいとの事。


まぁ、俺は師匠の元でそこら辺の事は一通り学んだから必要ないしね。

それに…学校は少しまだトラウマが残ってるしな…


いや待てよ…学校に行けば素敵な出会いがあるかもしれない…お嬢様も居るかも?


あー、でもイアソンに聞いた話だが…学校はそんなに良いもんじゃないらしい。

余程の名門校でない限り、男が求めるような完璧なお嬢様は居ないらしい。

みんな、厚盛の化粧をし、金目当ての女しか居ないらしい。


やっぱ、辞めておこう。


それに学校に通えば色々と出来ることが制限されてしまうしなぁ…俺は冒険者とかもやってみたいからゴメンだ。


「冒険者か…それはいいかもな。うん、学校に通うよりも何倍もいいぞ?

まず、夢がある。迷宮に潜って一攫千金を狙うってのも有りだし…冒険者の女はみんないい女ばかりだしな?

イヤシスとも冒険者になって出会って孕ませて結婚したからな!」


おっと、流石はイアソン。


迷宮(ダンジョン)と言うのは、一つの魔力現象によって生まれた物とされている。

なんの変哲も無いただ広い洞窟に何らかのきっかけによって魔力が濃縮され、変幻自在な洞窟へと変貌し魔物などを生み出す魔物に変貌する。


中でも特殊なのは、この迷宮(ダンジョン)の中に現れる魔物を殺すと"魔石"と呼ばれる魔力が籠った石を落とすのだ。

これが、かなり高い…それこそ一攫千金を狙えるくらいに。


その魔石の中でもダンジョンの最奥にある魔力結晶と呼ばれる物は、それ以上に高く売れる品物だ。

しかしそんな代物が簡単に手に入る訳が無く、ダンジョンの最奥にはその魔力結晶を護る階層主と呼ばれるボスが存在する。


人々がこぞってそんな危険な場所に潜り込むのは、それだけが理由ではない。

長年を掛けて溜まりに溜まった魔力が、挑戦した冒険者の装備や武具…装飾品を喰らい新たな宝を産む。

それがまぁ、チート性能を持っている。


だからこそ、冒険者はそんな貴重な品や一攫千金を狙って迷宮ダンジョンに訪れるのだ。

迷宮ダンジョンは、この世界の各地に存在する。


迷宮ダンジョンは、その存在歴史が長ければ長いほど貯め込まれた財宝や武具は豪華だと言われている。


書物に書いてあった中でも一番、古い迷宮ダンジョンは飛竜山脈の何処かに存在する神龍霊山の山頂に到達すると『龍ノ心臓』と呼ばれる迷宮ダンジョンがあるらしい。

迷宮ダンジョンの存在時期は、明確には判明していないが少なくとも数万年前からあり…階層数は未だに知られて居ないが、最低でも五百以上はある。


しかし、その山に近付こうとする者は現れない…何故ならこの山脈には強化個体の飛竜(ワイバーン)がウヨウヨと飛んでいるので近付く事すら叶わない。


有名な迷宮ダンジョンはまだまだあるが、省略させて頂こう。


まぁ、とにかく夢があるって事だ。


これからどうしようか…セレーナとはアレからも仲良くしている。


魔法の授業やその他の文字の読み書きなども、もう俺が教える事は無い…と思っていたんだけどセレーナはまだまだ教わる事が沢山ある!と言って抱きついて来る。


oh、いい匂い…考えることは辞めよう。


あ、そうだ。


師匠が言っていたが、このエレシウス領の北部…飛竜山脈を挟んだ向こう側には有名な魔法の名門校があるらしいな…

そこに通うのもありかもな…師匠の様な魔法使いになる為には丁度良いかもなぁ…


今度、イアソンに聞いてみよう。


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